2026-01-31 15:49

EP10:なぜ「わかっているのに、できない」のか?脳のシャッターと3つのリソース

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「もっと優しくしたいのに、つい怒鳴ってしまう……」 そんな悩みの正体は、あなたの愛情不足ではなく、実は「脳の物理的なリソース不足」かもしれません。

今回は、エール大学のアーンステン教授が提唱する「脳のシャッター」の仕組みや、心理学者ロイ・バウマイスターの「意志力の消耗」という概念をベースに、なぜ夜になるとイライラが止まらなくなるのかを医学的・心理学的な視点から解き明かします。

さらに、「親も育つ子育て™︎」独自のモデル**『水の中に立つ人間』**を用いて、私たちの「生きやすさ・生きづらさ」を決定づける3つの要素(水位・ステップ・頭の大きさ)について詳しく解説。

「根性」で頑張るのをやめて、今の自分に「調整」を許してあげる。自分を責めるエネルギーを、自分を休ませるエネルギーに転換するための具体的なヒントをお届けします。

【今回のポイント】

  • 脳の司令塔「前頭前野」がオフになる条件
  • 夜にイライラするのは「バッテリー残り1%」のサイン
  • 水位(環境)は変えられなくても、ステップ(セルフケア)は今すぐ高くできる
  • 「人はいつも、その時にできるベストをしている」という視点

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サマリー

このエピソードでは、頭では理解しているのに行動に移せない理由について、脳のシャッター理論と意志力の消耗に焦点が当てられています。また、親が成長する子育ての観点から、生きやすさを保つためのセルフケアと環境の調整方法が提案されています。

脳のシャッターのメカニズム
ようこそ、親も育つ子育て。野田徳子です。今日も子育てがちょっと楽になるヒントをお伝えしていきます。
こんにちは。今日もニュージーランド在住の総合信業家の医師である、徳子さんと一緒にお話をしていきます。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
今日は、頭ではわかっているのに、つい子供に良くないと思う事をしてしまうのはなぜか。そして、私たちの生きやすさ、生きづらさに影響を与えているのは何か。そんなお話ですね。
ええ。皆さんも、いろいろ頭ではわかっているけれど、できない。何でこんなに生きづらいのかなと思う。そんな経験があると思います。
本当に生きづらいと感じることは多いです。自分の性格のせいなのかなとか、やり方が悪いからかなとか思ってしまいます。
それはですね、愛情とか忍耐力とか、そういう精神論の問題では全くないんです。
違うんですか。
違うんですよ。今日のお話を聞き終わる頃には、なぜわかっているのにできないのか、そのメカニズムがわかって、自分を責める必要がないんだと納得できるはずです。
そうすれば、では何をすればいいのか、という次へのステップにも気持ちが向きやすいと思います。
では、わかっているのにできない時、脳では何が起こっているのでしょうか。
一言で言うと、脳のシャッターが降りてしまっている状態なんです。
脳のシャッターですか。
はい。私たちの脳には、前頭・前夜という指令塔のような場所があるんですね。理性的に考えたり、感情をコントロールしたりする、すごく大事な部分です。
はい。
でも、この前頭・前夜って、実はものすごくデリケートなんです。ほんの少しのストレス。
例えば、お腹が空いた、疲れた、ちょっと焦る、みたいな日常的なことで、物理的に機能がオフになってしまうんです。
オフになる。
そうなんです。イエール大学のエイミー・アーンステンの教授の研究でも、ストレスがかかると、脳の神経細胞の接続が文字通り切れてしまうことがわかっています。
切れてしまう。それはもう、気持ちの持ちようとかいうレベルの話じゃないですね。
違います。だから、シャッターがガラガラと降りるという表現がぴったりで、シャッターが降りているときは、指令塔が機能していないので、もう子供の話を聞こうとか、冷静になおうという高度な判断ができなくなっちゃうんですね。
意志力の消耗
なるほど。
でも、代わりに、もっと原始的で本能的な脳の部分が働き出します。戦うか握るか、みたいな。
だから、感情が爆発してしまう。あなたが聞きたいのに聞けないと感じるとき、それは脳が物理的に聞けない状態になっているサインなんです。
ああ、物理的な反応だったんですね。
よく聞くのが、朝は優しくできるのに、夕方から夜にかけて爆発してしまうという声なんですけど、これにも理由があるんでしょうか。
ええ、それもすごくよくわかります。そこに関わってくるのが、心理学の意志力の消耗。英語だと、エゴディプリーションという考え方ですね。
意志力の消耗。
はい。心理学者のロイ・バウマイスターが提唱したんですけど、私たちの精々心や意志の力というのは、肝肉のようなものだと。
筋肉ですか。
ええ。使えば使うほど疲れて消耗していく有限なリソースだという考え方なんです。
例えば、朝起きてから、まだ寝ていたいなと思うのを我慢して起きる。子供の支度が遅くてイライラするのを抑える。仕事の理不尽な要求に耐える。夕飯のこんだてを考える。こういう一つ一つの小さな決断や我慢で、意志力ってどんどんすり減っていくんです。
ああ、なるほど。目に見えないけれど、確実に消費されているわけですね。
そうなんです。よくスマホのバッテリーに例えるんですけど、朝は100%だったバッテリーが、夜にはもう残り1%になっているような状態です。
ああ、その状態でスマホで動画を見ようとしても無理みたいなことですね。
まさに、その残り1%の意志力で子供の感触に対応するというのは、そもそも脳のスペック的にもう無理な話なんです。夜にイライラするのは、あなたの心が狭くなったんじゃなくて、単なる物理的なエネルギー切れなんですね。
セルフケアと環境の調整
なるほど。脳の作りとエネルギーの問題だった。そうなると、そのエネルギーの状態を具体的にイメージする方法はありますか?
ええ。そこで私が、親も育つ子育てでイメージしてみてとお伝えしているのが、水の中に立つ人間です。
水の中に立つ人間。
はい。ちょっと想像してみてください。あなたは今、水の中に立っています。この時のあなたも生きやすさや生きづらさを決めているのが、3つの要素です。
ほう、3つの要素。
はい。まず1つ目が、水のレベルです。これは、あなたの周りにある環境からのストレス、家事、仕事、病気、時間の無さ、自分ではなかなか買いにくい外からの要求ですね。当然、水のレベルが高いほど、生きづらさを感じます。
なるほど。
で、2つ目が、その人間が乗っているステップ、その踏み台の高さですね。これはセルフケアの領域です。睡眠、休息、食事、自分の気持ちを振り返る時間とか、ここがすごく大事で、このステップが最も早く確実に自分のコントロールが及ぶ部分なんです。
ああ、なるほど。水位は買いにくいけれど、足元のステップは自分で調整できると。
そうなんです。ステップがしっかり高ければ、水のレベルが高くても水面から顔を出して呼吸ができますよね。
確かに。
ええ。そして3つ目が、頭の大きさです。これは感情のコントロールや問題を整理する力、つまりあなた自身の脳のキャパシティ、能力ですね。これは時間をかけて育んでいく力です。
なるほど。買いにくい環境という水のレベルと、自分で調整しやすいセルフケアのステップ、それから時間をかけて育つ頭力の大きさ、この3つのバランスが大事なんですね。
おっしゃる通りです。そして、さっきお話しした脳のシャッターが降りる瞬間というのは、このモデルで言うと、まさに水に溺れかけているサインなんです。
溺れかけているサイン、A。水のレベルが高くて、ステップは低くて、もう頭まで水に浸かってしまいそうになる。その時に脳がこれは危ないと察して、生き延びるために高度な思考を司る前頭前夜の機能を一旦シャットダウンするわけです。
ああ、それで感情が爆発してしまうんですね。
そうなんです。だから、イライラするというのは、あなたが悪いという証拠ではなくて、あなたが溺れかけているよという脳からのSOSサインなんですね。
その視点はすごく楽になりますね。私たちは、溺れかけている時に、もっと頑張らなきゃとつい根性論で考えてしまいがちですけれど、そうなんですよ。
でも、あなたは現在の水のレベルとステップを使って、今できるベストを尽くしているんです。だから必要なのは、もっと頑張るという根性ではなくて、調整という視点なんです。
調整ですか。具体的に何をすればいいんでしょうか。
まず一番速攻性があるのが、足元を安定させること、つまりステップを高くすることです。
はい、ええ、これはそんなに大げさなことじゃなくていいんです。
例えば、5分だけ座る、わ高い飲み物を飲む、深く3つ呼吸をする、以前お話ししたリラックス法を放すですね。
深呼吸をして、自分の体を優しく撫でたり、お気に入りの香りを嗅ぐみたいなアプローチも、脳に直接安全だよと伝えるのにすごく効果的です。
まずは自分の足元を固めると。
ええ。
そしてもう一つが、環境から求められていることを意識して、その要求を自分のコントロールできる範囲で減らすことです。環境自体は買いにくいかも、工夫できることってあると思うんです。
例えば、今日の夕飯はレトルトにする、とか。
ああ、なるほど、今日中にやろうと思っていた片付けを明日に回す、とか。
なるほど、頑張るんじゃなくて手放してもいい許可を自分に出す、というか。
そうです、そうです。自分を責めるエネルギーを自分を休ませる方に転換する、ということなんです。
自分を責めるエネルギーを自分を休ませる方に。
ええ、あなたが自分に大丈夫だよと安全感を与えて、自分のステップを整えることが、結果としてお子さんへの安全感につながっていくんです。それが、親も育つ子育てのすごく大きな一歩だと思っています。
いやー、すごくよくわかりました。最後にこれを聞いている親御さんが、今から心に留めておけることはありますか?
はい。もし今夜またお子さんの寝顔を見ながら自分を責めそうになったら、その代わりにこう自分に聞いて欲しいんです。
私の今の息のしやすさはどのくらいだろう。私のステップを少しだけ高くするために、今すぐできることは何だろう、って。
その小さな問いかけが、きっとあなた自身を救う第一歩になるはずです。
自分を責めるんじゃなくて、自分に問いかけるんですね。
はい。そうやって自分を整えることに、エネルギーを10%だけでも向けてみてください。
わかりました。
今日のお話で、自分の生きづらさや生きやすさは、自分の能力と環境、セルフケアのバランスによって影響を受けていることが可視化された感じで、ちょっと自分の状態を見やすくなりました。
これこそ大切なメタ認知ですね。
確かに、自分を客観的に見られると落ち着く感じがします。
では、次回はどんなお話になりますか?
次回は、これまで一緒に学んできたことをもとに、少し新しいやり方を加えて、子どもとの具体的な対話のステップについてお話したいと思います。
親がコントロールを手放して、子どもとチームとして問題解決に向き合う方法についてお話できればと思います。
のりこさん、ありがとうございました。
今日のお話が少しでもリスナーの皆さんの心を軽くするヒントになれば嬉しいです。
そうですね。私もそう願っています。
では、また次回お会いしましょう。
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