リラックス法の重要性
こんにちは、親も育つ子育てへようこそ、野田徳子です。
今日も子育てがちょっと楽になるヒントをお伝えしていきます。
こんにちは、ニュージーランド在住の総合診療科の医師であり、メンタルヘルスプラクティショナーの徳子さんと一緒に、今日も子育てに役立つ情報をお届けします。
徳子さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
徳子さん、今日はイライラを止めるための具体的なリラックス法についてお話しいただけるんですよね。
そうですね。前回、ポリベーガル理論、自立神経の理論についてお話ししたのを覚えていらっしゃいますか?
はい。3つの自立神経のモードを柔軟に行き来すること、そして今自分がどのモードにいるのか、気づくことが大切だというお話でしたね。
その通りです。今回ご紹介するリラックス法は、イライラした時だけでなく、すごく落ち込んだ時、
つまり、闘争モードの交換神経や、シャットダウンモードの背側迷走神経にハマってしまいそうな時に、
安心・安全の腹側迷走神経に戻るための具体的な技術なんです。
なるほど。では、もし前回のエピソードをまだ聞いていない方は、そちらを先に聞くとより理解が深まりそうですね。
そうですね。ぜひ、合わせて聞いていただければ嬉しいです。
では、今回教えていただくリラックス法を身につけると、私たち親にはどんな変化が期待できるのでしょうか?
はい。これは、頭では分かっていても止められない感情の暴走を、身体の仕組みを使ってニューロ学的に沈める方法です。
単なる気休めではありません。その場で瞬時に体を落ち着かせるだけでなく、継続することで脳の回路そのものを書き換えていくことができます。
脳を書き換える。それは心強いです。
自力で安全な状態へ戻る回路を作れるようになると、自分をコントロールできるんだという安心感、つまり自分への信頼が戻ってきますから。
「は・な・す」メソッドの詳細
確かに爆発した後の絶望感ってすごいですもんね。あんなに怒鳴りたくなかったのに。
本当にそうですよね。でも、あのコントロールを失った状態は医学的に見ると非常に面白いことが起きているんです。
脳の見張り役である返答体が緊急事態だと判断して、理性の脳である前頭腰を乗っ取っている状態、つまりサバイガルモードなんです。
脳が状況を命の危険だと勘違いして、あなたを守るために緊急用の回路に切り替えちゃっているんですね。
私を守ろうとしてくれているんですか?
そうなんです。だからコントロールを失うのはあなたの意思が弱いからではなく、脳が今は理性なんて使っている場合じゃない。
戦えと命令を出しているから、むしろあなたの神経系が正常に機能して必死にあなたを守ろうとしている証拠なんですよ。
私を守ろうとしてくれている。そう言われると自分を責める気持ちが少し和らぎます。
ただ、この緊急回路に入ってしまうと、言葉トップダウンが届かなくなります。
落ち着かなきゃと自分に言い聞かせてもうまくいかないのはそのためです。
だからこそ、体の抹消神経から脳の深部へ、今は安全だよと信号を送る体からのアプローチ、ボトムアップが必要なんです。
そのメソッドが、話すです。その話す。具体的にお聞きしたいです。
はい、「は」は吐き出す。「な」は撫でる。「す」は吸い込む。この3つです。
実はそれぞれに明確な神経学的な仕組みと狙いがあるんですよ。
順番に言いかかってもいいですか?まず、「は」の吐き出すはどういう仕組みなんでしょう?
これは、瞑想神経へのハックです。私たちは息を長く吐くとき、副交感神経の要なる瞑想神経を化成化しています。
これを専門的には呼吸性不静脈と呼びます。
呼吸なのに不静脈という言葉が付くのが不思議ですね。
面白いですよね。吸うと心拍が上がり、吐くと下がるという体のリズムのことなんです。
あえて吐く時間を長くすることで、脳の火災放置器、扁桃体に対して物理的に消化活動を行うバイオフィードバックの仕組みですね。
なるほど。物理的に消化しに行くんですね。では、「な」の撫でるはどうでしょう?
皮膚には秒速5センチ程度のゆっくりとした撫でる動きにだけ反応するC触覚繊維という特殊な神経があるんです。
ここを刺激すると脳内で安心のホルモン、オキシトシンが分泌されます。
オキシトシン、あの絆や癒しのホルモンですね。
はい、これによりIFSでいうところの怒りのパーツがなだめられ、本来の穏やかな自分、つまりセルフにつながる感覚が戻ってきます。
そして最後3つ目の、「す」の吸い込むはどうなっているんですか?
五感の中で嗅覚だけは特別なんです。理性の脳、思想を経由せず、本能や感情を司る大脳変異系にダイレクトに届きます。
思考を通らずに直接届くんですね。
そうです。いわば脳の裏口からのショートカット。論理をすっ飛ばして一瞬で返答台の興奮をリセットできる非常にパワフルな方法なんですよ。
さて、ここからが大切です。このメソッドは嵐が来ている真っ最中ではなく、まずは比較的落ち着いている時から練習を始めてほしいんです。
落ち着いている時に練習をしておく。
はい。山登りの練習をする時、いきなりエベレストに登るのではなく、まずは低い山で練習するのと同じです。
繰り返すことで脳の神経回路のつながりが強固になります。これをニューロプラスティシティ、脳の可動性と呼びます。
朝起きた時やトイレの中など、静かな時間にやってみてください。練習を続けていくと、大きな感情が起こった場合でもすぐにリラックス法を使えるようになってきます。
では、今お話を聞きながらリスナーの皆さんも一緒にやってみましょうか。
ぜひ、まずは歯、吐き出す。鼻から吸って、口からフーッとできるだけ細く長く吐き切ってください。
おおかく膜も動くのも意識して。では、フーッ、フーッ。
ああ、これだけでも少し肩の力が抜けますね。
吐く時間を長くすることで、脳にもう戦わなくていいよというオフボタンを押しに行っています。
次に、な、撫でる。腕、胸、肩、手のひら、太もも、自分が気持ちいいと感じる場所をゆっくり撫でてみてください。
腕をゆっくり撫でる。秒速5センチ。本当にゆっくりです。C触覚サインを刺激してオキシトシンを出しています。
不思議とほっとしますね。スキンケアをしている時に落ち着くのもこれだったのかもしれません。
顔を撫でるのもいいですね。いいですね。そうすると脳からはリラックスした時のアルファ波も出ます。
怒り狂っているパーツを本来の自分が大丈夫なよとケーしてあげている状態です。
では最後は、吸、吸い込む。何か好きな香りはありますか?
ちょうど入れたてのコーヒーがあります。
最高ですね。その香りを意識的に鼻の奥まで届くようにゆっくり吸い込んでください。
はー、うーん、落ち着きますね。
香りが脳の火災放置器を一瞬でリセットしてあなたを今ここに戻してくれました。
脳を書き換える練習
さて、ここからさらにもう一歩強化する方法をお伝えします。
このメソッドを脳内の深い安心・安全の感覚と完全に結びつけさせるんです。
どうやるんでしょう?
先ほどの話すを行いながら、自分が心から安全だと感じる場所をイメージするんです。
静かな森の中や穏やかな海辺など、お好きな場所をイメージしてください。
ふーっと吐いてゆっくり撫でながら、森の中にいる自分をイメージする。
そうです。この動作と安全な場所のイメージを脳内でセットにすることで、強固なリンクを作ります。
これを繰り返して回路を強化しておけば、たとえ過酷な子育ての現場でも、
メソッドを行うだけで、瞬時に脳が安全モードに切り替わるようになります。
忙しくて時間がないときはどうすればいいですか?
歩きながら呼吸を整えるだけでもいいですし、
お気に入りの香りを忍ばせたロケットペンダントなどを身につけるのもいいですね。
いつでも一瞬で脳をリセットできます。
なるほど。
粗末に一つ伺いたいんですが、今まさに子供が荒れている。
子供が死にたいと言っているという、本当にどん底にいる親御さんもいらっしゃると思うんです。
今安心するなんて無理だと。
本当にそうですよね。そんな過酷な状況でリラックスなんてできるわけがないと感じるのは当然です。
でもそんな時だからこそ、1%でもいいので、自分に隙間を開ける許可を与えてほしいんです。
1%ですか?
はい。闘争モードにある親御さんのパーツは、そう簡単に落ち着いてくれません。
だからパーツに黙れというのではなく、1%だけ隙間を開けてくれますか?と聞いてみるんです。
黙らせるのではなく、1%の隙間。
その1%の隙間が、あなたの神経系を、そしてお子さんとの関係を、わずかでも安全な方へ導くきっかけになりますから。
優しい気持ちになれますね。完璧じゃなくてもいい。
完璧じゃなくてもいい。まずは1%の隙間から、毎日話すを練習して脳を書き換えていきたいですね。
のりこさん、今日も本当に役立つお話ありがとうございます。
ありがとうございます。私も毎日やっています。皆さんも少しずつ一緒に練習していけたら嬉しいです。
はい。
次回のテーマは、子供が一番欲しいものについて伺います。これはどういったお話になるんでしょうか?
子供が親との関係の中で、本能的に満たそうとしているニーズとは何か?それを満たすことがなぜ大切なのか?というお話です。
親子関係の根幹に関わるお話ですね。次回も楽しみにしています。ありがとうございます。
ありがとうございます。ではまた次回お会いしましょう。