2025/11/06
サマリー
国語力の低下が進んでいる現状については、日常の言葉遣いや世代間の交流の減少が影響していると分析されています。
国語力の低下の現状
おはようございます。花火鑑賞士、気象予報士の鶴岡慶子です。
この配信では、花火や天気、言葉に関することなどをお話ししています。
最近、ネットニュースのタイトルに、赤ちゃんが抱っこされて安らかに眠っているというものがあって、思わず笑っちゃったんですけど、
これって赤ちゃんがぐっすり寝ていることを言っているんですけれど、まあ笑い事じゃないですよね。
それからもう一つ話題になったことが、行方不明だった夫が無言の帰宅となりました、という投稿に対して、
もの静かに帰ってきたんだね、というように、夫が無事に帰宅したと解釈する人たちが多かった、ということがありました。
安らかに眠るっていうのは、故人への弔いの言葉として使われて、死者が穏やかな状態で永遠の眠りにつくことを願う意味です。
それから無言の帰宅というのは、戦争とか事故なんかで亡くなった方が棺に納められて帰ってくることを意味する言葉です。
こういうのって教科書で学ぶ言葉ではないかもしれませんが、こういう婉曲表現を対応する日本の文化として、私たちにずっと根付いてきている表現です。
その意味を知らない人がもしかしたら、今多くなっているんでしょうか。
そうだとするならば、国語力の低下と言わざるを得ないですよね。
しかも、赤ちゃんが安らかに眠ると書いたのは新聞記者だったんです。
チェック機能ってどうなっているんでしょうかね。
このまま世に出てしまうっていうことがちょっと恐ろしくもあるんですけれども、
まあでも、もともとの字面だけを見て正しい日本語と思ってしまうメディアの人たちが増えてきたっていうことはあるかもしれません。
あとは、世代を越えて一緒に暮らすことが少なくなっているので、言葉を耳で学ぶ機会が減ったっていうのも、この国語力の低下を招いているんじゃないかなって思います。
本や文学に触れる時間も短くなって、大人の語彙を自然に覚える場がなくなっているようにも思います。
まあその大人の語彙って言いましたけれども、その大人もだいぶ怪しくはなってきているとは思います。
親とか祖父母と一緒に暮らしていれば、親が祖父母に使う言葉と子供に話す言葉の違いを日常の中で聞いて育つことができます。
姑に対してなら敬語を親が使うってこともありますよね。
でも今の子供はそうした言葉の空気の中で育つことが少なくなっていて、だから社会に出てから敬語とか丁寧語を辞書で引いて暗記して使うというようなことが起こっています。
豊かな語彙力っていうのは、人との関わりの中で育つものも大きいと思うんです。
ですが今は家族の形も働き方も変わって、世代を超えて言葉を聞く機会が本当に少なくなっていると思います。
そんな時代の中で豊かな言語環境をどう育んでいくか。
これは私たち一人一人に問われていることのように思います。
配信について
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それではまた明日。
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