こんにちは、株式会社KAZAORIの矢澤 彩乃です。推し活未来研究所へようこそ!
さて今週は、会員数176万人、スノーマンはなぜ売れ続けるのかの後編をお届けします。
前半では、スノーマンがデビューに至るまでの物語に焦点を当てました。
10年以上の下積みが含んだ職人集団としての圧倒的な実力、
6人から9人への対戦変更という劇薬が、いかにして強固な絆の物語へと変化したのか、
そして9人9職の個性が生み出すポートフォリオ戦略がいかに広い市場をカバーしているか、
彼らがいかに強固な土台の上に立っているかをお話ししてきました。
しかし、スノーマンが現代のエンターテイメントシーンでこれほどの現象を巻き起こしている秘密は、
その土台の上に築かれた戦略と空気感にあります。
後編である今回は、彼らの成功を決定づけたさらに深い確信に迫ります。
なぜ人々は彼らのパフォーマンスに熱狂し沼に落ちてしまうのか、
ライバルストーンズとの関係性、そしてスマップや嵐といった偉大な先輩たちから受け継いだものとは、
そしてYouTube時代が生んだファンとの共犯関係とは一体何なのか、
それでは早速、彼らの最大の武器であるギャップの魔法から紐解いていきましょう。
会員数176万人という驚異的な数のファンは、一体スノーマンの何にそれほどまでに引き付けられているのでしょうか。
その答えを紐解く鍵は、彼らの最大の武器であるギャップの魔法にあると私は思っています。
まず彼らの原点であり、深刻調ともいえるのが、ステージ上で見せる圧倒的なパフォーマンスです。
スノーマンのライブは、もはやアイドルのコンサートという枠を超えて、一つの総合芸術と言ってもいいのかもしれません。
リーダーの岩本光さんが手がけることも多い振付は非常に複雑で、9人という大人数を生かしたフォーメーションダンスは、
まるで万華鏡のように次々と美しい形を作り出します。
そのシンクロ率は100%と評されるほど高く、一時乱れぬ団体美は見るものを圧倒します。
さらに彼らの代名詞でもあるアクロバット、爆点や宙返りは当たり前、メンバーが次々と空中を舞うダイナミックなパフォーマンスは、ジャニーズの中でも随一と言われています。
ジュニア時代に滝沢歌舞伎という厳しい舞台で長年鍛え上げられた彼らの身体能力は、もはやアスリートの領域と言われるほど、
このプロフェッショナルなパフォーマンスこそが、多くのファンが彼らを信頼できると感じる揺るぎない土台となっています。
しかし、スノーマンの本当の凄さはここからなんです。
ステージを降りた彼らは、あの聞き迫るようなパフォーマーの顔から一変して、まるで男子中学生のように無邪気にわちゃわちゃとじゃれ合うんです。
その姿が最もよく見られるのが、彼らの冠番組、ソレスノーマンにやらせてください、通称ソレスノやYouTubeの公式チャンネルです。
華やかなステージでアイドルオーダーを振りまくだけでなく、彼らはYouTubeやSNSを通じて等身大の素顔を惜しみなく見せてくれているんです。
アイドルなのに全力で変顔をしたり、些細なことで大笑いしたり、時には本気で悔しがったり、
そこには作られたアイドルの姿はなく、等身大の9人の青年の素顔があります。
特にYouTubeの企画では、9人が全力でバカをやる瞬間と、プロとして真剣に取り込む姿が同居していて、そのギャップがたまらないんですよね。
私も最近見始めたばかりですが、過去エピソードを楽しんでます。
このギャップこそが、ファンを深く深く沼に引きずり込む魔法なんです。
ステージ上での完璧でかっこいい姿に憧れ、尊敬の念を抱く。
一方でバラエティーで見せる飾らない素顔に親近感を覚え、なんだか放っておけない、応援したいという気持ちにさせられる。
この尊敬と親近感という2つの異なる感情を同時に満たしてくれる存在は、そう多くはありません。
このギャップ戦略は、まさに現代のファン心理を的確に捉えていると言えるかもしれません。
完成された完璧な姿だけを求めるのではなく、その裏にある人間らしい不完全さや努力の過程も含めて愛したい。
そんなファンの思いにスノーマンは完璧に応えてくれているんですよね。
特に注目したいのは彼らのバラエティーでの姿勢です。
ソレスノではメンバーが本気で挑戦し、時には失敗し、それでも笑い合う姿が映し出されます。
ダブルダッチの大会に挑戦した回では、深澤さんが死ぬほど練習したと語るほど彼らは真剣に取り組みました。
また彼らは小学生などの定年齢層にも人気があります。
これは彼らの明るく健全なキャラクターと、見ていて元気になれるポジティブなエネルギーが子供たちにも伝わっているんですね。
お母さんと娘さんで一緒にライブに行ったり、ご夫婦で応援していたりという光景も珍しくありません。
親子で一緒に楽しめるアイドルというのは、実は非常に貴重な存在なんですよね。
笑いやり感動ありで、まさに家族で推せるアイドルという国民的な地位を築いたといっても過言ではないのではないでしょうか。
スノーマンの成功を語る上で欠かせないのが、ライバルであるストーンズの存在です。
2020年1月22日、彼らは市場初の同時CDデビューを果たしました。
これは単なる話題作りではなく、ビジネス戦略で考えると、2つの全く異なる商品を市場に投入し、異なる顧客にアプローチするという見事な市場セグメンテーション戦略でした。
2組のスタイルもポジショニングもかなり異なっています。
スノーマンがダンスやバラエティ企画を武器にした王道アイドル路線だとすれば、ストーンズは歌唱力や音楽性に趣を置いたアーティスト路線のグループと言えるでしょう。
両者は全く異なる価値を提供しています。デビュー曲からして対照的でした。
スノーマンのデビュー曲、DDは彼らの身体能力を最大限に見せつけるための楽曲であり、音楽はパフォーマンスを彩るためのサウンドトラックです。
所属レーベルのABEXらしい曲調でしたね。
一方、ストーンズのイミテーションレインは、楽曲そのものが持つ芸術性を表現するためにパフォーマンスが存在しています。
ロックバラード調で、提供者があのXジャパンの吉木さんということでも話題になりました。
激しいダンスは控えめで、歌で見せるスタイルが早くも打ち出されていたんですね。
このライバル物語は、実は両グループにとって非常に有益でした。
常に比較されることで、お互いが自分たちの強みをより尖らせて、ブランドイメージが曖昧になることを防いだのです。
ファンもまた、両者を比べることで、それぞれのグループが持つ唯一無二の価値をより深く理解することになりました。
この戦略の結果、両グループのファン層に違いが浮かび上がります。
スノーマンには従来型の熱心なアイドル好きの方々が多いと言われています。
新曲が出ればCDを何枚も購入してランキングを押し上げる、いわゆる積むと呼ばれるような応援スタイルのファンが多いということですね。
実際スノーマンの3rdシングルグランドールは、発売初週だけで80万枚を超える売上を記録しました。
CD不況と言われる時代に驚異的な数字です。
一方、ストーンズは、いわゆるアイドルオタク以外の邦楽ロック好きの層や、ジャニーズなのに珍しいと言われる男性ファンなど、幅広い層に受け入れられているそうです。
彼らは音楽のサブス回帰にも意欲的で、実際に他グループに先駆けてストリーミング配信されています。
つまりストーンズは、従来とは異なるファン層を獲得しており、CD売り上げというわかりやすい数字に現れにくい人気を持っていると言えるでしょう。
これは一つの市場を奪い合うのではなく、二つの異なる市場を作り、定義したとも言えるのかもしれません。
この巧みな戦略によって、彼らは互いに食い合うことなく、むしろライバル関係そのものを魅力的なコンテンツとして提供し、アイドル市場全体を活性化させることに成功したんです。
スノーマンの戦略は、過去の偉大な先人たちの成功法則を巧みに取り入れ、現代に合わせてアップデートしたものでもあります。
スマップやアラスといったグループは、言うまでもなく国民的アイドルとして長年愛されてきました。
まずスマップ。彼らはメンバー一人一人が俳優や司会者として個々のブランドを確立し、その個人の成功がグループ全体の価値を高めるという、個の集合体モデルの先駆者でした。
スノーマンが俳優の目黒さんや知性派の阿部さんなど個々のメンバーの外部での活躍を重視しているのは、このスマップのモデルを色濃く受け継いでいると言えるかもしれません。
次にアラシ。彼らは長寿バラエティ番組などを通じて、グループとしての仲の良さや温かい空気感をブランドとして確立しました。
ファンは彼らのパフォーマンスだけではなく、5人の間で生まれる科学反応そのものを愛したのです。
スノーマンがYouTubeで見せるわちゃわちゃとした飾らない姿は、このアラシが築いたグループの空気感を売るというモデルを受け継いでいるのかもしれません。
ではスノーマンの革新性はどこにあるのか。それはスマップの個の戦略とアラシのグループの戦略を融合させ、その発信の主戦場をテレビからYouTubeへと完全に移行させた点にあります。
またスマップやアラシが活躍したテレビは放送局が主導権を握る一方通行のメディアでした。
ファンは編集され、完成された姿を憧れの対象として受け取る存在でした。
対してスノーマンがデビューした2020年前後には、YouTubeやSNSはアイドル活動に不可欠な時代となっていました。
ファンにとってはテレビの前で放送を待たなくてもスマホ一つでいつでも会いに行けるアイドルになったわけです。
YouTubeは彼ら自身が主導権を握る双方向のメディアです。ここではファンとの関係性はもはや一方的な憧れというわけではありません。
それはより親密で参加意識の高い共犯関係へと進化しているのです。
スノーマンは先人たちの成功法則をコピーしたのではなく、全く新しい時代の波に乗ったことで次世代のアイドル像を再定義したと言えるかもしれません。
スノーマンの成功を支える現代的なエンジン、それがYouTubeです。
彼らの公式チャンネルは、何なるミュージックビデオの置き場所ではなく、グループの物語をリアルタイムで紡ぎ、ファンとの絆を深めるための最も重要なコミュニケーションハブなのです。
チャンネルでは、ミュージックビデオだけでなく、旅行企画やドライブ企画といった彼らの素の表情や関係性が見える企画動画も毎回100万回以上再生されています。
ファンは完成されたパフォーマンスだけでなく、その裏側にある練習風景や楽屋での何気ない会話といったプロセスを共有することを求めています。
YouTubeはその需要に完璧に応えるプラットフォームになっています。
テレビ時代のファンは一方的な消費者に近かったかもしれませんが、YouTube時代のファンは参加者であり共犯者ともいえる存在になっています。
自分たちの再生回数やコメントが直接的にグループの成功指標となる、この感覚が自分たちが彼らを支えているという強烈な当事者意識を生み出しています。
さらにこの戦略はビジネスモデルとしても極めて優れています。
嵐のメンバー同士の巣が見えるような場面を見るには、特定の曜日の特定の時間にテレビの前にいる必要がありました。
この頃はまだ配信という流れが少しずつ広がっている最中でした。
しかし、スノーマンのYouTubeチャンネルには彼らの歴史と科学反応が詰まっていて、新しいファンも過去の動画を一気に見ることで短期間でグループへの愛情と理解を深めることができるんですよね。
音楽やパフォーマンスがファンになるきっかけだとすれば、YouTubeで提供される膨大な量のパーソナルのコンテンツはファンであり続けてもらうための強力な維持装置になっています。
彼らはテレビというマスメディアとYouTubeやSNSといったデジタルメディアを完璧に使い分けているんです。
まず地上波のゴールデンタイムで放送されている冠番組ソレスノーでは、お茶の間の幅広い層に明るくて面白い9人組というイメージを浸透させました。
一方でYouTubeの公式チャンネルでは、よりコアなファンに向けたコンテンツを発信しています。
例えば、ダンスプラクティス動画を見れば彼らのパフォーマンスがいかに高いレベルにあるかがわかります。
こうしてテレビで興味を持ったライトなファンをYouTubeでさらに深い沼へと誘っていく見事な動線が作られているんです。
さらにこの戦略を加速させているのがメンバー個人の活躍です。
特に俳優としての目覚ましい活躍を見せるメグロレンさんの存在は大きいですよね。
社会現象にもなったドラマサイレントなどで、彼が見せた繊細な演技はスノーマンの名前を知らなかったそうにまでその存在を強く印象付けました。
メグロさんをきっかけにグループを知り、YouTubeを見て他のメンバーの魅力にも気づき気づけばファンになっていたという人は少なくないはずです。
メグロさん自身も個人活動をグループのために戦いに行っている感覚と語っているように、個人の活躍がグループに還元されるという好循環が生まれているんです。
加えて彼らは公式X、インスタグラム、TikTok、さらに中国向けのWeiboにまで実に多様なSNSアカウントを駆使して日々コンテンツを発信しています。
スノーマンは媒体ごとにしっかり積み分けて運用できているんです。
例えばYouTubeではバラエティー色の強い企画動画を、TikTokでは最新曲に合わせた短冊のダンス動画をという具合にそれぞれ特色ある発信でファンを楽しませてくれています。
音楽もまたSNS自体にマッチしたヒットを飛ばしています。
例えば、2025年8月にリリースされたカリスマックス、TikTokやYouTubeショートではメンバー発信のカリスマックスチャレンジが生まれ、一般ユーザーや著名人が次々と参加して一気にバズりました。
国内のみならず韓国でもチャレンジ動画が相次ぎ、韓国の音楽番組Mカウントダウンに出演し、英語バージョンを披露するまでに至っています。
その際、可愛らしいカメラアピールも注目を集めましたし、メンバーそれぞれにフォーカスした押しカメラ動画も拡散されました。
極めつけは、公式のダンスプラクティス動画でメンバーが全員コスプレで踊るという遊び心満点の演出が公開され、これがまた可愛すぎると話題沸騰、YouTube急上昇1位を獲得しました。
このように、楽曲でも映像でもSNSでも常に遊び心とサービス精神を忘れない。
ファンにもっと広めたいと思わせる要素を次々提供してくれるからこそ、スノーマン現象は留まるところを知らないのでしょう。