カンディンスキーのコンポジション8
ボイスドラマ、カンディンスキーのコンポジション8の情景。
晴れた日の午後、マリアとトミーは美術館にいました。
彼らは今、ワシリー・カンディンスキーのコンポジション8の前に立っています。
トミーは静かに絵に手をかざし、マリアは彼の隣で、その絵が放つ色彩とエネルギーを彼の心に届けるように語り始めます。
マリア、この絵はね、カンディンスキーが描いたコンポジション8っていう作品なの。
まずね、全体の雰囲気から話すね。
パッと見ると、まるで宇宙か、あるいは万華鏡を覗き込んだかのような不思議で、でもすごく秩序のある世界が広がってるんだ。
万華鏡、僕には音の響きみたいに感じられるよ。
そうね、まさに音を表現してるのかもしれないわ。
この絵の背景は優しいオードショロから少しずつ紫、そして一番上の方は水色へとグラデーションになってるの。
まるで空が夕方から夜へと移り変わっていくみたい。
その柔らかな色の上にたくさんの気化学模様が、まるで踊っているかのように散らびめられているんだ。
気化学模様、どんな形があるの?
一番目を引くのは画面の右上の方にある大きな黒い丸。
これが全体の中心みたいに見えるわ。
その周りにはたくさんの線や形が、まるで太陽から光が放たれてるみたいに広がっているの。
それから左上にはね、薄いピンクと水色の四角が重なり合ってて、その横には黄色の三角形が、まるで飛び出してきそうな勢いで描かれてるの。
そして画面全体を見てみると直線と曲線がバランスよく配置されてる。
右側は鋭い三角や交差する直線が多くて、少し固くて、でも力強い印象なの。
まるで意志を持った線みたい。
一方で左側は柔らかい曲線やふわりとした形が多いんだ。
この二つがこの絵の中でまるで会話してるみたいに響き合ってるのよ。
右側が力強くて、左側は柔らかい。
それはまるで陽と陰、男性と女性みたいだね。
素敵な解釈。まさにそうかもしれない。
この絵は単なる形や色の集まりじゃなくて、色と形が持つエネルギーや感情を表現しようとしてるんだと思うんだ。
それぞれの形や色にきっと音や感情が込められてるのよ。
慣れた、マリアはトミーの手をそっと取り、絵の前に戻ります。
彼女の言葉はトミーの心の中で色となり、形となり、そして音となって鮮やかに広がっていきました。
カンリンスキーが描いた抽象的な世界は、マリアの丁寧な言葉によってトミーの心に確かな光を灯したのです。