2026-02-21 18:03

EP13 「理想の喪失」が「成長」に変わる時。脳・心・体で紐解く、新しい自分への旅

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全13回でお届けしてきた「親も育つ子育て™︎」の概要を説明する連載シリーズ、ついに最終回です。 子育ては、かつての自由や理想を手放していく「喪失のプロセス」でもあります。しかし、その痛みを受け入れた先には、以前よりもずっと深く、しなやかな「新しい自分」との出会いが待っています。

今回は、脳科学・IFS(パーツ心理学)・ポリヴェーガル理論を統合した「2つのレンズ」を使い、どのように自責から解放され、自己信頼を獲得していくのかを語ります。

一人の親の癒やし(点)が、子供との関係(線)、家族の空気(面)を変え、やがて世代を超えた負の連鎖を断ち切る「立体的(3D)な社会の癒やし」へと繋がっていく——。そんな壮大なゴールへの道標を提示します。

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サマリー

このエピソードでは、子育てに伴う喪失のプロセスが親の成長にどのように寄与するかを探求しています。メンタルヘルスの観点から、子育てにおける期待の喪失やそのプロセスにおける5つの段階について解説されています。また、自己理解を通じて脳・心・体の調和を図り、自身の成長を促す重要性について語られています。さらに、親子関係の変化が最終的に社会全体のメンタルヘルスにどのように貢献するのかという考え方を探求しています。

子育てと喪失の哲学
ようこそ、親も育つ子育て™︎、野田徳子です。
子育てをもう少し楽にするヒントを、今日も一緒に見つけていきましょう。
本日はいよいよ、このシリーズの最終回ですね。どうぞよろしくお願いします。
こんにちは、徳子さん。全13回にわたって、皆さんと一緒に深く掘り下げてきた、
親も育つ子育て™︎というテーマ、今回が締めとなりますね。どうぞ今日もよろしくお願いします。
はい、今日はですね、これまで見てきた様々なヒントの根底にある、革新的な哲学というか、
子育てを通じて親自身がどう成長していくのか、そしてその先にある大きなゴールについて、総仕上げとして探っていきたいなと思っています。
のりこさんは、ニュージーランドで総合診療科の医師をされていて、特にメンタルヘルスがご専門なんですよね。
はい、そうです。その中で、子育ては世界のメンタルヘルスを改善する入り口だという、すごく大きな視点をお持ち的なんですね。
今回はその出発点として、子育ての始まりは喪失のプロセスに似ているというお話から始めたいと思います。
喪失、これ結構衝撃的なんですけど、どういうことでしょうか?
そうですよね。子育てってやっぱり普通は喜びとか希望をイメージしますよね。
子育てが喪失って聞くと驚かれるかもしれません。もちろん誤解を招かないようにお伝えしておきたいのが、この喪失の過程の中で、
回復と成長も同時に起こっていく。子育てのこれがイメージにある喜びとか希望につながります。
でも、喪失の面についてはあまり語られたことがないですよね。
例えば、親になることが分かった時とか、あるいは親になったばかりの頃をちょっと思い出していただきたいんです。
そこには無意識のうちに、こんな子に育ってほしいなとか、自分のようにはなってほしくないとか、
家族でこんな素敵な生活を送りたいみたいなたくさんの期待とか理想像があったはずなんですよね。
ああ、なるほど。意識しているかどうかは別として、ミラリの設計図みたいなものは誰しも持っているかもしれないですね。
ええ、私自身も何の科学的根拠もないのに、自分よりも頭が良くて努力かなオールマイティな子供になるんじゃないかなんて、
今思えばもう途方もない期待を抱いてました。
うーん。
でも現実はそう甘くはない。子供が生まれて日々を過ごす中で、その設計図通りに進むことの方がむしろ稀なんです。
思い通りにならないことの連続っていう言葉は本当によく聞きます。
まさに順調だと思っていても不登校になったり、あるいは障害を持って生まれてきたり、もっと日常的なレベルでも子供の性格が自分と全く合わなかったりとか。
確かに、親にとってはこんなはずじゃなかったの連続で、それに加えて親になった私たち自身も失うものは大きいですよね。
そう、自由な一人の時間、キャリア、友人との気ままな関係、自分のためだけに使えたエネルギー、これらもまた大きな喪失と言えるんです。
ああ、子供への期待の喪失と自分自身の人生の喪失、その二重の喪失が同時に起こっているということですか?
喪失の5つの段階
そうなんです。だからこそ子育ての初期段階というのは、私たちが無意識に握りしめていた理想の親とか理想の子供、理想の家族みたいなイメージを一つ一つ手放していく旅になるんです。
この心の動きがですね、精神科医のエリザベス・キューブラーロスが提唱した、人が死などの大きな喪失を受け入れるまでの5つの段階と驚くほどよく似てるんですね。
有名な需要の5段階ですね。それを子育てに当てはめると具体的にはどうなるんでしょうか?
はい。まず最初の段階は否認です。こんなはずじゃない、何かの間違いだって、目の前の現実を認めたくない時期ですね。
うちの子に発達特性があるわけないからテストは受けないぞとか思われる親御さん結構いらっしゃると思います。
はい。
で、次に訪れるのが怒り。なぜ私だけがこんな目にとか、どうして誰もわかってくれないんだみたいに、ままならない現実とか、時には子供自身に対してさえやり場のない怒りを感じる段階です。
お子さんに障害があると、どうして私の子がこんな障害を持って生まれてきてしまったのだ。どうしてこんな優れた自分の子供なのにこうなってしまったのだとか。
その怒りって自己批判になることもありそうですね。もっと良い親ならっていう形で。
まさにその通りです。そしてその自己攻撃が次の取引の段階につながることがあります。
この高額な教材を買い当たれさえすればきっとこの子は伸びるはずだとか、私が仕事を辞めて育児に専念すれば問題は解決するはずだというように。
何かを犠牲にすることと引き換えに状況が好転することを願う。でもこれって実は子供のためというより、親自身の不安を解消するための行為だったりするんですよね。
なるほど、それは耳が痛い話かもしれません。その取引がうまくいかないとどうなるんですか?
4段階目の欲打が訪れます。何をしても無駄だ。自分は親として失格だっていう深い無力感に苛まれる時期です。
うーん、聞いているだけでも本当に苦しいプロセスですね。
ええ、でもこの暗いトンネルの先には最後の段階である需要が余っています。
需要?
はい、理想を手放して完璧じゃない不完全な自分とありのままの子供をそのまま受け入れて共に生きていくっていうステージです。
なるほど。
はい、これは誰かと競争するレースじゃないですし、多くの皆さんはすでにお気づきのように失うばかりではない。
全てのプロセスはすごく長い時間がかかることもありますが、この需要にたどり着く過程で、そしてその段階に至った時、親は喪失を乗り越えて、もともと自分の中にあった落ち着いた自分と回復し、そして以前の自分よりもずっと深く、強く、しなやかな新しい自分に成長しているんですね。
脳・心・体の2つのレンズ
ああ、それが親も育つということなのでしょうか。
そうなんです。そして親の成長は子供の精神的な成長とも同期していくのです。
失うだけのプロセスじゃなくて、新しい自分を獲得するための変容の旅でもあると、そしてそのプロセスの先には自分の成長と子供の成長があるわけですね。
その通りです。
では、その苦しいプロセスをただ耐えるんじゃなくて、成長につなげるための具体的な道具として、のりこさんは脳・心・体という視点から生まれる2つのレンズを提唱されていますよね。これはどういうものでしょうか。
はい、このアプローチの土台にはですね、脳科学、それからIFS・ポリベーガル理論という、現代の科学が明らかにしつつある、心と体のつながりに関する知見があります。
IFSとポリベーガル理論というのはちょっと専門的な言葉ですけど、この親も育つ子育てのポッドキャストで以前に取り上げたものですよね。
ただ今回初めてこのポッドキャストを聞くリスナーの方のために、それぞれどういうものか、本当に簡単に教えていただけますか。
もちろんです。まずIFS、内的家族システムというのは心理療法の一つです。
私たちの心の中にはいろいろな考えや信念がありますよね。それを自分の中のパーツとして捉えます。
例えば、もっと頑張れって挙げます自分とか、もう疲れたって訴える自分とか、自分なんて役に立たないと自己批判する自分のように、自分の中にいろいろなパーツ、パーツが存在するという考え方なんです。
自分の内面をいろいろなパーツとして理解して、真の自分であるセルフとつながり、バランスの取れた内的システムを作るわけですよね。
その通りです。それでポリベーガル理論というのは、私たちの自立神経系がどのように成り立っていて、安全や危険を感じていろいろなモードに移り変わる。
そしてそれによって体の反応、例えば心拍数とか呼吸も変わることなどを説明する理論ですね。
なるほど。心の中の多様な自分と体の安全センサーの理論。ありがとうございます。
ではそれらがどうレンズになるんでしょう。これらを統合的に使うことで、私たちは2つの強力なレンズを手にできるんです。
1つは拓大レンズ。これは自分の内側で何が起きているかを深く詳細に観察する力です。
自分の内側にフォーカスするのですね。
えー、あー今私の脳は子供の感触を危険と判断して逃走モードに入っているな、とか、心の中では完璧な母親であるべきっていうパーツが私を厳しく責めてるな、というように、自分の内側に深くダイブして、痛みの根源に連れていくためのレンズです。
なるほど。もう1つは、もう1つが広角レンズです。
これは今の自分を少し離れた場所から客観的に、そして大きな視点で眺める力、いわゆるメタ認知ですね。
メタ認知。今私は喪失プロセスの怒りの段階にいるな、これは苦しいけど一時的な感情の嵐だ、というように自分を俯瞰してみるんです。
これは拡大レンズで自分の内側を覗くことで、広角レンズで見られる感覚が育ってきます。
広角レンズは子育ての中で感情に飲み込まれないで振る舞うために重要な役割を果たします。
広角レンズでお子さん自体も見ることで、親子のダイナミクスを客観的に見られるようになります。
内側を深く見る拡大レンズと、全体像を把握して冷静になる広角レンズ。
この2つを使うことで、子育てという時には混沌とした営みの中で自分を見失わずにいられるという感じですね。
まさにその通りです。この2つのレンズを使いこなすことが、苦しい喪失体験を事故の内面に備わっている力の回復と成長の過程に変える鍵になるんです。
実際にのりこさんの臨床の現場で、この2つのレンズが誰かの助けになった具体的なケースがあれば、ぜひ聞かせていただけますか。
はい。以前、慢性的な不安症に苦しむ若い女性に出会ったことがあるんです。
彼女はこれまで精神科医の診察とか投薬、カウンセラーによるカウンセリングとか色々な治療を受けてきたんですけど、一向に良くならなくて半ば諦めているような状態でした。
これまでのアプローチの多くは、彼女の不安という症状そのものを、いわば適当みなして、治そう、消そうとしてきたんですね。
彼女の症状を問題視していたわけですね。
ええ。私は彼女の主治医の不在時に、たまたま彼女を診察することになったのですが、彼女と話しているうちに、私には1つの視点が抜け落ちているように感じたんです。
抜け落ちていた?
ええ。それが、特性っていう視点だったのです。
特性?
ニューロダイバーシティの脳の特性ですね。
はい。いくつか質問を重ねる中で、彼女には自閉症スペクトラムの特性があることが見えてきました。そこで私は彼女にアプローチを全く変えて説明したんです。
どのようにですか?
私はこう伝えました。あなたがずっと感じているこの激しい不安は、あなたの心が弱いからでも、あなたがダメだからでもないんだよ、と。
はい。
あなたの脳というハードウェアには、世界を非常に敏感に感じ取るという特性が備わっている。そして、その敏感な脳があなたを危険から守るために必死で不安というアラームを鳴らし続けているんだよ、って。
それはご本人としては全く新しい視点だったでしょうね。
はい。まさにそれまで症状だと信じていたものを広角レンズで捉え直して、脳の仕組みっていう大きな文脈で理解した瞬間でした。
私の説明が、まず脳科学的な理解を提供したわけです。
そしてその上で、拡大レンズを使って自分の内側を見た時に、そこにはダメな自分じゃなくて、自分を守ろうと必死に頑張ってくれている自分のパーツの姿が見えた。
これがIFSを使った心へのアプローチですね。
その瞬間、彼女の表情がふっと和らいだのです。長年自分を責め続けてきた重荷から解放された瞬間でした。
自己理解と成長
素晴らしい。それは治療というよりは自分自身との和解に近いですね。
おっしゃる通りです。私が提供したいのは何かを操作する治療じゃなくて、その人自身が自分の脳、心、体のシステムを理解して、自分の中の対立を終わらせるお手伝いをすることなんです。
自己理解を通じて自責から解放されて、自己信頼を獲得する。このプロセスこそがこのアプローチの本質なんです。
一人のないなる平和がそうやって生まれるのですね。
ええ、もちろんそれで不安自体がすぐ治るわけではないですが、なぜこんなに生きづらかったかの説明がつくことで、ほっとする方は多いです。
この女性の今回の診療では、質問や説明だけで通常の診療の時間をすでにオーバーしてしまっていたのでできなかったのですが、
時間が許せばポリベーガル理論とリラックス法を使った体からの安心感の回復の説明や実践を足します。
ああ、それで脳による特性の理解、IFSによる心の理解、ポリベーガル理論による神経系と体のケアの全てがカバーされるわけですね。
その通りです。15分の診療時間はそれにはちょっと短すぎるのですよ。
そうですよね。
それで、のりこさんには一人一人のケアを超えたゴールがあると聞きましたが。
そうですね。一回目のエピソードで説明したように、子育てに関わる親御さんの癒しが最終的には社会全体のメンタルヘルスを改善すると信じており、それが私の大きなゴールです。
親子関係と社会への影響
それについても最後にもう少し教えていただけますか。
はい。その変化が広がっていくプロセスを私は点・線・面・立体という言葉で説明しています。
点・線・面・立体。
全ての始まりはあなたという点です。
あなたが自分の内面を見るレンズとメタ認知をするこの2つのレンズを手に入れて、自分自身を癒し自己信頼を獲得することが全ての出発点になります。
まずは自分という点。
そうです。そしてあなたという点が穏やかさを取り戻すと不思議と子供との関係性、つまり線が変化します。
親が自分を責めなくなると子供も責めることも減るからです。
すると子供も安心して自分を表現できるようになる。
この親と子の繋がりの変化が線です。
点が線に、そしてその次は面ですね。
ええ、親と子の関係という線が変わるとパートナーとの関係や他の家族のメンバーとの関係も変わって家族全体のコミュニケーションが変わる。
家の空気が何というか緊張から安心へと変わっていく。
これが面としての広がりです。
そして最終的には立体へ。
これはどういうことでしょう。
家族という面の空気が変わることは、世代を超えて受け継がれてきた負の連鎖、
例えば親はこうあるべきだみたいな過剰な期待とか、世間に恥ずかしいといった不安などを断ち切る力になるんです。
その結果、あきゃく体とか子育ての最中のトラウマを減らすことができる。
ご自分の代でその連鎖を止めること、これが時間軸を持った奥行きのある立体、三次元です。
難しい子育ての中では先のことを考える余裕はないと思いますが、
一人の親の内なる変化が最終的には社会の無意識のプログラムを書き換える力になれ得ると、私は本気で信じています。
一人の親が自分を癒しながらしなやかな心を持った子供を育てることは、
未来の社会を作る最も尊い仕事だ、とそういうことですね。
はい、それこそが親も育つ子育てが目指す最終的なゴールです。
のりこさん、これまでの13回、通して点と点がつながって、本当に壮大な絵が見えてきました。
では、この探求の旅にご一緒いただいたリスナーの方が、今後もこれらの考えを深めていきたいと思った場合、
何か継続して学べる語はあるんでしょうか。
ありがとうございます。
そうですね、この考え方を一家制の情報じゃなくて、
皆さんの日常に根付かせるための場所をいくつか用意していこうと考えています。
ええ、一つは親御さん同士が安全な環境で対話して支え合えるオンラインコミュニティです。
他に同じような悩みを持つ人の経験を聞くことって、
自分の広角レンズを養う最高のトレーニングになりますから。
確かに、孤立しがちな子育ての中で横の繋がりは重要ですしね。
ええ、そしてもう一つはYouTubeなどを通じて、
このメソッドをいつでもどこでも無料で学べる動画コンテンツとして届けること。
さらに現在すでに出版している、
親も育つ子育ての本に改訂を加えた二弾を出版したり、
子育てとIFSに特化した日本語の本も予定しています。
これらの知見をより深く体系的に学びたい皆さんの手元に届けたいなと考えています。
様々な形で学び続けられるということですね。楽しみにしています。
それでは最後に、この長いシリーズを最後まで聞いてくださったリスナーの皆さんにメッセージをお願いします。
はい、ここまでお付き合いいただき本当にありがとうございます。
子育てはうまくいかないことの連続で、自分を責めてしまう瞬間がもう数え切れないほどあると思います。
私も全く同じでした。
でもどうか一つだけ忘れないでください。
誰もがいつでもその時にできるベストを尽くしています。
あなたも私もです。
ベストを尽くしている。
その言葉だけで少し肩の力が抜ける気がします。
ですからどうかまずあなた自身のケアに心を配ってください。
皆さんが時間もエネルギーもない大変な状況であることは十分理解しています。
ただ、あなたが癒されることがお子さんを家族をそして社会を癒す本当に大きな一歩になることを覚えておいていただきたいのです。
その壮大で尊い旅路を私はこれからも皆さんのそばで伴奏し続けます。
のりこさん、今回のシリーズ全13回本当にありがとうございました。
こちらこそありがとうございました。
ではまた次のシリーズでお会いしましょう。
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