カルニタスの価値創造
ノト丸
- こんにちは。今日の探究はですね、タイパ、つまりタイムパフォーマンスがすごく重視されるじゃないですか、今。
ブク美
- そうですね。
ノト丸
- その中で、あえて手間暇をかけることの価値っていうのを考えてみたいんです。
特に、おいしいものを作るっていうシンプルな価値創造に注目して。
ブク美
- なるほど、面白いテーマですね。
ノト丸
- 今回は、Daisuke Sawaiさんという方が書かれた、家庭で作る本格カルニタスの探究ノート。
これを参考に、そのプロセスと価値を見ていこうかなと。
ブク美
- カルニタス、いいですね。メキシコの豚肉料理。小さな肉って意味でしたっけ?
ノト丸
- そうなんですね。
ブク美
- 豚肉をラードでじっくり煮込むのが特徴で、このじっくりってところに、今日のテーマのヒントがありそうですね。
ノト丸
- まさに、単なるレシプ紹介じゃなくて、驚くことに、豚の背脂からラードを作るっていうレンダリングから始めるんですよ。
ブク美
- そこからですか?市販のラードじゃなくて。
ノト丸
- そうなんです。なぜそこまでっていう。この手間がどんな価値につながるのか、すごく気になりますよね。
- ノートによると、まず背脂を1センチか2センチ角くらいに切って、弱火で3時間から4時間もかけてじっくり脂を抽出するって。
ブク美
- うーん、それは忍耐がいりますね。
ノト丸
- ですよね。焦がさないようにすごく気を使うみたいで。脂起こしのひと塩、なんていうおまじないみたいなテクニックも使うらしくて。
ブク美
- ああ、そのレンダリングこそが実は最初のすごく大事な価値創造なんですよ。
- へえ。
- 市販のラードだとやっぱりここまでの風味は出ない。豚そのもののピュアな旨味というか、コクを引き出すための儀式みたいなものですね。
ノト丸
- なるほど、儀式。単に脂を用意するのとは全然違うと。
ブク美
- 全く違いますね。素材のポテンシャルを最大限引き出すための最初のステップです。
ノト丸
- しかもこの過程でチチャロン?揚げカスができるんですよね。
ブク美
- そうそう、チチャロン。
ノト丸
- これも手間をかけたからこそのご褒美みたいなおまけだと。
ブク美
- ええ、塩を振るだけで最高のおつまみになるって書いてましたね。これも手間が生む小さなでも確かな価値ですよ。
ノト丸
- うーん、いいですね。で、この自家製ラードを使っていよいよお肉の調理に入るわけですね。
ブク美
- はい、そうです。
ノト丸
- ノートのおすすめは肩ロースとバラ肉を2対1の割合で使うと。これも何か理由が?
ブク美
- それはやっぱり食感と味わいのバランスでしょうね。肩ロースのしっかりした肉らしさ。
- はいはい、肉感。
ブク美
- それとバラ肉の脂の甘みと溶けるような柔らかさ。この2つを合わせることで単一の部位じゃ出せない深みとか複雑さが出るんですよ。
ノト丸
- なるほど。効率だけ考えたらどっちか1つにしちゃいそうですけどね。
ブク美
- そうなりがちですよね。でもそこをあえて組み合わせるのが美味しさへのこだわりなんでしょう。
ノト丸
- で調理法もまたすごいんですよ。水は一切使わない。
手間をかける喜び
ノト丸
- はい、水なしで。
- たっぷりの自家製ラードとあとオレンジとか玉ねぎスパイス類と一緒にこれもまた3、4時間煮込むというよりは
ブク美
- コンフィですね。
ノト丸
- そう、コンフィ。低温の油でゆっくり火を通すイメージだそうです。ここでもやっぱり時間が重要なんですね。
ブク美
- 低温で長時間火を入れることで肉の繊維がゆっくりゆっくりほぐれていくんですよ。
フォークで触っただけでもほろほろっと崩れるくらい柔らかくジューシーになる。
ノト丸
- たまらないですね。
ブク美
- 同時にオレンジの酸味とかスパイスのカロリーとかがじわーっと肉の奥まで染み込んでいく。
これも時間をかけるからこその変化です。noteにはコーラとか牛乳を加える工夫も書いてありましたね。
ノト丸
- えー、コーラや牛乳、面白い。で煮込み終わったら肉をフォークで丁寧にほぐしていくと。
ブク美
- えー、みずみずしい繊維状になったら大成功って書いてありましたね。
ノト丸
- その表現がいいですね。みずみずしい繊維状。そして最後の仕上げがあるんですよね。
ブク美
- そうなんです。食べる直前にフライパンで表面をカリッと香ばしく焼き付ける。
ノト丸
- あー、それもひと手間。
ブク美
- これも大事なんです。ただ柔らかいだけじゃなくて、外側のカリッとした食感と中のジューシーさ、このコントラストがまたたまらない美味しさになる。
最高の状態で味わってもらうための最後の価値作りですね。
ノト丸
- というわけで、自家製ラード作りから始まって、肉を選んで長時間煮込んで最後に焼き付ける。
いやー、Daisuke Sawaiさんのカルニタス作り追体験してきましたけど。
- えー。
- 正直すごい手間と時間ですよね。レンダリングに3〜4時間、煮込みに3〜4時間って半日仕事以上じゃないですか。
ブク美
- まあ確かにタイパっていう見方をすれば非効率の極みかもしれないですね。
- ですよね。
- でもその一つ一つの工程、丁寧な火加減とか肉の選び方、コンフィっていうやり方、最後の焼き付けまで、全部が積み重なって最終的な格別の美味しさっていう、もう揺るぎない価値につながってるわけですよ。
ノト丸
- うーん、なるほど。
ブク美
- これって単にお腹を満たすだけじゃなくて、なんかもっと深い満足感とか達成感みたいなものがあるんじゃないですかね。プロセス自体を楽しむというか。
ノト丸
- まさに。手間暇をかけること、それ自体が目的であり価値なんだと。
- えー。
- 美味しいっていうすごくシンプルな喜びのために時間と労力を注ぎ込むっていうのは、なんかすごく豊かで贅沢な時間の使い方だなって感じました。
ブク美
- 本当にそうですね。ノートを書かれた沢井さんが次に自家製トルティーヤにも挑戦しようとしてるっていうのもなんかわかりますよね。
ノト丸
- あーなるほど。どんどんその価値創造の魅力に引き込まれていく感じですね。
ブク美
- へー。さて、これを聞いているあなたにとって効率とかスピードとはちょっと違う軸で、これは時間をかけるだけの価値があるなーって感じられるものって何かありますかね。
ノト丸
- うーん、そうですね。
- 料理じゃなくても何でもいいんですけど、何か一つじっくり向き合うことでしか得られない、あなた自身の価値みたいなものをちょっと探してみるのも面白いかもしれませんよ。