再放送の戦略
こんにちは。さて、今回送ってくれた方の資料ですが、テーマは魔法少女まどかまぎかですね。
これが2011年に社会現象を巻き起こしたアニメですけど、14年経った今、なぜか日曜の夕方5時という時間に再放送されていると。
そうなんですよ。これは一体どういうことなんでしょうか。
これあの非常に巧妙な戦略ですよね。単なる懐かしの再放送っていうわけでは全くなくて。
来年公開される新作映画、ワルプルギスの回転に向けた、いわば二世代獲得作戦と読めるんですよ。
二世代獲得作戦。
ええ。14年来のファンを呼び覚ますだけじゃなくて、日曜夕方っていう新しい時間帯で、当時の衝撃を知らない若い世代にまで、こう鮮烈な体験を植え付けようと、そういう狙いでしょうね。
なるほど。確かにこの作品が持つ異質さえの相当な自信がないと、あの時間帯には置けないですよね。
おっしゃる通りです。
資料にも視聴者の心をがっつりえぐったとありましたけど、まさに魔法少女ものの常識を根底から崩した作品でしたから。
ええ。ここで非常に興味深いのが、もう14年も前の作品なのに、送ってくれた方がめっちゃ美しい、そして個性的と評している点なんです。
ああ、はいはい。
アニメの映像技術ってやっぱり日清月報じゃないですか。
そうですね。
でも、それに埋もれないだけの普遍的な魅力と完成度が、もう放送当時からあったんだっていう何よりの証明ですよね。
本当にそうですね。でも14年も経つと、どうしても古く見えちゃう作品も多い中で、何が窓まぎをこれほど特別にしているんでしょうかね。映像美だけじゃない何かがあるような。
それは、美的センスと物語の残酷さが、なんか奇跡的なバランスで融合しているからでしょうね。
ああ、なるほど。
可愛いキャラクターデザインの裏で、希望が絶望に転化していくっていう、容赦ない展開が描かれる。このギャップが視聴者の感情をすごく強く揺さぶって、忘れられない体験にしているんだと思います。
だからこそ日曜夕方なんですね。
ええ。
資料にある通り、この絶望感が重い作品の後に、僕のヒーローアカデミアとか、ちびまる子ちゃんが控えているっていう。
作品の魅力と影響
そうなんですよ。
芸人のカノエイコさんによる副音声コメンタリーは、まさに視聴者のメンパルケアっていう指摘。これはちょっと笑ってしまいました。
間違いないでしょうね、それは。
そしてその独特の雰囲気を作り出しているのが、やっぱりシンボー・シアキレ監督の存在ですよね。
ですよね。頭に焼き付くような映像感覚。やっぱり監督の力が大きいんでしょうか。
まさに。資料にあるさよなら絶望先生とか、かもがたりシリーズでも知られてますけど、彼の演出の特徴って、情報を過剰に削ぎ落とすことと、それから過剰に詰め込むこと。この2つの共存なんです。
共存ですか。
例えば、無機質な背景に文字だけが浮かぶ演出とか、キャラクターが不自然な角度に首を傾ける、いわゆるシャフド。
ああ、あれですね。
あれこそが、日像のすぐ裏側にある世界の歪みとか、不穏さを見事に表現しているわけです。
面白いですね。演出の一つ一つにそんな意味が。
追ってくれた方が、監督が福島県桑織町の出身であることに触れて、個人的な誇らしさを感じていると書いていましたけど、作り手のルーツを知ると、また作品に深みが増す気がしますね。
そしてその強烈な作家性が、社会現象っていう大きなうねりを、すごく個人的な体験へと昇華させている。
はい。
この資料で僕が一番印象的だったのが、送ってくれた方の個人的なエピソードなんですよ。
東日本大震災の影響でリアルタイム視聴ができなくて、1年遅れで見て、深夜アニメにはまるきっかけになったという部分ですね。
そうです。そこです。大きなブームの裏側には、常にそういう一人一人の人生を変えるほどの出会いの物語が存在するんですよね。
なるほど。
ソーシャルゲームからパチンコに至るまで、今もなお展開が続いているのは、こうした強烈な現体験を持つファンに深く支えられているからに他ならないと思います。
今回の資料を深掘りして見えてきたのは、マドカスタウマギカが単なる過去の名作じゃなくて、その色褪せない衝撃と強烈な作家性を武器に、今なお新しい物語を紡ごうとしている、現在進行形の作品だということでしたね。
はい。ここで一つ、ちょっと考えてみたい問いが浮かび上がるんですけど、この作品は2011年という時代を色濃く反映しながらも、14年後の新しい視聴者の心も掴み続けている。情報が目まぐるしく消費される現代で、時代を越えて人の心に深く刻まれる物語に、本当に必要なものとは一体何なのでしょうか。
次回の配信もお楽しみに。さようなら。
次回の配信もお楽しみに。さようなら。