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2025-09-20 06:27

【1205】2025/09/20 一発に月単位の時間!? 花火師の世界

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2025/09/20

サマリー

花火大会が秋に近づく中、日本文化の重要な一部としての花火の魅力や制作工程に関するトリビアが共有されます。特に、花火の色や大きさ、制作にかかる月単位の時間が強調され、世界的な芸術として評価されている日本の花火について説明されています。

花火のトリビアと文化
おはようございます。花火鑑賞士、気象予報士の鶴岡慶子です。 この配信では、花火や天気、言葉に関することなどをお話ししています。
昨日は花火、ラーメンやフォー、パスタ、相撲などを取り上げて、日本文化の話をしました。 今日は花火に特化したトリビア集をお届けしようと思います。
花火大会は日本の夏の風物詩としてたくさんの方が楽しんでいますが、この後花火のシーズンは秋になっていきます。
10月の頭には大曲り秋の章、11月の頭には三大花火の一つ土浦の花火が行われます。
花火大会の情報を伝えるときに、テレビでもラジオでも玉屋とか鍵屋って言ったりしますが、これは江戸の墨田川花火大会で人気を二分した玉屋と鍵屋を応援するときの掛け声なんです。
観客が名前を呼んで応援していました。 歌舞伎の成田屋とか尾高屋と言っているのと同じですね。
ただ実は玉屋は廃業して今はありません。 今残っているのは鍵屋の流れだけなんですね。
なのでいろんな花火大会で花火を見て玉屋とか鍵屋と声をかけるのはちょっと変な感じがします。
それは知っていた方がいいかもしれませんね。 花火の色は金属元素の発光スペクトルで決まります。
ストロンチームは赤です。 緑はバリウム、青は銅です。
黄色はナトリウムで橙はカルシウム、そしてアルミニウムやマグネシウムを使って白や銀色を出します。
特に青、銅を使うんですけれども青は花火しなかせです。 温度が高すぎると色が壊れるし低すぎると燃え残ってしまいます。
なので美しい青を出せると名人芸とされています。 同じような理由で白、銀色って難しいんですね。
カムロという花火があります。 大玉の代表格というと錦カムロという花火です。
金色の尾を長くたらす豪華で柔らかい印象の花火です。 この金色が銀色の銀カムロという花火になりますと、
白とか銀っていうのは眩しくて鋭い輝きが特徴なんですけれども、 錦カムロに比べるとぐっと数は少なくなります。
どうしてかというとこの強烈な白い光っていうのは他の色を描き消しやすいということが一つ。
それから温度や粒子制御が非常に難しいということ。 さらには安全性とかコスト面のことから考えても、
錦カムロに比べて銀カムロに出会える確率って非常に低くなるんですね。 本当に特別な存在だなぁと思います。
制作工程と日本の花火の特性
花火玉の中に詰められる発光の粒というのは星と呼ばれています。 夜空に散って輝くその姿から星と名付けられました。
職人さんたちは空に星を巻く感覚で玉を仕込んでいきます。 一発の花火玉には数百個の星が並べられて、
点火の順番まで計算されています。 じゃあ花火師が玉を仕組む日数はどれくらいか。
例えば直径およそ30センチの尺玉を例にとってみます。 星を1から作ると、
火薬と発色剤を練っていって、それを形にして十分に乾燥させます。 そして乾燥済みの星が揃うと、玉の組み立てをして、それを層に積み上げていって、
さらに乾燥をするという工程になります。 星を1から作ることを考えると、数週間から数ヶ月、
月単位の時間がかかります。 特に梅雨時や冬の間は乾燥が遅れやすいので、
天候とか湿度を見ながら慎重に進める必要があります。 量産が難しいのはこういった手間と自然条件の影響が大きいためです。
だからこそ一発一発に込められた思いが違うんですね。 日本で打ち上げられる最大級は4尺玉です。
直径がおよそ120センチ、重さは400キロ近くになります。 この花火が見られるのは新潟県大塩市です。
肩替え祭りで打ち上げられる4尺玉は直径800メートル以上に開きます。 世界の花火と日本の花火はどう違うかというと、
欧米の花火はどちらかというと音とリズムで盛り上げるスタイルです。 一方で日本の花火は一発一発を夜空に咲かせる芸術として発展してきました。
なのでこの日本の花火が欧米スタイルで打ち上げるとどうか。 これは世界のどの国も真似ができないです。
ということで日本一の花火はすなわち世界一の花火ということになると思います。 今日は花火のトリビア、この後も花火カタリストとしてたくさんの花火情報をこの配信の中でもお届けしていこうと思います。
ということでここでちょっとお知らせです。 これまで人生の素敵に会いに行くというテーマでインタビュー記事を20日に一遍発行してきました。
これはまだまだ続くんですけれどもさらに新シリーズとして2025年下半期 花火カタリスト花火を作る人に会いに行くをスタートさせます。
新しいインタビューシリーズその第1回目の記事は10月7日に公開予定です。 どうぞご期待ください。
この配信はアップルポッドキャスト他各種プラットフォームでお届けしています。 それではまた明日
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