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2021-11-24 36:01

エピジェネティクスとは何なのか?その面白さと魅力【いんよう!コラボ エピジェネティクスとアニメ①】#39

ポッドキャスト番組「いんよう!」から牧野曜さんをお迎えして、ご自身の研究内容や科学者から見えるアニメの世界、科学のポッドキャストについてなど熱いお話をさせていただきました。全4話でお送りします。

第1回はエピジェネティクスとは何か?について。

【ゲスト】

牧野 曜さん (https://twitter.com/yoh0702)

ポッドキャスト「いんよう!」(https://twitter.com/inntoyoh)

https://podcasts.apple.com/jp/podcast/%E3%81%84%E3%82%93%E3%82%88%E3%81%86/id1419695844


エピジェネティクス: 一般的には「DNA塩基配列の変化を伴わない細胞分裂後も継承される遺伝子発現あるいは細胞表現型の変化を研究する学問領域」

クロマチン: 真核細胞内に存在するDNAとタンパク質の複合体のこと

ヒストン: クロマチンを構成するタンパク質。DNAは4種類のコアヒストン(H2A、H2B、H3、H4)から成るヒストン8量体に巻き付いて、ヌクレオソームを形成している。

セントラルドグマ: 遺伝情報は DNA→mRNA→タンパク質の順に伝達されるという概念のこと。

ヒストンの修飾: ヒストンの一部に特定の構造が結合して、クロマチン全体の形が変わることで遺伝子発現を制御している。アセチル化、メチル化、リン酸化などの種類がある。

iPS細胞: 細胞を培養して人工的に作られた多能性の幹細胞。 2006年に京都大学の山中伸弥教授らが世界で初めてiPS細胞の作製に成功し、2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞。

▶アセチル化、メチル化、ユビキチン化: DNAのリシン(アミノ基 = NH2を持っている)などにそれぞれ「アセチル基」「メチル基」「ユビキチン」と呼ばれる構造を結合させること。この結合を修飾とよぶ。

▶解離定数(KD): ある複合体がその構成分子へと可逆的にばらばらになる時に、より大きな方がより小さな構成要素へと分離(解離)する傾向を測る特殊な平衡定数。この値が小さいほど複合体として安定に存在できるため、特定の分子が受容体にはまり込む際の親和性の指標として使われる。

▶ミカエリス・メンテン式:酵素の反応速度に関する式で、反応するもの(基質)の濃度や生成物の濃度、最大反応速度などの完成性を表す。

次回、さらに生物の深みに迫ります。


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00:02
こんにちは、レンです。
シーズン11となる今回は、
ポッドキャスト番組陰陽とのコラボで、
牧野陽さんがゲストとして来てくれました。
実際に陽さんが研究してきたエピジェネティクスについて、
わかりやすく説明していただき、
科学者から見たアニメの話や、
これからの科学系ポッドキャストの話など、
本当に面白い話を聞くことができました。
それでは本編どうぞ。
今回のゲストは、
ポッドキャスト番組陰陽から牧野陽さんです。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
陽さんとはTwitterのスペースで、
偶然というか。
そうですね、僕が乱入していったというか。
乱入していただいたみたいな感じなんですけど、
そこからちょっとコラボのお話をさせていただいて、
今回お話しさせていただくことになりました。
ありがとうございます。
簡単に自己紹介と、
あとは引用の簡単な番組の紹介などあれば、
よろしくお願いします。
僕は自分のことについて言うと、
医学部を出た後に、そのまま臨床に行かずに、
基礎研究、基礎医学の研究をして学位を取って、
その後エピジェネティクスという分野の研究をしていました。
その説明は後でしたいと思います。
大学でずっと基礎研究、基礎生物学の研究をしていたという感じですね。
今年の3月に辞めて、今職を探し中です。
聞いている方で、何かいい仕事があれば紹介してください。
ある種の就職活動みたいな。
そうですね、これも就職活動の一環かもしれないですね。
それとは、平行してポッドキャストをやっていまして、
ビョーリー・ヤンデルという、ツイッターではちょっとした有名人だと思うんですけど、
その人と2人で平仮名で陰陽と書くんですけど、
というポッドキャスト番組を3年くらいやっていて、
科学のことを基本的には話そうということでやっているんですけど、
それ以外にも自分たちの好きなことを話しているということで、
アニメとか漫画が多いのかな。
僕ら研究している人は、みんな科学が好きで研究していると思うんですけど、
ちょっと敷居が高いとか難しそうと思われることもあるかなと思って、
僕の中では、アニメが好きなのも科学が好きなのもほとんど同じ気持ちなんですよね。
全然違うものだけど。
全く同じ思いを持っていますね。
ありがとうございます。
なので、同じ熱量でアニメと科学を同時に喋れば、
03:05
何かわかってくれないかなと思って。
そうですね。
だから、科学を中心にしつつ、
自分の好きなことを喋るというふうなパッケージには一応してあるんで、
だから、科学のことに興味がなくても、
アニメとか漫画がちょっと好きとか、他好きじゃなくてもいいんですけど、
ちょっと聞いてもらえればなと思います、思っています。
僕もなんかすごい科学系のポッドキャストに限らない話ですけど、
漫画とかアニメとか映画とかの並列に、
別に科学があってもいいんじゃないかなっていうのがすごい思ってて、
そういう意味で、だから僕も引用、
ポッドキャスト自分がやる前、全然前から聞いてるんですけど、
そうなんですか。
そうですそうです。
ありがとうございます。
僕自身も、刺さったりが、僕もアニメが好きっていうのもあるんですけど、
そういう結構自分にマッチしてるなっていうのプラス、
専門領域をアニメと結構同じレベルの熱量でしゃべるっていうのが、
すごい面白いなと思ってて。
そうなんですよね。
科学の場合、ちょっと共有しなきゃいけない前提情報が多いっていうハードルはあるんですけど、
そうですね。
そこは置いといて、
なんとなく、なんでこの人たちこんな一生懸命しゃべってんだろうみたいな感じで、
まま暖かく見守ってもらえればいいかなって思ってるんですけどね。
はい、そうですね。
今回なんですけど、引用の方では、
おそらくあんまり洋さんが自身の研究のお話とかをがっつりすることって、
あんまり多くないかなっていうふうに思っていて、
そうですね。
先ほどAPGENETICSに関するっていうところだったんですけど、
そういうお話とか、あとはそこから科学系のポッドキャストについてとか、
そういう話をいろいろ今日はできたらいいかなと思ってますので、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
そしたら最初、研究についてですかね。
そうですね。
生物学の基礎研究をしてたってことなんですけど、
入り口は医学部に入って人体の勉強をいろいろしなきゃダメっていうところからスタートしていて、
高校時代はどっちかというと物理とか数学が好きなタイプだったんですよね。
生物は選択してなかったので、全然知らなかったんですけど、
人体のことを病気のことも含めて勉強するにつれて、
興味が間接的に生物学に興味が出てきて、
大学卒業してそのまま大学院に入って、
医者にならずに研究をするっていう形になったんですけど、
それで大学院の時はどっちかっていうと基礎医学ですかね。
基礎生物学と基礎医学の違いって曖昧だとは思うんですけど、
06:03
結構かぶってるところ多そうですよね。
そうですね。結構オーバーラップはしてますよね。
人の体の仕組みが分かれば、
それが病気の治療法の発見につながるっていうことなんで、
人の体の仕組みを調べるっていうところは生物学の領域で、
病気の治療法を探すっていうのが医学っていうことになってるんですけど、
だから基礎医学の中でも生物学領域の、
まずは体がどうなってるのか調べようっていうことはもちろんやるので、
そこで結構オーバーラップはしてるんですけど、
大学院の時に研究してて、
多分僕は病気の治療法を探すってすごい大事なことだっていうのは分かるけど、
自分の興味はどっちかっていうと、
生物そのものがどういう仕組みで動いてるのかっていうことにあるんだなっていうことの途中で気づいたんですよね。
で、大学院に出て、その後ちょっと研究部屋に移して、
そっからエピジェネティックスの研究を始めるんですけど、
そっからは病気との関連っていうよりは、
純粋に生物の仕組みを調べるっていう方向に移行してったっていう形なんですよね。
なるほどなるほど。
どっちかというと応用っぽいところを勉強してて、
そうですね。
その土台になるところに潜っていったみたいな感じです。
そうですそうですそうです。
なるほど。
そこでエピジェネティックスを自分で選択したっていう感じになるんですか?
そうですね。
エピジェネティックスっていう分野は自分で選択しましたね。
なんか100%ではないんですけど、
講座の先輩でエピジェネティックスの研究をしてる人がいて、
その話を聞いて面白いなと思ったんで、
それで縁があってその人のところで研究をさせてもらうことができて、
そこから始めたっていう形なんですけど。
エピジェネティックスっていう分野自体がちょっと説明しづらいんですけど、
確かにそもそもエピジェネティックスとはみたいな話から始めないといけないですね。
そうなんですよね。
それもあってあんまり今まで話してこなかったっていうのもあるんですけど、
あとはあれですね、僕は自分に興味がないっていうのもあって、
人の研究の話の方が面白そうに見えるんで、
話をしてたんですけど、せっかくの機会なんで。
今日はですね、比喩として車のエンジンを使おうと思うんです。
さっきの医学と生物学の違いで言うと、
車の仕組みがどうなってるのかっていうのを調べるのが生物学で、
車が生物だとしたら。
医学っていうのは車が壊れたときにどうやって直せばいいのかっていうのを探すっていう学問領域。
09:02
大雑把なわけですよね。
生物の例えば細胞があって、
いろんな役割というかいろんなパーツがあるんですけど、
一応一番中心なのはゲノムDNAがあると。
そこに生物の作るための情報、
設計図みたいなのが全部入ってるっていう説明の仕方がよくされるんですけど、
これを車で例えると一番肝の部分ってことで、
エンジンかなと思うんですよね。
これなんとなくふわっとした比喩なんですけど。
なんとなくわかりますね、そこ。
で、ゲノムの中に載ってる情報、
設計図がどうなってるのかって調べるのは遺伝学って領域なんですけど、
遺伝子の遺伝ってやつですね。
あるいは子供に遺伝するみたいな遺伝ですね。
それ英語で言うとジェネティクスなんです。
遺伝子がジーンなんで、それに後ろにつけてジェネティクスなんですけど、
さらにその前にエピっていうのをつけてエピジェネティクスっていう言葉が生まれたんですよ、
何十年か前に。
それがエピジェネティクスなんですけど、
これは要はですね、エンジンそのものがどうかっていうことよりも、
そのエンジンの使い方、エンジンの制御の仕方を研究する分野だっていう風に思ってもらえるといいかなと思って。
なるほど、なるほど。
エンジンがあって、そこが車を動かす一番中心部なんだけど、
ただエンジンがあるだけじゃダメで、燃料をいいタイミングでいい量入れて、
火花をスパークさせて、燃料を燃焼させて、実際エンジンを動かすっていう、
その周りに制御するための仕組みがいっぱいあるわけじゃないですか。
その周りのやつを主に調べるっていうのがエピジェネティクスっていうふうに僕は思ってるんですけど。
なんかやっぱ制御みたいなイメージはありますよね。
そうですね、はい。
エピジェネティクスの正式な定義はちょっと違うんですけど、
違うんですね。
いやまあまあこれ、ヒューで全部表現しきると無理ですよ。
そうですね。
以上ちょっとウィキペディア、僕自身もエピジェネティクスの定義って1年に1回ぐらいわからなくなって、
調べたりするんですけど、なんだっけって思って。
ちなみにウィキペディアによると、
DNA延期配列の変化を伴わない、
細胞分裂後も継承される遺伝子発現あるいは細胞表現系の変化を研究する学問領域っていうことが書いてあって、
まあ確かにそうだなと思って。
エピジェネティクスの最も大元の定義に近いなと思うんですけど、
12:01
わかりづらいんですよね。
なんか情報量が。
そうですね。
長いし。
なので、ちょっと異論がある人はいるかもしれないけど、
今日はその遺伝情報をどうやって使うかっていう制御方法、
エンジンを、遺伝情報をエンジン、DNAをエンジンに例えるんだったら、
エンジンをどうやって制御してきちんと動かしていくかっていうのを調べる、
っていうようなイメージでいてもらえればいいかなと思います。
どうしようかな。
この後、DNAの具体的な説明とかもしようかなと思ってたんですけど、
あったほうがいいですかね。ちょっとマニアックすぎますかね。
全然マニアックなのがいいかなって思ってるんで。
そっか。サイエンマニアですもんね。
ぜひ聞きたいですね、そこは。
そうですね。
これは巷でよくされるというか、研究者がよくする説明なんですけど、
人のゲノムDNAって、
大体1本に伸ばすと2メートルぐらいあるって言われてると。
それが細胞の、それも核の中なんで、
数マイクロメートルぐらいの中に、
ちゃんとこんがらがらないようにして収まってるっていう、
驚異的なメカニズムがそこにある。
うまく収まってるっていう。
そうですね。
1メートルの千分の1が1ミリで、
1メートルの100万分の1が1ミクロなんで、
2メートルのものが数ミクロのものに収まってるっていうのは、
それぐらいのギュッとなってるっていう、
なんとなくイメージを持ってもらえればいいかなと思うんですけど。
そうですよね。目で見てわかる細い糸でも、なかなか難しいぐらい。
なかなか難しい。絶対イヤホンのコートとか超絡まるじゃないですか。
絶対あんなの収まらないですよね。
あれのめちゃくちゃ長いやつなんだけど、
こんがらがらないで、核の中にきちんと、
細胞の中に収まってるっていう事実があって、
それを多分調べ始めたっていうのは最初だと思うんですけど、
エプチェンティクス研究の一つの原理だと思うんですけど、
どうやってるかっていうと、
すごく紐みたいに長いゲノムDNAがあって、
どうやってまとめるかっていうと、
ヒストンタンパク質っていうタンパク質の一種があって、
その周りに巻くんですよね。
ヒストンタンパク質もちっちゃいものなんで、
一つに大体1.7回ぐらいしか巻けないんですよ。
それをそのヒストンタンパク質をずっと並べて、
樹脂みたいに並べて、そこにDNAを巻いていくっていうのが、
まず一つ方法としてあると。
さらに、ここから話がややこしくなるので端折りますけど、
15:00
それをさらに何重にも折りたたんで、
それで綺麗に核の中にスポットを収めましょうっていうのが一応、
ゲノムDNA、パッケージングって言いますけど、仕組みだと。
そのDNAと折りたたむために必要なヒストンとかっていうのを
全部合わせたものをクロマチンって我々呼んでるんですけど、
そういうクロマチンっていう状態にして、
きちんとちっちゃいところに収めるっていうのがあると。
こういうふうに構造をきちんと保つっていう役割があるんですけど、
生物は一つのものを一つの目的で使わないことが多くて。
限られたスペースでいろいろやるっていうことですね。
省エネに向かうんで、
一つのものに何種類も役割を与えて、
できるだけコストがかかんないように、
リソースを消費しないようにしようっていうふうにいくんで、
そのDNAをきちんと折りたたんで収めるために使ってたヒストンとか、
その周りのクロマチンに含まれるようなタンパク質を使って、
DNAに乗ってる遺伝情報をコントロールしようと。
生物の体っていうのは全部物質でできてるので、
コンピューターとかと違って、コンピューターは物質ですけど。
例えば、ゲノムDNAの中に遺伝子があって、
その遺伝子の情報を読み取ることによってそこからタンパク質を作るっていうのが、
一応生物学のセントラルドグマと呼ばれる中心定理ですよね。
そうですね。
その遺伝子から情報を読み取ってタンパク質を作るんだけど、
このDNA自体をですね、遺伝子があるところのDNA自体を
ギュッと折りたたんでおけば、そこの遺伝子情報が読み取れなくなる。
それはもう物理的にそこにアクセスできなくなるので。
イヤホンのコードで言うと、巻いてる状態だとコードに文字が書いてあったとして、
ぐるぐる巻きあったら読めないみたいな、そういう感じですよね。
なんかイヤホンのコードの真ん中にボリュームボタンとか付いてたりするじゃないですか。
あれを例えば遺伝子だとしたら、コードをぐるぐる巻きにして、
ボリュームボタンとかがあるところを隠してしまえば、そこ押せなくなりますよね。
そういう感じで。
そういうイメージですね。
で、遺伝子情報を読み取るって言っても、
生物、実際にそこに何か、タンパク質なり何なりがそこに結局遺伝子のDNAのところにくっついて、
くっつかないと情報を読み出せないので、
ハードディスクでいうヘッダーみたいなやつですよね、実際に。
レコードで言うとレコードバリみたいなやつを、
レコードの上に載せないとそこから情報を読み取れないみたいなことだと思ってもらえればいいんですけど。
なので、そうやってDNAを折りたたむ構造を使って、
実際この遺伝子は今使える状態ですとか、
18:00
この遺伝子は今使えない状態ですみたいなことを制御できるっていう、
そういう仕組みを、
進化した生物って言われてるのは、
人間も含めてほとんど多くの生物で持ってると。
で、それに関わってきてるタンパク質もすごい何百種類何千種類ってあるし、
そういうのを一個一個調べてるっていうのが、
エピゼンティクスって研究分野ですね。
うーん、だからその、
ぶわーって長い情報の中で全部オンになってると、
いろいろ不都合が起きたりしちゃうってことですよね。
不都合があるってことですね、はい。
だから上手いことオンオフをスイッチしてるというか。
そうですそうです。
コントロールしてるみたいな。
で、遺伝子って人だと2万何千個ぐらいあるのかな。
数え方によってちょっと違いますけど。
はい。
で、そのうち例えば神経細胞ではこの例えば3千個使えますとか、
肝臓の細胞ではまた違う数千個のセットを使えますとかっていう風に、
細胞の種類によって使う遺伝子を使い分けてるというか、
遺伝子を使い分けることによって細胞の種類が変わるっていうことがあるので、
そういう、じゃあこいつは神経細胞にならなきゃダメだから、
じゃあここら辺の遺伝子は全部使えなくしておこうとか関係ないやつは。
で、逆に使うやつはヒストンみたいなの巻きついてギュッとなってるのをちょっと緩めてやって、
コードがふわふわっとしてる状態にしておいて、
これ使えますよみたいな形にできるっていう、そういう制御方法があると。
それがいわゆる遺伝情報の使い方っていうことです。
面白いですね、そこが。
なんか多分よくある素朴な疑問として、
人間って設計図は1個なのになんでこんな、
例えばこの細胞は右手で、違う細胞は今度目になったりとか、
なんで変わるんだろうっていうのが、そこのオンオフが答えというか、
そこのキーワードになってくるってことですね。
そうですね、だから、
例えば山中先生が発見されてノーベル賞を取ったiPS細胞っていうのも、
このエピジェネティクスが関係してますし、
なんかそうですね、
そこから始まってどんどん進んでる再生医療みたいな、
例えば目の網膜作って移植するとか、
そこで神経細胞作って移植するとか、
神筋梗塞の人に神筋を移植するとか、
いろいろそういうので再生医療ってどんどん今進んできつつありますけど、
そういうそれぞれの細胞作る時っていう時にも、
エピジェネティクスが働いてるので、
各細胞、各現象でエピジェネティクスを研究してる人たちがいるっていう。
いや、めっちゃ細分化されてそうですね、そこ。
そうですね、だから、
実は僕は生殖細胞、
オスの生殖細胞なんで、
生子を作る元の細胞があるんですけど、
それ、生子幹細胞、生子の幹の細胞って書いて生子幹細胞って呼ぶんですけど、
それの研究をしてるんですけど、
21:01
生殖細胞を研究してる人は、
神経とか他の細胞のエピジェネティクスは、
知ってるのは知ってるんだけど、
すごい細かいことを聞かれたらちょっとよくわかんないみたいになってますね、
その細分化されてるんで。
もうじゃあ全然世界が変わってくるってことですね、
そこが一歩跨ぐとというか。
そうですね、だからそれぞれに専門家が。
なるほどなるほど。
っていうのがざっくりしたやってきた研究ですかね、
エピジェネティクスの説明と。
そこで実際にそれを研究しようってなった時に、
どういう感じなのかなって、
いろいろあると思うんですよね、
細胞自体をやるとか、そこから動物使うとか。
そうですね、王道としてはエピジェネティクスに限らず、
どういう遺伝子が関係してるか、
これイコールどういうタンパク質が関係してるかっていうのを調べるっていうのが
基本だと思うんですけど、
専門的な話ではあると思うんですけど、
例えばさっき出てきたヒストンタンパク質っていうのがあって、
ヒストンタンパク質にアミノ酸がありますよね、
主にリジンなんですけど、
どこのリジン残棄がメチル化されるかとか、
アセチル化されるかとかによって、
ヒストンの状態が変わって、
DNAがほぐれたりとか、
あるいは逆によりギュッとパッケージされたりとかっていう風なことがあるので、
ヒストンに対するメチル化収縮とか、
アセチル化収縮とか、
あと指基進化収縮とかいろいろあるんですけど、
そういったものを触媒する酵素の遺伝子を童貞して、
どういう働きをしてるのかっていうのを研究するっていうのは、
王道の一つですね。
これはその細胞でやってもいいし、
それの例えばノックアウトマウスとかトランシェリックマウスとかを作って、
機能を調べるっていうのをやってもいいし、
ヒストンのメチル化酵素とか、
ヒストンのアセチル化酵素とか、
いうのをたくさん童貞されてるし、
逆に脱メチル化酵素とか脱アセチル化酵素とかっていうのも、
いっぱい見つけられてて、
だからすごい登場人物がいっぱいいますよね。
いっぱいいますね。
大体こういう分子生物学的な研究を始めると、
プレイヤーがいっぱい出てきて、
よくわからんみたいになってるんですけど。
そのイメージはすごいありますね。
このタンパクがこのタンパクを抑制しててとか。
そうですそうです。
いわゆるネットワークみたいなのができてくるわけですよね。
いっぱいタンパク質が並んでて、
そこに矢印が引かれて、
これはこれを上げて、
これはこっちはこっち抑制するみたいな。
で、カスケードがいっぱい並んでてみたいな。
24:01
シンプルに一対一関係じゃないですよね。
ないですね。
で、同じアセチル化酵素でも、
神経での働きと、
例えば心臓での働きが違うとかっていうことも当然あるので、
そこはもうなんていうんですかね、
一個一個みんなやってってるっていう感じがしますけどね。
そこをまだ網羅的にバッと見るのはやっぱ難しいってことですかね。
そうですね。
今その辺の技術も、
ここ10年、次世代シーケンサーが出てきて、
かなり進んできてはいるんですけど、
例えば有名なところでいくと、
ヒストンってH2A、H2B、H3、H4って4種類あって、
で、一番就職されるのが多いのがH3っていうヒストンタンパク質なんですけど、
そこの例えばリジンの4番目、K4がメチル化されると、
ヒストンが緩んでっていうか、
遺伝子がオンになるっていう活性化マークとか呼ばれたりしてますけど、
9番目のリジン、K9だったら逆に抑制されるっていう、
そういう性質が分かってて、
例えばある細胞のどこにK4のメチル化があるかっていうのを、
全遺伝子、全ゲノム領域で一遍に調べられるのがチップセックっていう、
実際シーケンサーを使った、いわゆる網羅的解析ってやつですよね。
それが結構一気に分かるんです。
その特定の場所に絞れば?
分かります、分かります。
それは抗体があるんですよね。
ヒストンH3の4番目のリジンがメチル化された時だけくっつく抗体みたいなのがあるんですよね。
すごいな。
それが各種全部コマーシャルで揃ってるんで、
それを使っていわゆる免疫進行みたいなのをして、
くっつく、くっつかないで分けるっていう。
結合して落ちてきたところのDNAだけを網羅的に、
次世代シーケンサーで全部配列を決めてやって、
あとマッピングすればいいっていう考え方なんですけど。
なるほどな。
だから僕、科学なんで、
科学的に見るとやっぱりメチル化って要は炭素1個じゃないですか、
メチル自体は。
そうですね。
実際多分リシンのメチル化って1個だったり2個だったり、
場合によっては3個だったりとかいろいろあったり、
その炭素1個のコントロールでそこのオンオフしてるの、
やばいなって思ってて。
そうですね。
そこのロマンというか、
C1個でこんなできちゃうんだみたいなのあります?
おっしゃる通りで、
例えばK4のモノメチル化されたやつと、
ジメチル化されたやつとトリメチル化されたやつ、
27:01
1個2個3個っていうのがあって、
それも微妙に機能が違うんじゃないかっていう風に思われてて。
すごいですよね。
そういう細かい、
主にモノメチルとジメチル、トリメチルっていうのはちょっと役割が違うんですよね。
両方とも遺伝子を活性化するのは同じなんですけど、
エンハンサー領域って言われてるとこではモノメチルが多くて、
より遺伝子に近いプロモーター領域では、
ダイメチルとトリメチルが多いとか、
そういうことも分かってきてて、
それも全部もらって、
だから抗体もモノメチル化抗体と、
ジメチル、トリメチルを認識する抗体っていうのは別々にあるんですよね。
ああ、はいはい。
そういう区別できるのは。
抗体も言ったら生物から取ってきてるようなもんだから。
タンパク質ですからね。
やっぱりタンパク質がすげえんだと思いますね。
そうっすよね。
人が一から考えて作れるようなもんじゃないなっていうのはすごい感じますね。
そうですね。
れんさん化け学が専門なのでより詳しいと思いますけど、
タンパク質の表面の形ってすごく微妙だし、
かつ電感の分布がすごいあるじゃないですか。
はい、ありますね。
それによってすっごい特定の形としかはまらないみたいな、
いわゆる鍵と鍵穴みたいなこと言いますよね。
酵素と気質の間で。
そうですね。
そういう、だから酵素と気質に限らず、
タンパク質とタンパク質が結合する場合にも、
そうやってすごく得意性の高い、
こういうのしか認識しませんっていう狭いレンジが、
レンジが狭いんで、
だから多分すごい、本当にCが1個ついただけで、
つくつかないが変わるみたいなことができるんだと思うんですけどね。
すごいっすよね、それ。
だから、しかも鍵、普通の鍵、想像する鍵と違って、
柔らかい鍵みたいな、なんて言うんだろうな、
柔軟な鍵じゃないですか。
そうですね、はい。
それがうまいことはまり込むっていうのは、
それがしかもずっと起き続けてるじゃないですか。
このジメチルとかさっきのモノメチルみたいなのを、
間違っちゃ絶対にいけない領域じゃないですか。
そうですね。
そこが間違っちゃうと、なんか脳なのに、
なんか肝臓みたいなのが出てきちゃうみたいな、
そういうミスがあっちゃいけないというか、
そういうのをきっちり認識してるのは、
面白いですよね。
そうですね。
これはなんか僕の想像に過ぎないんですけど、
例えば、乖離乗数ですか、KDみたいなのって、
はいはい。
例えばモノとトリメチルで、
なんか雰囲気的には100倍、
2桁ぐらいは違うと思うんですけど、
でも100倍くらい。
そう、そうなんですね。
で、要は絶対に01で、
モノには絶対くっつかなくて、
トリにはくっつくみたいには、
多分そのタンパク質とか、
そういうものになってないと思うんですけど、
そういういわゆるノイズですよね。
デジタルデータで言うと、
30:01
生物のやってることって、
めちゃくちゃノイズがあると思うんですよ。
そもそもDNA作るとかの時も、
なんかミス起きちゃったりとかありますよね。
そうですね。
だから多分そのノイズを減らすための仕組みが、
すごいいっぱいあると思うんですよね。
なるほど、なるほど。
で、例えば2つトリミチルがあって、
それを両方タンパク質、
1個のタンパク質が2つのトリミチル、
例えば認識しないとくっつかないとかっていう、
いわゆるそのミカエルス伝識みたいなの、
Nが1じゃなくて2とか3とかになるとか、
たぶんそういうパターンとか、
トリミチルの時から育てるかわかんないですけど、
あとは遺伝子の領域のところに、
ヒストンがいっぱいあるわけ、
何十個か何百個があって、
それぞれに、
例えばリジンの4番目がミチル化されるみたいなのが起こるんで、
いわゆる冗長性ですよね。
このヒストンだけとかじゃなくて、
たくさんヒストンがあって、
そこにわーってミチル化が入ってるので、
1個だけペコってなんか間違ってくっついちゃったりとかしても、
別にそれは良くて、
何十個かあるうちのそれなりの数にくっつかないと、
要はその機能が発揮しないとかって、
シグナルが十分に上がらないって、
次の工程に行かないみたいになってて、
そういうのでノイズを多分、
ノイズが高いものを扱いつつ、
すごい精密にコントロールできるような仕組みを、
たぶん普遍的に生物は持ってるのかなっていうのが、
僕の印象です。
でもなんかそんな感じしますね。
確率を微妙にいじるというか、
異常に異常が起きた時に、
またそれを回復させるというか、
修復するシステムみたいなのも充実してるじゃないですか。
そうですね。
1回間違えても次の段階でストップするとか、
ありますよね。
DNAの伏線の時もそうだけど、
間違ったらいわゆる構成機能っていうのが、
いろいろありますもんね。
良くできてるなって思っていつも見てますけど。
そうですね。
僕は元々高校生の時は物理が好きだったんですけど、
そういう思考を持った人間、好みを持った人間が、
生物学のことをちょっと習った時に、
やっぱりその、なんていうんですかね、
有機分子とかタンパク質も含めて、
集まって、
細胞とかのシステムっていうのが出来上がってるって、
ちょっと意味わからんと思ったんですよね。
見えないしみたいな。
そうですそうです。
なんか物質が集まって特定の配列っていうか、
構造ですか、組み合わせみたいなの取った時に、
勝手に自己複製して分裂したりするわけじゃないですか。
自分を増やしたりとか、動いたりとか、
なんか機能を変えたりとかするんで、
33:02
人間みたいな多細胞生物だったら、
細胞同士が勝手に集まってきて、
人間の体になるわけじゃないですか。
これを別に何かの命令とかがあるわけじゃなくて、
自律的にただの分子の集まりが、
そういう振る舞いをするっていうのが、
マジで意味がわからんと思ったんですよね。
そうですね。
最終的に自分って何なんだろうみたいなところに
行っちゃいそうですけど。
で、こうやって人間の体を機械みたいな、
視点から見るのって分子機械論とかいろいろあって、
そういうのを不快に思う人もいるかもしれないですけど、
僕はなんかそれがすごい逆に不思議というか、
神秘的って言ってもいいですけど、
多分根本的にはそこに惹かれてるんじゃないかなと
思いますけどね。
確かにな。
それは結局、さっきの最初の車の話だと、
結局その中どうなってんのみたいなのを見たいみたいな
欲求って結構人間あるかなって思ってて。
そうですね。
結局科学って突き詰めたらずっとそれをやってるじゃないですか。
自分たちはどう動いてるのかみたいなのを
研究し続けてるというか。
そうですね。
なんか自分たちも含めて、
世界がどういう仕組みになってんのかっていうのを、
一応ギリシャの時代から興味があって、
ずっとやってるっていう一応歴史観ですよね。
その前の時間スケールが長すぎて、
全然まだ人間の活動時間足りてないなって思いますけど。
そうですね。
生物学で言うと、
生物を機械として見た時に考えると、
全然今の人間の文明のレベルだと、
全部を明らかにすることができないレベルだと思うんで。
要は自然が作った大パーツみたいなのがあって、
それを研究してるみたいなイメージもあるんですよね。
なんだこれ意味がわからんみたいな。
確かに確かに。
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