オタク武者修行の始まり
さて、今回はですね、送ってくれた方が、大学時代に体験されたご自身で、オタク武者修行と呼んでいる、かなり濃密な時期について共有してくれた資料がありまして、これを一緒に見ていきたいと思います。
オタク武者修行、すごい名前ですね。
いやー、本当にインパクトありますよね。
資料を拝見しますと、大学の漫画アニメ研究会、ここを中心にした生活が、文字通り修行レベルだったという様子が、ひしひしと伝わってきますね。
この経験が、今の送ってくれた方にどう繋がっているのか、ちょっと深掘りしてみたいなと。
お願いします。
まず話の始まりが、経済的な理由で選んだ下塾。
家賃がなんと、4500円。
4500円ですか。当時としても、それはかなり安いですよね。
激安だったそうです。
しかも、お兄さんと同年の入学で、部屋が台形だったと。
台形?
4畳半なのに、見る角度によって広さが変わる、錯覚間取りだったって書いてますね。
このユニークな環境からして、もう面白いなと。
そこが物語のスタート地点だと。
はい。
本来は、SF研究会に入りたかったけど、それがなくて、事前の策として入ったのが、漫画アニメ研究会。
そうなんです。
ここが運命の分かれ道になったということみたいですね。
当時60人以上いたんですか。大書隊ですね。
多いですよね。ヤマトとかガンダムのブームの熱気がまだ残ってた時代なんですかね。
ああ、なるほど。その熱量の中で活動内容が、これがまた凄まじい。
そうなんですよ。毎週発行のサークル内新聞。
毎週?
ええ。それに、年に6冊の同人誌製作。
年6冊って、月々じゃないですか。
ですよね。さらに、自主制作アニメに8ミリ特撮映画まで作ってたって。
へえ。
毎週土曜は、徹夜が普通で、夏休みは合宿で、ひたすらセル画を描き続けるっていう、これもサークル活動っていうか。
まさに資料にある通り、就業ですね。
ブラック企業の研修合宿が、鎮康宗教の洗脳部屋っていう表現もされてますけど。
書いてありましたね。
その過酷さが伝わってきます。
でも、こういう持入感というか、一つのことに完全にコミットする環境って、よくも悪くも、個人のアイデンティティ形成を強烈に後押しすることってありますからね。
うーん、確かに。しかも、これで終わりじゃないんですよね。
え、まだあるんですか?
もともと好きだったSFの活動も諦めきれずに、他の大学のサークルとか地域の会、あとSF大会にも参加してたって言うんですよ。
それは、本当にどこにそんな時間が、エネルギーがすごいですね。
いや、本当ですよ。
だからこその、オタクめしゃ修行という言葉なんでしょうね。その多忙さと熱量が、なんかギュッと詰まっている感じがします。
深まるオタク活動
ええ。
で、当時送ってくれた方は、これを全国のオタクの標準だと思っていたと。
そうなんです。ここがまた面白くて。
ええ。コミュニティの内部にどっぷり使っていると、その特殊性ってなかなか気づかめんものですよね。
ですよね。だから後になって、漫画の原子研を読んだ時に、え、こんなに緩い活動でもオタクなの?ってカルチャーショックを受けたと。
なるほど。基準がもう相当ハードだったんですね。
みたいですね。デートもバイトもする時間なんて全くなくて、学業以外はもうオタク活動に千振り状態だったと。
いや、送ってくれた方の青春時代、想像するだけでちょっと目が回りそうです。
いやーすごい。こういうサブカルチャーの中での濃密な経験とか仲間との共同作業、あとは例えば下宿でミニFM曲をやってみたとか。
あーありましたね。半径200メートルしか届かなかったっていう。
そうそう。誰も聞いてなかったらしいですけど。そういう試みとか、あとカセットテープにデータを保存する初期のパソコンの体験なんかも含めて、当時の空気感リアルに伝わってきますね。
本当ですね。それで3年生で会長に就任した時のエピソードもまたすごくて。
はい。
就任式がなぜか心霊トンネルで行われたって、どういうサークルなんですかね。
いや、本当ですよね。なんかこう独特な文化があったんでしょうね。
普通ならその頃って、就活とか卒権でだんだんフェードアウトしていくじゃないですか。
まあそうですね。普通はそうなりますよね。
なのに、送ってくれた方は大学院までオタク活動を続けて、さらにパソコン通信でつながりが広がっていったと。どんどん深みにはまっていく感じで。
もうこれは資料を読むと、なんかその流れは必然だったのかなという気もしますね。
結論としては、やはりこの大学時代の強烈な体験、偶然入ったサークルでのあまりにも濃密すぎた日々が、オタクとしての自己認識をもう決定的に形作って、それが現在までずっと続いているということなんでしょうね。
まさにそうだと思います。
若い頃にある特定のコミュニティにこう深く身を置くっていう経験が、その後の人生観とかアイデンティティにどれだけ大きな影響を与えるものなのか。
送ってくれた方の体験談から、ある時代の熱気みたいなものと、個人の人生の奇跡が重なる瞬間を見せてもらったような気がしますね。
そうですね。こうした若い時期の何かにものすごく熱中した集団での経験というのは、それが文化的な活動であれ、スポーツであれ、あるいは他のどんなものであったとしても、私たちが後になって自覚する以上に、人生の方向性を静かにでも確実に形作っている部分があるのかもしれないですね。
ご自身の若い頃をちょっと振り返ってみると、何か思い当たることがあるかもしれないですね。
次回の配信もお楽しみに。
さようなら。