絵の紹介と印象
ボイスドラマ、マネのすみ目のブーケをつけたベルト・モリゾ。
ある晴れた午後、マリアは美術館で友人のトミーと待ち合わせをしていました。
トミーは生まれつき視覚に障害があり、マリアが絵を語るで説明するのがいつもの習慣です。
マリア
トミー、こんにちは。今日は、ベルト・モリゾのすみ目のブーケをつけたベルト・モリゾっていう絵よ。
トミー
やあ、マリア。待っていたよ。どんな絵なのかな。
じゃあ、まずは全体の印象からね。この絵は淡いトーンで描かれた、とても穏やかで優しい雰囲気の肖像画よ。
肖像画か。
ええ。画面いっぱいに女性の姿が描かれているの。
椅子に腰掛けていて、正面を向いて少し体を左に傾けているわ。背景はぼんやりとしていて、光が差し込んでいるような明るい色合いなの。
ふむふむ。その女性はどんな様子?
詳細な描写
うん。彼女がベルト・モリゾ本人よ。画面の中心にいて上半身が描かれているわ。顔は少し横を向いていて、右の頬に手を置いているの。
視線は私たち干渉者と合わないように少し左上の方を見ている。何か遠くを思いにふけているような憂いを帯びた表情に見えるわ。
表情は穏やかなんだね。
そうね。そして彼女の髪は栗色。ふわふわとしたカールがかかっていて無相差にまとめられている感じ。白いリボンで飾られていて、それが可憐な印象を与えているわ。
髪にリボンか。
そうよ。そして名前にもなっているスミ目のブーケ。これは彼女の胸元、左肩のあたりに飾られているの。紫色や青みがかった小さな花々がぎゅっと集まっていて、とても繊細な感じ。
このブーケが彼女の顔や髪の淡い色とコントラストになっていて良いアクセントになっているわ。
じゃあ彼女の着ている服は。
白いドレスを着ているわ。白いと言っても単一の色じゃなくて、光の当たり方で淡いピンクや水色、グレーがかった色が混ざり合っているように見えるの。そしてその上に黒いベルベットのジャケットを羽織っているわ。
白と黒か。
そう、でもコントラストは強くないわ。この黒いジャケットはモリゾの優しい雰囲気とは少し違って、落ち着いた知的な印象を与えている。ジャケットの袖口からはフリルがついた白いシャツが覗いているの。
なるほど。背景はどんな感じ?
背景はね、ほとんどぼやけていて何が描かれているかははっきりとはわからないの。でも壁紙のような模様が見えるわ。薄いベージュやグレーがかった淡い色で光が差し込んでいるように見えるの。
その光がモリゾの白いドレスや顔を柔らかく照らしていて、絵全体に温かい雰囲気をもたらしているわ。
穏やかな時間
ありがとうマリア。君の説明のおかげで、彼女の憂れんを帯びた優しい表情や、澄み目のブーケの可憐さ、そして絵全体の穏やかな雰囲気がすごくよくわかったよ。
どういたしまして。言葉で伝えるのは難しいけど、トミーが楽しんでくれて嬉しいわ。次はどの絵にする?
二人の穏やかな時間が美術館に流れていきました。言葉を通じて、トミーの心の中に新しい色が生まれていくようでした。