任天堂の元社長、岩田聡さんの社員とのコミュニケーション方法に、めちゃめちゃ心を動かされました。
曰く、
「やっぱりみんな納得して働きたいんですよね。ただ、会社がいろんなことを決めたときに、ふつうの社員の人たちはほとんどのケースで、なぜそう決まったのかがわからないんです。単純に、情報がないですから。」
「それで、自分はどうしてこういうことを言ったのかとか、なにがあってこういうことを決めたのかということを、もちろんなにもかもしゃべれるとは限りませんが、その背景をできるだけ説明していくんです。」
「それは、けっきょくは『こういう材料がそろっていたら、君ならどう考える?』ということを訊いているのと同じことなんです。それで、相手が『ぼくでもそうしますね』ということになったら、安心じゃないですか。同じ価値観が共有できていることがわかると、お互いすごくしあわせになるんですよ。」
「わたしが面談でどのくらい時間をかけているかというのは、つまり『相手がすっきりしたらやめている』ということなんです。その意味では、『できるまでやる』。それも決めたんです。」
ここから私は思いました。
1、背景を伝える
2、判断を委ねる
3、時間ではなくスッキリを終了条件にする
1、背景を伝える
社内コミュニケーションには、1on1ミーティングの必要性や、傾聴がとにかく大切というお話を聞きます。
もちろん、とても大切だと思いますが、その中で、自らの意図と背景を伝えるという話は、めちゃくちゃ刺さりました。
特に、上司と部下のような、明らかに力関係が違う場合、とにかく何でもいいから聞くから、と言われてもねぇという気持ちは痛いほどわかります。
その時に、まずは上司から、オープンマインドで、自分が言ってる背景や意図を、忌憚なく伝えることから始めるのは、めちゃくちゃいいなあと思いました。
大体、言葉尻だけが一人歩きすることはよくあることなので、それを1on1で伝えることこそ、大切な意義になると思います。
2、判断を委ねる
その上で、自分ならどう判断する?ということを聞くという、ある意味、自分としての判断をきちんと聞くということが、さらに大切な気がしました。
いかに背景や意図を聞いても、なのでよろしく、と言われてしまったら、結局、言われた通りになるしかないのね?という気持ちになってしまうよなあと思います。
情報格差がない中で、初めて対等にコミュニケーションができる状態になってから、傾聴を始めるということなのかなと思いました。
これは、「手続き的公正(Procedural Justice)」という研究にも通じるところがあるように思います。
ロバート・マッカウンは、手続き的公正に関する長年の研究について、
「人は、結果が不利な場合でさえ、その結果に至るプロセスを非常に重視する」
という趣旨を述べています。さらに、その中でも特に重要なのが、Voice、つまり自分の考えを伝える機会があることだとされています。(Annual Reviews)
つまり、結論だけではなく、どう決めたのかというプロセスと、自分自身がそこに意見を言えることが大切だということなのかなと思いました。
その上で、もし、自分と同じ判断をするのか?それとも、全く違う判断をするのか、違う判断をするのなら、それがなぜなのか?ということが、本音で話し合えるということなのかなあと思います。
情報格差を極力少なくした上で、対等にコミュニケーションをすることができるか、それがある意味、権力を持っている方の、とても大切なコミュニケーションのやり方かもしれない、と思いました。
3、時間ではなくスッキリを終了条件にする
岩田さんの凄さは、1on1を、時間では終わらせずに、お互いがスッキリしたかどうかを、終了条件にするということです。
会社のマネジメントの中でも、もっとも重要な時間という資源を、その人のためにどれだけ割けるのか?ということは、相手にも、上司が本気で自分に向き合ってくれてるというメッセージになると思います。
そして本当に徹底的にお互いの理解を深めることができる。
これは、今でいう、タイパ、コスパとは、全くの発想だなあと思います。
ゴールは何なのか?ということで考えると、1on1を毎月やってます、がゴールではなく、一人一人に行動変容が起きたかどうか、をみるべきということかと思いました。
イノベーションでも、コンサルティングでも、ゴールは、行動変容を起こすことができるか、ということだとすれば、社内のコミュニケーションにおいても、ゴールはそこにあるということかと思いました。
身内や社員にはついつい、わかってくれてると思いがちな、コミュニケーションかもしれないなと。
近いからこそ、仲間だからこそ、時間ではなく、スッキリにこだわる、それが大切なのかもしれないなあと思いました。
ということで、一言で言えば
相手がスッキリするまでやるノベーション
そんな話をしています。
参考
『岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。』
2019年8月7日 電子版発行 version 1.0.0
ほぼ日刊イトイ新聞・編
監修 糸井重里
Robert J. MacCoun
“Voice, Control, and Belonging: The Double-Edged Sword of Procedural Fairness”
Annual Review of Law and Social Science, 2005
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