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こんばんは。今夜もまた、おやすみ歴史ラジオの時間がやってきました。
ベッドに入って、一番リラックスできる姿勢で聞いてね。
直前までの物語では、甲斐の武田信玄と越後の植杉謙信が、戦いを超えて互いを認め合い、
宿命の絆を結んだ河中島の戦いの天末をお話ししましたね。
今夜からお届けするのは、戦国時代の歴史を根底からひっくり返し、
新しい時代の扉を一気にこじ開けた伝説の決戦、桶狭間の戦い、その第1話です。
A63年、1560年、初夏の風が青葉を優しく揺らす、5月のことでした。
駿が東東美、三河の御国を治め、東海一の弓取りと称えられた大名、
今川義元が、ついに大軍を率いて小有への進行を開始しました。
その数、およそ2万5千。
当時の間隔からしても、小有の国を丸ごと飲み込んでしまうほどの破格で絶大な軍勢でした。
絢爛豪華な甲冑に身を包み、堂々と腰に揺られながら進軍する義元の姿は、
まさに天下にその意向を見せつけるかのような圧倒的な威厳に満ちていました。
今川軍の先鋒は次々と小有の国境を越え、小田方の城塞を破っていきます。
八区の勢いで進む大軍の知らせは、小有のあちこちに大きな動揺と恐怖を広げていきました。
一方、小有を治める小田信長が動員できる兵力は、すべてをかき集めてもわずか3千程度でした。
2万5千対3千、誰の目から見ても勝負の行方は戦う前から決まっているように思われました。
小田家の本拠地である清洲城では、連日連夜、獣神たちが集まり、緊迫した評定が開かれていました。
城に立てこもって敵の疲弊を待つべきか、それとも降伏して家を保つべきか、
獣神たちの間で激しい議論が交わされ、不安と焦燥感が城内に重く立ち込めていました。
しかし、当主である信長は、評定の席でただ黙って獣神たちの話を聞いているばかりで、
自らの考えを一切明かそうとはしませんでした。
諦めたのか、それとも怯えているのか、進化たちの焦りは深まるばかりでした。
しかし、信長は決して諦めてなどいませんでした。
清洲城の奥深く、一人静かに夜空を見上げる信長は、
頭の中で果てしない思考の海に没入していたのです。
普通に城に立てこもれば、大群に囲まれて兵狼を断たれ、とうからず全滅する。
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平野に出て正面からぶつかれば、圧倒的な数の力に踏みつぶされて一瞬で終わる。
常識的な戦い方を選択した時点で、織田家の敗北は確定してしまう。
ならば、常識の枠をすべて捨て去り、たった一つの奇跡を引き寄せるための条件とは何か。
信長は、今川義元の性格、大群ゆえに長く伸びきる新群ルート、
終わりの土地の複雑な地形、そしてこの季節特有の気候の変化に至るまで、
あらゆる要素を頭の中で緻密に組み立てていました。
大群を率いる義元の心に潜む、わずかな油断と慢心。
そここそが、唯一にして最大のつけ入れ隙でした。
漆黒の闇に包まれた清洲城で、信長は静かに、そして研ぎ澄まされた集中力で、
たった一度の賭けの瞬間を待っていたのです。
A63年5月18日の夜、清洲城の獣神たちは、苛立ちと焦りを隠せずにいました。
今川軍の先鋒が織田方の砦である丸根砦や和室砦に迫りつつあるという知らせが、
絶え間なく飛び込んできていたからです。
今川の大群を相手にいかに防ぐべきか、牢城か、撃って出るか、
信家たちが必死に意見を戦わせる中、座の中心にいた信長は、
ただあくびを噛み殺し、雑談をかわすばかりで、軍儀らしい軍儀を開こうとはしませんでした。
夜が深まり、もはやこれまでかと信家たちが失望して家路に着いたとき、
信長は一人静かかに起き上がりました。
5月19日の未明、東の空がまだ漆黒の闇に包まれている黒原です。
突然、織田方の城塞が今川軍の攻撃を受けて落ちたという知らせが清洲城に届きました。
今川軍の勢いは止まるところを知らず、尾張の奥深くへと八苦の進撃を続けていたのです。
その知らせを聞いた瞬間、信長は立ち上がりました。
厚森の一節を静かに舞い始めます。
人間五十年、下天の討ちを比べれば、無限の如くなり、
一度勝を受け、滅ぼせぬ者の勢あるべきか。
朗々と響く声には、恐れも迷いも一切ありませんでした。
舞い終えると、信長は立ったまま湯漬けをかき込み、甲冑を身にまとうと、直ちに馬に飛び乗りました。
出陣する、お供の故郷わずか数名のみを連れて、信長は嵐のように清洲城の門を飛び出していきました。
家臣たちが慌てて後を追う中、信長は一刻の猶予も惜しむように、南へ向かって馬を走らせます。
信長が目指したのは、熱田神宮でした。
夜明け前の静けさが残る境内に到着した信長は、
続々と集まりつつある自軍の兵たちを前に必勝の祈願を捧げます。
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その時、廃殿の奥からカランと爽やかな金属音が響き渡り、甲冑のすれる音が境内にこだましました。
あたかも神威が示されたかのようなその吉兆に、緊張していた兵たちの顔に歓喜と熱情が走ります。
信長の目は、まっすぐに南東の空を見つめていました。
今川義元は、戦況のあまりの順調さに満足し、本体を率いて桶狭間の山間に陣を張ろうとしていました。
圧倒的な大軍の威勢に酔いしれる義元と、それを遠くから冷静に見つめる信長。
運命の針が激しく動き始めていました。
篤田神宮での必勝祈願を終えた信長は、集まってきた兵たちと共に、さらに南の禅章寺砦へと向かって進軍を続けました。
この時点で集まった織田軍の数は、およそ2000ほど。
依然として、今川義元率いる本体や周辺の部隊を合わせた大軍とは、比べ物にならないほどの圧倒的な戦力差がありました。
しかし信長の表情には焦りも動揺もなく、ただ鋭く冷徹な光が宿っていました。
前線の砦からは丸根砦や和室砦が落ち、今川軍が八区の勢いで前進しているという知らせが次々と届きます。
今川の将兵たちは連戦連勝に湧き立ち、織田軍など恐るるに足らずと、完全に勝利を確信していました。
正午近く空模様が急激に変化し始めます。
初夏の爽やかな青空は瞬く間に黒い暗雲に覆われ、終わりの空全体が不気味な暗闇にくるみ込まれていきました。
そして激しい雷鳴とともに、前が見えなくなるほどの豪雨が大地を叩きつけ始めたのです。
大雨は土地の起伏や視界を奪い、兵たちの耳を激しい雨音で塞ぎました。
これこそが信長が密かに待ち望んでいた天の加護であり、最大の功績でした。
一方、桶狭間の山間に陣を張っていた今川義元は、連日の招報にすっかり気をよくし、主演を開いて勝利の余韻に浸っていました。
まさか圧倒的に不利なはずの織田軍が、この猛烈な嵐の中をついて自分たちの本陣へ向かって進軍してくるなどとは、夢にも思っていなかったのです。
雨は激しさを増し、叩きつけるような雨音が山々にこだまします。
信長は兵たちに命じました。敵は油断している。狙うは今川義元ただ一人。
凄まじい嵐に乗じ、一気に本陣へ突撃せよ雨の音に掻き消されながら、信長率いる精鋭たちは、静かにそして確実に義元の本陣へと近づいていきました。
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歴史を揺るがす大奇襲の瞬間が刻一刻と迫っていたのです。
今夜のお話はこれでおしまいです。激しい雨の音と静かに高まる戦場の緊迫感を思い浮かべながら、どうか今夜は心も体もゆっくりとお休みさせてあげてくださいね。
次は一体どのような激動の瞬間があなたを待っているのでしょうか。
それではおやすみなさい。