ラファエロの作品の紹介
ボイスドラマ、ラファエロ、小椅子の聖母。日曜日の午後、美術館の静かな一室。二人は向き合うように木製のベンチに座っています。
tomyはヘッドホンを外し、マリアの方に顔を向けました。
ねえtomy、今目の前にある絵、本当に素敵なんだ。ラファエロの小椅子の聖母っていう作品。tomyにこの絵の世界を全部伝えたいな。
うん、ありがとう。頼むよ。 マリアがどんなふうにこの絵を見ているのか、すごく興味があるんだ。
マリアはゆっくりと話し始めます。 tomyは静かに耳を傾け、指先で太ももの上をなぞり、マリアの言葉を頭の中で組み立てていきます。
この絵はね、まず形がとても特徴的なんだ。 正方形の一般的な絵と違って、まんまるな円形をしているの。
この形が絵全体をとても穏やかで優しい雰囲気にしているのよ。 まるで愛が膨らんでいくシャボン玉みたい。
円形なんだ。面白いね。 絵の真ん中に椅子に座った聖母マリアがいて、その膝の上に幼子安キリストを抱えているの。
そしてその2人の左後ろには先霊者ヨハネが少しだけ顔を出している。 登場人物はこの3人だけ。みんなとても親密に身を寄せ合っているように見えるよ。
真ん中に聖母マリアとイエス様。 その2人の隣にヨハネ。
なるほど。 聖母マリアは正面ではなくて少し左を向いて私たち観賞者の方に視線を向けているの。
そしてイエス様も同じようにマリアの肩越しに私たちを見つめている。 でもヨハネはイエス様を見つめているから3人の視線はそれぞれ違う方向を向いているんだ。
マリアとイエス様はこっちを見ているのか。 ヨハネはイエス様を見つめている。
なんだか会話が聞こえてきそうだね。 うん聞こえてくるみたい。
次に彼らの服装や色について話すね。 聖母マリアはとても鮮やかな服装をしているよ。
深い青色のローブを羽織っていてその下には赤いドレスを着ている。 この鮮やかなコントラストがマリアの美しさを際立てているのよ。
赤と青か。 空と太陽みたいに力強い色の組み合わせだね。
そうまさにそんな感じ。 そして頭にはね緑とオレンジと白が混ざった島模様の大きなショールを巻いている。
これはトルコ風のショールらしいんだけどちょっと異国情緒があるんだ。 このショールがマリアの顔のすぐ後ろでふわっと広がっているよ。
なるほどトルコ風のショール。 イエス様はね
絵の深い愛情
オレンジがかった黄色、ヤムブ黄色の布をまるで古代老婆の人が着る陶画のように体に巻いている。
そして聖母マリアとイエス様、二人の肌はとても滑らかでツヤツヤしているように見える。 まるでお人形さんみたいだよ。
二人の髪の色は少し赤みがかった茶色。 そして瞳は二人とも吸い込まれるような茶色だよ。
赤茶色の髪と茶色の瞳か。 なんだかすごく温かくて優しい雰囲気だね。
うん、温かくて優しい。 次に背景なんだけど絵の背景は黒や茶色の布で覆われていて何も書かれていないの。
だからマリアとイエス様、ヨハネの3人がぐっと私たちの前に迫ってくるように感じられる。 背景をシンプルにすることでこの3人の親密さがより強調されているんだ。
何も書かれていないんだ。 じゃあ3人の存在がすごくくっきりしているんだね。
そうなんだ。 最後にヨハネなんだけど彼はイエス様を静かに見つめているよ。
茶色の毛皮の服をしていてその首元には細い十字架が結ばれている。 そして手には小さな十字架の杖を持っているんだ。
ヨハネが十字架を持っているんだね。 そう、この絵は遠くから見ても近くから見てもその温かさ、優しさ、そして深い愛情が伝わってくる。
色の鮮やかさ、丸い構造、そして3人の親密な姿。 ラファエロは私たちにこの家族の愛情をそっと見せてくれているような気がする。
うん、マリアの説明を聞いて僕の頭の中にその温かい光景が浮かんで上がってきたよ。 なんだか僕もその輪の中に入りたくなった。
どうだろう? この絵はね、何百年も前のものだけど今も多くの人に愛されている。
その理由がマリアしか感じられない愛と温かさの中にあるのかもしれないね。
トミーは静かに微笑み、マリアも嬉しそうに微笑み返しました。 2人の間には心地よい静けさと言葉にならないふっかり感動が流れていました。