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こんにちは、アオイさん。 こんにちは、サトシさん。
アオイさんはシーズン4になってから、今回初登場ですから、簡単に挨拶をお願いします。 はい、皆さんこんにちは、アオイと申します。
私は去年までオーストラリアの大学で神経科学を学んでいたんですけれども、今年からは日本で働いております。
どうぞよろしくお願いいたします。
アオイさんとは会話形式、ダイアログで研究を紹介するエピソードを時々やっているんですが、今回はその回になります。
じゃあ、アオイさんの方からお願いします。
はい、今日はアトピー性皮膚炎についての研究を紹介したいと思います。
アトピー性皮膚炎は皮膚が乾燥して痒みの強い湿疹を繰り返す病気です。
子どもで特に多いのですが、大人でも5%から10%に見られるとても一般的な疾患なんですね。
皮膚の湿疹は免疫が過剰に働いて炎症反応が起きることで生じるのですが、心理的なストレスがあると湿疹が悪化することが知られています。
つまり、ストレスがあるときは皮膚の乾燥や炎症、そして痒みがひどくなるんです。
でも、なぜ心理的なストレスが湿疹に影響するのか、脳から皮膚にどのように情報が伝わっているのかについてはよく分かっていなかったんです。
今回は、この点を調べた風弾大学・ジアホーティエンラによるサイエンスの論文を紹介します。
この論文では、最初にアトピー性皮膚炎の患者のサンプルを調べて、ストレスがあるときには何が起きているのかを調べています。
まず、ストレスが大きい人の方が皮膚炎の症状が強い傾向があることを示しています。
さらに、皮膚のサンプルの中の細胞の種類を解析していたんですが、ストレスの大きい人では炎症部位で免疫細胞の一種である抗酸球が増えていることが分かりました。
へー、抗酸球なんですね。抗酸球って寄生虫の苦情とかしている免疫細胞でしたっけ?
そうですそうです。他にアレルギーとの関係も知られていて、基幹死前息やアトピーの患者で増えていることもあります。
でも、皮膚炎については抗酸球だけでなく、様々な免疫細胞が関わっていることが知られているんですね。
それで、この実験でも何種類か調べているんですが、ストレスと相関があったのは抗酸球だけだったんです。
ですから、ストレスによる症状の悪化には抗酸球が関係あるのではないかとヒッシャラは考えました。
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なるほど。
ここから先はマウスを使って実験をしています。
そのためには、まずマウスでストレスによって皮膚炎が悪化するという現象を再現しないといけないわけです。
すでにマウスに塗るとアトピーのような皮膚炎ができる薬物が知られているので、それを使ってマウスに皮膚炎を起こしています。
さらに、この時にマウスにストレスを与えてどうなるかも調べていきました。
何種類かのストレスを与えているんですが、最も効果があったのが、高いところにある小さな台の上にマウスを繰り返し乗せるというものでした。
このような高所のストレスにさらされると、ただ薬物を塗っただけの時よりも皮膚炎が大幅に悪化していたんです。
さらに、抗酸球の数も増えていました。
なので、マウスでストレスによって皮膚炎が悪化するのが再現され、この現象をマウスで調べることができるようになったわけです。
この後は、この計を使ってストレスがどのように皮膚炎、特に抗酸球に影響するのかを調べていきます。
まず、ストレスが全身に伝わる仕組みですが、一般的に2つの経路が知られています。
1つはHPA経路と呼ばれるもので、これは脳の中の主小株から下垂体、下垂体から腹腎へとホルモンによって伝わっていく経路です。
腹腎というのは腎臓の上にある小さな臓器で、この経路が働くと腹腎からさらに別のコルチゾールというホルモンが放出されます。
コルチゾールはステロイドホルモンの一種で、これらがストレスがあることを全身に伝えるホルモンとなります。
正確には、マウスの場合はコルチゾールではなくて、コルチコステロンという少しだけ構造の違う分子になりますが、この経路は同じです。
もう1つの経路が交換神経になります。
これは脊髄からいろいろな臓器へと伸びている神経で、緊張状態になると脳からの刺激でこの神経が働きます。
そうすると、交換神経からノルアドレナリンという神経伝達物質が放出されて、様々な臓器に作用します。
ですから、ステロイドホルモンの経路と交換神経の2つの経路があるわけなんです。
この研究では、まず腹腎を摘出してどうなるかを調べています。
もし腹腎からのステロイドホルモンの放出がストレスによる皮膚炎の悪化を起こしているのであれば、腹腎がなくなればストレスを与えても皮膚炎の悪化は見られないはずです。
でも実際に調べてみると、腹腎がなくてもストレスにより皮膚炎が悪化するのは同じでした。
それどころか腹腎を摘出していないマウスよりも皮膚炎がさらに悪化していたんです。
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ですから腹腎はストレスによる皮膚炎の悪化を起こすわけではなくて、むしろ皮膚炎を抑える働きがあるということになります。
通常、湿疹の治療にはステロイドが使われますよね。
あれは腹腎のステロイドホルモンと同じ働きをする薬ですから、腹腎が皮膚炎を抑えるっていうのは妥当な感じがしますね。
そうですね。腹腎の方はこれによってストレスによる悪化には関係なさそうだということがわかったので、この研究では次に肛関神経の方に注目しています。
肛関神経の影響を調べるために、薬物を使って皮膚に到達している肛関神経を働かなくするという実験をしています。
この時にはストレスがあっても皮膚炎は悪化しませんでした。
ストレスによって抗酸球が増えるということでしたが、肛関神経が働かない時にはそれも起きていなかったんです。
ここから肛関神経がストレスによる皮膚炎の悪化を引き起こしていると考えられます。
さらにこの研究では肛関神経の中でも特定のタイプの神経がこの制御に働いていること、
この肛関神経が脳の中でもストレスに関係する領域まで神経回路としてつながっていることを明らかにしています。
次は肛関神経がどのようにして皮膚炎を悪化させるのかを調べています。
抗酸球を除去するという実験をしていて、この時はストレスによる皮膚炎の悪化が見られませんでした。
ということは抗酸球がストレスによる皮膚炎の悪化を引き起こしていると考えられます。
でも抗酸球がなくても皮膚炎自体は起きるので、抗酸球は皮膚炎の発生自体ではなくて、ストレスによる悪化の方に主に関係があるということになります。
最初に人のアトピー患者について調べた時に、抗酸球だけがストレスと相関があって、他の免疫細胞はそうじゃなかったわけですよね。これとも対峙が合いますよね。
そうですね。皮膚炎が生まれることには他の免疫細胞が関わっていて、抗酸球はストレスによる上乗せを起こすと考えることができるかなと思います。
それから最後に、交換神経がどのように抗酸球に作用しているのかも示しています。
2段階の反応をしているという結論なのですが、まず1段階として、交換神経が誘引物質を出して、それに抗酸球が引き寄せられて、抗酸球の数が増えます。
さらに、交換神経が放出するノルアドレナリンに反応して、抗酸球は炎症や痒みを引き起こす物質を放出するということでした。
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つまり、交換神経の働きにより抗酸球の数が増え、個々の働きも強まる、といった仕組みが明らかになりました。
うーん、なんかそのあたりは治療のターゲットにできそうですよね。
そうなんです。誘引物質の働きをブロックする薬物を投与する実験も行われていたんですけれども、その時にはストレスによる皮膚炎の悪化が抑えられるという結果を示していました。
ただし、交換神経の働きは主にストレスによる悪化の部分についてです。
以前、実際に抗酸球を標的にする薬の臨床試験が行われていて、それではアトピー性皮膚炎にはあまり大きな効果はないという結果だったみたいです。
全ての患者にではなくて、特にストレスレベルの高い人に限定して使用すれば、このような薬物も効果が見られるのかもしれません。
また、皮膚科治療にも薬だけではなくて、メンタルヘルシー評価やストレスや不安を減らす工夫を組み込むことが治療効果の改善につながるかもしれないと、この論文では述べられています。
なるほど。
じゃあ、私からも交換神経と免疫の関係を調べた論文を紹介したいと思います。
はい。
これがウエストレーク大学のポン・ジャンラによるセルの論文です。
この研究では組織乗材性メモリーT細胞、TRM細胞というタイプの免疫細胞に注目しているんですけれども、
この細胞は血液を巡回している免疫細胞ではなくて、皮膚とか腸みたいな組織に長く留まって、病原体が侵入すると攻撃するっていう見張り役みたいなことをしている細胞なんです。
さらにこのTRM細胞が皮膚癌の発生を抑えるのに重要だということがわかっています。
細胞に異常が生じて、それが無秩序に増えたものが癌なわけなんですけれども、異常な細胞がたくさん増える前に攻撃して癌を抑える役割をTRM細胞は持っているんです。
最近、神経が様々な癌を制御しているという研究が増えてきていて、これが注目されていますから、この研究では皮膚に到達している交換神経がTRM細胞に何か影響があるのではないかという考えでマウスを使って実験を進めていっています。
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まず交換神経の働きを抑制してみたんですが、そうしたらTRM細胞が増えていたんです。
先ほどの論文では交換神経が抗酸球という別の免疫細胞に直接作用しているという話だったんですけれども、こちらは作用は直接ではなくて間接的であるということを示しています。
TRM細胞に作用しているのは皮膚の一番外側を作っているケラチノサイトという細胞だったんですね。
この細胞からTRM細胞の元になる細胞を引き寄せるような物質が放出されていて、皮膚にTRM細胞が増えます。
交換神経はケラチノサイトに作用していて、交換神経から放出されたノルアドレナリンが作用するとケラチノサイトから出る有因物質が減って、それで皮膚のT細胞が減るという形になります。
うーん、なるほど。ということは、交換神経の働きが減るとケラチノサイトが働いて、TRM細胞が引き寄せられて、がんを監視する働きが強くなるということですね。
そう、そういうことです。
で、実際にがんを抑制するのかというのも調べています。
その方法としては、皮膚がんの細胞を少しだけマウスの皮膚に入れてみて、それが増えて目に見えるサイズの主要ができるかっていうのを調べるという形になります。
うーん。
で、結果としては期待通りで、人工的に交換神経の働きを抑制するとTRM細胞が増えて、主要ができるのも抑制されました。
それから先ほどの研究であったように、交換神経はストレスで活性化されるわけですよね。
なので、マウスにストレスを与えるとどうなるかも調べています。
ここでは、痛み刺激を起こす薬物を投与するとか、高速ストレスって言って、マウスを細いチューブに入れて動けなくするっていうストレスを与えてます。
で、これをするとTRM細胞が減ってたんです。
ふんふん。
で、高速ストレスの方は結果が示されてなかったんですけれども、少なくとも痛み刺激の場合ではガンの発生も増えてました。
なので、これらの結果から、ストレスで活性化する交換神経が皮膚でTRM細胞の数を制御していて、その結果、ガンの免疫的な監視に影響を及ぼすということがわかったということになります。
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ふーん。じゃあ、交換神経が働くとTRM細胞が減るということでしたが、先ほどのサイエンスの論文では、交換神経が働くと抗酸球が増えるという結果でしたから、免疫細胞への作用が逆方向ですよね。
で、同じようにノルアドレナリンが働いていても、受け取る側の反応が違うことで、一部の免疫反応は強くなり、一部は弱くなっているというのが、とても興味深いなと思いました。
うん、そうですね。しかも免疫細胞の増減っていうのは逆だったんだけど、それでもストレスで皮膚炎が悪化するっていうのと、ストレスでガンの監視が弱くなるっていうことですから、ストレスで悪いことが起きるっていうのは共通しているっていうのも面白いですね。
うんうん、確かにそうですね。
はい、というわけで、今日はストレスが免疫細胞にどういう影響を与えるかっていう話でした。じゃあ今日はこれで終わりにしましょうか。
はい。
では皆さん最後までお聞きいただきありがとうございました。
ありがとうございました。
はい、皆さんはじめまして、はじめましてじゃないですね。もう一回いきます。
皆さんこんにちは、葵と申します。