2025/10/12
サマリー
ニュースにおける言葉づかいがもたらす中立性の重要性について考え、特に自民党と公明党の連立解消に関するニュースを通してその影響を探ります。また、報道表現における感情の扱い方や、受け手が情報をどのように受け取るかにも言及しています。
ニュースの言葉づかいと中立性
おはようございます。花火鑑賞士、気象予報士の鶴岡慶子です。
この配信では、花火や天気、言葉に関することなどをお話ししています。
最近のニュースで、ちょっと気になったことがあります。
それは、ニュースの締めくくりの言葉です。
例えば、今回の【自民党と公明党の連立が解消された】というニュースでは、報道の中には、
【自民党にとって危機的な状況】とか、
【政権運営に暗雲が立ち込めています】といったような表現がありました。
確かに、26年間続いた連立が崩れるということは、大きな出来事ですし、政治の流れが変わるという可能性は大いにあります。
でも、本当にそれは、危機的な状況なのかということですね。
それは、見方によって変わりますし、人によってどう感じるかというのは、違うんじゃないかなと思います。
確かに、過半数をすでに割っているのに、さらに与党の人数が少なくなるというのは、高市さんの言葉を借りれば残念ではあるんですけれども、
もし中立的に伝えるとするならば、言い方は少し違うんじゃないかなと思うんです。
例えば、【今後、自民党がどのように政権運営を進めるのかが焦点となります】とか、
【連立解消で新たな連携の在り方を模索する動きが注目されます】という具合になれば、中立的なのかなという気がするんです。
これであれば、事実だけを伝えていて、この状況は危機なのか、はたまた転機なのか、受け手が自分で考える余地があると思うんです。
似たような例は他にもあって、例えば株価が下がったニュースなんかは、
株式市場は失望売りに傾きましたという言い方をすることがありますが、これも失望という感情を入れた表現です。
もしかして中立に伝えるとするならば、株式市場では売り注文が優勢となり、日経平均株価は前日より下落しました。
とすれば事実だけが残ります。もちろんこのニュースを受けて、解説者がこれは失望売りに傾いたということですね、というような、そういう番組であればいいんですけれども、ニュース原稿は中立であるべきだなと、事実を伝えるということを大事にした方がいいんじゃないかなって思います。
受け手の情報の受け取り方
他には、自然災害のニュースでも不安が広がっていますという表現をよく聞きます。でも実際に不安が広がっているっていうのは、誰がどのくらい不安なのか測れるものじゃないですよね。
もう少し客観的に伝えるとするならば、住民の避難が続いていますとか、自治体は警戒を呼びかけていますというような動きとか対応に焦点を当てる方が、より報道らしい伝え方になるんじゃないかなと思うんです。
ニュースの原稿はほんの一言で印象が変わってしまいます。危機的、安穏、それから失望とか不安とか、どれも聞く人の心に強いイメージを残す言葉ですよね。
でもその言葉を使うときに、そこに評価とか感情が入っていないかっていうのを、ほんの少し立ち止まって考えることが伝える側の責任じゃないかなって思います。
ニュースはどう伝えるかで、真実の輪郭ってすっごく変わると思うんですね。
同じ出来事でも、危機というか変化というか転機というか、聞く人の受け取り方は全く変わってきます。
なのに、最近こういう原稿がすごく多いなって思うんです。
ということは、私たち知らず知らずのうちに受けてが、そちらの方向に感情が持ってかれるってところがあると思うんですね。
伝える側は、言葉の一つ一つにしっかりと責任を持ってほしいなって思います。
そして受け取る私たちはどうしたらいいかっていうと、ニュースの冒頭に耳を傾けるってことです。
これリードって言ったりするんですけれども、むすびの印象に流されずに、リードを自分の中で丁寧に受け止めるっていうことです。
そしてむすびの部分で、評価とか感情が入っていないかというのを見極めるっていうことがとても大事で、
それが情報との上手な付き合い方だと思いますし、自分の考えを保つ力になっていくだろうと思います。
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それではまた明日。
05:06
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