2023-03-20 07:38

ゴジラ④ 「真珠湾」が円谷特撮の原点

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ゴジラの誕生から39年目の夏、一つの恐竜映画が世界中を席巻した。それまでの興行収入記録を塗り替える大ヒットとなったアメリカ映画『ジュラシック・パーク』だ。大草原を駆け抜け、自動車を踏みつぶし、人間を襲う恐竜たちのあまりにもリアルな映像に人々は肝をつぶし、恐怖に陥った‥

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戦後史開封 ゴジラ
第4話 真珠湾がつぶら屋特撮の原点
映画ゴジラ誕生の舞台裏を紹介します。
案内役は私、ナレーターの中川睦です。
ゴジラの誕生から39年目の夏、一つの恐竜映画が世界中を席巻した。
それまでの興業収入記録を塗り替える大ヒットとなったアメリカ映画、ジュラシックパークだ。
大草原を駆け抜け、自動車を踏みつぶし、人間を襲う恐竜たちのあまりにもリアルな映像に人々は肝をつぶし、
恐怖に陥った。
ゴジラと違って、恐竜たちを蘇らせたのはコンピューターだった。
超リアルな映像はSFXと呼ばれるフィルム上での後処理によって得られる効果だという。
SFXは1977年のスターウォーズから始まり、ジュラシックパークでもこの技術がふんだんに使われています。
何度コピーしても画質が劣化しないのが特徴です。
昭和29年に登場したゴジラの特撮は、
無論コンピューターのお世話にはなっていないが、当時の衝撃度はジュラシックパーク以上だったと言ってもいい。
アメリカが光学合成したいとすれば、親父の特撮の一番の特徴はミニチュアワークにある。
というのは、ゴジラの特技監督を務めた椿谷英二の次男で、椿谷プロダクション社長を務めた椿谷昇である。
特撮の神様と呼ばれた椿谷英二は大正8年、カメラマンとして映画人生のスタートを切った。
昭和12年に東宝に入ると特殊技術家を創設し、主に戦記映画で活躍した。
17年のハワイマレー沖海戦では、真珠湾攻撃の模様をリアルに再現し、後アメリカのニュース映像としても使われた。
実は、ゴジラの特撮の原点もこの映画で使われた真珠湾の大ミニチュアセットにあった。
椿谷の陣頭式で特撮による水柱の大きさを基準にして、軍艦、港湾などの規模が割り出され、当時の東宝映画科学研究所の敷地内に一台セットが作られた。
ミニチュアとはいえ、全体の大きさがおよそ6000平方メートル。海だけでも1650平方メートルもあった。
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海の水深もおよそ50センチから1メートルもあり、背景の山肌や土木の基礎工事に限っても製作に2ヶ月かかり、全体の完成には3ヶ月も要した。
このほか、艦船や米軍戦闘機などのミニチュアも1000近く作られ、ミニチュア技術が飛躍的に向上、ゴジラに引き継がれた。
カメラマン時代からすでにそれまでの映像を変えていた。
俳優の顔に初めて陰影をつけたのも彼ですし、有形には焚火を焚いて霧がかかったように見せたり、撮りたい画を撮るために様々な工夫をしたりしていましたね。
工夫すれば現実を超えられると考えていたのです。
と、ノボルは言う。
エイジがショックを受けた映画にアメリカのキングコングがある。
巨大な猿が現実世界へ出現した様を特殊技術を使って再現したものだ。
ああいうものを撮ってみたいんだ、と幼いノボルにもよく話していた。
ゴジラを撮ることになった時、夢が一つ叶えられたなと思いましたね。
ミニチュアでリアル感を出すのが決め手でしたが、空気の層を表現することはできなかった。
建物はミニチュアでも空気がミニチュアでないとおもちゃにしか見えない。
そこで煙を焚くことで遠くをぼかし、遠近感を出すことに成功したのです。
と、ノボルは言う。
リアルすぎるほどのリアル感。
エイジの目指すそんな理想に特殊技術スタッフたちもよく応えた。
ゴジラが破壊する銀座の街並みや勝鬨橋、国会議事堂など、当時の東京をそっくりにミニチュアで再現している。
まずかなり酷明に写真を撮ります。
それを見ながら図面を引いて設計する。
ゴジラが倒す民家などは25分の1で作っていますが、
国会議事堂だけは大きすぎるので33分の1でしたね。
作る方も本格的な宮大工さんが3人もいて、中には後に一級建築士になった人もいます。
特殊技術の井上康幸が説明する。
新東方にいた井上はゴジラで応援に来たまま東方に留まり、
空の大怪獣ラドン、日本沈没など一連の特撮映画の特殊技術を担当してきた。
ゴジラ映画は伝統のミニチュア主体の特撮を守り続け、高い人気を集めている。
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平成元年のゴジラ対ビオランテで特技監督を務めている河北光一は言う。
ジュラシックパークは全部がCGではなく、こういう効果のためにこういう技術を使うという選択肢が多い。
一方、ゴジラは世界に通用すると言っても、世界のマーケットはない。
長年の歴史で培われた技術を駆使して、これからに向けたゴジラ像を考えていくことが大事だと思う。
ツブラやエイジの残した遺産は異なった進化を遂げて、確実に今に受け継がれている。
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