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こんにちは、あおいさん。
こんにちは、さとしさん。
今日は久しぶりに会話形式での論文紹介をしていきたいと思います。
最初に僕から一つで、その後、あおいさんからでいいですか?
はい。
ここ数年、LSDとかマジックマシュルームの成分みたいな幻覚薬が、
鬱とかPTSDの治療に効果があったり、不安を和らげる作用があったりして、注目を集めているんですね。
幻覚を起こす薬っていうのはずっと昔からあって、以前から精神疾患の治療に期待されてたんですが、
乱用されることもあって、1970年くらいから麻薬扱いになって使用が禁止されたんです。
それに伴って研究も下火になってたんです。
でもやっと最近になって、抗鬱作用とか抗不安作用が再評価されて、臨床試験が行われるようになってきています。
オーストラリアでは少し前に、一部の幻覚薬が抗鬱薬として承認されたというニュースがありました。
でも、幻覚を起こすので懸念の声もあった気がします。
そうなんです。乱用されるかもっていう心配もあるんですけど、
治療中に幻覚を見るわけなんで、どう危険がないように管理するかっていう問題があるんで、
それを患者さんが家で使うというのは難しくて、専門的な機関でしか使えないということになります。
それに、臨床試験がやりにくいという問題があるんですね。
臨床試験では薬を投与した人と、わからないように効果のない偽の薬を投与した人を比較するわけなんですけど、
幻覚があると患者さんにわかってしまうわけなんです。
なので、理想的には抗不安作用とか抗鬱作用はあるんだけど、幻覚は起こさないという薬が開発されればいいんですけど、
そもそも幻覚が起きるから治療効果があるっていう可能性もまだ残っている段階なんです。
それで、マウスとかを使って、幻覚薬が脳の中でどういうふうに作用しているのかを調べる研究が行われてきています。
マウスで研究する場合には、DOIっていう薬物がよく使われるんですね。
これ、1970年くらいに開発された幻覚薬で、人にはあまり使われることはないんですけど、
マウスでは幻覚作用、抗不安作用、両方ともはっきり出るものなんです。
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でも、どうやってマウスで幻覚とか不安を測るんですか?
幻覚はヘッドツイッチレスポンスっていうのが指標になるとされています。
犬が水に濡れた時に水をふるために首から体を振るじゃないですか、ブルブルって。
マウスはあの行動を幻覚薬を投与すると頻繁にするようになるので、このツイッチの数で測るっていうのがあります。
不安は、いくつかテストがあるんですけど、エレベーターとプラスメーズっていうのがよく使われるんですね。
高い位置に十字型の通路が設置されていて、マウスはその上を自由に動けるんだけど、
中心から伸びる2本の通路には壁があって落ちないようになっているんですけど、残りの2本には壁がないんです。
不安な時には安全な壁のある方にマウスがいる時間が長いんだけど、不安じゃない時には壁がないところにも出てくるんです。
どっちにいるかの時間の割合で不安の指標にするっていうテストがあって、それがよく使われています。
だから、DOIみたいな薬物を投与して、このプラスメーズとヘッドツイッチを調べるっていう形でマウスをモデルにした研究がよく行われているんです。
2020年ぐらいに立て続けに発表されてたんですけど、マウスで不安を減らす効果はあるんだけど、ヘッドツイッチは起こさない薬物がいくつか見つかったんですね。
これ結構すごいですよね。
そうですね。治療に使えそうですよね。しかも、片方だけを起こす薬があるということは、幻覚と抗不安作用は別の作用ってことになりますよね。
そうそうそうなんです。
でも、本当にはっきりさせるために疑問として残ってたのが、この2つの作用が脳の別の場所での作用によるものなのかっていう点なんです。
一応、ヘッドツイッチを起こすのは脳のどこなのかは結構前に調べられていて、大脳皮質の体上皮質なんかが重要だと言われてます。
これは感情の調節を含めて工事の機能に関わる部分なんですね。
でも、抗不安作用については、幻覚薬がどこで働くか分かってなかったんですが、最近それを調べた論文が出ました。
これがサイエンスに掲載されたミューアラによるものなんですけど、内容としては、普通に幻覚薬のDOIを投与すると脳全体に作用して、抗不安作用とヘッドツイッチが起きるんですが、
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細い管を使って脳に直接DOIを入れて、脳の一部分だけに薬を作用させるっていうことをしたんです。
不安と関係ありそうな部分に細かく場所を限定して入れていったんですけど、そうしたら、会場の特定の一部に入れた時だけ不安を下げる作用があったんです。
会場っていうのは、記憶に関わる領域なんですね。
興味深いことに、こうやって会場に薬を入れた時にはヘッドツイッチは起きなかったんです。
だから会場のこの部分っていうのは、抗不安作用には関係あるんだけど、幻覚には関係ないっていう話だったんです。
なるほど。幻覚薬が作用する場所を限定することで、抗不安作用に関わる脳の部位を特定したっていうわけですね。
で、それが幻覚を起こす場所とは違っていた、そういうことですね。
はい、そうなんです。さらに細かくこの領域のどの神経細胞が働いているかっていうのを突き止めていて、
その神経を人工的に活動させたりとか、働きを抑制したりすると不安が減ったり増えたりするっていうところまで示していて、
確かにこの神経が不安の制御に重要であるっていうことを示していました。
なんですけど、同時期に別の論文も出ていて、そこでは同じDOIを使ったときに、
抗不安作用には前頭・前夜っていう、会話とは別の場所が関係しているっていうことを示してたんです。
不安に関わる場所が2つの論文で違うということは、どちらかが間違ってるっていうことですか?
不安を含めて感情ってすごい複雑ですから、関わってる場所が複数あるっていうのは不思議ではないとは思うんですね。
全く違う実験的なアプローチだったので、手法の違いで別の場所を見つけてきて、
どちらも正しいっていうこともあるし、もっと他にわからないことがたくさんある可能性もあるんじゃないかなと思います。
なるほど。ちょっと気になってたのが、マウスのヘッドツイッチが幻覚の指標だっていうことでしたが、
マウスは幻覚を見ているんですか?っていうか、そのヘッドツイッチが幻覚と関係あるっていう根拠はあるんでしょうか?
あおいさん、それ素晴らしい指摘です。
人間で幻覚を起こす薬をマウスに投与するとヘッドツイッチが起きるので、
だから幻覚と関係あるんだろうっていうことなんです。
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それで幻覚のモデルとして見なされることが多くて、論文にもそうやって書いてあることが多いんですよ。
でもこれはちゃんとした根拠にはなってなくて、必ずしもそうではないっていうことを指摘している人はずっと前からいるんです。
マウスに幻覚を見ているか聞くっていうことができないんで、本当のところはわからないんですよね。
さっき、幸不安作用はあるんだけどヘッドツイッチは起こさない薬物が開発されているっていう話をしたじゃないですか。
こういうのが臨床試験で実際に人で試されないと、本当に人で幻覚なしで幸不安作用とか幸運作用が起きるかはわからないんですよね。
でもって、そもそもそれが目標の研究っていうところがあるわけなので、いずれそういう臨床試験は行われると思うんです。
なので、そう遠くない将来に結論が出るんじゃないかなと思ってます。
1つ質問があって、さとしさんってスマホゲームってしますか?
いや、全然しないですね。
そうなんですね。私もあまりゲームが得意じゃないんですよね。
ゲームアプリはほとんど入れてないんですけど、ポケポケっていうポケモンカードを集めるゲームだけは入れてるんですよ。
ポケモン好きなんですね。
そうですね。ポケモンスリープも一時期入れてました。
ポケモンスリープの方は睡眠時間を測って、それでポケモンを捕まえたりご飯をあげたりできるアプリなんですけれども、
これはちょっと飽きちゃってもうやめちゃいました。
でも、面白いデータがあって、このアプリ、世界中で10万人以上のユーザーから睡眠データを集めた結果、
日本のユーザーの平均睡眠時間が5時間52分と、7カ国の中で一番短かったらしいんです。
いかにもっていう結果ですね。
そうですね。もちろんこのデータには限界もありますが、
他の研究でも日本人は睡眠時間が短いってよく言われてますよね。
というわけで、今日は睡眠不足の脳への影響を調べた研究をご紹介しようと思います。
まず、睡眠不足の時って、頭がぼーっとしたりイライラしたりしませんか?
誰しも一度や二度はこんな経験があると思うんです。
それって、睡眠不足が脳の認知機能やメンタルヘルスに悪影響を与えているからなんです。
特に今回の研究では、睡眠不足で脳の状態がどのように変化するかを調べています。
ここで鍵になるのは、脳の中のシナプスという構造です。
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シナプスって何かというと、ちょっとイメージしていただきたいのが、
脳には神経細胞がたくさんあって、それがまるで電話線でつながっているみたいな感じで情報をやり取りしているんです。
そのつなぎ目の部分がシナプスになります。
シナプスでは、一つの神経細胞から別の神経細胞へ情報が伝わるんですが、
人間の脳には何兆ものシナプスがあると言われていて、
このようなつながりがあることで、神経細胞は情報を伝えたり保存したりする回路を作っているんです。
それから脳というのは、機能極在と言って、部分ごとに異なる役割を担っています。
例えば、おでこの方、前頭葉は思考や判断、逆に後ろの方、後頭葉は目で見た情報の処理を担っているというような具合です。
脳の中で学習や記憶に重要なのは、脳の内側にある階場という部位や大脳皮質。
階場は記憶の形成、皮質は記憶の保持を行っています。
脳の各部位には無数の神経細胞があって、無数のシナプスによってそれらの神経細胞がつながっているのですが、
寝ている間にその回路の整理や調整が行われていると考えられています。
睡眠って脳のメンテナンス時間みたいに言われたりしますよね。
でも、寝不足だとどうなるんですか?
睡眠不足の状態だと脳の調子がおかしくなると考えられていますが、
睡眠が脳にどんなことをしているのかはまだよくわかっていないんです。
これが今回のポイントです。
2024年のカレントバイオロジーに掲載されたエディンバラ大学のデミトラ・コーカローディらの研究では、
マウスの脳を調べて、睡眠不足になるとシナプスの種類が見ることを発見しました。
つまり、この研究の目的は、睡眠不足が脳のシナプスにどのように影響するかを見ることといえます。
どうやってシナプスの変化を見ていったんですか?
はい。研究チームはこの研究で特別なマウスを使っていて、脳のシナプスに蛍光マーカーをつけて光らせていたんです。
簡単に言うと、シナプスの中にある特定のタンパク質、PSD95やSAP102という名前がついているのですが、
これらに光るタンパク質をくっつけたのです。
この状態で顕微鏡で脳を見てみると、シナプスが光って見えるようになるわけです。
その光るマウスを2つのグループに分けました。
1つは普通に寝かせて、もう1つは6時間寝かせずに、わざと睡眠不足にしたグループです。
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その後、マウスの脳を取り出して、顕微鏡でシナプスをじっくり観察するという処方がとられました。
マウスを6時間寝かせないって大変そうなんですけど、どうやって寝ないようにしたんですか?起こし続けたんですか?
そうなんです。ケージを軽く揺らしたり、おもちゃを入れて気を引いたりして、
ストレスが最小限になるように注意をしながら、マウスを起こし続けたというようなことが書いてありました。
ここからがこの研究のすごいところで、脳の125のエリアにある何十億ものシナプスを1つ1つ分析していったんですが、
まず、高性能な顕微鏡で脳のすべての領域を撮影します。
そのデータの分析は人力では無理があるので、コンピューターで自動的に解析するシステムを作り上げて、
すべてのシナプスについて、光っている部分の大きさや形、タンパク質分解速度、こんなものを測定していきました。
さらに機械学習を用いて、これはPSD95だけ、これはSAP102だけ、もしくは両方あるというような具合で3つのタイプに分けていって、
さらに細かく37のサブタイプに分類しました。これを125の脳のエリアごとに全部解析したんです。
この一連の解析をシナプトームマッピングと呼んでいます。
今時という感じのすごい膨大な解析ですね。
はい。このシナプス全体の状態、シナプトームを睡眠不足のマウスと、そうではない普通のマウスで比べたんです。
そうすると、シナプスの数には変化がありませんでした。ただ、シナプスの多様性が減っていたんです。
特に脳の皮質と会話のCA1という記憶に関係する部位で、シナプスのサイズや種類に変化がみられました。
多様性が減るっていうのはどういうことですか?
シナプスには様々な種類があって、それがシナプスの多様性を作っているのですが、睡眠不足になるとその多様性が減ってしまうんです。
どういう意味かというと、例えばケーキ屋さんにはチョコケーキとかチーズケーキ、モンブランショートケーキでたくさんの種類のケーキが少しずつあるわけですが、
多様性が減るっていうのは、ケーキの全ての数は同じ、総数は同じで、チョコケーキとチーズケーキばかりになってしまう、みたいな感じです。
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具体的には、タンパク質の分解がよく起きていて、タンパク質の寿命が短いシナプスが減って、タンパク質の寿命が長いシナプスが増えていたんです。
タンパク質の寿命が短くて、どんどん分解されて、どんどん新しいタンパク質が作られることが記憶に重要であるという仮説があるんです。
だから、睡眠不足によって寿命の短いシナプスが減ることで、記憶の形成に異常が見られる可能性があると論文では考察されていました。
なるほど。だから、睡眠不足でシナプスに変化が起きて、それが睡眠不足で物が覚えられなくなる理由かもということですね。
でも、この実験ではシナプスの変化が起きているということは示していますけど、それが記憶に異常をもたらすことは調べてないですよね。
そうですね。でも、実験でそれを調べるのは難しいので、この研究ではコンピューターモデルを使って神経細胞の反応もシミュレーションしています。
37種類のシナプスのタイプに分けられるということだったのですが、実験データなどからそれぞれのタイプのシナプスがどのような反応性を持つかのモデルがすでにあったんですね。
それを使って、睡眠不足によってシナプスの種類が変化したときに神経細胞の反応にどのような変化が見られるかを解析したんです。
その結果ですが、睡眠不足の状態では刺激に対する応答が変化していて、特に記憶と関係あるタイプの刺激への応答が低下していたということでした。
というわけで、シミュレーションの結果ではあるのですが、睡眠不足による脳の変化は記憶に異常を起こすのかもしれません。
この研究では、さらに起きているときと寝ているときではあまりシナプトームには変化がないということを示していて、6時間寝ていないと大きな変化があるということなんですね。
寝不足で調子が悪くなる仕組みとして、シナプスの変化がありそうだということを示した研究ということになります。
もちろん、マウスと人では脳のサイズや生活リズムが違うのですが、シナプスが記憶に関係している仕組み自体は人と似ているので、人の睡眠不足と記憶の関係においてもヒントにはなり得ると思います。
論文にも、睡眠が脳の柔軟性を保つ役割をしているというのは、人間にも当てはまる可能性が高いと書いていました。
やっぱりちゃんと寝るっていうのが大事だっていうことですかね。
そうですね。それが一番だと思います。
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じゃあ、もう遅いですし、今日はこんなところで終わりにしましょうか。
そうですね。
今日も最後までお聞きいただきありがとうございました。
ありがとうございました。