イノベーションで世界をよりよく変えていこう、という闘う人々を応援するチャネルです。スタートアップや大企業、音楽家やアーティストなど、様々なイノベーターのビジョン、考え方、パッションを是非是非、全身で感じてください!
https://podcasters.spotify.com/pod/show/u6b8bu9593-u5149u592au90ce番組の魅力・推薦
このポッドキャストは未認証のため、最新エピソードのみ表示されます。
拒絶されに行くノベーション(1957回)
起業家のジャ・ジャンさんが、カナダ人起業家ジェイソン・コームリーさんの考案した『拒絶セラピー』を実践して得た学びに、感動しました曰く、「『拒絶セラピー』はカナダ人起業家が発明したゲームです。彼の名はジェイソン・コームリーです。基本的なアイデアは30日間出かけて行って、自ら拒絶を求め、毎日何かで拒絶されることを通じて、最終的には拒絶の痛みに対する免疫をつけるというものです。」そこでジャンさんは、これを100日間やってみることにします。そこでの学びとして「一旦断られても逃げ出さなければ、『いいえ』を『はい』へと覆せる可能性も出てきて、そのための魔法の言葉は『なんで?』だということ。」「相手が抱きそうな疑念を聞かれる前に口にすれば、信頼を得られるということです。承諾してもらえる確率が上がるんです。」そして最後のメッセージに感動しました「私は拒絶から逃げ回ることで、ずっと拒絶に苛まれていました。それから拒絶に向き合い始め、拒絶を人生最大の授かりものに変えたんです。」ここから私は思いました。1、断っているのは自分2、最初の拒絶はNOではない3、拒絶は学習データにできる1、断っているのは自分例えば、好意を持った彼氏彼女へ告白する時、「どうせ断られる」「きっと無理だ」「迷惑ではないか」と、相手が断る前に、自分で自分を断っていることってあるよなあと思います。面白い研究があって、フランシス・フリンさんとヴァネッサ・レイクさんは、人が「お願いしたとき、相手がどれくらい応じてくれるか」を6つの研究で調べました。すると人は、実際に相手が応じてくれる可能性を大きく過小評価していることがわかったとのことです。つまり、相手がNOと言う前に、自分の中でNOをつくっている。これは恋愛の告白を調べた研究ではありませんが、人は相手のYESの可能性を、自分が思っている以上に低く見積もってしまうことがある。だとすれば、恋でも仕事でも、最初に越えるべき拒絶は、相手からの拒絶ではなく、自分自身の拒絶なのかもしれませんそしてジャンさんが、当然断られるだろうと思って頼んだ『五輪マーク型のドーナツを作ってほしい』というお願いを、実際に引き受けてくれる店員さんまで現れます。自分の中のNOを越えてみなければ、そこにあったYESには永遠に出会えなかった。自分の枠を乗り越えると、思いもよらないことが起きる可能性もある、ということをまざまざと教えていただきました。2、最初の拒絶はNOではないそしてさらに、一旦は拒絶された上で、「なんで?」と聞いてみると、相手が何を心配しているのかが分かることで最初のNOがYESに変わることも出てきたという発見がありました。つまり最初のNOは、必ずしも最後のNOではない。ということなのかなと思いました自分の拒絶を乗り越えた上で、何度も拒絶されることによる免疫もつけた上でそして拒絶に慣れてくれば、NOを言われても逃げずに、『なぜですか?』と聞けるようになる拒絶とは、「終わり」という答えではなく、次の問いを生み出す情報なのかもしれないなあと思いました3、拒絶は学習データにできる起業家研究者のジェイソン・コープさんは、事業に失敗した8人の起業家を詳細に調査したところ彼らは、失敗から単に「何が悪かったのか」だけではなく、自分自身のことや、人間関係やネットワークのこと、そして、事業運営のどこに危険が潜んでいるのか。まで学んでいました。そして、その学びが、次の起業活動への準備につながっていたことを明らかにしたということです。つまり、ここで大切なのは、失敗しただけで学習になるわけではない、ということだと思います。拒絶された。そこで「なぜ?」と問い直す。振り返る。そして、次の行動を変える。拒絶 →「なぜ?」→ 学ぶ → 行動を変える。そのとき初めて、拒絶は次の挑戦に使える学習データになる。だとすれば、拒絶とは失敗の記録ではなく、次の挑戦をよくするための学習データなのかもしれません。拒絶されないことが、挑戦なのではない。拒絶されても、そこから学び、もう一度動けることが、挑戦なのかもしれません。ということで、一言で言えば、拒絶されに行くノベーション。そんな話をしています参考:ジャ・ジャン「100日間の拒絶から学んだこと」TEDxMtHood、2015年。TED公式講演ジェイソン・コープ「起業家は失敗から何を学ぶのか――解釈的現象学的分析」『Journal of Business Venturing』第26巻第6号、2011年、604–623頁。フランシス・J・フリン、ヴァネッサ・K・レイク「助けが必要なら、ただ頼んでみよう――直接的な依頼への承諾率の過小評価」『Journal of Personality and Social Psychology』2008年
最初の仲間ノベーション(1956回)
起業家デレク・シヴァーズさんのTED講演「ムーブメントの起こし方」に、リーダーについての全く違う見方を教えていただきました。一人で踊り始めた男性に、最初の一人が加わり、やがて大きなムーブメントになっていく映像を見ながら、シヴァーズさんは語ります。曰く、「リーダーシップは、過度に称賛されすぎている。」「最初のフォロワーが、一人の変わり者をリーダーに変える。」「リーダーは、最初のフォロワーを対等な存在として受け入れる。」「最初のフォロワーになること自体が、実は過小評価されている一つのリーダーシップなのだ。」 私は思いました。1、最初の仲間がリーダーをつくる2、リーダーは仲間を対等に扱える3、最強の仲間を目指してもいい1、最初の仲間がリーダーをつくる私は、優れたリーダーがいるから仲間が集まると思っていましたがでも、それが逆なのかもしれない、ということに衝撃をいただきました。ある人を、まだ誰も信じていない時に、「それ、面白いね。私もやるよ。」と言ってくれる最初の一人。実はその人が、変わり者をリーダーに変えていくのだと。確かにリーダーは、一人ではリーダーとは言えないので仲間がいて初めてリーダーになりますが、順番が違うのかと面白い実験があって、クイーンズランド大学の社会・組織心理学者のキム・ピーターズさんとアレクサンダー・ハスラムさんは、英国海兵隊の訓練生を32週間にわたり5回測定したところ「自分はリーダーだ」と認識する人は上官からリーダーとして高く評価される一方、自分をフォロワーだと認識し、周囲からもフォロワーだと見られていた人たちは、仲間からリーダーとして評価される傾向があったということです。この研究が、シヴァーズさんと全く同じことを示しているわけではありません。でも私は、ここにも「リーダーは一人では生まれない」という共通点を感じました。実は、リーダーとは、自分一人でなるものではなく、 誰か信じてくれる人が現れた瞬間に、リーダーになっていくものであると最初に挑戦した人だけでなく、最初にその人を信じた人がいるからこそ、イノベーションを生み出しているのかもしれないなあと思いました2、リーダーは仲間を対等に扱えるリーダーとなるべき人に大切なことが一つあって、信じてくれた仲間を「自分についてくる人」にしないことである、ということもとても心に響きました「私についてきて」ではなく、「一緒にやろう」。と言える人なのか。ということそれがあることで「私の挑戦」を「私たちの挑戦」に変えることができるここにリーダーとなるべき人の、大切な資質があるように思いました。組織行動論の研究者のダニー・ワンさんらが42の独立した研究サンプルを統合したメタ分析では、リーダーシップを一人に集中させず、メンバー同士で共有する「共有型リーダーシップ」と、チームの有効性との間に正の関係が確認されました。しかも、仕事が複雑になるほど、その関係は強くなる傾向があったとのことです。優れたリーダーというと、一人のカリスマが組織を引っ張っていく姿を思い浮かべます。でも、複雑な問題になればなるほど、リーダーシップを一人で握るのではなく、仲間と分かち合うことが力になる。シヴァーズさんの「対等な存在として受け入れる」という言葉と、どこか重なるように思いました。3、最強の仲間を目指してもいい私も学生や社会人の起業家を育成するプログラムを実施していたりしますが、実は起業家というリーダーを育成して生み出していくアクティビティだけでなく自分が一緒にやりたい人を探して、自分は仲間としてその人をリーダーにしていく人たちを増やすアクティビティも必要なのではないかと思いました「リーダーを育てる教育」はたくさんある。でも、「最初の仲間になる人を育てる教育」は、どれくらいあるのだろう。考えてみれば、全員がリーダーを目指さなくてもいいし、そういうのが得意な人もいれば、そうでもない人もいる。産業・組織心理学者のアシタ・ゴスワミさんらが行った2つの研究では、フォロワーが自分を単なる受け身の存在ではなく、リーダーシップを一緒につくる「共同生産者」と捉える共同生産型の役割認識が、リーダーとの心理的な近さを介してリーダーへの影響力と結びつき、さらに心理的な近さや関係の質を介して、リーダーの有効性の評価にもプラスにつながることが示されました。つまり、最強の仲間とは、ただ、ついていく人ではない。誰も信じていない時に信じる。一緒に考える。時には異論を言う。そして、リーダー自身をよりよいリーダーにしていく。私は、自分が考えているイノベーター・リップルモデルを思い出しました。一人の内側にあるパッションに、最初の仲間が共鳴する。そこで初めて、一人のパッションが人と人との間に広がり、一人から二人へ、二人から組織へ、そして社会へと波紋になっていく。だとすれば、最初の仲間こそ、最初の波紋をつくる人なのかもしれません。世界を変える最初の一人になるのも素晴らしい。でも、世界を変えようとしている一人を、最初に信じる一人になるのも、同じくらい素晴らしい。最高のリーダーを目指すだけでなく、最強の仲間を目指してもいい。そんなことを思いました。ということで、一言で言えば、最初の仲間ノベーション。そんな話をしています参考:デレク・シヴァーズ「ムーブメントの起こし方」TED、2010年 https://www.ted.com/talks/derek_sivers_how_to_start_a_movement?utm_campaign=tedspread&utm_medium=referral&utm_source=tedcomshareキム・ピーターズ、S・アレクサンダー・ハスラム「私はフォローする、ゆえに私はリードする―英国海兵隊におけるリーダー/フォロワー・アイデンティティとリーダーシップの縦断研究」『英国心理学誌』2018年 ダニー・ワン、デイビッド・ウォルドマン、ジェン・ジャン「共有型リーダーシップとチーム有効性のメタ分析」『応用心理学誌』2014年 アシタ・ゴスワミ、カロライン・エバンス、パトリック・コイル「フォロワーの役割志向はリーダーへの影響にどう作用するか」『Journal of Management & Organization』2024年掲載
絶望から始まる人生ノベーション(1955回)
『華麗なるギャツビー』で知られるアメリカの作家、F・スコット・フィッツジェラルドさんが、若くして成功した後、作家としての低迷、経済的苦境を経験された中、1936年に発表した『崩壊』での言葉に震えました曰く、「一流の知性があるかどうかは、相反する二つの考えを同時に心に抱きながら、それでもなお行動する能力を保てるかどうかで試される。」「たとえば、物事が絶望的であると理解しながら、それでも、それを違うものにしようと決意できなければならない。」私は思いました。1、絶望の中、なぜ希望を持てるのか?2、行動が、希望をつくる3、困難が、新たな自分をつくる1、絶望の中、なぜ希望を持てるのか?なかなかにハードシングスなご経験をされたとのことなのですが、なぜ絶望の中でも行動できるのか、希望を持てるのか、という問いが気になりました。カンザス大学の心理学者C・R・スナイダーさんらが、1991年、希望を心理学的に捉える「希望理論」を提唱し、「希望尺度」を開発しましたという話があります。スナイダーさんが考えた希望は、単なる「きっとうまくいく」という楽観論ではなく、希望には理論的に二つの力があると言われています。一つは、目標へ向かおうとする意志。もう一つは、そこへ至る道筋を考える力。つまり絶望の中の希望とは、「きっとうまくいく」と信じることではなく、「まだ自分にできることがある」と具体的な道筋を思い描くことができることなのかと思いましたフィッツジェラルドさんは、晩年になっても、決して書くことは諦めなかったそうです。それは、絶望していても、「書く」という意思と、自分にできる道筋があったからこそ、希望を持つことができたどんな状況でも、自分の目標へ向かう意思と、そこへの道筋を考えること。それが絶望から抜け出す一つの秘訣かと思いました2、行動が、希望をつくる心理学者トレバー・マズケリさんらは2009年、「まず行動する」ことを重視する、<行動活性化>について、34の研究、合わせて2,055人のデータを統合して分析したそうです。その結果、抑うつ症状のある人に対して、行動を増やしていくアプローチには、何もしない場合などと比較して、統計的に大きな改善効果があることが示されました。大切なのは、「まず行動することで、心や環境との関係が変わっていく」ということです。フィッツジェラルドさんは、絶望がなくなるのを待って書いたのではなく、絶望の中で、まず書く、という行動をとった。「希望理論」と合わせると、目標への意志とそこへ到達すべき道筋を思い描くことそしてさらに、それに基づいて「まず行動する」ことが、実は、希望を生み出す原動力になる。そんなことを思いました。3、困難が、新たな自分をつくるそして、その後はどういう道筋を辿るのかについても、興味深い話に出会いました。心理学者リチャード・テデスキさんとローレンス・カルフーンさんは、大きな危機や困難を経験した後、人が以前の状態に戻るだけではなく、新しい変化を経験することがあるとして、「心的外傷後成長」を研究したそうです。1996年には、その変化を測る21項目の尺度を開発し、そこで捉えられた変化は5つ・新しい可能性を見つける。・他者との関係が変わる。・自分の強さに気づく。・人生への感謝が深まる。・精神的・実存的な価値観が変わる。会社の中でも、昔は「若手には修羅場の経験も必要だ」とよく言われた気がします。もちろん、困難を与えれば人が成長するという単純な話ではありません。ただ、避けることのできなかった困難と格闘する中で、人がそれまでとは違う自分を発見することがある。そういう変化を、経験的に感じていたのかもしれないなあと思います。フィッツジェラルドさん自身も『崩壊』の中で、「人はそこから元に戻るのではない。別の人間になり、やがて、その新しい人間が、新しく大切なものを見つける。」と書いています。絶望は、その時には、人にはいくら説明しても、本人の思いは理解されないほどに、辛い体験だと思います。しかし、そこから、時間がかかるかもしれないけれども、立ち上がる方法はあるということ自らの目標への意志を思い出し、そこへの到達の道筋を思い描くことどんな状況でも、自分の目標へ向かう意志。これは、私がいつも大切にしている「パッション」にも通じる気がします。そして、思うだけではなく、まず行動に移すことその絶望や困難の中での行動が、いつしか自分を変え、これまでとは違う、新たな自分をつくっていく。そういうことがあると、知っているか知らないかで、絶望への向き合い方が、変わるのかもしれないなと思いました絶望とは、人生が終わる場所ではなく、新たな自分、新たな人生が始まる場所なのかもしれません。ということで、一言で言えば絶望から始まる人生ノベーションそんな話をしています参考:F・スコット・フィッツジェラルド「崩壊」『エスクァイア』1936年C・R・スナイダーほか「意志と道筋――希望の個人差尺度の開発と検証」『パーソナリティと社会心理学誌』1991年トレバー・マズケリ、ロバート・ケイン、クレア・リース「成人の抑うつに対する行動活性化療法――メタ分析とレビュー」2009年リチャード・テデスキ、ローレンス・カルフーン「心的外傷後成長尺度――トラウマがもたらす肯定的変化の測定」『心的外傷ストレス研究誌』1996年
逆ベクトルノベーション(1954回)
明和電機の土佐信道(とさ のぶみち)社長社長のお話に、イノベーションスピリッツを感じました。曰く、「工業製品をアートにするっていうのは、もうずっと現代美術でやられてるんですが、アートを工業製品にするという、逆ベクトルは誰もやってなかったんですね」「新しい常識を作ることによって、今の常識を変えていきたい」「今すでにあるものの、意外な合体によって新しい価値を出す」「孫の代まで遊べるとか、楽しみが増える。理想はそれが世界平和になれば一番いい」私は思いました。1、逆ベクトルに「まだない」がある2、意外な合体が新しい常識をつくる3、「面白い」に大義を重ねる1、逆ベクトルに「まだない」があるみんなが同じ方向を向いている時に、「逆はどうだろう?」と問い直すことができるか?という問いを突きつけられた気がしました。ミラノ工科大学のステファノ・マジストレッティ准教授らは、2025年、経営学74本、心理学67本、社会科学47本、合計188本の研究を統合し、イノベーションにおける「問題の捉え直し」を研究したそうですそこで示されたのは、答えを探す前に、そもそも「何を問題として見るのか」を問い直すことの重要性です。問題を捉え直すには、通常とは異なる視点を探索し、既存の枠そのものを変える創造性が必要だと整理されています。明和電機の「逆ベクトル」も、「工業製品をどうアートにするか」ではなく、「アートを工業製品にしたらどうなるか」と、関係性そのものを反転させています。これはまさに、問題の枠を捉え直す一つの方法なのではないでしょうか。常識の逆側に、まだ誰も見つけていない可能性がある、ということを、勇気を持って問い直し、そしてそれを実行できるか明和電機の素晴らしさはそこにあると思いました2、意外な合体が新しい常識をつくる「今すでにあるものの、意外な合体によって新しい価値を出す」これは、経済学者ヨーゼフ・シュンペーターの「新結合」と重なります。シュンペーターが、イノベーションを、「新しい組み合わせを実行すること」と捉えたのは有名ですがこの「新しい組み合わせ」を実証的に研究したのが、当時ハーバード大学経営大学院のリー・フレミングという話がありますフレミングは2001年、米国特許17,264件を分析し、慣れていない要素や新しい組み合わせを使った発明ほど、平均的には成果が低くなりやすい一方で、結果の振れ幅が大きくなり、失敗だけでなくブレークスルーも生まれやすくなることを示したとのことですつまり、意外な組み合わせは、失敗も増やす。しかし、ホームランの可能性も増やす。つまり、その失敗が増えることを許容できかどうかに、かかっているということかと思いましたどんどん失敗して良いんだよ、と口でいうこととは簡単ですが、それに伴う評判、評価、出世への道のり、という仕組みがないと、誰もやらなくなってしまうそこにイノベーションの秘密の一つがあると思いました3、「面白い」に大義を重ねる土佐さんが「孫の代まで遊べる」「世界平和になれば一番いい」と言われたことに関して私は、イノベーターリップルモデルとの共通点を感じました。リップルモデルでは、まず一人の「面白い」「やってみたい」という内発的な思いから始まりそこに、「誰のために」「何のために」という大義が加わることによって、その思いは自分だけのものではなくなり、他者が共感し、参加できる意味を持ちはじめ、その波紋がさらに広がっていく実は、この関係と同様の研究が、ペンシルベニア大学のアダム・グラントさんと、ノースカロライナ大学のジェームズ・ベリーさんが行っていました二人は、90人の軍施設職員、111人の水処理施設職員、さらに100人の大学生を対象とした3つの研究を行って「面白いからやる」という内発的動機が高く、さらに「誰かの役に立ちたい」という他者志向の動機も高いグループの創造性評価は4.96。一方、内発的動機は高くても、他者志向の動機が低いグループでは3.81でしたなぜ、この違いが生まれるのか。グラントらが注目したのが、相手の立場に立って考えることで「誰かの役に立ちたい」と思えば、その人が何を求めているのか、何に困っているのか、何なら本当に喜んでもらえるのかを考えるようになる。その結果、単に奇抜なだけのアイデアではなく、「新しい」かつ「役に立つ」アイデアを生み出しやすくなる。ということでした。「面白い」という自分の内側から湧き出る力「パッション」に、「誰のために」「何のために」という大義が重なる。すると創造は社会に開かれ、共感する仲間が現れ、その人たちがまた次の波紋を生み出していく。まさにイノベータリップルモデルと符合する関係性だなあと思いました常識を逆のベクトルから眺めて意外な組み合わせを試行錯誤しながら面白いと思ったものが、誰かのためを目指し始めた時に、イノベーションが巻き起こる一言で言うと逆のベクトルノベーションそんな話をしています参考:・NHK「100分de名著」アンドレ・ブルトン『シュルレアリスム宣言』第4回「シュルレアリスムと未来」2026年8月24日(月)放送 https://www.web.nhk/tv/an/meicho/pl/series-tep-XZGWLG117Y/ep/QMWWJ755MR・ステファノ・マジストレッティ/クリスティーナ・トゥ・アン・ファム/クラウディオ・デレラ「イノベーションのための問題設定の創造的プロセス―統合的レビューと研究課題」『製品イノベーション・マネジメント誌』2025年・ヨーゼフ・シュンペーター『経済発展の理論』―「新結合」の概念・リー・フレミング「技術探索における組み合わせの不確実性」『マネジメント・サイエンス』2001年・アダム・グラント/ジェームズ・ベリー「他者の必要性は発明の母―内発的動機、他者志向の動機、相手の視点に立つことと創造性」『アカデミー・オブ・マネジメント・ジャーナル』2011年
確証のない結果を信じる意志ノベーション(1953回)
哲学者・心理学者のウィリアム・ジェームズさんの言葉に、まだ誰にも見えていない未来へ挑戦するときのヒントをいただきました。曰く、「まだ確証のない結果を、あらかじめ信じることが、その結果を現実にすることがある。」1897年の『信じる意志』に収められた「人生は生きるに値するか」の中の言葉です。ここから私は思いました。1、直感の正体は、経験の圧縮2、確証がなくても、信じる理由がある3、反対は、未来のサインかもしれない1、直感の正体は、経験の圧縮確証のない結果を信じるとは、どういうことなのかについて、とても興味が湧きました直感というと、「なんとなくそう思う」という根拠のない勘のようにも聞こえます。組織行動・経営学の研究者のデインさんとプラットさんは、2007年に『Academy of Management Review』にて、直感を、過去の知識や経験が非意識的に結びついて生まれる素早い判断として整理しています。つまり、直感とは、経験の圧縮版で、「ここには何かある。」という感覚が出現する。そう考えると、単なる思いつきだからと、捨てることなく、なぜ自分はそう感じるのかについて、掘り下げてみる必要があるのかもしれないなと思いました2、確証がなくても、信じる理由があるしかし、それを心の底から信じる、というのは、どういう時にできるのだろうと考えてみましたジェームズさんは、証拠がすべて揃うまで待っていたら、機会そのものを失ってしまう選択があると考えました。ソニーのウォークマンの逸話は有名ですが、社内には反対があったなか、盛田昭夫さんは、自分たちが見てきた経験から生まれた可能性を信じた。なぜ確証がなくても賭けられるのでしょうか。私は、そこに自分のパッションの源が関係しているのではないかと思います。自分が本当に大切だと思ってきたこと。どうしても放っておけないこと。なぜか心の琴線に触れてしまうこと。そこに経験から生まれた直感が重なったとき、「まだ証明できない。でも、自分はここに賭けたい。」と思える。信じるとは、根拠なく思い込むことではなく、経験から生まれた仮説が、自分のパッションの源に触れたとき、その可能性に一歩賭けてみることなのかもしれないなあと思いました3、反対は、未来のサインかもしれないピーター・ティールさんは『ゼロ・トゥ・ワン』で、「ほとんど誰も賛成してくれない、大切な真実は何か。」と問いかけている話がありますが、そんな中、自分を信じるのはどうしたらいいんだろう?とも思います。2024年、ルカ・ジウスさんが67のベンチャーコンテスト、2,650社のスタートアップを分析した研究では、審査員の評価が割れたスタートアップほど、その後成功する可能性が高いという関係が見られたとのこと。特に、アイデアがユニークな場合に、その傾向が強かったとされています。もちろん、反対されれば成功するという意味ではありませんが、多数決で反対されているから間違っているとも限らないというのがイノベーションかと思います。本当に新しいからこそ、まだ多くの人には価値が見えず、評価が割れることもある。だから反対されたとき、「この反対の向こうに、まだ誰にも見えていない未来があるのではないか。」と一度考えてみることが大切な気がします。直感には、実は経験という根拠がある。確証がなくても、自分のパッションの源に触れるからこそ、賭けられることがある。そして反対は、ときに新しさのサインになる。誰かが、「まだ証明できない。でも、ここには未来がある。」と信じる意志から、新しい未来は始まるのかもしれないなあと思いました一言で言えば、確証のない結果を信じる意志ノベーション。そんな話をしています。闘うものの歌が聴こえるか。参考ウィリアム・ジェームズ『信じる意志』、1897年デイン、プラット(2007)直感に関する研究盛田昭夫『メイド・イン・ジャパン』、1986年ピーター・ティール、ブレイク・マスターズ『ゼロ・トゥ・ワン』ルカ・ジウス(2024)ベンチャーコンテストにおける評価の不一致とスタートアップ成功に関する研究
こちらもおすすめ
近藤淳也のアンノウンラジオ
株式会社はてな創業者であり現在もITの第一線で働く近藤淳也が、京都の宿UNKNOWN KYOTOにやって来る「好きなことを仕事にしている人」を深堀りすることで、世の中の多様な仕事やキャリア、生き方・働き方を「リアルな実例」として紐解いていきます。 . 【ホスト:近藤淳也】 株式会社OND代表取締役社長、株式会社はてな取締役、UNKNOWN KYOTO支配人、NPO法人滋賀一周トレイル代表理事、トレイルランナー。 2001年に「はてなブログ」「はてなブックマーク」などを運営する株式会社はてなを創業、2011年にマザーズにて上場。その後2017年に株式会社ONDを設立し、現在もITの第一線で働く。 株式会社OND: https://ond-inc.com/ . 【UNKNOWN KYOTO】 築100年を超える元遊郭建築を改装し、仕事もできて暮らせる宿に。コワーキングやオフィスを併設することで、宿泊として来られる方と京都を拠点に働く方が交わる場所になっています。 1泊の観光目的の利用だけではなく、中長期滞在される方にも好評いただいています。 web: https://unknown.kyoto/ . こちらから本文を読んだりコメントが書けます! https://listen.style/p/unknownradio
LISTEN NEWS
LISTENは、AI文字起こしとコミュニティで、ポッドキャストを「聴く・配信する・つながる」ためのプラットフォームです。 公式番組「LISTEN NEWS」では、開発の裏話や近況も交えつつ、最新情報をお届けします。 LISTENはこちら→ https://listen.style/
IBUKI STATION
ここはアウトドア向けGPSトラッキング「IBUKI」にまつわる人々が集まる場所。 トレイルラン、登山、冒険、ランニング、自転車、ロゲイニング、、 スタイルは数あれど、共通しているのは自然を楽しみ、そして人とのつながりも楽しむ姿勢。 自然を目一杯楽しみ、苦しみながら、人と接する喜びにも気付く。 アウトドアを満喫するみなさんが、ほっとできるIBUKI STATIONです。 IBUKI https://ibuki.run/ 近藤淳也 IBUKIを提供する株式会社OND代表。ポッドキャストプラットフォーム「LISTEN」も展開 桑原佑輔 OND所属。IBUKI事業担当営業・テクニカルディレクター 中川和美 OND所属。IBUKI担当。トレイルランナー
jkondoの朝の散歩
ポッドキャストプラットフォーム「LISTEN」や、GPSトラッキングサービス「IBUKI」、物件メディア「物件ファン」、京都の宿とコワーキング施設「UNKNOWN KYOTO」を運営する近藤淳也(jkondo)が、朝の散歩をしたりしながら、日々の出来事や考えたことを語ります。
歴史を面白く学ぶコテンラジオ (COTEN RADIO)
歴史を愛し、歴史を知りすぎてしまった歴史GEEK2人と圧倒的歴史弱者がお届けする歴史インターネットラジオです。 歴史というレンズを通して「人間とは何か」「私たち現代人の抱える悩み」「世の中の流れ」を痛快に読み解いていく!? 笑いあり、涙ありの新感覚・歴史キュレーションプログラム! ☆Apple & Spotify Podcast 部門別ランキング1位獲得! ☆ジャパンポッドキャストアワード2019 大賞&Spotify賞 ダブル受賞! ※正式名称は「古典ラジオ」ではなく「コテンラジオ」です ーーー COTEN RADIO is an entertainment radio talk program for history , published by the crazy history geeks group "COTEN" in Japan. ☆Apple & Spotify Podcast in Japan category ranking No.1 ! ☆Japan Podcast Awards 2019 Grand prize and Spotify prize !
桃山商事
コミュニケーション、男性性、恋愛、人間関係、ジェンダー、ケア、孤独、性欲、会社、友情、老い……メンバーがその時々で気になったテーマを1つ設定して、モヤモヤを言語化していくNEOな座談Podcastです。2011〜2016年「二軍ラジオ」(ApplePodcast)、2017〜2024年「恋愛よももやまばなし」(ニコ生→Podcast)を配信していました。清田隆之(文筆業)、森田(会社員)、ワッコ(会社員)、さとう(会社員)の4人でお届けします。