1. 小島ちひりのプリズム劇場
  2. #056 熱く語れない人
2025-11-15 10:08

#056 熱く語れない人

『趣味』のハードルが上がっているような気がします。

脚本・出演:小島ちひり
収録・編集:三木大樹(有限会社ブリーズ)

noteに本文を掲載中。
https://note.com/child_skylark

◇小島ちひり
7歳より詩を書き始める。
大学・大学院で現代詩を中心に近現代文学を学ぶ。
2013年 戯曲を書き始める。
2016年 つきかげ座を旗揚げ。3公演全ての作・演出を手がける。
2023年 プリズム劇場を配信開始。
日常の中の感情の動きを繊細に表現することを得意とする。
現在は表現の幅を広げるべく社会に潜伏中。

【X(旧Twitter)】
https://twitter.com/child_skylark
【note】
https://note.com/child_skylark
【Instagram】
https://www.instagram.com/child_skylark
【threads】
https://www.threads.net/@child_skylark
【戯曲アーカイブ】
https://playtextdigitalarchive.com/author/detail/360
【観劇三昧】
https://kan-geki.com/theatre/site/k7opwjrge5ne02y6

#ラジオドラマ #朗読 #物語 #シナリオ #脚本 #小説 #モノエフ朗読
#フリーランス #独身 #趣味
---
stand.fmでは、この放送にいいね・コメント・レター送信ができます。
https://stand.fm/channels/647871ce590eb774d1da4879

サマリー

このエピソードでは、多様な人生観を持つ登場人物たちが仕事や趣味についての悩みを語り合います。特に、一人暮らしやキャンプへの興味が描かれ、趣味を持つことの意義について考察されています。

仕事に関する悩み
小島ちひりのプリズム劇場
この番組は、小島ちひり脚本によるラジオドラマです。
プリズムを通した光のように、さまざまな人がいることをテーマにお送りいたします。
なかなか苦戦しているみたいだね。
そういうと、目の前の学生があからさまにうなだれた。
ええ、まあ。
何か行きたい業界とか、やりたい業種とかありますか?
特には。
会社を辞めた後、たまたま知り合いの紹介で、大学のキャリア相談の仕事を始めた。
今は週3回、10時から18時までこの席に座っている。
学生というのは面白い。みんないろんなことに悩んでいる。
勉強、恋愛、家族関係、就職。
考えなくてはならないことが多すぎて、しっちゃかめっちゃかになっている。
しかし、なんだかんだと言いながら、自分の力で突き進んだり、あるいは人知れず逃げてしまったりして、みんなここから立ち去っていく。
じゃあ、逆にNGは?こういうのは嫌だなとか。
残業が多いのは嫌ですかね。
わかります。俺も残業嫌い。
あと、
あと?
こう、会社に忠誠を尽くす、みたいなのがどうも苦手です。
あー、なるほど。
最近、こういう学生が増えた気がする。
個人の自由が尊重されるようになった結果、縛られることに嫌悪感を抱くらしい。
しかも、彼らの会社のイメージは、きっと昭和の猛烈社員とかのままなのだ。
会社に入った瞬間、すべての自由が奪われ、馬車馬のごとく働かされるのだと怯えている。
そういう意味では、働くことの意義や楽しさを、きちんと下の台に伝えてこなかった我々の責任でもある。
いいよな。菅江はさ、週に3回しか働いてないんだろ。
末永はそう言うと、顔を真っ赤にしながらハイボールを煽った。
まあな、その代わり40まで働きまくりましたから。
確かに、菅江がこうやって飲み会に顔を出すようになったの、最近だよな。
鈴木はケロリとした顔で、焼酎のロックを、もう4杯は飲んでいるだろうか。
まさか、人材派遣会社でバリバリの営業をやってた菅江が、あっさり会社辞めて、悠々時的なフリーランスになるとはな。
もともとそういう人生設計だったんだ。
若いうちに働きまくって、金貯めて、資産増やしてさっぱり辞める。
あとはやりたい仕事をのんびりやって暮らしていく。
俺はそういう夢のために、若い頃のすべてを仕事に捧げたの。
でもそれって幸せなのか?結婚もせず子供もいなくてさ。
結婚も子供もいないのは末永も鈴木も同じだろ。
俺は趣味の自転車が楽しいからさ。家族を持つと好きなように出かけられなくなるだろう。だからこれでいいかなって。
末永は?
俺は仕事と車があれば何もいらない。
菅江知ってる?末永また車買ったんだって。
マジで?
何?
写真見る?
見る?
そう言うと末永はスマホでスーパーカーの写真を見せてきた。
スーパーカーの前では末永が嬉しそうにサムズアップしている。
すげえ。
すごいよな。高級車売りさばいた金で自ら高級車買うんだもんな。
もう俺はこんなことはない。
菅江は?趣味とかないの?
正直二人みたいに熱く語れるものってないんだよな。
確かに大学の頃から何が好きってイメージないかもな。
お前らとか見てると楽しそうだしさ、何か俺にもハマるものがあるのかなっていろいろやってみてはいるんだけど。
例えば?スキーにスノボでしょ?うんうん。
ゴルフに城場に映画鑑賞、あとフェスにも行ったし、歌舞伎とかミュージカルとか見に行ったり。
めっちゃ幅広いじゃん。
菅江、それだけやってもしっくりくるものなかったの?
そうなんだよね。
まあいいんじゃねえの?今の生活に不満はないんだろ?
まあね。そうだよ。のんびり過ごすことが好きってことでいいんじゃない?
二人はそう言ったが、実は最近少し手持ちぶさたなところはあったりする。
もちろん大学に行っていない時間は最近の仕事によって変わるんだけど、
どんな相談にも答えられるようにはしておきたい。
しかし、中年一人暮らしというのは、それでも時間が余ってしまうのだ。
キャンプへの挑戦
はあ、ちょっと休憩。ソファーに寝転がり、テレビをつける。
芸人が一人暮らしをしているときは、
一人暮らしをしているときは、一人暮らしをしているときは、
ソファーに寝転がり、テレビをつける。
芸人が一人でキャンプをしている姿が映った。
キャンプか。調べてみると、初心者向けを立っているキャンプ場があるらしい。
道具もレンタルしてくれるそうだ。行ってみるか。
早速ネットで予約をした。
道具は全部貸してもらえるコースにして、当日は手ぶらで行けばいいらしい。
すいません。予約した素買いですけれども。
はいはい。フルレンタルコースでお一人ですね。
そうです。
お兄さん、キャンプの経験は?
ないですね。
でも、今日お一人ですよね?
はい。
大丈夫ですか?ダメなんですか?
普通はお友達とかと始めて、だんだん一人で来るようになる人がほとんどだから。
なるほど。確かにキャンプは道具も多いし、
使い方ややり方をレクチャーしてもらいながらじゃないと難しいかもしれない。
ちわーす。
その時、一人の若者が入ってきた。
あっ、小野くん。いいところに。
なんすか?
この人、この人の面倒お願い。
は?
男性はいきなり受付の女性に何か言われて戸惑っている。
この人ね、初めてなのに一人で来ちゃったの。
おお、まじっすか。
小野くん、面倒見てあげて。
えっ、そんな悪いですよ。この方もお客さんなんですよね。
ああ、いいっすよ。キャンプ好きの人が増えてくれるのはありがたいし。
小野くん、ありがとう。
あと、素人にやらされると迷惑なんで。
小野という青年の目は笑っていなかった。
菅井さんはなんでキャンプやろうと思ったんですか?
テレビで見て。
それだけ?
それだけ?
友人はみんな趣味があって楽しそうなんですけど、
俺はこれといって趣味がなくて何か見つけたいなって思って。
ああ、なるほど。
小野さんは?
親父が好きで子供の頃からよく行ってたので。
その時、でかい蚵が俺に向かって飛んできた。
その瞬間、キャンプもダメかもしれないと思った。
いかがでしたでしょうか?
感想はぜひ、ハッシュタグプリズム劇場をつけて各SNSにご投稿ください。
それでは、あなたの一日が素敵なものでありますように。
小島千尋でした。
10:08

コメント

スクロール