キュクロプスの概要
ボイスドラマ オディロン・ルドンのキュクロプス
晴れた日の午後、カフェの窓から差し込む柔らかな光の中、 マリアとトミーは向かい合って座っています。
マリアの手元には一冊の合集。 ページを開くとオディロン・ルドンのキュクロプスがトミーの方を向いています。
ねえトミー、今日はね、ルドンのキュクロプスっていう絵について話したいの。
ルドン・キュクロプス? 知らないな。どんな絵なの?
うーん この絵ね
一番の特徴は真ん中に描かれた大きなキュクロプス つまり一つ目の巨人よ
彼はねまるで岩山になったみたいに横たわっているの 身体は青みがかった灰色でまるで巨大な岩みたい
でも彼の顔はね ちょっとユーモラスで愛嬌があるように見えるの
岩みたいな体? そう
そしてね彼の目 顔の真ん中にポツンと一つ大きな目があるの
この目はね明るい青色でなんだか優しげな色をしているわ このキュクロプスは横たわりながらその大きな目で画面の右奥の方を見つめているの
その視線の先に何があると思う? 何か怖いもの?
違うの その視線の先にはね一人の女性の姿があるの
彼女はブロンドの髪をなびかせていて赤い布を身につけているわ キュクロプスから見ると彼女はちょうど画面の右側の高い場所にいるの
彼女はね静かに眠っているように見える 眠っているんだ
巨人は彼女を見つめているの? そうなの
でもね彼女はキュクロプスに気づいていないみたい キュクロプスの顔は少し笑っているように見えるんだけどその表情からは
彼女への秘めた愛や届かない思いみたいなものが感じられるの 悲しい物語なのかな
悲しいというより ちょっと切ないかな
そしてねこの絵全体を包むようにたくさんの花が描かれているの 黄色ピンク白色とりどりの花が咲いているわ
キュクロプスの体の周りや女性がいるあたりにも
花がたくさん そう
絵の背景は全体的にくすんだ青や緑茶色で全体的に暗い感じなの でもそこに花々の鮮やかな色やキュクロプスの目の青がポッと光っているように見えるの
まるで暗闇の中に希望や愛がポツンと灯っているみたいで マリアの言葉に耳を傾けるトミーの顔は静かに想像をめぐらせているようです
絵の背景と感情
彼は絵を見ることはできなくてもマリアが紡ぎ出す言葉によってその色彩や構図を そしてそこに込められた感情を心の中で確かに感じ取っていました
この絵はねルドンが描いたギリシャ神話の巨人のキュクロプスと海の精のガラテアの物語を 描いたものだと言われているの
でもこの絵から伝わってくるのは力強さだけじゃなくてとても繊細で優しい感情 私この絵を見るたびになんだか暖かい気持ちになるの
マリアの話を聞いていたら僕もその絵を少しだけ見ることができた気がするよ ありがとう
よかった また別の絵についても話そうね