2025-12-06 12:08

EP2 子どもより先に酸素マスクを:親がまず自分をケアする子育ての第一歩

spotify apple_podcasts

子育て中のイライラや疲れは、多くの親が抱える現実。でも、その親のストレスは実は子どもの神経系に影響し、安心感や自己肯定感の育ちを妨げることもあります。今回は「自分より子どもを優先しがち」な親御さんたちに、親が自分の心身の安定を意識することが、子どもの心の健康を支える大切な基盤になるのだということ、また日常できるストレスを下げる、落ち着く方法について話します。

サマリー

このエピソードでは、親が子どもより先に酸素マスクをつけて自身のケアを行う重要性について述べています。親の精神的な安定が子どもの安心感につながることや、自分自身に意識を向けることが子育ての第一歩であることが解説されています。

親のケアの重要性
- ようこそ、親も育つ子育てへ。今日もドクターのノリコと一緒に、子育てをもう少し楽にするヒントをお届けします。ノリコさん、どうぞよろしくお願いします。
- はい、よろしくお願いします。先生は今、ニュージーランドで総合診療科の医師をされているんですよね。
- はい、そうです。総合診療科の他に、サブスペシャリティのメンタルヘルスの分野で、インターナルファミリーシステムという心理療法とか、ヘイビーニングテクニックといった療法のプラクティショナーとしても活動しています。
- ノリコさんが目指している体の健康だけでなく、精神面も含めた全人的な健康のケアをされているのですね。
- そうなんです。
- さて、今日お伺いするのは、子供より先に酸素マスクをつけるというこのテーマなんですけども、これは日々子育てを頑張っていらっしゃる親御さんたちに届けたいメッセージだということなんですが、まずこの記事で先生が一番伝えたかった中心的な考えを教えていただけますか。
- はい。毎日お子さんのためにすごく頑張っているのに、なんか思うようにいかなくてイライラしちゃうという親御さんすごく多いと思うんですよね。
- はい。
- 親は子供のためと思い、一生懸命なのに、親のフラストレーションが募ると、親のメンタルが悪くなり、それが逆に子供に悪影響を与えることになる。つまり、親が目指しているのと逆の結果になってしまう。
- 確かに。
- だからこそ、親が子供より先に酸素マスクをつける必要がある。つまり、親がまず自分のケアをする必要があるということです。今日はそのための最初の一歩についてお話ししたいなと思っています。
- なるほど。分かっているようで、なかなか時間的にも気持ち的にも難しいのが現実かなと思います。
- そうですよね。ただ、それをひとまとめにイライラとしてしまうのではなく、このイライラの感情がどこから来ているのか、そしてそれをどのようにすると和らげられるかを、親も育つ子育てでは大切にしています。
お子さんがいらっしゃるとおっしゃっていたんですけれど、例えばどういう状況でイライラ感じやすいとかありますか?
- そうですね。例えば、朝全然起きてこなくてついせかしちゃうとか、あとは宿題せずにギームばっかりしている姿に焦っちゃうとか、学校に行きたくないなんて泣かれるとつい声を荒げてしまうとか。
- こういうのって親が真剣だからこそ生まれる感情なんですよね。
- 確かに。
- でもそう思ってもイライラしますよね。
- このイライラに関しては、まず子どもの行動に対して、どんな反応が私たち親自身の内側で起こっているということを見つめていただきたいと思います。その方法についてはまたこの先のポッドキャストでお話ししていきます。
- 親も育つ子育てでは、こういう内側のケアもセルフケアに含んでいます。またその他にもイライラに大きく影響しているのが親御さん自身の体とか環境の状態なんです。
- 親自身の状態ですか?
- はい。例えば睡眠不足だったり、お腹が空いていたり、仕事のストレスがあったり、天候の変化なんかも実は関係していて、そういういろいろな要因で私たちの反応って過敏になるんですよ。
- なるほど。自分自身のコンディションもすごく関係してるんですね。
- はい、そうです。それに加えて、ちゃんとした子育てをしなきゃっていう、こうあるべきみたいな思いが強いと、現実とのギャップに苦しんでしまうこともありますしね。
でも、これって誰にでも起こるすごく自然な反応なんです。でも、ただイライラってなく、もう少し丁寧に自分の中に意識を向けてみるのが第一歩になります。
- なるほど。では、親が自分のケアが大切っていう点について、親がイライラしたり、ちょっと不安定になったりすると、それってお子さんにはどういうふうに影響していくんでしょうか。
具体的なアクション
- 親の不安定さっていうのは、もうダイレクトにお子さんに伝わってしまうんです。
- はい。
- 子どもって親の顔色をもう常に伺っているので、安心できなくなっちゃうんですよね。そうすると、自分の本音を言えなくなったりとか、失敗を過度に恐れるようになったりします。
- 小さなお子さんって親の不機嫌を自分のせいだって感じてしまうって聞いたことがあります。
- まさにその通りです。心理学者のジャン・ピアジェが提唱した認知発達理論っていうのがあるんですけど、幼い子ってその時の認知の発達のステージの影響の影響で、どうしてもお母さんの不機嫌なのは自分が悪い子だからだっていうふうに全部自分に原因があるって解釈しちゃうんですよ。
- それはお子さんにとってはすごく重いですよね。
- へえ。さらに子供が常にそういう緊張状態にあると、脳の危ないって反応する部分、偏頭体っていうんですけど、そこが過剰に働いちゃうんです。
- 偏頭体。
- はい。そうすると、落ち着いて考えたり、何かを学んだりする力をうまく発揮できなくなってしまうことがあります。
- 大人の世界でもちょっと似たような状況ってありますよね。
- そうですね。例えば職場でいつもイライラしている上司がいたら、なかなかリラックスして自分の能力を発揮するのは難しくなりますよね。
- 難しいですね。
- はい。でも大人なら上司に意見をするとか、会社を辞めるとか選択肢がありますが、子供は親に頼るしかないので、その影響っていうのはもうさらに大きくなってしまうんです。
- なるほど。となるとやっぱり親がまず自分の心を落ち着かせるっていうのがすごく重要になってくるわけですね。
- はい。でも親御さんの多くは自分のケアはまとまらしいとか、なんかそれって甘えなんじゃないかって感じちゃう方もきっと多いと思うんですけど、そのあたりってどうなんでしょう?
- いえいえ。もうそれは全く逆で、親御さんが心と体を落ち着けることこそ、お子さんのメンタルヘルスを守るための一番大事な行動であり、それは科学的にも裏付けられています。
- 言ってみれば、親御さんが心と体を落ち着けることは子供のための投資なんですよ。
- 投資ですか?
- はい、投資です。親が安定していると、子供はここは安全な場所なんだ、困っても助けてもらえる、自分は受け入れられているってそう感じることができるんです。
- この安心感が、子供のレジリエンス、つまり折れない心の大事な土台になります。それと、私が提唱している親も育つ子育てでのセルフケアっていうのは、先ほど言ったように、ただ休むとかいう体のケアだけっていうだけでなく、自分の内側、つまり心のセルフケアっていうところも深く含んでいるんです。
- なるほど。では、実際にイライラしてしまった時に、すぐにできる具体的なアクションって何かありますか?
- はい、あります。つい自分の外側、つまりお子さんに向きがちな意識を、まず自分の内側に向けるという3秒セルフチェックという方法をお勧めしています。
- 3秒でできちゃうんですか?
- はい、本当に一瞬です。まずイライラしている自分に気づくこと、気づく。はい、今私イライラしてるなって。そして次に自分の体に意識を向けてみるんです。呼吸が浅くなってないかなとか、肩に力が入ってないかなとか。そして最後に顎とか肩、どこか一つだけ力を抜く。一つだけでいいんですね。はい、一つで十分です。
- たったこれだけでも親子さんの神経系が少しだけ安全モードに切り替わって始めるんですね。
- そうなんです。それが冷静になるためのすごく大事な第一歩になります。その他にも、親も育つ子育てでは、呼吸と優しいタッチを取り入れていますが、何事も変化を起こすためには、自分の現状にまず気づくことが大切です。
- なので、まず皆さんには自分がイライラしていることに気づき、体の緊張を緩めるところから始めてほしいと思います。
- なるほど。じゃあ、のりこさん、今日の話のポイントを改めて教えていただけますか。
- はい。一番伝えたいメッセージは、親の安定が子供の安心につながるということです。
- ええ、そしてセルフケアは甘えなんかじゃなくて、子供のための投資なんだよっていうことですよね。
- はい。その第一歩は、自分の今の状態にまず意識を向けてあげること。親も育つ子育てっていうのは、親が自分の内側に戻る旅でもあるっていうふうに私は考えています。
- 親自身が自分と向き合うということですね。
- はい、そうです。そしてですね、次回はもう一歩進んで、コントロールできるのは自分だけというテーマでお話ししたいなと思っています。
- おお、それもすごく興味深いです。
- はい。子供を変えようとする前に、まず親自身の自動的に起こる反応に気づいて、コントロールを手放すと一体何が変わるのかというお話をしたいと思っています。
- それも非常に楽しみです。もっと詳しく知りたいという方は、のりこさんのKindle本やInstagramもチェックできますので、ぜひご覧ください。
本日は本当にありがとうございました。
- こちらこそありがとうございました。
12:08

コメント

スクロール