北区の水害リスク
東京都北区初の女性区長、山田カナコ。
彼女の描く展望や、未来を描くゲストとの対談など、
北区の新たなビジョンを語るこの番組。
今日は、どんな北区未来予想図が描かれるのでしょうか。
おはようございます。北区長の山田カナコです。
本日10月21日火曜日、今月2話目の配信となります。
そしてゲストは、公益財団法人市民防災研究所、伊藤英司さんをお迎えしております。
伊藤さん、今週もよろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
今回のトークテーマが、自助プラス共助の力で災害に備える、であります。
まずこの自助と共助の考え方について伺ってまいりたいと思いますが、伊藤さんいかがでしょうか。
はい。まずはですね、自助というのは、自分の身は自分で守るということです。
共助は、みんなで地域を守っていくということになります。
はい、そうですね。やっぱり災害時には、自分自身をまず守り、そして自分だけではなく、自分が助かったらその次に周りの人たちを助けていく、みんなで助け合う、この考え方が重要ですね。
もちろん、公助として、区としても頑張りますが、まず自助、共助、これはですね、皆さんにもお伝えをしていきたいと思っております。
で、その中で1回目は災害、震災についてお話を伺いました。
2話目については、水害対策について伺っていきたいと思うんですが、まず、北区という地域の水害リスクを考えたときに、どのような特徴や注意点があると感じられていますか。
区内にはですね、荒川、柵地川、新樫川、墨田川といった川が流れていますので、これらの川が氾濫する危険性があります。
また、昨年ですね、下で1時間に100ミリを超える雨が降ったことがありました。
このように猛烈な雨が降りますと、排水が間に合わずに内水氾濫が起こる恐れがあります。
さらに水害だけではなくて、区内には崖地が点在しておりますので、崖崩れが起こる恐れもあります。
4つの川に囲まれている自然豊かな魅力の一つなんですけれども、一方で災害という意味ではリスクとして捉えなければならない。
あとですね、やっぱり崖地ですね。これは北区の大きな特徴で、田端から本当に行き間までずっと崖線が連なっていて、
この崖地対策ということも、国や東京都とともに対応していく大切な取り組みだと思っています。
マイ・タイムラインの重要性
この水害に対して、具体的な備えとしては何が必要になってくるのでしょうか。
自費所、共助の支店も含めてですね、教えていただきたいなと思います。
やはりまずは自分の地域がですね、どのような水害リスクがあるのか。
あるいは土砂災害のリスクがあるのかということを把握することから始まると思います。
水害のリスクがあれば、氾濫する恐れがあるときに、どこに避難をするのか。
そして、いつ避難を始めるのか。そういったことを考えておくことが重要となります。
そうですね。今のお話の中で、やっぱりどこに避難をするのか、理解をしておいていただきたいということ。
もう本当にその通りだと思います。
私、よく国の方々からも言われるんですけど、36万人のうち20万人のエリアが、
整地部で高台に避難していただく必要がある中で、
自分はマンションの10階に住んでるから、高台に行かなくていいんだよっていうお声もね、
いただくことあるんですけど、これは高台に避難していただかないといけないですよね。
そうですね。荒川が氾濫した場合を想定しますと、
2週間以上水が引かないということが想定されていますので、
やはり2週間以上、孤立した中で生活を送るというのは非常に厳しいと思います。
そうですよね。なので、水に浸った状態で避難、備蓄品なくなっちゃって、
トイレも行けなくてということが考えられるので、防災訓練、避難訓練の時にも、
低地部の方は何階に住んでいらっしゃる場合でも、
とにかく高台に行ってくださいということをよくお話しします。
地震の時には在宅避難可能であれば在宅と避難所、
それと水害の時にはとにかく低地部の方は高台に避難していただく。
この避難の仕方が地震の時と水害の時と違うというところが、
とても難しいところだなと思っているので、
この辺についてもしっかりお伝えをして、普及啓発していく必要があるなと思っています。
そういった中で、自助の方法の一つとして、今注目されている、
私たち区としても取り組みをどんどん進めているのが、
自分自身や家族のために決める防災行動の計画を立てるマイタイムラインです。
このマイタイムライン講座を、実際に在宅と調整して講義をいただいているのが伊藤さんです。
この講義をいただいている中で、タイムラインを理解、そして浸透させていく。
どんなふうに工夫していくことが必要なのか、
どんなことを皆さんにお伝えしていったらいいのかということを伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
工夫というよりも、まずは水害時の避難について知っていただくということが大切だと考えています。
帰宅では令和元年度に、大規模水害時の避難の基本方針を策定いたしまして、
今年4月にはその一部が改定されました。
講座では、この帰宅の避難に関する基本的な考え方をお伝えしています。
避難というと、多くの人は歩いて避難をしなければならないですとか、
避難先は区が開設をする避難場所に避難する、
といった固定概念を持っていることが多いです。
そこで早めの避難であれば、電車やバスを使って避難することもできることや、
避難先は区が開設をする避難場所だけではなく、
安全な場所であれば、知人や親戚宅に避難しても構わないでしょうということをお伝えしています。
なるほど。やっぱり地震との違いは、
気象情報の中でどのぐらいいつ降ってくるかということが前もってわかるということで、
その避難行動をご家族で決めて、警戒レベル3・4・5、このレベルの中で避難をしていただく。
例えば、警戒レベル3の時には伊藤さん、これはどなたが避難していただく?
そうですね。警戒レベル3、高齢者等避難ですけれども、
高齢者や障害者など避難に時間がかかる人は避難を始めましょうという情報になります。
この情報が出されますと、区画では高台水害対応避難場所が開設されることになっています。
そうですね。これはもう、ざんざん雨が降ってきちゃう。
その前に出される情報ですので、落ち着いて行動をしていただけると思います。
猫避難もですね、やっぱり開設場所だけではなくて、本当に親戚だとか、
安心して避難できる場所にぜひぜひご家族やお知り合い同士で協議していただいて、
そういった場所も決めておいていただくといいなというふうに思っております。
このマイタイムラインを活用するときの注意点はありますでしょうか?
風水害時には災害が発生する前に、段階的にさまざまな情報が発信されます。
例えば台風情報をこまめに確認をしたり、北区が発信をする避難情報をチェックすることが重要です。
命を守るためにはこうした情報収集が欠かせません。
またマイタイムラインを作成する際に決めた避難のタイミングや避難先に固執しすぎないことも大切です。
状況は刻一刻と変化しますので、想定される災害状況に応じて早めに避難をするなど、
臨機応変な対応を心がけてください。
地域の連携とコミュニティの役割
さらにマイタイムラインも一度作成したらそれで終わりではなくて、定期的に見直しも行ってください。
そうですね。本当に今お話の中でどういう状況で降ってくるか、
お仕事時間帯なのか、お休みの日なのかによっても全然行動変わりますもんね。
そうですね。
固執しすぎない、臨機応変な対応ということが必要、見直しが大切。
なるほど、その辺、ぜひ皆さん意識していただきたいと思います。
実は北区にはマイタイムライン、普及リーダーが区から認定を受けている方々が、
収録時点で100名を超える方々がリーダーとして認定をさせていただいているんですが、
対象の方々のフォローアップ研修の講師も伊藤さんには担当していただいております。
フォローアップ研修はどのような点大事にされているんでしょうか。
北区では様々な取り組みを進めています。
また気象庁が発表する情報が新しくなるということもありますので、
普及リーダーの皆さんには最新の情報にアップデートしていただくということを目的に、
毎年フォローアップ研修を開催をしています。
昨年度からは普及リーダー同士が交流できる時間を設けるようにしました。
この時間では非常に活発に意見交換が行われておりまして、
皆さんの熱心さが伝わってきております。
今後はリーダーの皆さんが個々で活動するだけではなくて、
リーダー同士でつながりを深めていただき、
協力し合いながら普及活動をさらに広げていっていただければと願っております。
ありがとうございます。
このやっぱり普及リーダーが点ではなくて連携をすることで線、
そして面的に地域の方々とつながって引っ張っていただくということは
すごく大切なことだなというふうに思いますので、
このマイタイムライン普及リーダーの存在を区民の方々にお伝えをし、
区民の方々との連携をしていただくその取り組みを
区としてもしっかりと行っていきたいなというふうに改めて実感しました。
ありがとうございます。
地域の方々同士の連携が求められてくると思います。
マイタイムラインに合わせてこの地域のタイムラインを
どんどん普及していかなきゃいけない、
地・コミュニティ・タイムラインの重要性についてお話を伺っていきたいと思いますが、
まずこの重要性、伊藤さんとしてはどのように感じますか。
水害時の避難の基本というのは地上、つまり自分の命は自分で守ることが第一になります。
しかしながら地域には自力で避難することが難しい方ですとか、
そもそも氾濫する危険があったとしても、
その危険性を認識することが難しい方もいらっしゃいます。
またあらかわの氾濫の危険が迫っていても、
多分大丈夫だろうと考えて避難をしないという心理が働くこともあります。
こうした状況の中で過去の水害では、
近所の方の声がけが避難の後押しとなり、避難をした人もいました。
ですので、逃げ遅れゼロを目指すためには、地域で協力し合うことも必要となります。
そのため、あらかわ氾濫の恐れがあるときに、
地域としていつ、誰が、何をするかを時系列で整備をした避難計画、
地区ごとに作成する取り組みを進めています。
はい、ありがとうございます。
このコミュニティタイムラインの普及啓発取り組みについては、
各地域ごとに会議を開いていただいて、
地域に合った内容を作っている。地域ごとにリスクが違いますからね。
それから地域特性があります。
集合住宅が多い地域なのか、小建てが多い地域なのか、
そういったことも含めて地域特性に合わせたコミュニティタイムラインを作っていただく。
自助と共助の重要性
そして、それを参加いただいた方々以外の地域の方々にも認識をしていただいて、
実際に訓練につなげていくということも、多くとしてはご協力をいただきながら進めています。
この行政として、自助と共助をどちらも意識していただくためには、
本当にこの意識を高めていただくことがすごく重要なんですが、
この高めていただくための取り組み、どんな取り組みや声かけが
大切だったり必要になると、伊藤さんとしては考えられるでしょうかね。
自助は自分自身の意識で行動を起こすことができますけれども、
共助は仲間がいないと成り立ちません。
そのため、地域の中で問題意識を共有していただき、
一緒に取り組んでいこうという意識を芽生えさせることが重要だと考えています。
共助を促進するためには、まずは地域でどんな取り組みができるのかを
提案することが第一歩かなと考えています。
例えば、荒川氾濫の恐れがあるときには、隣近所で声を掛け合いながら
避難を促す仕組みを作ることなどが挙げられます。
ただし、地域でできることには限界があります。
そのため、共助の取り組みを押し付けるのではなくて、
地域の皆さんと一緒にできることを考えていく姿勢が大切なポイントだと思っています。
そういう意味では、各地域で会議を開いていただいて、
このコミュニティタイムラインを作るよという会議の中で、
押し付けではなくて、みんなで声を掛け合っていく。
その意識を高めていく。そこが本当に大切な会議になりますね。
あと、地域の自主防災組織の防災訓練を見ると、
災害に対する火災や地震に対する訓練は多いのですが、
水害に対する訓練というのがまだまだ多く見られないので、
地域での防災訓練は、水害時の想定も入れた防災訓練を、
今後、区としては各自主防災組織にご案内していくことも有効な一つかなと思っています。
その辺、いかがですかね。
そうですね。地域として水害時の訓練を行うことも重要だと思います。
また、区から様々な情報発信がされますので、
そこと、区と自主防災組織との連携も重要になってまいりますので、
水防訓練とか、そういった場所で地域の住民も含めた情報伝達訓練なども行っていただく。
あるいは、高台水害対応避難場所の開設訓練なども行っていくといいのかなと思っています。
開設訓練も、おっしゃるとおりです。
それから、高台に避難するいくつかの町会では、
実際に歩いてみるということもやっていただいている自主防災組織もありました。
これ、すごく勉強になったなと思ったのは、都営住宅の間を抜けていく地域だったんですけど、
都営住宅建て替えがあって、事前に旅行練習で歩いた道が囲われちゃって歩けなかったとか。
そういうこともありますね。
そう。だから、本当に想定していても、実際の現場になったときには想定外のことが起こるということを考えると、
事前にみんなで歩いてみるということも大切だなということも実感しました。
また、先ほどお話しいただきました水防訓練、これも区としては毎年水防訓練を行っております。
特に今年は合同訓練ということで、広い範囲で関係者にお集まりをいただき、東京都とともに開催をさせていただきました。
ここでの先ほどの伝達訓練とか、こういったこともですね、やはり勉強したことを地域の方々に発信をしてつなげていきたいなというふうに改めて感じております。
毎年水防訓練も行っておりますので、組の方々もよろしければご覧いただけたら嬉しいなというふうに思っています。
今日はですね、第2話目ということで水害対策についてお話を伺ってまいりました。
地震変と水害変、さまざま取り組み、避難の方法、もしくは準備しておくこと、これらがそれぞれ違うということをですね、伊藤さんお話を伺いながら大変勉強になりました。
ぜひこれからも、区内の防災対策、水害対策、組の方々への情報発信と訓練の先導をですね、伊藤さんにはお願いしたいと思っております。
最後に、組の皆様に伊藤さんからメッセージをいただきたいと思うんですが、組の方々が今日からできる身近な防災の一歩としておすすめしたいことを教えてください。
水害対策の実践
はい。地震の備えは多くの人は何かしらしているのかなと思いますが、10月はまだ台風シーズンでもあります。
まずはハザードマップを確認していただきまして、ご自宅の災害リスクを把握することから始めてみましょう。
そして台風が近づき、荒川が氾濫する恐れがあるときにどんな避難行動をとるべきか、具体的に考えてみることが大切です。
できれば、いつどこに避難するかを考えて、マイタイムラインを作成しておくと、いざというときにあわせずに行動することができると思います。
ぜひ、できることから始めてみてください。
はい。ありがとうございます。今、ハザードマップのお話もありました。
ぜひ、まず水害についての検索を皆さんしていただいて、できる身近な一歩を、このお話を聞いていただいた後、第一歩を進めていただきたいなと思います。
そして、聞いてくださったリスナーの皆さん、お知り合いの方々にもこの情報をぜひお披露目いただいて、みんなで助け合いながら災害対策、水害対策を進めていきたいと思っております。
ご協力よろしくお願いいたします。
今月は、市民防災研究所区内の様々な避難所開設訓練、運営訓練、そして水害に関する講座の講師としてお務めをいただいております伊藤さんをお迎えしてのお話でした。
伊藤さん、改めてありがとうございました。
ありがとうございました。
はい、皆さん次回もお楽しみに。
素敵な一日をお過ごしくださいね。
パーソナリティ山田香菜子でした。