ゴーガンの絵の紹介
ボイスドラマ、ゴーガンのタヒチの女たち。
目の前に広がるのは、南国の熱気と静寂さが同居する一枚の絵。
ポール・ゴーガンが描いたタヒチの女たち。
今、この絵を前に、マリアとトミーの二人が静かに向かい合っています。
マリア、どんな絵なんだい?
ゴーガンがタヒチで描いたって聞いたけど、想像がつかなくて。
うん、ゆっくり説明するね。
この絵の正式なタイトルは、「マナウトゥパパウ」というの。
精霊がさまようっていう意味らしいわ。
精霊が?それはちょっと不気味な感じかな。
そうね。でも実は夜のタヒチの風景を描いた、とても神秘的な絵なの。
絵の構図はね、画面のほぼ中央に横たわる名高の女性が一人。
そして、彼女の足元、右側にもう一人の女性が座っているのよ。
二人の女性、それぞれどんな様子?
まず、横たわっている女性から説明するわね。
彼女はうつ伏せになって、顔を少しだけこちらに向けている。
画面のほぼ中央を占める大きな存在感よ。
肌の色はね、黄色みがかった浅いピンク色。
まるで夜の闇の中でぼんやりと光っているみたい。
髪は真っ黒で少し波打っている。
その髪の毛が彼女の枕になっているわ。
なるほど、夜の光を浴びているのか。
その人は何か着ているの?
ううん、裸なの。
でも、完全に裸というよりは、タヒチの伝統的な民族衣装、
パレオというのを、腰に少しだけまとっているように見える。
そして彼女の目はね、大きく見開かれていて、少しだけ不安そうに見えるわ。
不安そうな目、それが精霊と関係しているのかもね。
もう一人の女性は、うん、横たわっている女性のちょうど足元あたり、
画面の右側に座っている女性がいるの。
彼女は黒い布をかぶらからすっぽりかぶっているの。
この布がね、とても深い藍色で、夜の闇そのものって感じ。
黒い布をかぶって、何か怖い感じがするな。
その彼女の表情は?
彼女の顔は、あまりはっきりとは見えないの。
頭から布をかぶっているし、横顔だから。
でも彼女の目は、横たわっている女性をじっと見つめている。
その視線はとても強いの。
何かを語りかけているように見えるわ。
その二人の背景には何があるの?
背景はね、とても不思議な色で満ちているわ。
画面全体が紫色や藍色、そして濃い緑色で描かれている。
まるで夢の中にいるみたいなの。
奥の方には、濃いピンク色の、なんだか抽象的な模様のようなものが見える。
それはね、きっとタヒチの夜の森を、ゴーガンが感じたままに描いたものだと思う。
横たわる女、見つめる女。
二人の間に流れる、ひそやかでしかし確かな感情。
ゴーガンの筆は、タヒチの夜の奥深くへと、私たちを誘っていく。
そしてね、この絵の左側にも注目してほしいの。
横たわっている女性の左手あたりに、紫色の花が描かれている。
おそらくタヒチに自生する花だろうけど、その紫色が背景の闇の中でポツンと光っているようにも見えるの。
すごいな。ただの風景画じゃないんだね。
二人の女性の間に、何か物語が隠されているんだ。
そう、その通りよ。
この絵はね、タヒチのクンマイやゴーガン自身の内側にある神秘的な部分を描き出したものだと思う。
トミー、少しは想像できたかしら。
うん、すごくよくわかった。ありがとうマリア。
君の説明を聞いて、この絵がただの美しい風景じゃないってことがよく伝わってきたよ。
極の頭の中で、タヒチの夜が少しずつ形になってきたよ。
よかった。いつか本物の絵を触れるように感じられる日が来るといいね。
絵の中の感情
闇の中に浮かび上がる色彩、工作する視線、言葉は見えない絵を心の中に鮮やかに描き出すことができる。
ゴーガンもタヒチの女たちは、今、二人の心の中で新しい光を放ち始めています。