セントラルドグマの説明
今日は、用語解説をしていきたいと思います。今回もビデオ・ポッドキャストとなります。
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じゃあ、早速始めていきたいんですけれども、今日解説していきたい単語は、セントラルドグマです。
それから、タンパク質というのも話していきたいんですけれども、
生物学でタンパク質と言われたときには、一般でイメージするタンパク質という言葉とはちょっと違ってイメージすることがあるんですね。
今回はその辺まで話していければと思います。
まず、セントラルドグマというものを一番簡単に言うと、DNAの情報からRNAができて、RNAの情報からタンパク質ができるということなんですね。
DNAってよく聞くと思うんですけれども、DNAというのは遺伝子の実体なんですね。
遺伝子というのは、その生き物を形作って機能させるための設計図になるんです。
だから設計図なわけで、そのものには機能がないんです。だからDNAそのもので何かをしているわけではないんですね。
タンパク質をどう作るかの情報が書き込まれていて、このDNAの情報でもってタンパク質が作られるんです。
だから生命機能を司る実行部隊というのがタンパク質なんです。
一般的にはタンパク質という言葉を聞くと、栄養素としてタンパク質を摂った方がいいみたいな、そういう使われ方がするわけなんですけれども、
生物学では、もちろんそういう栄養素としての意味もあるんですけれども、機能を持つ分子であって、DNAの情報をもとに作られるものという、そういうイメージになるんです。
こういうふうにタンパク質が作られるときに、直接DNAの情報からタンパク質が作られるのではなくて、一旦RNAという分子で情報の読み出しを行って、そこからタンパク質になるんですね。
話をDNAに戻すと、DNAというのは遺伝子なわけで、遺伝子が親から子へ伝わるみたいに言うわけですよね。実際に伝わるわけなんです。
さらには、細胞ごとに全ての細胞がDNAを持っていて、一つの細胞が分裂したときには、また同じようにDNAを持った細胞ができてくるわけなんです。
つまり、DNAというのはそのコピーを作っていくんですね。だから、1個のDNAから同じDNAが2つできてくるんです。この現象を複製と呼びます。
英語だとリプリケーションですね。それから、遺伝子であるDNAからその情報をもとに、まずRNAというのが作られるんですね。この現象を転写と呼びます。英語だとトランスクリプションですね。
DNAとRNAって似たような分子なんですけれども、そこから全く違うタイプの分子であるタンパク質が作られるんですね。この過程を翻訳と呼びます。英語だとトランスレーションですね。
概要としてはセントラルドグマってこんな感じなんですね。これだけだとイメージが湧かないと思うので、複製・転写・翻訳というそれぞれのステップを見ていくことで、もう少し全体像を明らかにしていきたいと思います。
DNAの構造と複製
まず複製なんですけれども、ここではDNAってどんなものかっていうところまで含めて見ていきたいと思います。DNAなんですけれども、これは略語でデオキシリボヌクレイクアシドですね。頭文字を取ってDNAなんです。
この分子っていうのは単位になるものがあって、4種類あるんですね。A、T、G、Cですね。これが順々つなぎになっていくんです。1個のAかTかGかCかにまた別のAかTかGかCかがくっついてっていうのがずっとつながっていくんです。
すごい長い分子なんですね。ちょっと1個試しに書いていきますね。仮に例えばATTとかいってずっとつながっていってるっていう感じに分子がなってるわけです。さらにずっと続いてるということですね。
二重螺旋っていう言葉を聞いたことある人もいると思います。もしくはダブルヘリックスですね。そのDNAって構造上ですね、2本が一緒になってるんですね。
ここで重要になるのがですね、先ほど4種類あるって言ったA、T、G、Cが結合するんです。AとTが結合してGとCが結合するんですね。これは緩い結合なんですけれども、それでも必ずこの相手と結合するっていう風になってるんです。
この性質があるおかげで、1本の鎖のDNAがあると、それとくっつくペアになるものが反対側にくっついて二重の鎖になってるんです。
だから、A、T、T、G、Cとか言ってあったら、その反対側にですね、T、A、A、C、G、Gっていってくっつくことができるんです。
それがずっとつながっていって、お互いを補うような鎖になってるんですね。DNAっていうのはこういった構造で安定して存在していると。
細胞の中にあるんですけれども、細胞の中でも特に核と呼ばれるところの中にあるんです。複製なんですけれども、こういった細胞が分裂をするときにコピーされて、この2本鎖のDNAが倍になるわけなんですね。
ちょっとその仕組みをこれから見ていきたいんですけれども、2本鎖になってるわけなんですけれども、複製されるときにはこれが分かれるんですね。
だから2本で組みになっていた鎖が離れていくわけなんです。そうすると、今度はこの離れたものにくっつくものがまた鎖を作っていくっていうことなんですね。それが複製なんです。
だから今のこの例でいくと、ATTGCCってやつとTAACGGってやつがくっついていたわけなんですけれども、それが離れて1個のほうですね、ATTGCCってなってたやつには今度TAACGGっていって鎖ができていくわけですね。
同じようにもう1個のTAACGGだったほうにはATTGCCっていってできていくわけです。
これが終わったときには、もともと1組の2本鎖だったやつが2本鎖2つっていうふうに複製された、コピーが作られたっていうことになるわけなんです。
転写とRNA
コピーできて複製が完了したっていうことですね。
細胞が分裂するときには、この1組が1個の細胞に入って、もう1組がまた別の細胞に入ってっていうふうになることによって、2つ同じようにDNAを持った細胞が作られていくっていうことになるんです。
親から子へ遺伝子が伝わるときっていうのも大体こんな感じで複製が起きるわけなんです。
じゃあ次は転写ですね。ここまでは結構DNA短く書いてたんですけど、DNAっていうのは最初にも話したようにめちゃくちゃ長いわけなんですね。
それが2本鎖になっているわけなんです。
タンパク質が作られてくるんですけれども、DNAのすべての領域がタンパク質の情報を持っているわけじゃなくて、
タンパク質って何種類もあるわけなんですけれども、それぞれの情報を持った場所っていうのがDNA上に散在しているわけなんです。
それぞれタンパク質の情報を持っている場所1つっていうのが遺伝子、1つの遺伝子っていうことになるわけなんですね。
その遺伝子っていうのがたくさんあるわけなんですけれども、どの遺伝子もいつでも働いているわけじゃないんです。
働くものだけその細胞ではその情報が使われているっていう感じなんですね。
その情報が使われているとき、遺伝子が働いているとき、遺伝子が発現しているときにそのタンパク質の情報をコードしている部分だけ読み出されるわけなんです。
それを転写と呼びます。
仮に1個遺伝子が働いているとします。
ちょっとそこを拡大しておいて、DNAの配列が特定の配列があったとします。
DNAがくっついていたのが少し緩んで隙間ができるんですね。
その隙間のところでRNAが作られます。
RNAというのはDNAと非常によく似た分子なんですね。
RNAも略語なんですけれども、これはリボヌクレイクアシッドですね。
DNAはデオキシリボヌクレイクアシッドだったから、デオキシの部分だけが違うというので、非常によく似た分子なんです。
それからDNAとRNAで違うところなんですけど、さっき出てきたようにDNAというのはATGCの4種類があるんですけれども、RNAはAUGCの4種類なんです。
でもTとUというのはかなり似ていて、さっきDNAではAとTが結合していたんですけど、RNAの場合はAとUが結合するということなんですね。
DNAのAとRNAのUが結合できるという感じなんです。
さっきのこの構造が緩んでいる場所なんですけれども、だからここにRNAが作られていくわけなんです、ペアを作ることによって。
DNAとRNAの関係
それでここにUACCGGATCとか言って、RNAがずっと作られていくんですね。
さっきもちょっと話したんですけれども、DNAというのは核の中にあるんですね。
細胞の中に核という場所があって、その核の中にDNAが保管されているわけなんです。
こういうふうにRNA、特にこういったタイプのRNAをメッセンジャーRNA、mRNAって呼ぶんですけれども、
RNAワクチンのところでmRNAってよくニュースに出てましたよね。
このmRNAは作られるのは核なんだけど、核の外へ移動していって働くことができるんです。
つまりRNAっていうのはDNAのうちの必要な部分を読み出して持ち出すという働きがあるわけなんです。
次は翻訳ですね。
ここでタンパク質が作られるんです。
タンパク質っていうのはアミノ酸がつながったものなんですね。
さっきのDNAとかRNAっていうのは4種類しかつながっている分子がなかったんですけれども、
タンパク質は20種類あるんです。
さっきの転写のときはDNAとRNAが1対1で対応していたわけなんですけれども、
その4種類のものから20種類あるものへ情報を変換するということが行われるんですね。
それをどうやってやっているかなんですけれども、
mRNAとTRNAの役割、タンパク質の構造と機能
RNA3個分で1つのアミノ酸が決まるという形なんです。
だからその3個のRNAですから4×4×4個で64種類あるわけなんですけれども、
AAAだったらこのアミノ酸、AAGだったらこのアミノ酸みたいに対応が決まっているんですね。
しかもこのルールっていうのはどの生物でも同じなんです。
この対応表がコドン表って呼ばれます。
その3個のRNAの組1個のことをコドンって言うんですね。
それでコドン表っていう名前がついているんです。
じゃあこのメッセンジャーRNA、mRNAがこうやってあったとしますね。
今話したように3個の組になって1つのアミノ酸の情報を決めているわけなんです。
例えばこうやって3個ずつみたいに分かれているわけですね。
AUGGCC AUCCGGみたいな感じですね。
この情報がどうやって20個のタンパク質の情報に変わるかなんですけれども、
この3個のRNAにくっつくまた別のRNAがあるんです。
これTRNAって言うんですね。
だからちょっと立体的な構造をとっているんですけど、
このTRNAいろんな種類があるんですけれども、
その中に例えばAUGとぴったりくっつくTACっていうのを持っているやつがいて、
このTRNAっていうのはアミノ酸がくっついているんです。
この3個のRNAの配列ごとにそこにくっついているアミノ酸が違うんですね。
例えばこのAUGに対応するやつだとメチオニンっていうアミノ酸がくっついているんです。
これいろんな種類のやつがあって、
このGCCにくっつくやつだとアミノ酸としてアラニンっていうやつがくっついているんですね。
AUCだったらイソロイシンってやつですね。
さらにCGGだったらアルギニンってやつですね。
こんなふうにいろんなTRNAっていうのがメッセンジャーRNA状に並んでいくんです。
並んだら今度はこのアミノ酸同士がくっついていくんですね。
さらにこのTRNAからは離れていくんです。
これでまたどんどんアミノ酸がつながっていって長いタンパク質ができていくわけなんです。
タンパク質っていうのはアミノ酸がずっとつながったものなんですね。
なんですけど、ただまっすぐ並んでいるわけではないんです。
アミノ酸の構造によってタンパク質全体としても立体的な構造を作るんですね。
こういうふうに立体的な構造があるからまた別の分子に結合したりとか、あるいは化学反応を引き起こしたりするんです。
例えば抗体っていうのはタンパク質なんですけれども、抗体って外からやってきた分子に結合するわけなんですよね。
それから酵素っていうのもタンパク質で、それはまさに化学反応を引き起こしているわけなんです。
そういうふうにいろんな作用を持つことによって生命現象を起こす実行部隊として働くことができるんです。
というわけで一通りセントラルドグマについて見てきました。
だから遺伝子っていうのはDNAでできていて、DNAは遺伝情報を伝えるために複製をするということですね。
それからDNAから転写されてRNAができて、RNAが翻訳されてタンパク質ができると。
生命機能を持っているのはタンパク質であるというわけなんです。
DNAは人だと30億個あると言われていて、だから3ギガあるわけなんです。
遺伝子の数としては2万ぐらいだと言われています。
つまり遺伝子っていうのはタンパク質を高度しているものですから、タンパク質が2万種あるわけです。
そんなふうにそれぞれ機能を持ったタンパク質がたくさんの種類存在しているおかげで複雑な生命機能を行うことができるというわけなんです。
ちょっと繰り返しになるんですけれども、タンパク質って聞くと一般的には栄養素っていうイメージが強くて、筋肉増やしたいんだったらタンパク質たくさん摂りましょうみたいな話になるんですけれども、
生物学で言うときには何か機能を持つ分子っていう意味合いなんですね。
特に遺伝子から作られるそういうものっていうイメージになります。
というわけで、ポッドキャストの中でもDNAがどうとかタンパク質がどうとかいう話はよくするわけですね。
なので今日はその辺の解説をやってみました。
今日はこの辺で終わりにしたいと思います。