00:01
はい、大丈夫です。
はい、大丈夫ですか?はい、ありがとうございます。
じゃあ、録画をさせてもらいます。スイッチ、押しても大丈夫でしょうか?
はい、お願いします。
はい、押しました。
はい、なんかいろいろね、お願いしてごめんなさい。
いえいえいえ。
はい、ご迷惑もかけてしまうかもしれませんけれども、よろしくお願いいたします。
そらこそ、よろしくお願いします。
カタシロアナザーです。
カタシロの世界をさらに楽しんでもらうシナリオです。
来てくれた人とたくさんお話をしたいというのがカタシロのコンセプトですので、今回は私とたくさんおしゃべりをしていただけると嬉しいです。
では、心の準備はよろしいでしょうか?
はい。
はい、本当に?
ドキドキしてますけど、大丈夫です。
はい、では始めたいと思います。
シンクトルフシンはTRPG、カタシロアナザー、始めていきたいと思います。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
はい、ではシーンを。
あなたは目が覚めると病室のベッドにいました。いえ、正確には手術室です。
頭痛がひどい上に、体が思うように動かせずぐったりとしています。
シーンを始めてみましょうか。どんな感じでしょう?
あ、見覚えがある。
いや、ないはずなんですけど。
ない、ないですね。はい。
ここはどこでしょうか?
病院?手術室?私はなんでこんなところにいるんだろう?
なんでこんなところにいるんだろうと悩んでいると、そこに一人の男性がやってきます。
よかった、目が覚めたんだね。
あ、あなたは?
あ、僕は医者だ。君は落雷にあって病院に運ばれてきた。覚えているかい?
いえ、何のことかさっぱり。
あ、そうか。
ではここでアイデアを振ってもらいます。アイデアの数値ゲームをしたいと思います。
チャットパレットの一番上、2D6プラス6かける5がアイデアの数値ゲームですので、それを振ってください。
はい。
65。お、結構高いですね。
はい。
ではアイデアを1D100で振ってください。
はい。
はい。
03:00
76。失敗です。
失敗ですね。
はい。
強い光を浴びた記憶はあります。ですが、それ以前の記憶がありません。また、常識などの社会的に生きるための記憶以外、すべてを忘れていることに気がつきます。あなた自身に関する記憶がすっぽりと抜け落ちているようです。
ではシーンを再開しましょう。
はい。
何か光を見た記憶はあるんですけれど、もしかしてそれが落雷だったんでしょうか。
あ、そうなのか。まあ、覚えてないってことだよね。じゃあ、名前は?君の名前。
私の名前?名前、ごめんなさい。わからないです。
あ、名前もわからないのか。そうか。どこに住んでいたかとかもわからない感じかい?
そうですね。すみません。全然記憶が。
謝ることじゃないんだ。だけど、残念ながら君の身分を証明するものが何にもなかったんだよ。僕にもわからない。
そうなんですか。私の荷物なんかはそこにはなかったということでしょうか。
そうだね。君は君の身一つでここに運ばれてきた。
そうなんですか。
うーん。君自身に関しての記憶を失ってしまっているようだね。
はい。
じゃあ、ここはどういう場所かっていうのはわかるかい?
ここは病院ですよね。
あ、そうそうそう。そうだよ。
じゃあ、常識がいっぱいあるんだ。そうか。
はい。
なるほど。
うーん。じゃあ、もう少し詳しい検査が必要だな。
体も今のところ本調子ではないかもしれないね。
見たところ、もうしばらくすれば動けるようになると思うよ。大丈夫。
はい。ありがとうございます。
うん。
約束はできないけど、記憶もきっと戻るだろう。
うん。良くなるよ。僕が絶対良くするからね。
そう言っていただけると安心できます。
うん。
まあ、とはいえ、数日は様子を見たほうがいいな。
3日間はここにいてもらうことになるかな。
はい。わかりました。
大丈夫かい?
はい。大丈夫です。
で、実はさ、他の部屋が全て患者で埋まってしまっていてね。
物々しくて申し訳ないんだけど、この手術室で過ごしてもらうことになるんだ。ごめんね。
06:05
はい。やっぱりここは手術室なんですね。
うん。そうなんだよ。病室が満室でね。申し訳ない。
はい。わかりました。
ありがとう。
で、君の記憶を取り戻す手伝いをしたいんだ。僕の専門分野だからね。
はい。
ちょっと僕とおしゃべりをしてくれないか?こんなおじさんで悪いんだけど。
いえいえ。ぜひお願いします。
うん。しゃべることで思い出すこともあると思う。
君のパーソナルに迫るような質問をして、記憶を取り戻す取り柄になればいいと思うんだ。
はい。
じゃあ、ちょっと君はカルネアデスの船板という試行実験を知っているかな?つまりは覚えているかな?
いえ、わからないです。
そうかい。じゃあちょっとこれを見てくれるかい?
うん。
この話はね、一隻の船が沈んでしまって、乗っていた人たちがみんな海に放り出されてしまったんだ。
そのうちの一人の男は死を覚悟したが、幸運にも一枚の船板が浮いているのを見つけて、それにしがみついた。
するとそこにもう一人、その板につかまろうとする別の男が現れた。
しかし、二人もつかまると板そのものが沈んでしまうと考えた最初の男は、後から来た男を突き飛ばして、水死させてしまったんだ。
さあ、これは果たして許されざる行為なのだろうか、ということだね。
実話をベースにした話なんだけれど、君はこの話をどう思う?
この二人目の男性っていうのは、全く見知らぬ他人だったんでしょうか?
うん。実話はそうだね。
そうですか。
私にはこの一人目の男性を責めることは誰にもできないんじゃないかなって思います。
うんうん。それはどうして?
この人が船板につかまれたのは本当に奇跡的な幸運によるものだと思うので、
二人目の人が船板を見つけていた場合もあると思うんですね。
その時に一人目の人を、二人目の人が突き飛ばしていたとしても、それは仕方のないことなのじゃないかな。
09:15
自分の命を犠牲にして、二人とも海に沈むことを選ぶかってことですよね。
そうだね。なるほど。
一人目の人はものすごく重い業を背負いながら、この後助かったとしても生きていくことになるとは思うんですけれども、
二人とも死んでしまったら、二人のことを覚えている人ももしかしたらいなくなってしまうかもしれなくて、
そうしたら本当に二度目の死が訪れてしまうような気がするので、
二度目の死か。すごいことだね。
少なくともこの二人目の人のことを覚えている一人目の人が生きているということの方が、私には勝ちと言ってしまうと言い方がよくないと思うんですけれど。
なるほど。じゃあもし、君が最初の男の立場だったらどうする?
殺せないな。
あれ?
いや、偽善者ですね私は。
いやいや、みんなきっとそうじゃないかな。
自分のことだと考えると、急にちょっとびっくりしちゃうよね。
そうですね。
気持ちとしては助けてあげたいですけど、もしかしたら突き飛ばしてしまうかもしれません。
そしてさっき君が言ったように、君は業を背負って生きていくということかい?
そうですね。
生きることは人間にとって、動物にとって本能だからね。いいと思うんだ。
じゃあ、君が後から来た男の立場だったらどうするかい?
とりあえず助けてって言っちゃいますね。
そうだよね。僕もそう思う。
12:03
でも、それで突き飛ばされたとしても、私はここで死ぬ運命なんだって死を受け入れるかもしれません。
そっか、なるほど。
じゃあ、最初の男の方が、自分は体力があるからこの板を譲るよって手放してくれたらどうする?
ああ、なんていい人なんだ。
そうですね。
必死だったら、ひとまずその板を掴んでしまうような気がします。
もし冷静にその人と話ができる様子であれば、
交互にその板を使ってお互いの体力を温存することを提案してみる気がします。
なるほどね。君は頭がとても回転する人のようだね。
そうでしょうか。
その場によっていろんな工夫ができたり、何度かみんなが生きる道を考えたりって方法を考えられる人みたいだ。
そうなんですか。
とても頭の回転の早い人だなって僕は思ったよ。
えー、なんか照れちゃいますね。
いや、かわいいな。
いやいや、ナンパしてる場合じゃない。
ま、こういうたわいのない話がきっかけで思い出していくこともあるだろうし、この調子でいこう。
ま、無理は禁物なんだけどね。
はい、ありがとうございます。
君の体はまだ本調子じゃないだろうし、ゆっくり休んだ方がいい。まだ目覚めたばっかりだしね。
はい。
僕は外来の患者のところに行かなきゃいけない時間だから、そろそろ行くね。
はい、ありがとうございました。
何かあったらすぐに呼んでね。
はい。
そう言って、医者は出て行きました。
あなたは今、手術室のベッドの上にいます。
頭痛は少しずつ収まってきました。
しかし、体は相変わらず重たく動かせません。
その場から、手に届く範囲のものであれば、気になったものを調べられるでしょう。
2カ所提示します。
どちらから行きましょうか。
んー、じゃあ、右から調べます。
はい。
では、右クリックして全体公開という風にしてみてください。
15:03
はい。
あ、見えられました。
はい。
ベッドサイドモニター、心拍数などを表示する機械だろうか。
画面は暗転しており、何も映っていない。
なるほど。
はい。
これは、さらに詳しく調べたりってことはできますか?
いえ、できません。
なるほど。
じゃあ、左側も調べます。
はい。
これも同じように全体に公開でいいですか?
はい、お願いします。
はい。
機械台、台の上には何もない。
なるほど。
はい。
よく分かんないってことですね。
そうですね。
はい。
分かんないなーと思っていると、隣の部屋から声がかかりました。
あ、あのー、誰かいらっしゃいますか?
はい、います。
あ、はい、よかった。
私、今日から入院することになりまして。
あ、隣の部屋です。
一人で入院するって、なんとなく心細くって、声かけちゃいました。
物音がしたので。
あ、そうなんですね。
私も今日から入院することになったみたいで。
え、あなたもですか?
はい、一緒ですね。
ほんと、一緒ですね。よかった。
えっと、私はよく分からなくて、自分のことを記憶喪失みたいなんです。
え、記憶喪失?
はい、だからあんまりうまくお話できないかもしれないんですけど。
あ、え、あなたも記憶喪失なんですか?
あれ、あなたもなんですか?
そうなんです。私も記憶がなくって。
あ、名前は先生から聞いたんですけど、それ以外は何にも。
あ、そうなんですね。私は自分の名前が分からない状態で。
え、名前も分からなかったんですか?
そうなんです。
え、私、片山真代ってさっき先生に聞かされたんです。
ピンとこないんですけど、なんか名刺みたいなカードが焼け残ってたってさっき見せられて。
え、真代さん。
18:01
はい。
私も呼んでもらえる名前が何かあったらよかったんですけど、ごめんなさい。
あ、あ、いえ、こちらこそなんかごめんなさい。
そっか。じゃあ、とりあえずお隣さんって呼んでもいいですか?
はい。お隣さん。
なんか一緒だと安心してる場合じゃないんですけど、ちょっと安心しますよね。
そうですね。私も心強いです。
なんか体が重たくてぐったりしてるんですけど、お隣さんは大丈夫ですか?
私もベッドから起き上がれなくて。
あ、やっぱり。そうなんですよね。なんか暇ですよね。
そうですね。暇ですね。
どれぐらいで退院できそうなんですか?
先生は3日ぐらいっておっしゃってました。
3日。あ、私も3日ぐらいって言われました。
あれ、そうなんですか?
はい。
もしかして真白さんも同じ現場にいたりしたのかな?
私、落雷のせいで記憶喪失になっちゃって入院することになったらしいんですけど。
はい。私も雷に打たれたらしいって言われました。
え、じゃあもしかして同じ日の雷だったんでしょうか?
いや、同じ場所にいたんでしょうか。もしかして知り合いだったりして。
そうかもしれないですね。すごい偶然ですよね。こんなの。
本当ですよ。怪我はないですか?
怪我、そうですね。目立った怪我はないです。
はい、ないです。大丈夫です。
はい、ないです。
私もないんですよ。不幸中の幸いですよね。
そうですね。
早く治るといいな。
そうですね。お互い記憶が戻ればいいですね。
そうですよね。あ、記憶が戻るようにって先生が変な話してってくれました。
変な話ですか?
はい。えっとね、囚人のジレンマ?とか、なんかゲームの話。
あ、私も試行実験のお話をしてもらいました。
試行実験?
はい。なんとかなんとかの船いたとかって。
なんだか難しい話ですよね。お医者さんってそんな感じなんですかね。
お医者さんはきっと頭がいいですから。
ね、なんか難しすぎてよくわかんないですって言ったら苦笑いされちゃいました。
21:11
それも一つの答えですよね。
あ、お隣さん優しい人ですね。
本当ですか?嬉しいな。
そんな話をしていると抗いがたく眠たくなってきて、あなたは眠ってしまいました。
はい。
次の日の朝です。あなたは昨日と同じ手術室のベッドの上にいます。
目が覚めて間もなく男性がやってきました。
おはよう。開けていい?
はい。
調子はどうだい?
おはようございます。えっと、なんだか色が変。
色?色ってどういうことだい?
なんか視界が少し。
うん。
昨日とちょっと見えてる景色が変わってるんです。
景色が変わっている?物の場所が違うってことかい?
いや、場所は同じなんですけど、なんとなくちょっとセピア色というか。
おー。なんか色の彩度が落ちているっていう感じかい?
あ、そうですね。彩度が落ちてます。
うん。色覚の調子がおかしいってことかな。
なるほど。そうか。大丈夫だよ。後でしっかり検査して対処しよう。
はい。
今はちょっと検査機器を他で使っていてね。ちょっとの辛抱だ。
はい。わかりました。
気分が悪いようだったら眠ってしまっても構わないからね。
はい。
まあ、目が覚めたばかりで脳の機能も急いで回復しようと頑張ってるんだろう。
視神経もきっとその一つだよ。今までにない事例じゃない。
大丈夫。必ず良くなるよ。約束する。
あ、そうですか。良かったです。
で、記憶の方はどうだい?
いえ。さっぱりですね。
そうか。じゃあ今日も少しお話をしようか。気分転換になるかもしれないしね。
はい。よろしくお願いします。
君は水槽の脳という試行実験を知っているかな?つまりは覚えているかな?
いえ。わからないです。
じゃあ今日もこれを見てくれ。
はい。
この試行実験はこういう話でね。
今、僕とか君とかは現実をこうして普通に生きているっていうのを疑ってないけれど、
24:05
実はもう脳みそだけの存在になって水槽の中に入れられていると。
そこに超すごいコンピューターがつなげられてて、なんかもうバーチャルな現実を体験しているかもしれないんじゃない?っていう話。
なるほど。
でね、実はこの試行実験の本来の意味とは違うんだけど、ちょっと僕気になることがあるんだよね。
何ですか?
この試行実験って前提として、自分イコール脳みそなんだよね。
自分という言葉が指し示すのが脳みそっていう部位だ。
この試行実験は水槽の脳っていうタイトルなんだけど、別に水槽の人体でも水槽の腕でもよかったはずなんだよ。
だけど水槽の脳なんだ。
つまり、この試行実験を考えた人は前提として、自分という個人が作られるのは脳であると無意識に思っているはずなんだ。
そうですね。
もう水槽の腕じゃないんだからね。
そこで君に聞きたい。自分って一体何だと思う?どれが自分なんだと思う?何を指し示して自分なんだろう?
何を指し示して?
そうですね。私はやっぱり今までの人生の中で経験してきたこととか、記憶の積み重ねそのものが私を形成してるんじゃないかなって思います。
そうか。記憶がある場所、つまり脳ってことかな。
やっぱり私もそうですね。脳だと思っているような気がします。
なるほどね。
ちょっと意地悪な言い方になっちゃって申し訳ないんだけれど、君は今記憶を失っている。
記憶を失っているってことは、君が今まで積み重ねてきたものがないっていうことだ。
そうですね。
今の君は、自分はどこにあるんだい?
どこ行っちゃったんでしょう。
あれだ。
今この病室に一人でいる私は、確かに雷に打たれる前の自分とは別物だと解釈してもおかしくはないと思うんですけれど、
きっとこの病院の外には私のことを覚えてくれている人たちがいたんじゃないかなって思うんですよね。
27:09
その人たちが私のことを覚えていてくれている限り、雷に打たれる前の私っていうのは、いなくなったわけじゃないのかなって思うんですけど、
でも、その打たれる前の私と今の私はおそらくイコールの存在とは言い難いような気がしますね。
なるほどね。
まあ、他人がきちんと記憶をしてくれている。そして、僕も今君と話をして君のことがわかっている。認めている。
だから君はここにもちろんいるんだけれど、ちょっと記憶がないことであやふやだってことだね。
そうですね。
なるほど。他人のことも君は大事に思っているんだね。
そうかもしれないですね。
とてもいいことだと思うよ。今君は自分をあんまり感じられていないかもしれない。だけど君の中に自分は確実にいる。
はい。
君が大事にしているのは他者かもしれないし、他者から見た君かもしれないけど。
ちょっと難しいこと言っちゃったね。ごめんね。
ごめんなさい。
いえいえ。謝らなくていいんだよ。
じゃあ、ちょっともう一個意地悪な質問していいかい?
はい。
今君に記憶がないから自分があやふやだっていう話したんだけどね。
はい。
Aさんに甚大なダメージを受けて脳は無事なAさんと、脳に甚大なダメージを受けたが体が無事なBさん二人がいる。このままでは二人とも命が危ない。
Aさんの無事な脳とBさんの無事な体をそれぞれ移植しあったところ手術は成功した。
目を覚ました一人は果たしてAさんだろうかBさんだろうか。
ひどい。
そうだね。ひどい話だ。
でもその時意識を持つのはやっぱりAさんの脳ですよね。
そうだね。
でも体はBさんなんですよね。
うんうん。
そこにいるのは私はAさんのような気がします。
30:01
なるほど。見た目がBさんだから、君がさっき言っていた周りの人的にはBさんだよね。
そうです。でもきっと話し方だったり考え方だったり表情だったり仕草だったりっていうのはAさんが持っていったものになってしまってると思うんですよね。
なるほど。
そうしたらそれはもうBさんという人間ではないんじゃないかなって思います。
なるほどね。やっぱり君にとって大事な自分は脳にあると思うんだね。
そうですね。
なるほど。いやいや厳しい話をしてしまってすまなかった。
いえ。
でも君がじっくり物事を考えられたり他人を大事にしてるっていうこともわかった。
うん。
さて、君の目については夜隅々まで検査させてもらうとして、そろそろ外来の患者を見なければならない時間になってしまった。
僕は行くけど何かあったらすぐに呼んでほしい。
はい。わかりました。
遠慮なく呼ぶんだよ。
はい。
じゃあね。
はい。失礼します。
と、医者は言ってしまいました。
ということで、あなたは相変わらずずっしりとした体の重さは感じるものの、少しくらいなら歩いて動けそうです。
はい。
今日はこちらを調べることができます。
おお。じゃあ今度も右から調べます。
はい。
過温装置。
温風で体温を適温に維持するための装置です。生ぬるい温風が吹き出しています。
ふんふんふん。なるほど。
じゃあ左も調べます。
はい。読み上げはしません。じっくり見てください。
患者の名前と母式も残さない。
ああ、なんか見覚えある名前がいっぱいある。
いやいやいや、記憶はないんですよ。
確かに。
あははは。
ああ。
あ、犠牲率。
島村さんごめんなさい。私のミスです。
33:07
下から2番目の名前が違ってます。ちょっと直します。
はい。
はい。申し訳ないです。
しのぶちゃん。
ルフォンスチャーチルをなんか聞いたことある。
ちょっとだけ、しばらくお待ちくださいね。
はい。大丈夫です。
すいません。申し訳ないです。
ああ、直すの忘れてた。ごめんなさい。
はい。
はい。すいません。直しました。
ピカソ。
なるほど。
申し訳ないです。
はい。
特には。
いっぱい人の名前が書いてあるなーって思いましたね。
あははは。
改めて送信しておきます。
はい。
いっぱい人がいるなーと思っていると、隣から声がかかります。
お隣さーん。
あ、ましろさん。こんにちは。
科学者は方向音痴。実材と嘘の境界線が某一種なんです。
ん?某一種?
地球を分解する前、私は同じアイドルのCDで、誕生日はピンクのマンモスですよね。
ピンクのマンモス?
ど、どうしたんですか?
除菌アレルギー。
あははは。除菌アレルギー。
ましろさんどうしたんですか?尻滅裂ですよ。
36:00
非常口は縛られたカップを非面に上げる鎖は、繋がれた間は電気屋の正体を暴れたらしくて、専門家によれば仏壇はホットケーキを内蔵した狐を所有しているんですって。
ましろさん?
情報ウォッチの非科学理論だとは思いますが、改札機でサーモンの見つめもしくはドス黒い階段が警察で拷問を受ける気がします。
ましろさん、これ冗談ってやってるわけじゃないんです。
ブルドーサーの身代わりである百科知天の兄弟のカマキリを搭載しており、警察官をハッカーと呼ばれることに変身することもあるんじゃないでしょうか。
え?どうしちゃったの?ましろさん。
では、ここで利き耳を振っていただきます。まずは値を決めましょう。1D100を振ってください。
はい。
十分。
一回。初期値か?
初期値以下ですので。
初期値以下か。
はい、初期値25でやりたいと思います。
了解です。
はい、ではもう一回利き耳を振ってください。
はい。えいや。
成功しました。
嘘!嘘!ほんと?
そんなこともあるんだ。
そうですね。
解き放たれた父親は酔った負担をお用意するのかな。
陸の家庭用ゲーム機が万寿を搭載したエンド豆のサポートを打ち切ると指定しているみたい。
そのような声と、誰かが歩いてくる音、隣の部屋の扉が開く音、あなたを担当している医者の声がかすかに混じって聞こえます。
うん。
そしてまた片山の声が聞こえます。
タクセ、タメテタメテ、タクセ、タメテタメテタクセ、タメテ
そんな声と一緒に
キャー!
短い片山の悲鳴を最後に、辺りは静かになりました。
えー、辛い。
昨日まで普通に話をしていた人が全く話が通じなくなってしまったこと、
隣の部屋で何かが起こったこと、
2つがあなたの精神を確実に蝕みます。
正規ドロールを行います。
まずは、3値を決めましょう。
チャットパレットの3D6×5を振ってください。
はい。
45。
まあまあまあですね。
では、1D100で正規ドロールを行います。
はい。
28。成功です。
うん。
はい。成功なので、えー、正規度減少1ですね。
現在の正規度3値は44となります。
39:02
はーい。
では、シーンを再開しましょう。
はい。
ましろさん、ましろさんに何かあったのかな。
なんかバチバチ言ってたけど、どうしたんだろう。
ましろさん、ま、ましろさーん。
ましろさーん。
あの先生、大丈夫な人かな。
どうしよう。
ましろさんのこと聞いてもいいのかな。
見なかったふり、聞かなかったふりした方がいいのかな。
はい。
とても心配していると思いますが、
それを上回る抗いがたい強烈な眠気があなたを襲います。
体力が戻りきっていないということもあるのでしょう。
あなたはいつの間にか意識を手放してしまいました。
3日目です。
あなたは目を覚まします。
相変わらず手術室のベッドの上にいます。
視界はかなりクリアーになっています。
体の調子も昨日よりさらに良くなっていて、
ノックの音と男性の声がしました。
おはよう。入ってもいい?
あ、はい。
やあ、おはよう。調子はどうだい?
おはようございます。
今日は、昨日よりも調子が良いみたいで、
視界もはっきりしています。色も元通りです。
そう?大丈夫?
ああ、よかった。ちゃんと見えてるかい?
はい、見えてます。
ああ、よかった。
夜に検査に来たんだけどね。
君はすっかり寝てしまっているから、
できることをやっといたんだけど。
よくなってるんだな。よかった。本当によかったよ。
すいません。寝ちゃってて。
いいんだ、いいんだ。まあ、安心した。
はい、あの、隣の病室に入院してた方って、
今どうされてるんですか?
どうされてるか?
うーんとね、さっきは寝てたかな?
あ、そうなんですね。
どうした?
えっと、私、昨日一昨日と隣の方とお話ししてたんですけど、
42:03
一昨日は普通だったのに、
昨日なんだか会話がうまくできないというか、
何言ってるのかわかんなくなっちゃって。
記憶を失っているときって、
ちょっと脳の言語屋っていう言葉を司っているところに
障害が行くことがあってね。
ああ。
どうも騒がせてしまったようだ。ごめんね。
なんかバチバチって聞こえた気がするんですけど、
バ、バチバチ?
はい。なんかひどいこととかしてないですよね。
僕は確かに鎮静剤は打ったけれど。
あ、そうですか。
いや、すいません。変なこと聞いちゃって。
いやいや、いいよ。
急にあんな大騒ぎしたら心配になっちゃうよね。
はい。一人で病室にいたときに話しかけてもらって、
ちょっと嬉しかったので、つい心配になっちゃいました。
うんうん。優しい君のことだ。あんなの聞いたらびっくりしちゃうよね。
すまなかったね。騒がせて。
いえ。
もう大丈夫だから。
安心していいよ。
じゃあ後は記憶だけだね。体の方は順調そうだ。
はい。
じゃあ今日もおしゃべりをしようか。
はい。お願いします。
君はミニオネット号事件を知っているかい?つまりは覚えているかな?
いえ。初めて聞きました。
そっか。じゃあこれを見てくれる?
これは実際に19世紀のイギリスで起きた事件なんだよ。展示で試行実験にもなっているような話。
はい。
今回は客観ではなくて主観として話そう。
君を含めた3人が乗せた船が遭難した。
なんとか救命艇で脱出して20日間。
助けはいつ来るか相変わらず分からない。
食べ物もとっくに底を尽きているし、限界が近づいてきている。
その時、3人のうちの1人が渇きをしのぐために海水を一気に飲んでしまって体が衰弱した。
海水を飲むと逆に脱水症状を起こしてしまうからね。
それを見たもう1人が、この人を殺して血を飲み、肉を食べれば2人だけでも生き延びられるだろうと提案してきた。
それを聞いた君はどう答える?という試行実験だ。
はあ、なるほど。この船に乗っているのは偶然、船に乗り合わせた知らない人ですか?
45:08
うん、それでもいいし、実際は仲間だったらしいんだけどね。
この衰弱してしまった人は、きっとすぐに救助が来ない限り助かる見込みはないっていうような状態ですよね。
そうだね、もうほとんど瀕死だろう。
何か、かっさばく術はあるんでしょうか?
かっさばく?かっこいいな。
そうだね、ナイフぐらい持っていてもいいんじゃないかな。
なるほど。
食べます。
食べる?ほうほうほう。どうしてか教えてくれるかい?
なんでもしないと、きっと3人仲良く死んでしまうと思う。
なるほどね、確かに。そりゃあはそうだ。
君はなかなか思い切りがいいね。
そうですね。
じゃあ君は、今日もまた意地悪な聞き方をするけど、
はい。
この衰弱してしまった仲間を殺して食べるということだね。
うーん、勝手に死ぬのを待ってから食べるのではなくっていう意味ですよね。
そうだね。
あー、そうですね。
もしその、死ぬのを待っていられる体力が自分たちにあったんだとしたら、
ぜひ3人とも救助が来て助かるっていう可能性に賭けたい気持ちはあるんですけれど、
本当に3人とも限界の瀕死だったとしたら、
殺して食べちゃうかもしれない。
なるほどね。
まあ食べちゃうかもしれないなんて言い方してるけど、
それは僕はいいと思うよ。
生きるってことはそういうことだからね。
はい。
君がその可愛い見かけによらず、とってもサバサバした思い切りのいい人間だっていうことはとってもよくわかったよ。
48:09
でもこのもう一人の人をどこまで信用できるかですよ。
ほうほうほう。どういうことだい?
一緒にその罪を背負って、誰にもその人を殺めたことを言わないでいてくれるんだったら、いいと思うんですけれど、
もしこの人がその罪に耐えきれず、誰かに打ち明けてしまうような人だったら、
私この人も殺して食べちゃうかもしれない。
いいなあ、それ。
なるほどね。
そうか、君はこの衰弱した人を食べてしまった場合、殺したことは隠すということか。
そうですね。隠したいと思うような気がします。
それはどうしてだい?
中には、そうですね。いくら限界の状態であっても、やっぱり人を謝るっていうことを良しとしない人はきっとたくさんいると思うんですよ。
その人がその状況になった時にどうするかはさておき、やはりそうでない状況からすると、どうしてもやっぱり人を殺すっていうことは、抵抗があるっていうのはもちろんだと思うので。
なるほどね。
実際の話では、3人とも仲間で実際に食ってしまったんだ。
そうなんです。
2人は、1週間後に助けが来た。
2人とも裁判にかけられたんだ。
なんせ殺して食べたんだからね。
でも、その時の世論に押されて刑務所からは出されたんだ。周りの人はそれは仕方がないって判断したってことだね。
そうなんだ。
今でも日本の民法にも緊急避難というものがある。
自分の窮迫した危ない場面を避けるために、やむを得ず他人を犯す行為だ。それによって生じた害が、まあしょうがないねって認められるってことだね。
そうなんだよ。
だから、君が食べてしまうって言ったことは全然間違いではないと僕は思うよ。
51:03
まあ、ちょっとかっこいいなって思ったけどね。
かっこいいですか?
発裁くから始まったからさ。
いや、さすがに切り身にせずに被りつくのは抵抗があるなって思ったね。
なかなかいいな。
そういう度胸大好きだよ。
ごめんね、笑っちゃって。
いえ。
まあ、あともう少しで君の体は全開だ。記憶についてもいい傾向だろう。焦らないでじっくり行こう。
そうやって明るく考えられることも大事だからね。
はい、ありがとうございます。
この調子だったらそうだな、記憶はまだ戻りきっていないけれど退院もできるだろう。
はい。
そうだ、そろそろ外来の患者を見なければならない時間だ。そろそろ行くね。
はい、わかりました。
何かあったらすぐ呼んでくれ。退院の手続きは後で。
はい。
と言って医者は出て行ってしまいました。
今日はあなたはかなり体力が戻って歩けるようになっているので、こちらに行くことができます。
ああ、はい。
はい。
これ、とりあえず調べてみてもいいんですか?
はい、大丈夫です。
何かに当たってつまづきました。何かがあなたの足元で倒れました。
これはその、その扉に向かう途中でってことですか?
そうですね。ベッドを降りた途端っていう感じですね。
なるほど、なるほど。
で、足元に現れたこれが倒れたんですね。
そうです。
はい、調べます。
はい。
あなたはつまづいた、見たこともないものを拾い上げました。
それは一体どんなものだったのでしょうか。
両手で抱えるような大きさです。
筒の上部と下部には大げさな機械がついていますが、
そんな機械に混じって今やだいぶ見なくなった公衆電話の受話器が垂れ下がっているのが何とも不気味です。
一体何に使う機械なのでしょうか。
54:02
あなたは心臓が大きく跳ねるのを感じます。
うん。
シリンダーが光を反射して自分の顔が映り込む。
その映った顔は何でしょう。
記憶がないからと言ってしまえばそれまでですが、見たことのない顔に感じます。
でも、そういうものだったろうと思えば、そうだったような気持ちもどこかにあります。
あなたは大切な何かを思い出さなきゃいけない気がする。
あなたは大切な何かを思い出してはいけない気がする。
あなたは大切な何かを思い出さなきゃいけない気がする。
あなたの本能が、これは自分の今後の人生を決めるほど重要な決断だと警鐘を鳴らしています。
自分は、私は、僕は、うちは、俺は。
大切な何かを思い出すべきだろうか。
今、考えて決めてください。決まったら教えてください。
思い出すか、もう思い出さずにこのままやり過ごすかっていうことですか?
そうです。
なるほど。思い出したいですね。
はい、わかりました。
あなたはその瞬間にまさに稲妻に打たれたかのように思い出します。
この顔は自分の顔では決してないこと。
あなたは重大な交通事故にあって目は見えなくなり、体が動かせなくなって長い間入院していたこと。
今、この整体から出るこの声は、同じ入院患者で、あなたの話し相手になってくれていた羽風呂ピカソさんと同じ声であること。
この記憶は正しい。正しいはずだ。
しかし、だとすると、この状況に説明がつかない。
一体なぜ羽風呂さんの声が自分の口から漏れているのか。
一体自分はどうしてしまったのか。
正気度ロールを行います。
成功1D4、失敗1D20です。
正気度44でお願いします。
では、1D20を振ってください。
残り32。
57:01
32、不定です。
今は不定の虚偽は定めません。
お持ち帰りになってしまいますが。
では、このまま続けます。
あなたは自分の名前を思い出します。
何でしょう。今、自由に決めてください。
自由に。なるほど。
では、島村誠でお願いします。
漢字にこだわりとかありますか。
島村は、これチャットで打って大丈夫ですか。
大丈夫です。
これで。
ありがとうございます。
また、自分を担当してくれていた男は、どうして忘れていたのでしょう。
自分の父親であることも思い出します。
なるほど。
扉が開く音がしました。
大きな音がしたけど、大丈夫かい。何かあったかい。
お父さん。
お父さん。
そうか。思い出してしまったんだね。
私は、羽風呂さんの体に入っちゃったんですか。
さすが。さすが誠だ。
僕の大切な大切な娘。
君は悲惨な事故に遭った。
体は見るも無惨な姿になって、脳だけで生きながら得る存在になってしまった。
そう、君はしばらくその筒に入っていて、今彼の体をもらっている。
こんな性別すら違う人の体になっても、あなたは私のこと可愛らしい見た目って言うですね。
当たり前じゃないか。
僕の愛する娘だ。
私、名簿を見たんですけど、あれ、あの適正率っていうのは、私の脳との適正率?
そう。目も見えない、体も動かせない誠の新しい体を僕は探した。
1:00:00
だけど、まずはロボットの体に、機械の体に君を移し変えたんだ。
でも君の脳は、あの機械には馴染まなかった。
だから、僕は新しい人を探すことにしたんだ。
君の脳と適正する体、そして機械の体と合う脳をたくさんたくさん探した。
そして、やっと見つかったのが、羽風呂さんだったんだ。
じゃあこの羽風呂さんは、今はどうなってるんですか?機械の体に入ってるってこと?
そう。彼には寸分たがわの見た目の機械の体に脳を移し変えさせてもらった。
彼はもうとっくに退院しているよ。
彼はね、誠、そして僕を救ってくれたんだ。
あ、私そんな話知らない。
そうだね、これは僕が勝手にやったことだ。僕のエゴなんだよ。
機械の体に脳を移植するなんて、お父さんそんなことまでできたの?
ああ、奴らに力を借りたがな。
奴らって?
そういうことができる種族がいる。人ならざる者だ。
だけど、僕にとって君は、誠は全てだ。
死ぬまでの穏やかな時を、ずっと暗闇の中で生きることは苦痛でしかないと僕は思った。
僕以外の誰とも接することができない一生。
誰とも接することができない一生。
悠久の時間を切るには、その筒は窮屈すぎる。
だから、僕はその決断をしたんだ。
タブロさんはどうして体を私に譲ってくれたんですか?
彼はね、ちょっと面白がっていたよ。
こんなことは、なかなか望んでもできることじゃない。
機械の体でできる芸術はどんなものがあるんだろうって笑っていた。
そうですか、あの人、話してた時のことを思い出したら。
そうですね、そんなこと言ってもおかしくないのか。
でも、そこまでして助けてくれた彼に、私とお父さんは一体何を返してあげられるの?
1:03:09
そうだね、僕は彼が、彼の機械の体がずっと長く続いていけるように定期的にメンテナンスをしている。
そしてね、まこと、君は生きていればいいんだ。
それが彼にとっての報いともなる。
そして僕からのお願いだ。その体で生きていてほしい。
性別が違うし、生きていくことは簡単ではないだろう。苦しいこともつらいこともあるんだろう。
でも、この筒、バケツ一杯にも満たない窮屈な世界で僕と触れ合えないより、遥かに広い世界に出られる。
彼の芸術も見られる。僕のことは、父さんのことはどう思ってもらっても構わないから。だからどうか。
私にここまでして生きていくだけの価値、あったのかな?
当たり前じゃないか。さっきも言ったろう。僕にとって君は、まことは全てだ。
お父さんがそう言ってくれるのはすごく嬉しいけど、でも、私のために人を犠牲にするなんて良くないよ。
そうかい。でも、君は言ったじゃないか。生きるためには相手を殺してでも食べるって。
そうだね。あの名簿にあった適正率の低かった人たちはどうなったの?
大丈夫。みんなちゃんと退院して帰ってもらった。片山さんもあと少し治れば、今日か明日にでも退院できるだろう。
真代さんには、じゃあ私は男の声で喋る女口調の変な奴だと思われてたのかもしれないね。
まあ、部屋が違ったから姿は見えていないだろう。その姿が嫌なのかい?
1:06:02
そういうわけじゃないんだけど、これからどうやって生きていけばいいのか。
私はお父さんが背負った業を一緒に背負って生きていかなきゃいけないんだよ。
そうだね。僕だけが背負うつもりでいたが、君がそう思うのも仕方がない。
実はね、真斗。この話を真斗にするのは二度目なんだ。
二度目?
一度目は、この話を聞くと真斗はとても動揺し混乱し憔悴しきっていた。突然突拍子もない話を聞いたせいもあるだろう。僕の伝え方や順序も悪かったんだと思う。
真斗はこの移植手術に強く反対して、筒に戻せと言って聞かなかったんだ。
だから、だからね、真斗。僕は君の記憶を一度消したんだ。もう一度考え直してもらうために。
僕は、僕はね、真斗。君の幸せだけを願っているんだ。
そのためなら、嫌われても感動されても、僕のことを忘れられたって構わない。
真斗が幸せでいることだけを望んでいる。
なんてことをしたの?どうして私の意思は尊重してくれなかったの?
私、記憶を消される前の私は移植手術は嫌だって言ったんでしょ?
そうだ。
じゃあ、その私の意思を無視してでも、無視して得た私のこの命で本当に幸せになれると思ってるの?
そんなの無理だよ。
今は混乱しているし、びっくりしてるだろう。幸せだと思えないかもしれない。
だけどね、広い世界にはたくさんのものがあるんだ。
これから、たくさんのものを見て、たくさんのものを感じて、
真斗の大好きな友達と一緒に幸せを感じてほしいんだよ。
友達?
二度目の死は周りの人が防いでくれる。
1:09:11
そうやって私のことを説得するためのおしゃべりだったの?
そう。そうだよ。
お父さんの私のことを思ってくれる気持ちはすごく嬉しいけど、私はお父さんのことは許せない。
そうだね。
私はあなたを殺して自分も死ぬことも考えている。
そんなに嫌なのかい?
人知を超えた力なんて人が使っていいものじゃないよ、お父さん。
人知を超えた力でも、僕は愛する真斗を生かしておきたかったんだ。
お父さんの愛はすごく独りよがりだね。
そうだね。その通りだよ。
真斗はこの体で生きることは嫌なんだね。
私自身はそこまでして生きていく活躍は自分には見出せないよ。
そうか。
ではこの体は君が望むのであれば体を返すこともできるだろう。
彼が受け取るかどうかは別の話だけどね。
うん。彼が受け取るというのなら返してあげてほしい。
もし彼が機械の体を本当に本当に彼自身がそう望んでいるのなら
1:12:06
お父さんがきちんと責任を持って彼の命が尽きるその時まで
彼の体をちゃんとした状態で保ってあげてほしい。
ああ、今回もまた断られてしまうんだね。
だって私の脳だもん。
そうか。
また断られることがもしあったなら諦めようと思っていたんだ。
記憶消去の負担に脳は何度も耐えられない。
僕は真斗を完全に殺してしまうことになる。
だから今回しっかり話をして。
それでもダメだったら諦めるつもりでいた。
ごめんね。
泣かないでくれ、真斗。
この体を返していいんだね。
うん。私はきっとあの事故で助かるべきじゃなかったんだよ。
ここでもう死ぬ運命だったのが
お父さんのおかげで奇跡的に生きながらえることができて
こうしてまた話をすることができて
それだけでも十分だよ。
そうか。
わかったよ、真斗。
あなたは突然意識を失いました。
あなたは意識を回復します。
意識を回復するものの何も見えません。
体も動かせません。
おはよう、真斗。聞こえるかい?
うん。聞こえるよ。
そうか。
私またシリンダーの中に戻ったってこと?
そう。
ブロさんは?
体はね、受け取ってもらえなかった。
1:15:04
そっか。
あの人ちょっと変な人だったからな。
なんだか面白がっていたよ。
しかもね、元の体も取っといてくれって言うんだ。
取っといて?そんなこと言ってたの?
うん。なんか面白がっていたよ。
面白いからって。そのうち芸術にしちゃうかもって。
そっか。
まあでも、どうやってハブロさんが
私が受け取らなかった体を自分のために使ってくれるなら
よかったかな。
そうだね。彼は全然怒っていなかったよ。
うん。ハブロさんに感謝しないとだね。
ごめんね、真斗。
うん。私こそごめんね。
僕はさ、ちょっぴりズルをして君を救おうとしたんだ。
うん。
それで、また真斗を泣かせてしまった。
真斗の言った通り、僕は独りよがりだったんだね。
不思議だね。こんなに悲しいのに、私も涙も流せないんだね。
うん。その声が、その脳が、涙を流しているよ。
君は生きている。
うん。
涙を流せるってことは、生きてるってことだ。
お、お父さん。私のこと、愛しててくれてありがとね。
いいや。真斗こそ、生きていてくれてありがとう。
うん。
ごめんね、殺せなくて。
でも、もう終わりにしよ。
ああ、誓うよ。もう誰も巻き込まない。
うん。
僕と真斗と二人だ。
私の脳は、このままだと、いつ死んじゃうの?
分からない。このまま、保てなくて朽ちていくだけかもしれない。
うん。
でも、どんだけ朽ち果てても、僕は真斗を愛しているからね。
1:18:06
うん。お願い、私、私のこと、やっぱり殺してくれないかな。
どうして?
お父さん、お父さんがそばにいてくれてるうちは、きっと寂しくないんだろうけど、
いつお父さんが動けなくなっちゃうか、やっぱり分からないしさ。
私はさっきも言ったけど、事故の時に死んじゃうはずだったんだよ。
それに対してお父さんは、人様を巻き込んで許されないことをした。
やっぱり私はそれを許せない。
だから、お父さんは、自分でその責任を取るべきだと思う。
私を殺すということで、その責任を。
言うことも聞かないで、僕に殺せって言うんだね。
ごめんね、親不幸な娘で。
いいや、愛する大事な娘だ。
ありがとう、お父さん。
うん。
ああ、でも、そろそろ外来の患者を見に行かなきゃいけない時間だ。
うん。
後で、また来るよ。
わかった。待ってるね。
うん。じゃあ、そう言って医者は出て行きました。
いつもの日常、いつもの会話。
あなたが記憶をなくす前にしていた、ゆるやかな死に向かっての日常。
かといって、自分で自分の命を落とすこともできない時間。
あなたは、その時間は受け入れられないのかもしれません。
少なくとも今は、こんな時間が早く終わってしまうといい、そう思っているのでしょう。
音が聞こえます。
シンクトル不審話TRPG 片城アナザー これにて終了です。
お疲れ様でした。
お疲れ様でした。
1:21:00
ごめんなさいね。
いや、すいません。
泣いちゃった。
泣いちゃった。
後で、いろんな人に怒られちゃいそうですけど。
いやいや、とんでもない。
最後のサイレンっていうのは、何を意味知ってるサイレンですか?
多分ですけど、自首だと思います。
いや、殺してから行けよ。
何やってんだ、あの親父。
馬鹿かよ。
置いていくなよ。
どうすればいいんだよ。
えー。
まあね、メンテナンスしないと持たないとはもう。
なんかでも、緩やかに自分が朽ちていく時間を過ごさせる選択をしたのか、あのおっさんは。
つくづく自分のことしか考えてないな、本当に。
いや、もうね、お父さん3時0に近いんで。
そうなんだ。
まあ、そうですよね。
いやー、いかがでしたか?
いやー、びっくりしました。
どのあたりで?
びっくり。なんだろう、やっぱりそうですね、なんか自分が片城でいう、あきらのポジションになっていたんだねっていうのに、
片山が縛られたあたりで、うっそらそんな気はしてたんですけど。
しばっかり。
でもやっぱりいざ、その真実を明らかにされたときに、
あのとき自分は片城をしていたときに、そこまであきらの気持ちには寄り添えてなかったなっていうのにすごく気づいて。
えー、そうですか?
なんかね、あきらちゃんのためにって言って、一緒にカフェに行くんだっておっしゃってましたよね。
言ってましたね。
いやー、でも自分がその、いざ能になってた立場だったとしたら、やっぱり、
人の体で生きていくって、選べないなって思っちゃいました。
最初受け取ってくれるかなっていう感触があったんですけど、
なんか急にふっと、変わってしまった瞬間があったなって感じたんですが。
あ、ほんとですか?
いや、そうですね、なんかすごいお父さんの気持ちに答えてあげたいみたいな感情は確かに湧いたんですけど、
1:24:00
でも、やっぱり自分、過去の自分が拒否していたっていうのを聞かされたときに、
こいつ何してんだって思いましたね。
なるほど。
なるほどね。
やっぱり、私の意思を尊重せずに、押し付ける思いっていうのは愛じゃないだろうと、
そうなんですよね。2度目の話はね、出すか出さないか毎回悩むんですけど。
いや、なんかグズグズの状態の私に付き合わせてしまって、本当にすみません。
いやいや、そんなことないですよ。とっても良いシーンで、私もちょっとポロポロなのに。
いやいやいや。
いや、なんかもう、部長がシナリオやって泣いてるのを、何やってんだこの人って思ってたんですけど、まさか自分も泣いちゃうと思わなくて。
すみません、泣かせました。
泣かせました。
泣かせました。
泣かせました。
泣かせました。
泣かせました。
泣かせました。
すみません、泣かせました。
いや、すみません。
泣かせました。
いや、でもすごいなんか、キャラクターをやっぱり作ってると、そのキャラだったらどう考えるかなっていうワンクッションが間に挟まるので、
そこまで感情移入しすぎるってことはないんですけど、今回はかなり自分自身として話をしてたので、
なんかもうダイレクトに感情が揺さぶられました。
そうですか。
羽風呂さんじゃなかったら、まだマシだったでしょう、マシっていうか、
あの、らんらんちゃんと迷ったんです。
なるほど、なるほど。
だけど、らんらんちゃんが譲ってくれるかどうかがちょっと微妙だなと思ったので。
確かに。
実力講師に出てもおかしくないですからね。
そうそうなんですよ。
でも羽風呂さんの解釈、さくやさんの解釈がめちゃくちゃ一致してて、
わかるって感じで、すごいキャラ詩読んでくれたのかなと思って。
読みました。
ありがたい、あの人は面白がりそう。
投票とはいはいっていう感じで受け取ってくれるかなと思って。
多分受け取ると思う。
はい、なんかね、キャラクターも勝手に使っちゃってごめんなさいでした。
いえいえいえ。
いや、すごい演出でした。ありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。
では、とりあえず録画は切りたいと思います。
感想最後に一言いただけますか。
感想、はい。なんかもう結構今までので喋っちゃったんですけど。
1:27:01
はい。
今までプレイしてきたTRPGとはまた一味違った楽しみ方ができたなってすごく思います。
こんな素敵なシナリオを楽しませてくれたさくやさん、本当にありがとうございます。
ありがとうございます。
それに前回の片城があっての今の感動だと思うので、さっぱさんにも同じくありがとうございますという気持ちです。
はい、ありがとうございます。
さっぱちゃんには今度また回します。
何人もこうやって練習をさせてもらっているので、刃物を研ぎ澄ましておりますので。
いやー、だいぶ鋭利になっているんじゃないでしょうか。
はい、ありがとうございました。
はい、ありがとうございます。
はい、切りたいと思います。
はい、録画終了しました。ありがとうございました。
楽しかった。
すいません、泣かせちゃって。
いえいえ、楽しかった。
よかったです。
でもちょっとやっぱり恥ずかしい。なんか泣いたことじゃなくて、キャラクターとしてのプレイじゃなくて、自分自身として話しているっていうのが、この録画、人様に見られるときはちょっとやっぱり恥ずかしいなって。
本当ですか。
じゃあ、後悔しないでおきますか。
いや、全然してください。大丈夫。
本当ですか。よかった。
なんかもう部長は見る気満々だった。
今後ろにいらっしゃるんですか。
今日はいないです。
そうなんですね。
でも、部活じゃなかったらいたと思います。
なるほど、なるほど。
部活があるんで、今日はいないんですけど。
めっちゃ見たい。横で見たいって言ってたんで。
いなくてよかったなと思いました。
そうなんですね。
じゃああれですかね、今までのアシユさんとメガネさんとピサさんが来てくださってて、
そうなんです。
3人を同じDMのグループにお招きして、そこへ今までの録画を放り込んでいるんですけど、
そう。
柴村さんもご招待してもいいですか。
じゃあお願いします。ピサさんのやつ見たいな。
はいはいはい。
全員分見られるようにしておきますので。
わーい、やったー。
また見てみて、お時間あるときに見てみてください。
はい、ぜひ。ありがとう。
ありがとうございます。
ご迷惑になってないならよかったんですけど。
え、全然全然。
他の方のプレイと比べてどうでした?
1:30:00
どうでした?
どうでした?
すごいざっくりした質問ですね。
あのですね、一番質問にサバサバサクサク答えてくれました。
本当ですか。皆さん悩んでる感じでしたか?
そうですね。悩むのはメガネさんが一番悩んでたし。
あの人優柔不断だから。
そうですね。
あしゆさんはまあ冗談とか入れながら、
ピサさんは、あの人は思考がすごく複雑なので、
いろんな角度からこうですかこうですかみたいな感じで。
なるほどなるほど。
ですね。一番ね、男らしかったですよ。
言い方変ですけど。
ああ、そっか。
食べちゃうあたりとかですか?
そう。誰もね、食べるなんて言わなかったので。
あ、うそ?そうなんだ。
びっくりしちゃって。
ああ、そうなんだ。
もう相手が最初から死んでたら食べるかなーっていうぐらいだったので。
なるほどね。
最初からざっくり殺してカッサバクとかかっこいいって。
もうね、本当に容赦よいようですね。
いやー、これはさっぱさんのも楽しみですね。
はい、ぜひ楽しみにしててください。
楽しみ。
はい、ありがとうございました。
はい、ありがとうございました。
いえいえ、こちらこそ。
久しぶりにさくやさんと一緒にできて嬉しかったです。
そうですね。久しぶりです。
織りかみ合いですもんね。
織りかみ合い、そうですね。
ね、またいろんなのに遊びにいらしてください。
はい、ぜひぜひよろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
じゃあ、めがねさんにもよろしくお伝えください。
寝かしてごめんねって。
はい、言っときます。
どうしよう、録画見てもらう前にちょっと泣いたのを秘密にしとこうかな。
録画多分明日には見られるようになってると思います。
あ、わかりました。
はい、ありがとうございました。
はい、ありがとうございました。
おやすみなさい。
おやすみなさい。
失礼します。
失礼します。