2025-12-02 12:08

EP1『親も育つ子育て™︎』が生まれた背景:私が大切にしたいこと

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EP1『親も育つ子育て™︎』が生まれた背景:私が大切にしたいこと

サマリー

EP1『親も育つ子育て™︎』では、野田徳子さんとドクターのりこさんが、親の自己理解や子供との関係構築について話し合っています。特に、自己の価値観が子育てに与える影響や、ニューロダイバーシティやIFSの重要性に焦点を当てています。このエピソードでは、親も育つ子育て™︎の背景とメンタルヘルスの重要性について語られ、親自身が心と体の安全を感じることで、子供との関係を改善し、次の世代に希望の循環をつなげることを目指しています。

番組の背景と目的
ようこそ、親も育つ子育て、野田徳子です。この番組は、親が自分を知り、癒し、そして子供とつながり直すためのヒントをお届けします。
今日は、親も育つ子育てポッドキャストの記念すべき第1回ですね。では、ドクターのりこのだこと、のりこさんに一緒に学んでいきましょう。本日はよろしくお願いします。
早速ですが、今日のテーマはこの番組のタイトルでもある、親も育つ子育てという考え方。これが、そもそもどうやって生まれたのかというその背景にぐっと迫っていきたいなと思っています。
はい。のりこさんご自身の個人的な体験ですとか、学びが深く関わっていると伺っています。
そうですね。
まずはじめに、なぜこの親も育つ子育てという発信を始めようと思ったのか、その一番最初のきっかけから教えていただけますか。
はい。話は私が日本で外科医をしていた頃までさかなぼるんですけれども。
外科医でいらっしゃったんですね。
その頃って外科医としてもちろん患者さんの治療に最善を尽くす毎日だったんですが、どこか人間を部分的にしか見ていないなっていう感覚がずっとあったんです。
部分的にしか見ていない。
はい。体のその病気の部分は見るんですけど、その方の人生ですとか心の背景みたいなところに全く触れる時間も余裕もなかったんですね。
なるほど。
それですごく印象に残っている患者さんがいまして、その方はある主要の診断がついて手術のために入院されていたんです。
自分が担当だったので、この方のレントゲンとか血液検査とか、そういう医療情報はもう完璧に私の頭に入っていたんです。
でもある日ナースステーションで看護婦さんが、あの患者さん実は来年完成する空港建設の重要人物らしいですよと話しているのが偶然耳に入ってハッとしたんです。
私その方の病気については知っていても、その人自身のこと、例えばこの大きなプロジェクトの完成を夢見て全エネルギーを費やしていた時に病気に診断された悲しみとか怒りとか、その方のご家族の思いとか、そういうことを全く知らなかったなと。
データとしては知っているけれど、一人の人間としてのその方の物語は見ていなかったと。
そうなんです。患者旗を着てベッドに寝ていると小さく見えるけれど、皆さん一人一人が自分の人生を生きてきた人間なんだって改めて感じた瞬間でした。
この違和感が今の活動につながる本当に最初の小さな種だったなと思います。
小さい頃の影響というお話も、その下界時代の違和感が何であったのかがニュージーランドで総合診療科の医師になられてからよりはっきりしてきたそうですね。
子育てにおける価値観の影響
そうなんです。総合診療科では患者さんを全人的に、つまり心も体もその人の生活背景も含めて全部見るようになるんですね。
総合診療科というのは患者さんだけでなくその家族状況も理解し、患者さんの一つの問題だけでなく全人的なアプローチをする。
そこからメンタルヘルスの重要性というのに気づいて、ライフコーチングとか心理学を学び始めたんです。
そうしたらすごく大事なことが見えてきまして。
と言いますと。
大人が抱えている苦しさの多くはですね、実は子供の頃に身につけた考え方とか価値観の原因になっているということなんです。
子供の頃に身につけた。
はい。周りの大人を怒らせちゃいけないとか、役に立たないと自分に価値はないとか、いい子じゃないと愛されないとか。
ああ、なんとなくわかります。生き延びるために自分に言い聞かせてきたような。
まさに生き延びるための考えや価値観ですよね。それが大人になってもその人の生き方をガチガチに縛り付けている現実があったんです。
なるほど。
そこで人って子供の時に作られるんだなーって深く感じて、日々の子育てっていう関わりの重要性をものすごく意識するようになりました。
ご自身もお母さんとして子育てで追い詰められた経験があったというふうにも伺いました。
まさにそうでした。母親になった当初は自分の考える子育ての正しさみたいなものをすごく追いかけていたんです。
正しさですか。
はい。子供の可能性を最大に伸ばさなきゃとか、自分より子供が優先でしょとか、あと親が解決法を知っていて子供はそれに従うべきだとか、そういう価値観をすごく強く持っていたんです。
良かれと思ってですよね。
そうなんです。でも結果として思うようにいかない子供にすごくイライラして、そんな自分を責めるっていう日々の繰り返しで本当に疲れてましたし、孤独でしたし、怒りも感じてましたね。
その状況が変わる何か転機があったんですか?
ありました。これは一瞬のひらめきとかではなくて、ライフコーチングなどを学びながら徐々に気づいていたことなんですが、私の持っているその価値観って全部私自身が子供の頃に親に愛されるためとか、この家で生き延びるために必死で身につけたものだったんだなって。
ご自身の子供時代の。
はい。その気づきが本当に大きかったです。それはまず自分自身の気づきから始まって、さっき説明した患者さんに接していて感じたことと統合されて、親も育つ子育ての土台になるコンセプトができてきました。
ニューロダイバーシティとIFSの重要性
親がまず自分自身を癒して、自分のそういう古い価値観から自由になること、つまり親が育つことがうまくいく子育てにつながるんだなって。
なるほど。そこが親も育つ子育てのまさに革新部分なんですね。
ええ、それが大きな理由の一つですね。
その後さらに学びを深める中で特に大きな影響を受けた考え方があったそうですね。
特に二つあります。一つがニューロダイバーシティ。日本で知られている言い方だと発達障害ですね。
ニューロダイバーシティ、神経の多様性ということですね。ADHDとか、自閉症スペクトラムとか、学習障害とか。
そうです。ADHDのアセスメントを始め、その経験を通じて学んだんですが、脳の特性って本当に人それぞれで、診断基準に満たさない人でも特性があったりする特性によって脳の実行能力のレベルに違いがあり、それが子供の問題コードにも関与しているという考え方です。
これを知って、それまでの子育ての常識がガラガラっと崩れて、例えば賞罰、飴と鞭で子供を動かそうとするアプローチってあるじゃないですか。
はい、ありますね。
それは脳の特性によっては全く機能しないこともある。できるかできないかはその子供のその時の脳の実行能力によるということに気づいたんです。
脳の実行能力の発達具合ということですね。
大事な視点は、子供は親を困らせるために行動しているわけじゃないっていうことなんです。何かをできないのには必ず理由があるんです。
理由が。
はい。脳の実行機能の問題だったり、感覚の捉え方が私たちと違ったり、できないのはわざとではないということなんです。
できない子供や問題コードを起こす子供を罰するんじゃなくて、その行動の裏にあるなぜに好奇心を持つことが大事なんだなと。
なるほど。そしてもう一つ影響を受けた考え方というのは。
IFS、内的家族システムという心理療法です。
IFS。
はい。日本ではまだあまり知られてないかもしれません。IFSは私の価値観をさらに大きく変えてくれました。
親も育つ子育ての理念
簡単に言うと、自分の中にはいろんな感情とか思考を持ったパーツがたくさんいると考えるんです。
自分の中にパーツがいる。
はい。完璧主義の自分もいれば、もう休みたい自分もいる。子供に起こってしまう起こりのパーツもいるというふうに。
心の中にいろんな自分がいる感じ、わかります。
IFSではそのパーツたちの声を聞いて、自分の中心、真の自分自身、セルフと呼ばれる穏やかな部分から、自分のパーツたちを理解しようとするんです。
パーツを理解する。
はい。これによって得た最大の気づきは、怒りや悲しみ、妬み、批判など感情が湧くことは悪いことじゃない。自分を知るための入り口なんだっていうことでした。
悪いものじゃなくて、自分を理解する入り口。
そうなんです。イライラしたら私の中の何かのパーツが何かを訴えてるんだなって。まず自分の内側を大切に扱う。これが親も育つ子育てのもう一つの大きな柱になりました。
親も育つ子育ては、実は個人の子育てに留まらず、実はもっと大きな社会のメンタルヘルスの視点があるのだと聞きました。
のりこさんが親も育つ子育てを使って、最終的に目指しているのはどういうことなんでしょうか。
最終的なゴールは、世界中のメンタルヘルスの問題を軽減することなんです。
世界中の、壮大ですね。
ええ。でもメンタルヘルスの問題を治療という視点だけ追いかけることには限界があると感じていて。
限界。
はい。アンビュランスアットザボトムオブザクリフという表現聞いたことありますか。
崖の底の救急車ですか。直訳の意味はわかるんですが。
この表現は、崖から落ちた人を助けるために、崖の下で救急車を待機させるのか、それともそもそも人が落ちないように崖の上にフェンスを設置するのか、どっちが大事かという話です。
ああ、なるほど。プリベンションかトリートメントかということですね。
そうです。今のメンタルヘルスケアって明らかに崖の下の救急車で対応しようとしている。
でもその救急車の数が足りてない状態なんです。
私が確信しているのは、必要十分な救急車が崖の下にいることは今の世の中では不可能だと。
それにそのために費やされるエネルギーやお金は果てしない量なんです。
だからこそ予防、つまり崖の上にフェンスを作ること、いやそれ以前に人々が崖の上まで追いやられなくてもいいようにするのが、最も確実で効果的な方法だと考えるようになりました。
そしてその方法やフェンスが子育てにあたると。
その通りです。
親がまず自分を理解して子供との関係をつなぎ直す。そうすると親自身のメンタルが改善する。
そしてその親の下で育った子供はレジリエントな、つまりしなやかで折れない心を持った大人になる。
この希望の循環を次の世代またその次の世代へとつないでいくこと。
それが私が目指していることなんです。
次回のテーマ
いやーよくわかりました。親も育つ子育てというのは単なる子育てのテクニックじゃないんですね。
親自身がまず心と体が安全だと感じられる。落ち着いた状態になることで子供との関係を根っこから変えていく。
親も子も大切にしどちらも育っていく。そういう関わり方なんだということがすごく伝わってきました。
そう言っていただけると嬉しいです。本当にありがとうございました。
ありがとうございました。さて次回なんですが。
はい。次回は親が子供より先に酸素マスクをというテーマでお話しします。
飛行機のアナウンスで聞く言葉ですね。
まさに親のセルフケアがなぜ子育ての絶対的な土台になるのか。
そのあたりを今度は賃金系の理解という視点も交えながらさらに詳しくお話しできればと思っています。
それは楽しみです。本日はありがとうございました。
ありがとうございました。
12:08

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