その子は、スノーマンのメグ・ロレンさんのファンなんです。
ここでチケットの当選をお願いした時だけ、すごくいい席が当たったそうで
特に、球技にご利益があるという白峰神宮など
自分の願いにピンポイントで答えてくれる専門家がいるんです。
こんにちは、株式会社KAZAORIの矢沢彩乃です。
推し活未来研究所へようこそ!
この番組では、ますます盛り上がりを見せる推し活をビジネスの視点から
そして時には私自身の経験も交えながら、楽しくそして深く紐解いていきます。
私は普段、推し活をテーマにしたビジネスを展開する傍ら
現役ベーシストとして、アーティストさんのバックバンドで演奏しています。
そんな推す側と推される側、両方の視点を持つ私だからこそ
見える景色を皆さんと共有できれば嬉しいです。
さて、リスナーの皆さん突然ですが、最近神社にお参りに行きましたか?
推し活のライブチケットが当たりますようにとか、ツアーが無事に成功しますようにと
神様にお願いした経験ある方も多いのではないでしょうか?
実は私、先日宮城県にある金蛇水神社という金運アップで有名な神社に行ってきまして
経営者の仲間たちと一緒に旅行がてら行ってきたんですが、もうプロデュース力の塊でした。
みんなで、この神社のブランディングすごすぎるねという話をずっとしてました。
本当に勉強になるなぁと思うことばっかりだったので、すぐに神社と推し活についてのテーマをやろうと思い立ちました。
今回の目的は、その神社で蛇年にしか授与されないというプレミア付きのお守りを手に入れるためだったんですね。
なんとそのお守り、ブラックのメタルカード型だったんです。
これすごくないですか?財布のカード入れにスッと入るスタイリッシュなお守りなんですよね。
ケースまでこだわり抜かれてて、そのあまりのかっこよさに衝撃を受けたと同時に、このブランディング力はすごいと圧倒されました。
しかもそのお守りは12年間有効で、それを持っていれば12年間ご利益があるそうなんですよ。
今年一杯は授与されているそうなので、ぜひ興味のある方は足を運んでみてください。
そして本題です。今日のテーマはまさにこの築きから生まれました神社の推し活。
古くから続く伝統的な存在である神社が、なぜ今私たちを熱狂させる推しの対象になっているのか。
その背景にあるファンと神社の新しい関係性、そして巧みなビジネス戦力まで徹底的に解剖していきたいと思います。
皆さんの私の推し神社はここ。こんなお願い事しました。といったエピソードや今日のテーマへのご意見など、ぜひハッシュタグ推し活未来研究所をつけてSNSで教えてくださいね。
いつもたくさんのコメント本当にありがとうございます。
それでは早速本編に入っていきましょう。
まずなぜ今これほどまでに神社が推し活と強く結びついているのか、その背景から探っていきましょう。
この流れはいくつかのブームが重なって生まれてきたと私は分析しています。
第一の波は2000年代のパワースポットブームです。
スピリチュアルな力を持つとされる場所を訪れることによって癒しやエネルギーを得ようとする動きですね。
このブームによって神社は単なる宗教施設ではなく、特別なエネルギーを持つ場所として広く認知されるようになりました。
そして第二の大きな波が2010年代半ば頃から本格化したゴシュインブームです。
特にゴシュインガールという言葉も生まれましたよね。
それまでゴシュインは熱心な参拝者の方々が中心に集めていた印象でしたが、
アートのような美しい書体や神社ごとに異なる個性的なデザインが注目され、若い世代にもバリエーションを集めるというコレクション性に刺さったんです。
この特定の場所を巡るという行為とコレクションするという楽しみ、これ、推し活の行動様式とすごく似ていませんか?
ライブツアーで各地を遠征したり、トレーディングカードやアクリルスタンドを集めたりする感覚と非常に近いものがあるんです。
そこへ第三の波としてSNSの普及が決定的な役割を果たします。
美しい形態、アートのようなゴシュイン、カラフルなお守り、これらをすべて写真との相性が抜群、つまりインスタ映えするわけです。
自分の推し活の記録として、ハッシュタグ神社巡り、ハッシュタグゴシュインスタグラムといったハッシュタグをつけて投稿することで、自分の好きを表現し、同じ趣味を持つ人々と繋がることができる。
この共有と承認のサイクルがブームをさらに加速させました。
そして、私たちの価値観を大きく変えたコロナ禍もこの流れを後押ししたと言えるでしょう。
気軽に遠出ができない中で、近所の神社が身近な非日常を感じられる貴重な場所として再発見されました。
心の拠り所を求める気持ちが高まる中で、静かで総合な神社の空間が多くの人たちにとってセルフケアの時間になったんですね。
パワースポットで場所に宿る力を感じ、ゴシュインでコレクションする楽しみを知り、SNSで共有する文化が根付いた。
これらの土壌の上に、推しの成功を祈るという推し活における最もピュアな願いが結びついた結果、現代の神社推し活というカルチャーが花開いた、私はそう考えています。
これは従来の祈願という行為が、よりパーソナルでエンターテイメント性の高い応援へと進化した形なのかもしれません。
では具体的に神社のどんなところが私たちの推したいという気持ちを掻き立てるのでしょうか。
神社の推し活の魅力について4つのポイントで分析してみましょう。
まず何といっても神様そのものが非常に個性的で魅力的なキャラクターであるということです。
日本には八百万の神々と言われますが、そのご利益は本当に多種多様。
例えば学問の神様、菅原道真、縁結びの神様、大国主の狼といったメジャーの神様はもちろんですが、もっと専門分野に特化した推し神様もたくさんいらっしゃいます。
例えば千葉県には日本で唯一料理の神様を祀る高部神社がありますし、京都にはその名の通り三上神社という髪の毛の神様がいて、美容師さんや美しい髪を願う人々が訪れます。
他にも天気の神様を祀る気象神社、スポーツ全般、特に球技にご利益があるという白峰神宮など、自分の願いにピンポイントで答えてくれる専門家がいるんです。
これってまるで特定の能力に特化したゲームのキャラクターみたいでワクワクしませんか?
この願い事ならこの神様しかいないと自分の推し神様を見つける楽しみもあるのかもしれませんね。
さらに日本神話に目を向ければ、そこには壮大な物語があります。
国生みをしたイサナギとイサナミの愛憎劇、やんちゃで英雄的なスサノオの見事の活躍、こうした神々のストーリーはまさに推しキャラクターの背景設定そのもの。
その物語を知ることで神様への解像度が上がり、より深く感情移入できる。これも神社推しの大きな魅力だと思います。
次にファンが没入できる世界観、つまり神社の境内そのものが持つ力です。
鳥居をくぐった瞬間に空気が変わるようなあの独特の雰囲気、それは日常から切り離された一種の異世界、あるいはテーマパークのような空間とも言えます。
京都の伏見稲荷大社に代表されるどこまでも続くかのような千本鳥居のトンネル。
広島の五福島神社のように海に浮かんで見える鳥居の神秘的な風景、これらは訪れるだけで圧倒的な非日常感を味わえる非常に強力な映える世界観です。
また季節ごとに見せる表情の豊かさも魅力です。
春には桜、夏には深い緑、秋には紅葉、冬には雪景色、いつ訪れても違う顔を見せてくれるので何度も足を運びたくなる。
推しのアクスタやぬいぐるみを持っていて、その季節ならではの風景と一緒に写真を撮るというのも定番の推し活ですよね。
そして推し活に欠かせないものといえば、そう、グッズです。
現代の神社の需要品は、もはや伝統工芸品の一期を超え、クリエイティブな推し活グッズへと進化を遂げています。
その筆頭が、先ほども触れたゴシュインです。
最近では、単なる牧書と印だけでなく、季節の花や動物をあしらったカラフルなもの、霧絵や針絵を重ねて作る立体的なアートゴシュイン、刺繍が施された豪華なものまで登場しています。
期間限定のデザインも多く、これがまたコレクター心をくすぐるんですよね。
そして、お守りもすごいことになっています。
伝統的な袋型だけでなく、ブレスレットのように身につけられる腕輪守り、バックチャームにしやすいモダンなデザインのもの、
そして私が衝撃を受けたカナヘビ水神社のカード型のお守りのように、これまでの常識を覆すようなアイテムが次々と生まれています。
これらは神様からのご利益をいただきつつ、日常的におしゃれに身につけられるファッションアイテムとしての側面も持っている。
まさに実用性とデザイン性を兼ね備えた最強の推し活グッズと言えるでしょう。
最後にファンが最も熱狂する要素、体験です。
特に聖地巡礼という形で神社はファンにとって特別な意味を持つ場所になります。
アニメや漫画の舞台として神社が登場することは非常に多いですよね。
映画君の名はのキービジュアルで有名になった東京の菅神社の階段や、ラブライブの登場人物の実家として描かれた神田明神などは、国内外から多くのファンが訪れる聖地中の聖地です。
ファンは作中のキャラクターと同じ場所に立ち、同じ空気を吸うことで物語の世界観への没入感を深めます。
これは単なる観光ではなく、作品への愛を確認し、ファンとしてのアイデンティティを再認識する、いわば巡礼という儀式なんです。
ファンにとってここは単にご利益を願う場所ではありません。
メンバーたちが振袖姿で大人への一歩を踏み出す姿を見守り、グループの歴史の1ページに立ち会うための非常に重要な場所なんです。
自分たちの推しの成長という物語と神社の持つ歴史が交差する特別な聖地と言えるでしょう。
パターン3 推しの成功を専門に祈る聖地
その筆頭が京都の嵐山にある車崎神社です。
この神社の境内には芸能神社という末者があります。
ここに祀られているのは日本神話で天寺大神が天の岩戸に隠れた際に情熱的な踊りを披露して天寺を外に誘い出したという逸話を持つ雨の薄めの御事、まさに芸能芸術の神様です。
この芸能神社には第一線で活躍する俳優、ミュージシャン、アイドル、声優など本当に多くの芸能人が参拝に訪れ、名前が書かれた赤い玉垣を訪問しています。
ファンはずらりと並んだ玉垣の中から自分の推しの名前を探し出すんです。
これはもう宝探しのようなワクワク感ですよね。
そして推しと同じ場所に立ち、これからもますます活躍できますようにと祈りを捧げる。
ファン心理にこれほど寄り添った神社はないかもしれません。
最近ではその名も推し守りというお守りまで授与されているそうで、神社側もファンの気持ちを深く理解していることが伝わってきます。
アニメの聖地が物語が先にあってファンが訪れるのに対し、アイドルの聖地は偶然の位置やファンの活動によって物語が後から発見され想像されていく面白さがあります。
どちらの形であれ神社がファンにとってただ祈るだけの場所ではなく、教えの愛を表現し同じ思いを持つ仲間と繋がるためのハブになっていることは間違いありません。
ここまでファンの熱狂的な動きを見てきましたが、もちろん神社側もただ待っているだけではありません。
伝統を守りながら現代のファン心理を捉えるための実に巧みなマーケティング戦略を展開しています。
先ほど触れた車崎神社のおしまもりもそうですが、異業種とのコラボレーションも積極的に行われています。
例えば人気アニメけものフレンズとたなし神社、からかえ上手のたかぎさんとたかぎ神社のように作品名やキャラクター名との親和性を生かしたコラボはファンの心をがっちりと掴みます。
またサンリオキャラクターのような幅広い層に人気のキャラクターとコラボしたおまもりや御衆院も新たな参拝者層を呼び込むきっかけになっています。
企業とのユニークなコラボもあります。
例えば三重県にある神戸宮四毛神社は頭の守護神として知られていますが、なんとヘルメットメーカーの松永とコラボしてヘルメット御衆院を制作したんです。
これは面白いですよね。
そしてこうした神社の現代的なアプローチの最先端を行く事例として、私が先日訪れた宮城県の金蛇水神社の話をもう少し詳しくさせてください。
この神社は古くから蛇を神の使いとして祀り、特に金運・商売繁盛にご利益があるとされてきました。
もちろんその伝統的な部分は今も大切に受け継がれています。
しかし私が驚いたのはその見せ方の巧みさです。
まず三道がものすごくモダンでオシャレなんです。
三道テラスと名付けられたモダンな木造建築にはスタイリッシュなカフェやお土産ショップが入っています。
白蛇をモチーフにした可愛いパンや白蛇カレーなんてメニューもあるんです。
そのメニューの一つ一つもすごくオシャレでついつい写真を撮りたくなっちゃうクオリティなんですよね。
そして味ももちろんめっちゃ美味しかったです。
食事メニューは黄金塩で清めてから食べるという特別なひと手間の体験や
蛇、ボタン、富士をモチーフにしたメニュー、神社で採れた花はちみつを使ったメニューなど地元の食材を使ったオシャレなメニューを楽しめるんですよね。
広々とした公園のような芝生エリアにもテラス席があって家族連れやカップルがまるでピクニックに来たかのようにリラックスして過ごしてるんです。
そして極めつけが冒頭でお話ししたクレジットカード型のお守りです。
これは本当に衝撃的でした。
財布のカードスロットに収まる薄型で洗礼されたデザイン。
まさにスマートに金を授かるというコンセプトの見事に体験しています。
さらに12年に1度の蛇年の限定のブラックカード版の登場で希少性とコレクション性まで刺激してくる。
これはもうマーケティングのお手本のような戦略です。
他にも身のつきや身の火にだけ授与されるお守りもあるそうですよ。
カナヘビ水神社の取り組みは神社が持つ本来の価値、つまり悠久の歴史や神聖な物語という揺るぎないブランドイメージを全く損なうことなく、現代人のライフスタイルや観戦に合わせた新しい体験価値を提供することに成功しているんです。
古きからの信仰を大切にする方々も、そして私のような新しい物好きの人間もどちらも満足させてしまう。
このバランス感覚こそがこれからの神社経営の鍵を握っているように感じました。
新職の方々は自分たちの役割を神様と人間、そして過去と未来をつなぐ仲介役だと考えているそうです。
伝統というバトンを形を変えてでも次世代に渡していく。
そのための手段としてSNSでの発信や新しい需要品、コラボレーションがある。
そう考えると一見ポップに見える取り組みの裏にある深い覚悟と哲学が見えてくるような気がします。
さて、あっという間でしたが、そろそろまとめ時間です。