S4E13 いつ習慣となるのか
2026-10-22 21:41

S4E13 いつ習慣となるのか

習慣が形成されるのには、それなりの時間がかかります。しかし、その間に徐々に習慣へと変わるのか、それとも、突然習慣となるのかはわかっていませんでした。リアルタイムで習慣化を計測できる実験系を開発し、この点を明らかにした研究を紹介します。

https://www.nature.com/articles/s41467-026-71048-0


感想

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その、良くも悪くもなんですが、習慣っていうのは協力なんですよね。
例えば、何時から何時までは勉強すると決めて繰り返していると、自然に机に向かうことができるようになるわけです。
だから、毎回毎回、良い成績を得るために頑張らないと、みたいに目的を考える必要がなくなります。
そうやって意思決定を自動化することで、脳のリソースを節約して、もっと大事なことに使えるようになるっていう利点があります。
でも、その勉強中にお菓子を食べるっていうのを繰り返していたとします。
そうするとそれが習慣化して、最初はお菓子が美味しいから食べていたのに、習慣となった後は特に食べたくない時でも、ついつい食べてしまって太る、なんていうことになるわけです。
習慣化とは何なのかと考えてみると、最初は目的を持ってやっていたのが、繰り返すことで自動的に行われる状態に変わることです。
だから目的に基づく行動が習慣による行動に変わるわけです。
じゃあ、ある行動が習慣として行われたのか、それとも習慣化の前、目的に基づいて行われたのかをどうやったら判別できると思いますか。
目的に基づく行動であれば、その目的の価値が下がった状態にしてあれば、その行動が止まります。
例えば今のお菓子の例だったら、十分お菓子を食べた状態で勉強して、それでお菓子を食べないのであれば、お菓子を食べるっていう目的のために食べていたっていうことになります。
でももし十分お菓子を食べた後でも食べていたんであれば、習慣として食べていたと考えられ、こういったふうに見分けることができます。
こうした行動をした結果の価値を下げる実験で習慣かどうかを見分けることができるわけなんですが、こういった実験をマウスなどで行うことで習慣がどのように形成されるのかが少しずつ明らかになってきています。
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まず、これは実感があるところかとも思いますが、習慣の形成にはそれなりの時間がかかります。
ものによるんですが、何度も何度も繰り返されることによって目的に基づく行動が習慣による行動に変化します。
さらに習慣の形成に重要な脳の部位っていうのも明らかになってきていて、洗浄体の一部が必要なんです。
肺外側洗浄体、DLSっていう部分を破壊すると習慣化が起きにくくなり目的思考的な行動が維持されることが示されています。
さて、この目的に基づく行動と習慣による行動との切り替わりですが、どんな過程で起きるんでしょうか。
習慣の形成には時間がかかりますから、素朴にイメージするのは目的に基づく分が少しずつ減り、
習慣による分が少しずつ増えて、時間をかけて完全に目的思考だったのが完全に習慣に変わるといったものです。
実際このように移行は徐々に起きるっていう前提に基づいて学習に関する多くのモデルが作られていたりします。
でも習慣への移行は本当にゆっくりなんでしょうか。
習慣化には繰り返しが必要であったとしても、目的による行動が習慣による行動に変わるのは突然であるっていう可能性もあるわけです。
しかし先ほど話した行動の結果の価値を下げる実験は、細かく時間的な変化を追うのには適していないんです。
価値を下げるための操作を入れないといけないので、思考ごとに繰り返し測定することができません。
習慣形成が徐々なのか突然なのかは習慣化の仕組みを考える上で重要なんですが、これまでの方法では調べることができませんでした。
今日はリアルタイムで習慣化を調べる実験法を開発し、この問題に挑んだ研究を紹介します。
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ホットサイエンティストへようこそ。サトシです。
今日紹介するのは、2026年3月にネイチャーコミュニケーションズに発表されたジョーンズ・ホプキンス大学のシャーレン・ムーアラによる論文です。
さて、これまで習慣化の研究では主に結果の価値を下げる手法が取られてきました。
例えばマウスがレバーを押すと水がもらえるときに、水を十分に与えて水を得ることの価値を下げます。
それでレバーを押さなくなるのであれば、水を得るという目的のための行動になります。
逆にそれでもレバーを押すのであれば、それは習慣としての行動であるということになります。
でもこれだとテストするごとに毎回測定することはできません。
この論文では、水を求める動機を部分的に下げることで連続的に測定できる計を作っています。
まず、この事件の課題では2種類の音を聞かせます。
一方の音が鳴った後、給水口をなめると少量の水がもらえます。
もう一方の音の後になめても水はもらえず、待ち時間が加わるんです。
つまり水がもらえる音にだけ反応するという課題になります。
で、この課題を何千回も繰り返すんです。
このような実験では、マウスが報酬となる水を欲しがるように、普段飲める量の水を制限することがあります。
ただ、喉が渇いて水が欲しい状態では、目的指向でも習慣でも音が鳴れば反応します。
なので、行動だけを見ても習慣かどうかの区別がつきにくくなります。
かといって、水をたっぷり飲ませると水を欲しがらないので、習慣化以前に課題にあまり参加しなくなるんです。
そこでこの実験では、クエン酸を加えた酸っぱい水を自由に飲めるようにしました。
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マウスはこの水はあまり好まないんですが、他になければ水分補給のために飲みます。
そして実験で出てくる普通の水をより好みます。
こうすると、普通の水は欲しいけど、何が何でも手に入れたいほどではないっていう状態になるんです。
筆者たちはこの状態なら違いが見えるんではないかと考えました。
目的思考なら、そんなには水が欲しくないから反応が安定しない。
でも習慣となれば、水の欲しさに左右されなくなって、安定して反応するようになるんではないかっていう予想になります。
では、実際にこの条件で課題を行った結果です。
まず、酸っぱい水を飲んでいたマウスでは、普通の水がもらえるときによく反応する時間と、あまり反応しない時間が繰り返し現れました。
ただし、課題の学習ができてないわけではないんです。
しっかり反応しているときの成績を見ると、水がもらえる音にちゃんと反応していて、課題自体は学習できていたんです。
だからやり方はわかってるんだけど、いつでもやるわけではないっていう状態と言えます。
ところが、この課題を続けていくと、多くのマウスでこの反応のばらつきが突然なくなりました。
その後は、水がもらえる音に安定して反応するようになったんです。
統計モデルを使って解析すると、この切り替えはおよそ3回の試行の間に起きていることがわかりました。
切り替えが起きるまでには何千回も課題を繰り返しているんですが、この切り替え自体はほんの数回のうちに起きていたんです。
ですから、反応が急に安定化して、これが習慣化ではないのかっていうところなんですが、本当にそうなのかを確認する実験を次に行っています。
このためにヒッシャラは、結果の価値を下げるテストを行いました。
新しい方法で見つけた切り替えが本当に目的指向から習慣への切り替えなのかを従来の方法で確かめたんです。
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ですから、切り替えが見られる前のマウス、切り替えが見られた後のマウスに普通の水を十分に飲ませてから課題をやらせたわけです。
そうしたらまず、切り替え前のマウスでは水を十分与えると音への反応が減りました。
だから切り替え前では目的のために行動していたということになります。
逆に切り替え後のマウスでは十分に水を与えても音に反応していたんです。
だからこちらは習慣として行動していたと考えられるわけです。
さらに脳の一部を破壊する実験でも確認しました。
習慣化には脳の中の洗浄体、特にDLSという領域が必要であるという話でした。
もし先ほど示したクエン酸を飲んだマウスの音への反応が安定するという切り替えが習慣化を表しているのであれば、
習慣化に重要なDLSをあらかじめ破壊しておくとこの切り替えが起きにくくなるはずです。
実験の結果はその通りでした。
DLSを壊したマウスでは反応したりしなかったりする状態が長く続き、安定した反応への切り替えが起きにくくなったんです。
他にもいくつか実験をしているんですが、これらの複数の証拠からクエン酸を飲んだマウスの反応が安定したのは習慣化を表していると考えられます。
だから今回の実験は何度も繰り返し課題を行った後に習慣化が突然起きているその瞬間を捉えていると考えられるわけです。
というわけで目的に基づく行動から習慣による行動への切り替えは急に起きるようです。
ではその時、脳の中、洗浄体では何が起きているんでしょうか。
これには二つの可能性があります。
15:03
一つは脳の変化は徐々に起きているっていう可能性です。
脳の中で習慣による行動に関わる神経活動が少しずつ強くなり、ある位置を超えると習慣が行動を動かすようになるっていうモデルで、この場合は行動は急に変わるけど水面下で進んでいる脳の変化は連続的です。
もう一つは脳の活動自体もある時点で急に変わるっていう可能性です。
習慣として行動できる仕組みっていうのが脳の中にあって、それを使う状態へ突然切り替わるっていう形になります。
これを調べるためにマウスが課題を行うのと同時に洗浄体の神経活動を連続的に測定しました。
ここでは神経活動に伴うカルシウムの変化を光で計測する手法を用いています。
マウスごとに違うタイミングで行動が習慣に切り替わるわけなんですが、その時点を基準にしてその前後の脳活動を比べました。
この領域の神経活動なんですが、まず音を聞いた時に強い反応が起きて、その後反応が続くんですが、この後の反応が報酬、結果に関連すると考えられています。
解析の結果ですが、習慣への切り替えの前後でどのような変化が見られていたかというと、後で起こる神経活動、結果に関連する神経活動が低下していました。
しかもこの変化が行動の変化と同じタイミングで急に起きていたんです。
つまり行動レベルで突然習慣になった時に、洗浄体の中でも結果に関連する活動が減るという変化が起きていて、しかもこれが急に起きているという結果だったんです。
この結果は、習慣化の際に洗浄体の中での変化は徐々にではなくて、突然起きているという可能性を指示しているということになります。
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今回の研究では、クエン酸を含む水を飲ませることで、少し水への欲求が減った状態を作り、課題に対する反応が突然切り替わることを示しました。
さらに確認の実験を行うことで、この切り替わりが習慣化を表していることを明らかにし、そこから習慣化への切り替わりは突然起きることを示したということになります。
ただし、今回の実験で調べているのは、このような特定の条件のマウスなので、あらゆる習慣が同じように突然切り替わると言い切ることはできません。
それから、この研究では脳、洗浄体での神経活動も調べていて、習慣化が起きるときに同じように突然神経の活動が変化することを示しています。
以前の研究では、洗浄体のDLSを破壊すると習慣化が起きにくくなることが示されていました。
そうなると、DLSが働くと習慣化が起きるっていうシンプルなモデルが思いつきます。
でも、今回の研究ではDLSは習慣になる前から活動していたし、習慣化の後ではDLSでの結果に関する活動はむしろ低下していました。
なので、DLSによる習慣化の制御っていうのはそれほど単純ではないと考えられます。
また、ここでは触れませんでしたが、他に同じ洗浄体のDMSっていう領域も目的指向と習慣に関係があると知られています。
この研究ではここの活動も調べているんですが、こちらについても話は単純ではなさそうです。
それから、洗浄体の活動が習慣化の際に突然変化するわけですが、この変化をもたらす仕組みがあるはずです。
行動を何度も繰り返すことで脳のどの部分にどんな変化が起き、それがどう洗浄体に変化をもたらすのか、これが次の問いになります。
今回の研究は習慣化の仕組みを解き明かすための新しい手がかりを与えたと言えます。
21:15
今日はこの辺で終わりにしたいと思います。
最後までお付き合いありがとうございました。
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