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S4Extra2 補足:運動すると記憶力が改善する別の仕組み
2026-08-06 08:27

S4Extra2 補足:運動すると記憶力が改善する別の仕組み

ミニシリーズ「脳と体」第4回


前回のエピソードの補足です。「S4E7 運動すると記憶力が改善する仕組み」を聞いてから、このエピソードを聞くことをお勧めします。GPLD1とは別の因子の話をしています。

https://www.nature.com/articles/s41586-021-04183-x


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みなさん、こんにちは。今日は前回の補足をしたいと思います。 なので、前回のエピソードを聞いてないっていう方は、あの前回のエピソードの方を聞いてから、こちらを聞くことをお勧めいたします。
で、前回は運動すると老化による記憶の衰えが改善する仕組みを調べた研究の話をしました。 運動したマウスの血液成分、血小を運動してない老齢マウスに注射すると脳の状態が良くなって、記憶テストのスコアも良くなったっていう研究が2020年にあったんですね。
そこでは、血液の中に肝臓から出てくるGPLD-1っていうタンパク質が、脳の血管に働いて脳に良い影響をもたらすっていう結果でした。
で、前回はほとんど触れなかったんですが、血液の中に老化に抗う因子が存在するっていう研究には歴史があって、今では複数の因子が知られているんです。
一般的な老化についてもそうだし、前回話したような運動に関係した老化の影響を改善する因子っていうのも既に複数知られているんです。
で、前回話したGPLD-1はその一つっていう位置づけになるわけですね。
で、ちょっと今回はその辺について補足をしていきたいと思います。
血液中に老化に対抗する成分が存在するっていう話は結構前からあったんですね。
有名な実験手法があって、ヘテロクロニックパラバイオシスっていう実験が
20世紀の半ばぐらいに行われたんです。
これは2匹のマウスを手術でつないでおくっていうことをして、そうすると血管がつながって血液が両方の個体を巡るようになるんです。
で、もちろん免疫の都合がありますから、遺伝的にはほとんど同じ個体で行うわけですね。
この2匹のマウスをつなぐんですが、若い個体と年を取った個体でつなぐと年寄りの方の臓器の機能が一部改善したんです。
で、このことから若い血液にはなんか若返りの因子があるんではないかっていう考えが出てくるんですね。
でも当時はまだ事件の行われた回数が少ないとか、その後に解析をする技術があんまりないとかで、その審議を含めて詳しいことはまだよくわかってなかったんです。
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でも最近になって新しい解析手法とともに改めて調べられていろんなことがわかってきました。
確かに若い血液には老化した期間を改善する因子がありそうだということがわかったんですね。
でもそれだけではなくて、年を取った個体の血液には老化をもたらす因子があって、それが薄まることも老化の影響を改善する可能性が示されたんです。
だから血液中の老化に関わる因子というのは複数あって、それらについていくつかがすでに実際に明らかになっているという段階になります。
これは普通の老化の改善という話ですよね。
前回は運動による老化の改善、特に脳の老化を改善する因子という話だったわけです。
前回の論文では主に年を取ったマウスで実験をしていたので老化の影響という話だったんですけれども、
あの論文の中では若いマウスについても調べていて、若いマウスでも運動すると記憶の成績が良くなるし、
若いマウスでも運動したマウスの血液を入れてやると記憶のスコアが良くなるということを示していて、
運動には年齢に関わらず脳の機能を改善する効果があるということを示していました。
これらの論文ではGPLD1に注目していたわけなんですけれども、運動による効果に関しても複数の因子が存在するということが知られています。
そういった研究の一つで、前回話した2020年の論文の直後に見つかった別の因子についても、ここで簡単に話しておこうと思います。
これが2021年のスタンフォード大学・ズリネ・デミゲルラによるNatureの論文です。
GPLD1の論文とやっていることはかなり似ていて、運動したマウスから取った血小を運動していないマウスに注射すると、
神経申請とか記憶テストでの成績が改善するということを示しています。
この論文の方では主に若いマウスで調べていて、必ずしも老化とは関係なく記憶を改善させるという話でした。
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GPLD1の論文と違うのは脳の炎症状態に注目しているという点です。
運動したマウスの血小を注射すると炎症に関わる遺伝子の働きが減っていたんですね。
炎症というのは脳の働きに良くないんだけど、それを抑える因子が血液の中にあるということになります。
この因子を探していくんですが、最終的にはクラスタリンというタンパク質に行き当たります。
これが肝臓などで作られていて、免疫反応の調節を行うことが知られている因子なんですね。
この論文ではこのクラスタリンが脳の血管に作用して神経での炎症を抑える可能性を示していました。
というわけでクラスタリンは効果としてはGPLD1と似たようなものを持っているということになるわけですね。
運動すると血液中に増える因子で脳の働きを改善するというのが共通しています。
さらに別の論文ではこれら以外にも複数の因子が報告されていて、運動による脳の働きの改善にはたくさんの因子が働いているということのようです。
その、なんか論文の話っていうのはそれだけを読むとそれが主要な、重要なものであるっていう印象を受けてしまうっていうのがあるんです。
だから片方の論文だけの話だとその登場人物が主役なんだろうっていうふうに思ってしまうんですが、
前回話したエピソードの話よりも実際にはもっと複雑なんだろうっていう補足になります。
じゃあ今日はこの辺で終わりにしたいと思います。
最後までお付き合いありがとうございました。
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