なるほど。脳の作りとエネルギーの問題だった。そうなると、そのエネルギーの状態を具体的にイメージする方法はありますか?
ええ。そこで私が、親も育つ子育てでイメージしてみてとお伝えしているのが、水の中に立つ人間です。
水の中に立つ人間。
はい。ちょっと想像してみてください。あなたは今、水の中に立っています。この時のあなたも生きやすさや生きづらさを決めているのが、3つの要素です。
ほう、3つの要素。
はい。まず1つ目が、水のレベルです。これは、あなたの周りにある環境からのストレス、家事、仕事、病気、時間の無さ、自分ではなかなか買いにくい外からの要求ですね。当然、水のレベルが高いほど、生きづらさを感じます。
なるほど。
で、2つ目が、その人間が乗っているステップ、その踏み台の高さですね。これはセルフケアの領域です。睡眠、休息、食事、自分の気持ちを振り返る時間とか、ここがすごく大事で、このステップが最も早く確実に自分のコントロールが及ぶ部分なんです。
ああ、なるほど。水位は買いにくいけれど、足元のステップは自分で調整できると。
そうなんです。ステップがしっかり高ければ、水のレベルが高くても水面から顔を出して呼吸ができますよね。
確かに。
ええ。そして3つ目が、頭の大きさです。これは感情のコントロールや問題を整理する力、つまりあなた自身の脳のキャパシティ、能力ですね。これは時間をかけて育んでいく力です。
なるほど。買いにくい環境という水のレベルと、自分で調整しやすいセルフケアのステップ、それから時間をかけて育つ頭力の大きさ、この3つのバランスが大事なんですね。
おっしゃる通りです。そして、さっきお話しした脳のシャッターが降りる瞬間というのは、このモデルで言うと、まさに水に溺れかけているサインなんです。
溺れかけているサイン、A。水のレベルが高くて、ステップは低くて、もう頭まで水に浸かってしまいそうになる。その時に脳がこれは危ないと察して、生き延びるために高度な思考を司る前頭前夜の機能を一旦シャットダウンするわけです。
ああ、それで感情が爆発してしまうんですね。
そうなんです。だから、イライラするというのは、あなたが悪いという証拠ではなくて、あなたが溺れかけているよという脳からのSOSサインなんですね。
その視点はすごく楽になりますね。私たちは、溺れかけている時に、もっと頑張らなきゃとつい根性論で考えてしまいがちですけれど、そうなんですよ。
でも、あなたは現在の水のレベルとステップを使って、今できるベストを尽くしているんです。だから必要なのは、もっと頑張るという根性ではなくて、調整という視点なんです。
調整ですか。具体的に何をすればいいんでしょうか。
まず一番速攻性があるのが、足元を安定させること、つまりステップを高くすることです。
はい、ええ、これはそんなに大げさなことじゃなくていいんです。
例えば、5分だけ座る、わ高い飲み物を飲む、深く3つ呼吸をする、以前お話ししたリラックス法を放すですね。
深呼吸をして、自分の体を優しく撫でたり、お気に入りの香りを嗅ぐみたいなアプローチも、脳に直接安全だよと伝えるのにすごく効果的です。
まずは自分の足元を固めると。
ええ。
そしてもう一つが、環境から求められていることを意識して、その要求を自分のコントロールできる範囲で減らすことです。環境自体は買いにくいかも、工夫できることってあると思うんです。
例えば、今日の夕飯はレトルトにする、とか。
ああ、なるほど、今日中にやろうと思っていた片付けを明日に回す、とか。
なるほど、頑張るんじゃなくて手放してもいい許可を自分に出す、というか。
そうです、そうです。自分を責めるエネルギーを自分を休ませる方に転換する、ということなんです。
自分を責めるエネルギーを自分を休ませる方に。
ええ、あなたが自分に大丈夫だよと安全感を与えて、自分のステップを整えることが、結果としてお子さんへの安全感につながっていくんです。それが、親も育つ子育てのすごく大きな一歩だと思っています。
いやー、すごくよくわかりました。最後にこれを聞いている親御さんが、今から心に留めておけることはありますか?
はい。もし今夜またお子さんの寝顔を見ながら自分を責めそうになったら、その代わりにこう自分に聞いて欲しいんです。
私の今の息のしやすさはどのくらいだろう。私のステップを少しだけ高くするために、今すぐできることは何だろう、って。
その小さな問いかけが、きっとあなた自身を救う第一歩になるはずです。
自分を責めるんじゃなくて、自分に問いかけるんですね。
はい。そうやって自分を整えることに、エネルギーを10%だけでも向けてみてください。
わかりました。
今日のお話で、自分の生きづらさや生きやすさは、自分の能力と環境、セルフケアのバランスによって影響を受けていることが可視化された感じで、ちょっと自分の状態を見やすくなりました。
これこそ大切なメタ認知ですね。
確かに、自分を客観的に見られると落ち着く感じがします。
では、次回はどんなお話になりますか?
次回は、これまで一緒に学んできたことをもとに、少し新しいやり方を加えて、子どもとの具体的な対話のステップについてお話したいと思います。
親がコントロールを手放して、子どもとチームとして問題解決に向き合う方法についてお話できればと思います。
のりこさん、ありがとうございました。
今日のお話が少しでもリスナーの皆さんの心を軽くするヒントになれば嬉しいです。
そうですね。私もそう願っています。
では、また次回お会いしましょう。