アテネの学堂の紹介
雲ひとつない晴れ渡った午後。マリアは、東京国立博物館の展示室で、とある絵の前に立っています。
隣にいるのは、視覚に障害のある友人、tomy。 今日は、tomyが心から楽しみにしていた、ラファエロの傑作
アテネの学堂を見る日です。 アテネの学堂、対話で描く名画
tomy君、準備はいい? 目の前に、ラファエロのアテネの学堂があるわ。
うん、準備万端だよ、マリア。君の言葉で、この絵の世界を教えてくれるのを楽しみにしてる。
任せて。じゃあまずは、全体の印象からね。 この絵は、縦が7.7メートル、横が5メートルもある巨大なフレスコ画よ。
そんなに大きいんだ。じゃあ、たくさんの人が描かれているんだね。 その通り。
たくさんの古代ギリシャの賢者たちが、大きなドーム型の建物の中に集まっているの。 まるで、彼らが哲学や科学について熱心に議論している、
まさにその瞬間に立ち会っているような気分になるわ。 全体の構図と色調。
絵の全体は、3つの大きなグループに分かれているの。 真ん中、向かって左、そして右。
建物の中心に向かって、奥へ奥へと視線が引き込まれるような構成になっているわ。 ドーム型の建物ということは、壁や天井も描かれているのかな。
そうよ。天井はアーチ型になっていて、豪華な装飾が施されているわ。 壁は石作りで、深い茶色やグレーが使われていて、
荘厳な雰囲気を醸し出しているの。 そこに人々の色鮮やかな衣装が映えているわ。
マリアはトミーの手を取り、優しく絵の前に導きます。 この絵は全体的に落ち着いた色合いで統一されているの。
茶色やグレー、くすんだ赤や青が主で、温かみのある光が差し込んでいるような感じ。 特にドームの奥から光が差していて、それが絵全体に立体感と奥行きを与えているわ。
登場人物、プラトンとアリストテレス。 じゃあ一番大事な部分を説明するね。
この絵の中心には二人の人物が描かれているわ。 向かって左がプラトン、右がアリストテレスよ。
哲学の父だね。彼らはどんな姿をしているの? プラトンは年齢を重ねた賢者という感じで、白い長い髭を蓄えているわ。
髪も白くて、くすんだ赤色のローブをまとっている。 彼の目はとても深くて、何か遠いものを見つめているような感じよ。
彼の目線はどこを向いているの? 彼の視線は上を向いているわ。そして左手を空に向かって高く掲げている。
対話の深まり
これはイデアというこの世の真理が天にあるという彼の哲学を表しているの。 一方アリストテレスはプラトンより少し若く見えるわ。
茶色の髪と髭で青色のローブを着ている。 彼の目は正面をまっすぐ見ていて、左手は手のひらを下に向けて地を指しているの。
これは真理は現実世界の中にあるという彼の哲学を象徴しているのよ。 彼は現実を重んじたからね。
二人のポーズだけでもそれぞれの思想がわかるなんてすごいね。 その他の人物と風景。
他にもたくさんの人がいるわ。 絵の左下には地面に座り込んで何かを描きつけている慢性がいるの。
濃い茶色のローブを着ていて、その足元には大きな地球儀が転がっているわ。 彼はピタゴラスだと言われているわ。
そして右側にも目を向けてみて。 階段のところに床に座り込んでコンパスで何かを測っている老人がいるわ。
彼のローブは明るい黄色で、その周りには何人かの若者たちが集まっていて、彼の話に耳を傾けているようね。
これはユークリッドだと言われているわ。 ユークリッドだね。まさにアテネの楽堂って感じだ。
そうよ。風景にも目を向けてみて。 ドームの奥には青い空といくつかの建物が見えるわ。
手前は石畳のフロアが描かれていて、まるで私たちが本当にこの建物の中にいるようなそんな感覚になるわ。
マリアはトミーの視覚を通して絵の細部にまで命を吹き込んでいきます。 彼女の言葉はまるで魔法のようにトミーの心に鮮やかな色彩と形を描いていくのでした。
トミー、どうだった?少しでもこの絵の世界を感じてもらえたかな? うん、すごくよくわかったよ。
マリアの言葉のおかげで、僕の心の中には今たくさんの賢者たちが真剣な顔して議論している光景が浮かんでる。
ありがとう。 どういたしまして。
二人の会話は続きます。 マリアが語る言葉のタペストリーは、トミーの心の中で色鮮やかな光を放ち続きます。
それは言葉の力と友情の深さが見尽くした特別な鑑賞の時間でした。