「途上国から世界に通用するブランドをつくる」理念で、発展途上国の素材や文化、人材に光を当てたものづくりを行うマザーハウス代表の山口絵理子さんが、語っていた言葉に、行動変容を起こすプロジェクトの始め方について、大きな示唆をいただきました。
曰く、
「やっぱベースとしてはなんか日本で売れるものを作ろうとしちゃダメだと思うんですよ。
やっぱり彼らがこの国のベストって何っていうことが大事で。
日本で売れるっていう一つ置いといて、その国の技術とかその国の素材を使うとどんなものが出来上がるかねっていう発想でやってるので
私は彼らの中の面白い何かっていうのを一緒に探したいっていう感じですね。」
ここから私は思いました。
1、彼らのパッションに火をつける
2、最初の仲間になる
3、異分子が世界を変える
1、彼らのパッションに火をつける
地方創生プロジェクトでも、コンサルティングでも、営業でも、精一杯考えた提案をして、「素晴らしいですね」と喜んでいただいたようで
その後、なぜか相手の行動変容が起きない。ということは、たくさん経験してきました。
その要因は、もしかしたら、その提案が悪いのではなく、相手のパッションに火をつけられていないからなのかもしれない。そんなことを思わせていただきました。
山口さんは、日本で売れるものを先に考えるのではなく、その国の技術や素材、そして彼らの中にある「面白い」を一緒に探す。と言われています。
それは、人からどんなに良い提案やアイディアをいただいても、自分たちの心の中に、本当にそれをやりたい、やりたくて今からでもすぐに動き出したい、そんな思い、すなわちパッションを喚起しない限り、難しいということなのだと思いました。
それが、まさに、「彼らの中にある面白いを一緒に探す」という意味なのかもなあと思います
彼ら自身にも、自分たちが、そんなに面白いと思えるものは、もともと持っていないことも多い気がします。
それを共に、探すこと。言葉では簡単ですが、それは一朝一夕にはできない。とてつもなく時間がかかり、一緒に生活をして、一緒に悩みを分かち合って、少しずつ信頼が生まれていく中でしか、生まれないことなのかもしれない。
その覚悟があるかどうか、問われている気がしました
2、最初の仲間になる
以前、この私の番組で「最初の仲間ノベーション」という話をしたことを思い出しました。
イノベータというのは、一人で何かを始めても、最初はただの変わった人に見えるだけなのだけれども、そこに最初の仲間が現れて、「それ面白いね、私も一緒にやっていい?」という最初の仲間が現れた瞬間から、変わり者がイノベータになっていくという話でした。
山口さんは、もしかしたら、途上国の皆さんの「最初の仲間」になられたのかもしれないなあと思いました。
自分たちでさえ、気づいていない「面白いこと」を、最初の仲間としての、山口さんが、それってもしかして「すごく面白いことなんじゃない?」と気づいてくれる
そこから、自分たちが気づいていなかった「面白いこと」が、実は、自分たちも、「面白いこと」と思っていたことに気づいていく
そこから、自分のパッションに火がつき始める。そんなことが起きているのかもしれないなあと、思いました
でもそれは、「それって、面白いですよ」と言って、立ち去っていくだけでは、仲間とは言えない
「面白いので、一緒にやらせてください」と、行動を共にしていくことで、初めて、最初の仲間になれる。そういうことなのかと思いました。
3、異分子が世界を変える
安宅和人さんの『「風の谷」という希望――残すに値する未来をつくる』のお話を思い出しました。
安宅さんは、インタビューの中で、外で学び、経験した人が地域に戻ることで、「外の文化を持つ“界面活性型”の異人として大きな力になります。」と語っています。
ずっとその場所にいる人には当たり前すぎて見えないものが、異なる文化や経験を持つ人には見える。しかも、もともとそこに生まれた人なら、地元にパッションを持って、外の文化で学んだことを掛け合わせていくことができる最初の仲間になり得る
このお話は、地方からの人口流出が問題なのではなく、むしろ流出させて、そこから外部のノウハウを携えて戻ってくる人を増やす仕組みづくりの大切さを教えていただいたと私は思っています
山口さんは、もちろん、途上国の出身者ではありませんが、最初の仲間になるための覚悟とパッションを持ち合わせておられる方なのだなあと思いました
そういうパッション溢れる異分子の方が、最初の仲間として、途上国や地方や、何かの突破口を探しきれていない場所に、覚悟を持って入っていき
入っていった先の方々と一緒になって、パッションの源を探しながら火をつける活動をすることができれば
きっと世界がもっと善い方向に変わっていく。そんな希望溢れるお話だなあと思いました。
しかし、それは、生活を共にして、自らの人生を賭けて、その土地の人たちと、真の仲間になる、そんな覚悟の人だからこそができることなのだと、思いました。
一言で言えば
面白いを一緒に探すノベーション
そんな話をしています。
参考:カンブリア宮殿 2026年9月17日放送
進化を止めないものづくりの全貌 マザーハウス 代表 山口 絵理子(やまぐち えりこ) https://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/smp/backnumber/2026/0917/
安宅和人『「風の谷」という希望――残すに値する未来をつくる』英治出版
日経BOOKプラス「安宅和人 『風の谷』の作り方 求心力を高め、コスト構造を見直せ」
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