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今日は、葵さんと会話形式で研究紹介をしていきたいと思います。
こんにちは、葵さん。
こんにちは、さとしさん。
いつも収録の時は、ネット経由でビデオ通話をしていますけど、ビデオ通話ってどう思ってますか?
最初、パンデミック中に使い始めた時は、違和感がありましたけど、今は生活の一部っていう感じで、良くも悪くもないってとこですかね。
そうですよね。でも、ビデオ通話って…
葵さん?葵さん聞こえてます?
こんな風にフリーズしたりすることがありますよね。
え、何?今のはわざとですか?
はい、そうです。今日は、ビデオ通話中の通信トラブルの影響を調べた研究を紹介したいと思います。
あー、そういうことなんですね。
はい。論文としては、2025年12月、ブルックスラによるネイチャーの論文になります。
最近では、仕事の打ち合わせや就職の面接、さらには医師の診察までオンラインのビデオ通話で行われることがあるんですけれども、
画面が一瞬止まるとか、ラグが生じる、音声がずれるといった、軽微な通信の不具合は誰もが経験していると思います。
でも、多くの人は、それが大きな問題だとは考えていないようなんです。
そうですね。ちょっと嫌ではありますけど、しょうがないぐらいにしか思わないですね。
でも、実際はどうなのかっていうところを調べるために、この研究では、通信の不具合が通話相手に与える影響を調べています。
まず最初に、実験ではなくて、既存のビデオ通話のデータを調べました。
アメリカで行われた初対面の人同士が25分ほどビデオ通話で会話をした記録があって、それについて約1600件の分析をしました。
参加者は会話後にアンケートに答えていて、相手のことをどう感じたかとか、技術的な問題があったかどうかについて報告をしています。
研究者が動画を実際に確認した上で分析をすると、不具合があった会話では、そうではない場合と比べて相手への好感度が低い。
そして話をきちんと聞いてもらえたという感覚が低いことが分かりました。
さらにもう一つ、現実社会のデータを使った解析もしていて、これはアメリカのオンライン仮釈放審査になります。
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アメリカでは、釈放するかどうかの審査がパンデミック中から一部オンラインで行われていて、そのデータを入手して解析をしたようなんです。
疑似録から不具合の発生を検出して結果と称号していくと、不具合があった審査では仮釈放される割合が約48%、不具合がなかった審査では約60%と約12ポイントの差があって、犯罪内容などを考慮してもこの差は消えなかったんです。
ですから、通信トラブルによる不具合によって相手の印象が変わるし、場合によっては重要な結果が変わってしまうということが示唆されました。
でも、これは観察研究なので因果関係は断定できません。
そうですね。印象が悪いような人だから悪い通信環境しか持ってないという可能性もありますね。
はい。で、この研究ではいくつか実験もしています。
そのうちの一つは、実験参加者に対してビデオ通話で試算運用のアドバイスをするというものなんですが、人工的に不具合を加えた場合とそうでない場合を比較しています。
その結果ですが、同じ話でも不具合があるとそのアドバイザーの評価が下がるというものでした。
他の実験でも同様で、通信の不具合があると通信相手の評価が下がるという結果が出たんです。
やっぱり通信トラブルがあると話が聞き取りにくいとか分かりにくいとかがあるからですかね。
いや、その点は主要な原因ではないという結論になっていました。
いくつか実験をしているんですが、聞き取りには影響のないような部分に不具合を入れても印象が悪いままで、理解できるかでは説明できないということでした。
じゃあ何なんでしょうか。
ヒッシャラは不気味さだと考えています。
不気味の谷ってあるじゃないですか。
人間を模したロボットやアニメがあまり現実の人間と似ていないと可愛く見えるけど、
かなり人間らしいけど完全ではない段階に来ると不気味さを感じてしまう現象のことなんですけれども、
不具合のあるビデオでも同じようなことが起きているんじゃないかという考えです。
ビデオ通話は実際に人が目の前にいるような感覚になるんですけど、
不具合が起きるとその不完全な人間らしさに違和感を覚えて、それで不気味に感じて好感度が下がるのではないかということなんですね。
これを調べる実験もいくつかしています。
決定的なのが先ほどの試算運用の実験なんですが、
まず不具合を入れると参加者はより不気味に感じたことを確認しています。
さらにこの実験では通信者の顔ではなくて、画面共有で資料を眺めながら通話をするという条件でのテストもしています。
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この条件だと顔を見ていた時と違って不具合があっても不気味に感じなかったし、通信相手の印象も悪くならなかったんです。
ですから通信の不具合によって相手の評価が下がるというのは顔を見ている時だけで、
それは顔を見ている時は不具合により不気味さが生じるからのようだという結論だったんです。
はー、いやまさか不気味の他にが関係あるとは思わなかったですね。
いやでも怖いですよね。就職の面接がオンラインのケースとかもありますから影響が大きいですもんね。
まったくその通りで、キッシャラも重要なものについては選べるんだったら対面を検討するのもいいかもしれないと述べていました。
でもそれだけではなくて、社会制度レベルの問題も指摘しています。
ビデオ通話を含めてインターネットは公平性を高めると期待されていましたが、実際には新しい不公平やバイアスを生み出している可能性が指摘されています。
ビデオ通話に関してだと、低所得層だったりインフラの整備の遅い地方在住者では安定した高速の通信が得にくいので、今回の結果を踏まえると不利なのがますます不利になってしまうという構造的な問題への懸念も表明していました。
なるほど。モバイル回線を含めてですけど、高速インターネットはもはや生活に必須のインフラですから、アクセスの公平性というのも重要ですね。
そうですね。あとは最低限このようなバイアスがあると知っていることも重要かもしれませんね。
そうですね。じゃあ私の方からは、人はどんなものを見て綺麗だとか、なんか好きだと感じるのかを調べた研究の話をしたいと思います。
はい。
動物が何かを好ましいと感じるのには意義っていうか、そう感じた方が生きていくのに都合がいいからっていうのがあるんですね。
例えば甘いものは美味しいわけですけど、砂糖みたいなエネルギーになるものを好ましく感じれば、食べて栄養が得られて生存にプラスになるので、そう感じるわけなんです。
じゃあ見たときに綺麗だとか心地いいって感じるものも、なんか都合がいいものでありそうっていうことになります。
今日紹介するのは、最近PNASネクサスに発表されていたイーカイ・タンラによる論文なんですけれども、ここでは美しさの判断にエネルギー消費が関係しているっていう仮説の下、研究を行っていました。
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脳は大量のエネルギーを使う臓器で、体全体のエネルギー消費の約20%を脳が行っているんです。
しかもその半分近くが視覚に関わる処理だと言われているんですね。
今回の研究者らが考えたのが、脳にとって処理の負荷が小さいものほど、見たときに人は美しい、美的に好ましいと評価するのではないかっていうものだったんです。
神経が活動するほどエネルギーを消費するから、エネルギーを節約できるものの方が美しいと感じるという仮説ということですよね。
そういうことです。
なんでこんなことを考えたかっていうと、対照的だったりとかノイズが少なかったり、あるいはコントラストが適度な図形なんかが好まれるっていう現象が知られていたんです。
人の顔でも多くの人の顔を重ね合わせて作ったような平均の顔が美しいとされたりするんです。
そういえば左右対照の顔が美しいとされるっていうのは聞いたことがあります。
対照っていうことは情報量が少ないっていうことになるわけなんですけど、人はそういう理解しやすさ、見やすさを心地いいものとして感じやすいっていうことなんです。
でも、なんでそんな傾向が生まれるのかについて十分な生物学的な説明は今までなかったんです。
それで今回の研究チームは、特定のものを見たときに好きかどうかと、視覚に関わる神経ネットワークで動員される神経活動の量との関係を調べたんです。
この神経活動の量っていうのが消費エネルギー量、情報処理のためのコストの量って考えることができるわけです。
この研究ではまず最初に1000人を超える参加者に数千枚の画像を見せて、どれぐらい好きかっていう美的な好感度を評価してもらいました。
これでどの画像が平均するとどれぐらい良いと感じるのかっていうのがまずわかります。
次にこの数千枚の画像それぞれがどれだけ情報処理するのにコストがかかるのかを調べていくんですけれども、まずは計算モデルでの解析を行ってます。
ニューラルネットワークっていうのを使うんですけど、これは動物の神経を模したものをコンピューター上に構築して、このネットワークに情報処理をさせるっていうものになります。
こういったネットワークは学習をするんですが、すでに学習を終えて人の資格に近い働きができるニューラルネットワークっていうのがあって、これに先ほどの画像を次々と入力していくんですね。
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特定の画像を通した時にネットワークの中のどれだけ多くの計算ユニットが反応しているのかを数えました。
このニューラルネットワークは人の視覚系を真似て作ってあるんで、この計算ユニットっていうのが一つの神経細胞に相当するわけなんです。
それぞれの画像を見せた時にどれだけのユニットが活動してたかっていうのは神経の活動量の目安として使えるわけで、それで画像の処理コストを推計したっていうことになります。
じゃあシンプルな画像の方がニューラルネットワークでの神経の活動が少ないっていう感じですか?
そう、そういうことです。結果なんですが、そんな大きな差ではないんですけれども、モデルで推定されたコストの小さい画像ほど人間が見た時の評価が高いっていう傾向が現れたんです。
具体的にはシンプルなパターンの風景とか輪郭が明瞭な物体の写真なんかが好まれてるっていうことで、こういった画像は処理コストが小さいっていうことだったんです。
なるほど。
これはあくまでもコンピューターモデルの結果なんですよね。さらにこの研究では実際に人の神経活動はどうなのかを調べる実験もやってるんです。
実験参加者が4人と少数にはなるんですが、画像を見ている時の脳の神経活動をファンクショナルMRIで調べています。
ファンクショナルMRIは異論もあるんですけど、神経の活動を間接的に測定しているとされています。
特に視覚やっていう視覚情報を処理する領域での結果なんですが、好印象の画像では活動が比較的弱くて好ましくない画像ではより活動が起こるっていうことが確認されたんです。
これも小さな差ではあったんですが、ミューラルネットワークの時の結果と同じで好ましいと感じる画像では神経の活動が少ないっていうことが実際の人の脳でも示されたっていうことになります。
なので、たくさんある要因のほんの一部であるかもしれないですけれども、情報処理の負荷の小さい画像を好ましく感じるっていうことが示唆されたということになります。
へー、でもなんとなく美しいものを見ると脳の中は活性化しそうですけど逆なんですね。
そうですね。この研究では画像を見てもらって好きかどうかを判断するわけなんですけれども、その時にパッと見てどう感じたかを瞬時に判断してもらってるんですね。
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なので今回は直感的な美しさを評価しているっていうことになって、それについては処理が簡単なものが好まれるっていうことになります。
さらにここで言ってる活動が少ないっていうのは報酬とか感情の回路ではなくて、視覚情報を処理する視覚屋の話なんですね。
だから視覚系が画像を理解するためのエネルギーが少ないものを好ましいと評価するっていう感じで、脳の他の部位ではまた違うことが起きてるかもしれないです。
なるほど。それでいくと、ただ真っ白な画像ってどうなんでしょう。何もないのが一番簡単ですよね。
そう。その点については論文内でも言及がありました。認識モデルっていう考えがあって、意味がある情報を効率よく処理できた時に好ましさが高いっていう考えなんです。
その真っ白みたいに情報がないものっていうのは退屈で不快っていうことなんですね。これに対して情報をスムーズに処理できると心地いいっていうことなんです。
だから情報の量とスムーズに処理できたかどうかっていうののバランスで快不快の度合いが決まるっていう形になります。
今回は意味のある画像だけを使ってるので、意味のあるものについてはっていう限定になるわけなんですけれども、脳での処理コストが小さいものは好ましいと感じるっていうことが明らかになったということになります。
英語では魅力的であることをeasy on the eyes、目に優しいという言い方がありますよね。本当に視覚やに優しいものは美しいということなんですね。
そう確かにそうみたいですね。じゃあ今日はこの辺で終わりにしましょうか。はい。では最後までお聞きいただきありがとうございました。ありがとうございました。
ありがとうございました。