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S3E5 認知症を予防するワクチン
2025-06-12 22:30

S3E5 認知症を予防するワクチン

アルツハイマー病はヘルペスウイルスによって引き起こされるという仮説があります。それを踏まえ、「自然実験」で帯状疱疹ワクチンの認知症への効果を調べた研究の話です。

https://www.nature.com/articles/s41586-025-08800-x


感想

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あの、アルツァイマ病のウイルス仮説っていうのがあるんですね。
ヘルペスウイルスみたいなありふれたウイルスが、認知症、特にアルツァイマ病の原因の一つになっているっていう考えです。
ヘルペスウイルスには、後進ヘルペスや正規ヘルペスを起こすものの他に、水暴走を起こすものなどがあります。
こうしたウイルスは、一度感染すると、長い間体の中に潜んでいて、再び働き出すことがあります。
水暴走のウイルスが再活性化して、退場方針が起きるっていうのを知ってる人も多いと思います。
ヘルペスウイルスは、神経の中に潜伏して、脳の中に入り込むことがあります。
近年の研究によって、ウイルス感染とアルツァイマ病で見られる特徴的な変化との関係が報告されています。
アルツァイマ病には、アミロイドと呼ばれるタンパク質の異常な凝集が関与するんですが、
ヘルペスウイルスが脳の神経細胞に感染すると、アミロイドの蓄積が見られること、さらにアミロイドの塊の中にこのウイルスが存在することが示されています。
他にも、バイオ細胞や動物の実験で、ウイルスの感染再活性化によって神経細胞に障害をもたらす分子的な変化が起きることが報告されています。
それから、アミロイドは実はウイルスを封じ込める感染防御的な働きを持っているという研究結果もあります。
このことからウイルスが侵入すると、それを封じ込めるためにアミロイドが凝集するんだけど、感染や再活性化してこれが繰り返されることによってアミロイドが蓄積してしまうことがアルツァイマ病を引き起こしているという説も提唱されています。
さらに、人でヘルペスウイルスへの感染力やウイルスの再活性化がその後の認知症発症リスク増加と関係ある可能性も示されているんです。
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アルツァイマ病の原因は遺伝や年齢、生活習慣など多岐にわたります。
なので、あくまでも原因の一つとしてですが、こうした研究からウイルスがアルツァイマ病発症に関わっている可能性が示唆されています。
ヘルペスウイルスに対してはワクチンがあります。
体調方針ワクチンがそうなんですね。
もし本当にヘルペスウイルスがアルツァイマ病の原因であるなら、ワクチンの接種によってアルツァイマ病が予防できるということになります。
すでにこのワクチンを接種した人はたくさんいますから、これまでにもワクチンと認知症の関係を調べた研究が実際にいくつか行われています。
そうした研究では、ワクチンを受けた人と受けなかった人で、後で認知症になる割合を調べるという方法が取られています。
でもこの方法には一つ問題があります。
それは、ワクチンを受けた人と受けなかった人で、そもそも性格とか健康意識が違っていて、行動が違う可能性があるということです。
例えば、ワクチンを受ける人はもともと健康に気をつけていたり、医療情報に詳しかったり、教育レベルが高かったりするかもしれません。
つまり、認知症になりにくい要素を最初から多く持っている可能性があるわけです。
ですから、こういった研究では、ワクチンの効果として算出されるものが、実はワクチンを受けた人たちのもともとの行動習慣などの特徴のせいだったという可能性を排除することができないんです。
こうした注目している因子と一緒についてくる因子を、交絡因子と呼びます。
この交絡因子によるバイアスを完全に取り除くのは難しく、過去の研究ではこの問題を十分にクリアしているとは言えないのが現状です。
明確な答えを出すためには、ちゃんとした臨床試験を行う必要があります。
でも、ウイルスだけが認知症の原因ではないので、かなりたくさんの人で試験をする必要があります。
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さらに、認知症の予防効果を見るのであれば、もともと認知症を持っていない人が認知症になるまでの期間追跡しないといけないわけなので、長期間追跡する必要もあるわけです。
ですから、理想的には数万人をランダムに2つのグループに分けて、片方にワクチンを接種して、その後何年も追跡調査するというようなことができればいいわけです。
でも、このような規模の臨床試験はかなり大変なわけですし、体調方針を防ぐ有益なワクチンを半分の人には接種させないというのには倫理的な問題もあります。
でも、2013年イギリス・ウェールズで、意図することなく自然にこの実験が行われたんです。
今日は、認知症に対するワクチンの影響を調べることになった自然実験、ナチュラルエクスペリメントについて話していきます。
ポッドサイエンティストへようこそ、佐藤です。
今日紹介するのは、スタンフォード大学のマーカス・アイティング・ラニュール研究で、2025年4月にネイチャーに発表されたものです。
さて、研究のためにランダムにグループ分けして効果を調べるような実験を行うことが理想的であるわけですが、そのようなことが難しいこともあります。
特に経済学の分野で多いんですが、こういった時に自然実験の解析が行われることがあります。
自然に起こった精度とか環境の違いによって、たまたま実験をした時のように集団がランダムに分けられることがあります。
これを自然実験、ナチュラルエクスペリメントと呼ぶんですが、そのような状況になった過去のデータを探してきて解析するという手法です。
有名な例として、兵隊として戦争に参加することの、その後の人生への影響を調べた研究があります。
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単純に、戦争に参加した人とそうでない人を比較しても、参加する人というのは、そうでない人と性格や置かれている状況が違うので、本当に兵役の影響を見ているかわからないんです。
そして当たり前なんですが、たくさんの人を集めてランダムに半分の人を戦争に送るなんていう実験はできません。
1970年、アメリカはベトナム戦争への兵役を、誕生日に応じたくじ引きで決める制度を導入しました。
くじで日付が引かれるんですが、その日に生まれた人が徴兵されるっていう仕組みです。
ですから、戦争に参加するかどうかがランダムに決められたわけです。
後に、ノーベル経済学賞を受賞するヨシア・アングリスとは、1990年にこの自然実験を解析しました。
これで比較すると、徴兵された人は大学進学率が下がり、障害所得も減っていたことがわかったんです。
これはランダムに分けられた人たちを比較しているので、徴兵の影響そのものを測ることができたっていうことになります。
このように調べたい内容について、たまたま自然実験が起きていたのを探してきて、そのデータを解析することで、普通はできない実験の結果を調べることが可能になります。
今回紹介する研究では、体調方針ワクチンと認知症の関係についてこのような解析を行っています。
まず、水暴走は主に子供が発症する病気で、ヘルペスウイルスの初感染で起きますが、一度感染すると免疫を獲得します。
しかしウイルスは体の神経に潜伏して、過励などで免疫力が低下すると再び活性化することがあります。
これによって痛みを伴う帯状の発疹が現れるのが体調方針です。
この体調方針を防ぐために、2006年にゾスタバックスというワクチンが開発されました。
そしてこのワクチンがイギリスで本格的に導入されたのが2013年のことだったんですね。
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この時、イギリスの中でもウイルスは定期接種、つまり無料でこのワクチンを接種できる人を青年月日で区切ったんです。
具体的には1933年9月2日以降に生まれた人だけがワクチン無料接種の対象となり、それより前に生まれた人は対象外となりました。
この日より少しだけ前に生まれた人と少しだけ後に生まれた人っていうのは何か特別な違いがあるわけではなくて、ほとんど同じ年齢、同じ背景の人たちです。
それが政府がたまたま決めた日を境に分けられたわけです。
無料であれば多くの人がワクチンを接種するのに対して、この対象から外れた人はほとんど受けないっていう状態になり、
まるでランダムにグループ分けをする実験のように偶然に多くの人がワクチンを受けるグループとほとんど受けないグループに分かれたわけです。
さらにこの研究グループは、健康に関する電子データを数十万人分入手して、1933年9月2日より前に生まれた人と後に生まれた人に分けて、その後7年間の健康状態がどうだったかの解析を行っています。
まずワクチンを受けたかどうかなんですが、この日より前に生まれたワクチンが対象ではない人でワクチンを受けた人は0.01%程度でした。
これに対してワクチンの対象だった人では約半分、47%が受けていました。
では実際に対象方針に対して効果があったかなんですけど、ワクチン対象者では対象方針になった人の割合が20%程度減っていました。
ワクチンを接種した人は対象者の半分程度だったので、ワクチンを受けた人だけを考えると対象方針になる確率が40%程度低下していたということになります。
これは臨床試験での結果と同じぐらいだったということで、確かにワクチンの効果があるということが確認されました。
次に本題の認知症はどうだったかを調べています。
ワクチン対象者ではワクチン対象にならなかった人と比べて、7年間で新たに認知症と診断される割合が8.5%低下していたということでした。
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ワクチン接種率を計算に入れると、ワクチンには20%程度認知症を減らす効果があると推計されるということでした。
認知症の原因はたくさんあるということを考えると、これはかなり大きな効果であると思います。
この論文では、この後に、こんなふうに特定の日の直前の生まれの人と比べて、直後の生まれの人で認知症になる割合が減っているのが、本当にワクチンの影響であると考えていいのかを検証しています。
同じ時期に何か別の変化が起こっている可能性もあるし、ワクチンそのものの効果ではなくて、何か二次的なことが起きている可能性もあるので、この結果だけで結論を出すわけにはいかないんです。
例えば、ワクチンを受けた人では、退場方針になって病院に行く確率が減ります。そのせいで、認知症が見つかる確率が減っているだけの可能性もあります。
調べてみたら、実際には特に病院に行く回数は減っているわけではないということでした。他にも色々調べていたんですが、特にワクチン以外に理由となるものは見つからず、ワクチンそのものが認知症を抑えているんだろうという結論でした。
ではなぜ、退場方針ワクチンが認知症を予防するのか、ですが、筆者らは二つの可能性を挙げていました。
一つは、単純にワクチンがヘルペスウイルスの再活性化を抑制するからっていうものです。
退場方針を起こすヘルペスウイルスが働くと、神経にダメージが与えられて、炎症が起きてこれがアルザイマ病による認知症を起こすっていうのであれば、ワクチンがヘルペスウイルスを抑えることで認知症が抑えられるっていう考えです。
もう一つは、このワクチンが体の免疫システム全般を活性化するっていうものです。
ワクチンは特定のウイルスをターゲットにしているわけですが、それ以外に非特異的に免疫を強化することが知られています。
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で、これが認知症を予防しているっていう考えです。
この非特異的に免疫全般を強化する効果っていうのは、男性よりも女性でより強く現れることが知られているんですね。
それで、今回のデータを男女に分けて解析するっていうこともしているんですが、その結果、女性ではワクチンによる認知症リスクの低下が男性に比べてはるかに強く見られていました。
なので、この免疫全般に対する効果によって認知症が抑えられている可能性もあるということでした。
というわけで、この論文では、自然実験を解析することで、体状方針ワクチンと認知症の関係を調べていました。
ウェールズで、たまたま特定の日を境に多くの人がワクチンを受けるかどうかが変わったっていう状況を利用して、普通の臨床試験ではできない規模の比較を行っていて、その結果、このワクチンには認知症を抑える効果があることを示唆する結果を示したということになります。
自然実験を利用するっていうのは、経済学ではよく行われるんですが、医学研究でも少しずつ行われるようになってきています。
ただ、どうしても予測できない交絡因子があるっていう可能性をゼロにすることができないので、臨床試験ほどは確実なものではないっていう側面があります。
なので、決定的な証拠とは言えないかもしれないですが、綿密な解析を行っていて、ワクチンそのものの認知症への効果を支持する結果を示した研究となります。
さて、この研究の結果を踏まえて、対象方針ワクチンは受けたほうがいいのか?なんですが、この研究で対象としていたのはゾスタバックスっていう弱毒生ワクチンなんですね。
2020年に新しい組み替えワクチンが承認されていて、今では日本でもこちらが主流となってきています。
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一般に組み替えワクチンの方が安全性が高いんですね。でも生ワクチンの方が免疫システム全般を活性化する作用が高いとされています。
ですから、今、主流のワクチンが認知症に効果があるかは改めて検証が必要ということになります。
ただ、もちろん対象方針を予防する作用はあるわけですね。対象の年齢に制限はあるんですけど、定期接種ですから厚労省も接種を推奨しているわけです。
というわけで、該当する年齢の人で特に健康上の理由がない人は、認知症への効果に関係なく当然受けた方がいいということになります。
今日はこの辺で終わりにしたいと思います。最後までお付き合いありがとうございました。
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