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よく見られる発話障害として、喫音があります。
主な特徴としては、音の繰り返しや引き伸ばし、あるいは発話がブロックされる現象があります。
例えば、「私は」と言おうとした時に、「わわわ私は」とか、「わーたしは」とかなったり、しばらく音が出せなくなって、言葉がスムーズに出てこないといった感じです。
喫音は非常に多く、障害有病率は5%程度になります。
多くは、2歳から5歳に始まるんですが、約8割の子供は自然に回復します。
ですから、特に言語療法などを受けなくても回復する子も多いわけです。
一方で、一部の人では、思春期とか成人期まで喫音が持続します。
現在のところ、自然回復を除けば喫音を完全に治す方法は確立していません。
ちなみに喫音には明確な性差があります。
子供では頻度に男女差はあまりないのですが、成人では男性が女性の約4倍多くなります。
これは女性の方が回復しやすいことが主な理由と考えられています。
でも、なぜ性別によって回復率が異なるのかについてはよくわかっていません。
喫音は、ただ発話だけの障害で知能には問題がない場合が多いんですが、その影響は後半に及びます。
子供では、いじめや不登校が起こりやすく、教育体験そのものが否定的になることも少なくありません。
成人においては、就職や昇進、その個人の評価に影響が出ます。
そしてその結果、喫音は自己評価の低下や鬱症状との関連も報告されているんです。
つまり、他者から能力不足とか緊張のしすぎっていうような性格に問題があるとみなされやすくて、
そのようなスティグマ自体が喫音者の生活の質を落としている原因の一つであると言えます。
しかし現在では、喫音は話す能力が欠けている状態ではなく、
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発話の制御とか神経発達の在り方に違いがあることによると理解されるようになってきています。
さらに双子を比べる研究などから、喫音のなりやすさには強い遺伝的影響があることがこれまでに示されてきました。
研究によって推定値には幅があるんですが、喫音のなりやすさの個人差の4割から8割程度は遺伝的な違いで説明できると考えられています。
こうした知見を受けて、これまで家族研究を中心に、喫音の原因となる可能性のある遺伝子がいくつか報告されているんです。
家族研究というのは、同じ家族の中でどれだけ起こりやすいかを調べることで、その背後に特定の遺伝子の影響がどの程度あるかを推定する研究です。
ただし、このようにして見つかった遺伝子は他の家系では必ずしも同じように再現されていないですし、喫音の遺伝率のごく一部しか説明できないこともわかっています。
ですから、喫音は1つや2つの遺伝子で説明できるものではなくて、非常にたくさんの遺伝子が関与すると考えられているんです。
このような遺伝子を童貞することは重要で、これらの遺伝子の機能から喫音がどのような仕組みで起こるのかがわかりますし、将来的には改善できるようになるかもしれません。
でも、喫音に関わる遺伝子はまだあまりわかっていないというのが現状で、喫音のメカニズムもよくわかっていませんでした。
今日は、喫音についての大規模解析を行った研究と、その中心的な役割を果たしたあるバイオテクノロジー企業について話していきます。
ホットサイエンティストへようこそ、佐藤です。
今日紹介するのは、バンダービルト大学のハナ・ポリコウスキイラによる研究で、2025年7月のNature Geneticsに発表されたものです。
喫音のようにたくさんの遺伝子が関与している疾患について、その原因遺伝子を突き止めようとすると、非常に多くの人のサンプルが必要になるんです。
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信頼できる遺伝子解析を行うためには、喫音のある人、ない人それぞれについて数万人ものDNA情報が必要になります。
このようなタイプの遺伝子解析を行うために、人のDNAサンプルと健康情報を数十万人分集めたバイオバンクというプロジェクトが各国で行われています。
例えば、イギリスのUKバイオバンクでは、50万人のデータが集められていて、実際に様々な疾患についてDNA解析が行われています。
今回の研究チームも、これまでこういった大規模な遺伝子解析研究に関わってきた研究者たちです。
喫音についても長年研究を行ってきていて、数千人単位の研究参加者を集めるなどしてきたんですが、遺伝子を突き止めるのに必要な数万人という人数を集めることはできないでいました。
また、UKバイオバンクを含めて既存の公共バイオバンクでは、喫音の有無について、サンプル提供者からデータを集めているものがなかったんです。
これは喫音が幼児期に自然回復することが多くて、命に関わることもない疾患なので、医療記録が残りにくいということが一因として考えられます。
このため、喫音については何十万人規模の解析が行われたことが今まではなくて、なりやすさに関わる多くの遺伝子は未童貞のままでした。
そんな中、この研究者らは、23&Meっていうバイオテック企業が提供している遺伝子解析では、喫音の有無についての質問があることを知ります。
23&Meはアン・ウォジスキらによって2006年に設立された遺伝子解析企業です。
人の細胞には23対の染色体があるんですが、会社の名前はその23と自分自身、Meと組み合わせたものになります。
つまり、自分の遺伝的な設計図を知るっていう意味が込められているんです。
この会社のサービスは、個人向けに各人の遺伝子に関する情報を提供するっていうものなんですね。
利用者が自宅で唾液を採取して、それを会社に送って、会社はそのDNAを解析します。
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数十万箇所に及ぶ遺伝子の配列を調べるんですが、その結果をオンラインで見ることができるんです。
その内容は多岐にわたっていて、自分の祖先のルーツ、体質、さらには一部の病気に関するリスクまでわかります。
中でも最も人気があるのが、祖先のルーツに関する解析です。
世界中の膨大な遺伝データベースと称号して、どの地域に由来するDNAをどれぐらいの割合で持っているかを推定するんです。
そうすると、自分の遺伝的ルーツは60%が東アジア、20%はヨーロッパ、10%はネイティブアメリカンといった具合に示されるんです。
さらに、母親型、父親型、それぞれの系統を辿る情報から、数万年前の祖先がどの地域に暮らしていて、どのように移動してきたかまで推定されるんです。
このように、自分のDNAからわかる遺伝的なプロファイルを知ることができるわけで、これまでは研究でしかできなかった遺伝子解析を、家庭でわずか数万円ほどで体験できる革新的なサービスとされました。
2008年にはタイム氏のその年の発明に選ばれて、未来の医療を先取りする存在として脚光を浴びたんです。
そして利用者は増え、数百万人規模になって、23&Meのデータベースは巨大になっていきました。
さらに注目すべき点として、23&Meは単に個人の好奇心を満たすツールであるだけではなくて、遺伝研究に貢献する資源としてもデザインされているんです。
データベースを匿名化した上で、研究利用に提供することも目的としていて、実際に利用者の約8割が承諾をしています。
この膨大なデータベースは、がんや糖尿病、神経疾患などの研究に生かされ、これまで数百本を超える学術論文が生まれているんです。
23&Meでは、個人の健康状態についての情報を集めるために質問票を送っていたんですが、この質問票の中に、これまで喫煙の経験があるかという質問が含まれていたんです。
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今回の論文の研究者らは、23&Meへの共同研究の依頼をしました。
その結果、喫煙の経験があると答えた約10万人と、ないと答えた比較の対象となる約100万人のデータへのアクセスを得て、この膨大なDNA情報の解析を行ったんです。
具体的にはGWASと呼ばれる解析なんですが、これはたくさんの人のDNAと体質の違いを集めて、その関係を統計的に調べる手法です。
大人数のデータを使うことによって、ごく小さな遺伝的な影響も見つけられるというものになるんです。
ではその結果なんですが、この研究では男性と女性、遺伝的背景の違いなど様々な解析を行って、最終的に喫煙のリスクと関係ある57箇所のDNAVを見つけました。
これらはすべてこれまでの喫煙研究では報告されてなかった新しい発見になります。
さらにはこの57箇所というのも一部であって、喫煙の遺伝的な影響は多くの遺伝的要因が少しずつ積み重なって生じるということも示していました。
この研究では23andMeの自己申告の結果を使っているという問題があるんですね。
だから本当に喫煙であるという保証がないわけです。
この研究者らはこれまで喫煙の研究を行っていたので、別の集団、臨床的に確認された喫煙の人のデータというのも持っていて、それを使った検証というのも行っています。
23andMeの解析から、喫煙のリスクが高いと判断される遺伝型というのを見つけてきているわけなんですけれども、
実際に喫煙を持っている人がそういった型を持っているかを調べるということをやっていて、確かにそうであるということを確認しています。
それから他に特筆すべきことがあって、今回見つかった57のDNA領域の一つ、VR系遺伝子についてです。
この遺伝子は以前の研究で音楽のリズム同期に関係するとされた領域にあるんです。
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その以前から喫煙者はリズム処理に違いがある可能性が指摘されているんですね。
それで喫煙とリズム処理の関係が疑われていたんですけれども、喫煙に関わる遺伝領域とリズム処理に関わる遺伝領域にオーバーラップがあるということが今回示されたわけです。
ですから遺伝子レベルでも喫煙とリズムに関係がありそうだということになります。
喫煙は遺伝の影響が大きいことがすでにわかっていたわけですが、今回の研究では具体的にどの遺伝領域がっていう点を明らかにしています。
今回の解析っていうのは集団内に保持されている遺伝子の変異の影響を見るタイプの解析なんですね。
でも同時期に別の論文も発表されていて、そこでは親から受け継いだものではなくて、個人で生じた変異の影響も大きいことが示されています。
このような研究でたくさんの遺伝子が関わっているっていうことがわかりましたが、それらがどのように働いて喫煙が生じるのかはまだこれからだっていうことにはなります。
他にも解明すべき問題はいろいろ残っていて、特に大きくなれば回復する喫煙と大人でも続く喫煙の違いなんかが興味があるところです。
それでもこれらの研究は具体的な遺伝領域を明らかにしたっていう点で大きな一歩なんですね。
喫煙は能力とか性格の問題ではなくて遺伝的な要因が大きく関与することをより明確に示した研究だと言えます。
この点はスティグマの解消に少なからず貢献すると期待されます。
さて、23&Meの創業者のアン・ウォジスキーなんですが、彼女には二人の姉がいます。
少女のスーザンはYouTubeのCEOでした。
YouTubeの親会社Googleはラリーページとセルゲーブリンによって創業されたんですけれども、最初は普通の家の車庫を借りてやっていたっていう話があるんですね。
で、その車庫を貸していたのがスーザンだったんです。
スーザンもその後Googleに加わって、買収後のYouTubeの責任者にまでなったんですが、2024年に癌で亡くなっています。
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アンの方なんですけれども、23&Meは非常に注目を集めて一時期は急成長したんですけれども、プライバシーへの懸念とか放棄性、一般向け事業の収益悪化などから経営破綻して破産手続きを行いました。
しかし2025年にはアン自身が買い戻して、研究を重視した新体制で再出発しています。
さらに次女のジャネットなんですけれども、医師で研究者でトップ大学の一つカリフォルニア大学サンフランシスコ校の教授なんです。
これに何か教訓があるわけではないんですけれども、なんかすごい姉妹だというところでした。
今日はこの辺で終わりにしたいと思います。最後までお付き合いありがとうございました。