全国自主怪獣映画選手権の成功
こんにちは。今回送っていただいた資料を拝見しました。
第24回全国自主怪獣映画選手権。
これ非常に詳細なレポートですね。
読んでて面白い構造だなと思ったのが、
レポート全体からは、会場の熱気とか大成功だった様子がすごく伝わってくるんですけど、
なのに、読み終わった後に、このままで大丈夫なのかなっていう、
未来屋のちょっと冷めた視点が残るんですよね。
まさに、成功の裏にある課題をかなり鋭く指摘していますよね。
ですよね。
ウルトラマンZの田口清隆監督がプロデュースするイベントで、
特撮の聖地菅川での開催ももう8回目。
はい。
レポートによると、200人の会場がほぼ満席だったそうで、
地域に完全に根付いている。大成功と言っていいはずなんですけどね。
いや本当に、まず驚くのが上映時間。休憩込みで5時間半。
長いですよね。
長いですよ。しかも中学1年生の作品の隣に、
歓歴を過ぎたベテランの方の作品が並ぶっていう。
ええ。
このレポートでは、そのごちゃ混ぜ感こそが魅力だみたいに書かれてますけど、
観客はこれ本当に楽しめてるんでしょうかね。なんか温度差が激しそうですけど。
まあそこが自主制作映画祭の醍醐味ということなんでしょうね。
なるほど。
それで今年の傾向としてレポートが分析している点ですごく興味深いのが、
頭一つ抜けた作品がなかったっていう部分なんです。
ああ、はいはいはい。
これは決してレベルが低いって意味じゃなくて、
全体の質が底上げされて実力が傾向していたと。
ほう。
いわば豊作の年だったっていうことなんですよね。
なるほど。でもそれって本当に良いことなんですかね。
と言いますと。
なんか観客としては、よくも悪くも物着をかますような、
もう圧倒的な一本を見たいって気持ちもあるじゃないですか。
ああ、確かに。
全部そこそこ良かったね、で終わっちゃうのはちょっと寂しい気もするんですけど。
鋭い指摘ですね。
で、その圧倒的な一本になり得た可能性として、
このレポートが注目しているのが、
菅川市長賞を受賞した大怪獣稲橋論なんですよ。
出てきましたね、稲橋論。
全体のレベルが傾向する中で、この作品は特に光っていたと。
これがまた面白いんですよね。
この作品、イベントの拠点である菅川特撮塾とは全然違うルートから出てきてる。
そうなんです。いわば野良のチームというか。
送ってくれた方もクラウドファンディングで支援されたそうですが、
プロデューサーがお笑いコンビの方だったり、
怪獣の声にあの漫才界の第5章のおぼんこぼんさんを起用したりとか、
インディーズの枠を超えた座組ですよね。
育成の課題
そうなんですよ。だからこそレポートを書いた方は、
この受賞を手放しで喜べないという複雑な心境を綴っていて。
嬉しい。でもこの一作だけでチームの活動が終わってしまったらもったいないと。
なるほど。一発花火で終わらせちゃいけないという危機感。
そうです。
ここで冒頭の課題に戻ってくるわけですね。
はい。
つまり一番の注目作がイベントの母題である菅川特撮塾から出ていないと。
そもそもこの特撮塾っていうのは、子供向けのワークソップみたいなものなんですか?
それとも大人も参加するような?
レポートの文脈からすると、年齢を問わず特撮技術を学んで、
作品制作を目指す地域の拠点という感じですね。
ああ、なるほど。
だからこそ問題で、特撮の街を掲げるからには、
その中心であるはずの塾から新しい才能とか作品が継続的に生まれてほしい。
でも現状はそうなっていないという課題が浮かび上がっているんです。
なるほど。つまり、才能を発掘するお祭りとしては大成功している。
だけどその才能を育成して継続させる土壌としては、ちょっと機能不全に陥りかけているんじゃないかと。
まさに。
レポートが指摘しているのは、そういう構造的な問題なんですね。
そういうことです。自主制作の世界って、一本取りを終えて燃え尽きちゃうケース本当に多いじゃないですか。
ああ、わかります。
だから重要なのは、才能を見つけること以上に、その才能が活動を継続できる環境をどう作るか。
このレポートはイベントが成功したからこそ見えてきた、次のステップへの問いかけなんだと思います。
今回送っていただいたレポートを深く読んでみると、単なるイベントの乾燥じゃなくて、一つのローカルな文化が生き残るための、すごく切実な提言だったんですね。
ええ。
この選手権が才能の消費場所じゃなくて、育成場所になれるのか。これは非常に感慨させられますね。
本当に。これは菅川だけの話じゃなくて、多くの地域文化が直面している課題なのかもしれないですね。
次回の配信もお楽しみに。
さよなら。