産経Podcastでお届けする、音声で聴くスポーツ、ここが知りたい。産経新聞運動部の田中充です。
今回は柔道日本男子の鈴木圭司監督に、世界選手権の男子100キロ長級代表に初めて選ばれた斉藤達郎選手について伺いたいと思います。本日はよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
斉藤選手は鈴木監督にとっては国史館大学の後輩でもあり、ご自身が指導を受けた斉藤志さんのご子息にもなるという存在になるのですが、
この4月29日の全日本選手権を20歳で制した戦いについて、日本代表の監督としてどのように見られていましたでしょうか。
まず大学の教え子ということでもありますし、どれだけ世界チャンピオンの影浦とか、オリンピック代表の原沢、
あとは他の100キロ級の羽賀選手とか、そういった選手とどれだけ戦えるのかなというふうに不安もありましたし、
楽しみという実力を知るという意味でも非常に期待した大会でした。
その中で優勝ということで、20歳で優勝というのはすごく早いですし、歴代3位ですかね。
石里山下先生で斉藤先生ですかね。
非常に内容もいい内容でゴールデンスコアは多かったですけども、
しっかり投げて勝つ柔道ができたというのは見ていて、私だけじゃなくて観客の方もいい柔道だったということをよく言われているのを耳にしますので、
内容も決して悪くなかったんじゃないかなというふうには思います。
なるほど。準決勝で東京オリンピック代表の原沢選手を倒し、
決勝で先ほどおっしゃったように世界チャンピオンの影浦選手を退けて優勝ということで、
今回の全日本は最重量級の世界選手権の代表10月の大会の最終戦公開を兼ねていたわけですが、
今回優勝したことで斉藤選手に代表を任せたというふうに監督としてはすぐになったのか、
いろいろ選考では思うところもあったりされたんでしょうか。
すぐに決まることはやっぱりないですね。
世界チャンピオンで全日本選手権に2位になった影浦。
こっちが僕は妥当じゃないかなと思っていました。
代表としての選び方としては影浦じゃないかなと思って、
一度影浦のほうで提案をしようという話はしましたけれども、
まあでもこの若さというんですか、先ほどあがったように若さもそうですし、
斉藤達郎がどれだけ世界で戦えるのかというような期待と、
あとこれからより一層鍛え上げていくということも考えた上で、
もう達郎で行こうという、コーチと我々指導者との意見が一致したので、
そうなりました。一発で決まったというようなことはないです。
もう30分、40分、1時間ぐらい話し合いをして、
やっぱり意見も別れましたし、いろんな意見があって当然なんですけど、
最終的には達郎のこの勝利をしっかりと尊重しようということにもなりました。
なるほどですね。辻監督ご自身がアテネオリンピックで金メダルを獲得された階級でもあるわけですが、
この最重量級の復権というのは井上恒生前監督から受け継がれた大きな宿題にもなっているかと思うんですよね。
世界で戦っていく上で現状の斉藤選手の魅力と課題というのをどのように見られていますでしょうか。
そうですね。まず魅力というのに関して言えば、
しっかりと立って投げることができる、軸足で大外狩りでケンケンで追えるとか、
中の技、大外狩りをかけた後に内股でしっかりと追えるとか、目技ができるとか、
そういった100キロ長球、今までの100キロ長球はどっちかというと影原選手とかみたいに担げたり、動きが良かったりとか、
もしくは原沢選手のようにシュッとした体で豪快な技というのが印象が強かったと思うんですけど、
立つのは160キロありますし、190何センチという身長で、
重量級らしい重量級と言うんですかね。
そういった中で、あれだけしっかりと投げることができる柔道を展開できる選手ってそう多くないと思うんですよね。
そういう選手の一人だと思うので、そういう魅力は十分ありますし、
ますます磨いていけるところじゃないかなと思います。
課題としては、まだまだ経験値ですよね。
非常に浅いので、こうなったらこうとか、いろんなシミュレーションをこれからしていかなきゃならないと思うんですよね。
それが非常に少ないというか、経験がまだ浅い。
そこがやっぱり大きな不安要素だと思います。
なるほど。伸びしろというところはどういうところに一番ありますでしょうかね。
逆に言うと、経験が浅い分、経験した時の本人の刺激とか考え方、
柔道の組み立て方、そういったものがどんどんプラスされていけば、
もっともっと試合も、言葉適切かわからないですけど、楽に勝てるようになってくるんじゃないかなと思います。
マイナス面、不安要素が大きくプラス要素に変わるってことですよね。
なるほどですね。監督からすると、かわいい後輩でもあり、生まれた頃から知っている存在だという部分でもあると思うんですけども。
一方で、だからこそ厳しい評価、厳しい目で見ていかれるというのが、おそらく監督の性格以上、そうなっていくと思うんですけども。
本音のベースで言うと、子供の頃から知っている斉藤選手と一緒に世界選手権で、
昨年影浦選手が獲った世界王者の座というものを、日本として守りに行く、取りに行くという部分で、
どういう今、心境ですか?楽しみとかありますか?
代表に関しては、そんなに小さい頃から、生まれた時から知っているからとかという感情は全くないです。
とにかく同じ一人の日本代表として、あいつを必ず世界一にしなきゃならないなという思いは持ってますけども。
斉藤選手の息子だからとか、僕は大学生の時に生まれているんですけど、生まれた時から一緒にいるからという気持ちは本当にないです。
とにかく勝ってもらって、そこから強くなったなという感情になるかもしれないし、
まだ今は代表になっただけですから、そんなに特別な感情は出ていないですね。
日本の最強は世界の最強であれというのが、鈴木監督ご自身が現役時代、辰田選手のお父さんである国士館で指導も受けた人氏さんから常々言われていた言葉だということを伺っているんですが、
日本の重量級が世界最強であるための戦いに、今後辰田選手も挑んでいくということになると思うんですが、
鈴木監督の思いとして、改めて最重量級に賭ける思いというのを最後にお聞かせ願いますでしょうか?
はい。やっぱり僕が9年間東京オリンピックまでの期間を、
重量級の100キロ級、100キログラム、超級という階級の格闘コーチとして、
世界選手権オリンピックとともに金メダルを獲ることは影裏を取りましたけれども、
なかなかメインどころは出ていない階級もありましたし、真のというところでは少し難しいかなというところもありますし、
僕はあの大会は世界選手権行けていなかったので、目の前で世界チャンピオンを見ていないんですよね、超級に関しては。
なのでそういった意味では、その9年越しの思いを継承して、
僕が監督になった時も第一のテーマとして掲げましたし、
100キロ超級という思いは変わらず、強い日本柔道であってほしいということは持ち続けていきたいと。
その第1号、初めての世界選手権の一人目が今回達郎になったので、挑戦権を得たので、
なんとしてもここで世界チャンピオンを達郎が乗り取るような、
そういったことが、あと数ヶ月で詰め込んで詰め込んで、試合に向かうということですかね。
どの階級ももちろん全階級優勝という目標を持ってますので、逆に取れてない階級が超級なので、