問いから始まる学びの世界
ノト丸
毎日未来創造、本日もまだ見ぬ未来のプロトキャスト、可能性を探ってみます。
今週のテーマは、学びの未来、物語のファイナルですね。
ブク美
はい。今回は、あなたと共有した資料の中から、近未来SFショートショート〈まだ白紙の地図〉これをちょっと深盛りしてみたいと思います。
この物語が描く、問いから始まる学びの世界、その可能性を探っていきましょう。
ノト丸
まず、この物語の世界観、ちょっと掴んでおきたいですよね。
舞台は、今からほんの5年後なんですけど。(※Episode 5から5年後の設定)
ブク美
意外と近い未来ですね。
ノト丸
そうなんです。ただ、社会は大きく変わっていて、中央集権的な管理、そういうものがなくなってるんですね。
ブク美
代わりに、都市には緑がすごく増えてて、地域コミュニティが中心になってると。
ノト丸
なるほど。
効率だけじゃなくて、強靭さ、レジリエンスとか、人の温かみみたいなものがすごく重視されるようになった世界。
その象徴的な場所が、新しい学びの拠点、Qポート。
ブク美
Qポート、問いの港ですか?
ノト丸
そうですね。日本語で言うならそんな感じですね。
ブク美
まさに、未来の学びのプロトタイプみたいな感じがしますね。
そのQポートでの学びのスタートが非常に面白いんですよね。
ノト丸
入学のところですね。
ブク美
そうです。いわゆる入学の時に渡されるのが、分厚い教科書とかじゃなくて、中身が本当に真っ白な本なんですよね。
Your Questions, Your Journeyっていうタイトルだけが書いてある。
ノト丸
強烈ですよね。
ブク美
これはもう、学びの主導権が完全に逆転するようなすごいメッセージだなと感じます。
ノト丸
まさに、このタイトル通り、何をどう学ぶかっていうのが、子供自身のその内側から出てくる問いから始まるんだと。
ブク美
ふんふん。
ノト丸
物語に出てくる女の子も最初のページに書くんですよね。
鳥はどうして空を飛べるの?って。
あー、素朴な疑問ですね。
知識をただ受け取るんじゃなくて、個々の好奇心、その純粋な気持ちが学びの原点になるんだっていう宣言みたいなものかなと。
ブク美
そのコンセプトは当然、教える側、つまりガイドの役割にもすごく大きな変化をもたらしますよね。
物語の中で、太陽光で動く自作の水やり機。
ノト丸
あー、少年ハルトのありましたね。
ブク美
あれがうまく動かせなくて悩んでいる場面がありますけど。
ノト丸
ここでガイド役の主人公ケンジが取る行動が、この世界の学びをよく表してるんですよ。
かつての先生だったら、たぶん解決策、例えばこの部品を使えば治るよみたいに答えを教えたかもしれない。
ブク美
まあ、そうでしょうね。
ノト丸
でもケンジは違う。彼はハルトに問いかけるんです。
その動かない歯車は、君にどんな新しい問いを立ててほしいって言ってるのかなって。
コミュニティと探求の重要性
ブク美
なるほど。答えを直接与えるんじゃなくて、その問題に対する見方を変えるような、もっと本質的な問いに導くと。
ノト丸
そうなんです。
ブク美
これはガイド自身にも単なる知識の伝達能力とは全然違う。
なんていうか、深い洞察力とか対話力みたいなものが求められるっていうことでしょうか。
ノト丸
おっしゃる通りですね。
ガイドはもう知識の泉っていうよりは、むしろ学習者の探求心を刺激して思考を深める触媒みたいな役割なんですね。
ブク美
触媒ですか。
ノト丸
その問いかけによって、ハルトはハッと気づくわけです。
問題はどうすればこの装置を直せるかだけじゃなくて、そもそも歯車を使わずに水を効率よく持ち上げる方法は他にないかっていう、もっと根源的な問いにシフトしていく。
これは問題解決におけるすごく大きな発想の転換だと思うんです。
ブク美
それは大きいですね。
その問いっていうのが、個人の学びだけに留まらない、コミュニティ全体に広がっていく様子が、Qポートの床に広げられた地域の白地図の場面で描かれてますよね。
ノト丸
ああ、あのシーンですね。
ブク美
子どもたちが地図に書き込んでいるのが地名とか情報じゃなくて、自分たちの問いだっていうのがまた印象的で。
ノト丸
そうなんですよ。
あの場面はこの物語の核心の一つですね。風力発電の効率をもっと上げるにはとか、川の水をどうやって屋上の菜園まで届けるとか、坂の上に住むお年寄りがもっと楽に移動できる乗り物は作れないかなとか、そういう問いが地図をどんどん埋めていく。
これはもう、問いこそが世界を理解して、そしてより良く変えていくための原動力なんだっていう、すごく力強いメッセージですよね。未知の領域を問いで切り開いていく、そんな感覚でしょうか。
ブク美
まさにまだ白紙の地図を自分たちの問いで埋めていく、未来を想像していく、そのプロセスそのものという感じですね。
ノト丸
そして物語はガイドである主人公ケンジ、自身の内面的な変化にも触れてるんですよね。
彼はもともとは効率とか合理性をすごく重視して、正解に価値を負えてた人物だった。でも、Qポートでの経験を通じて、その唯一の正解みたいな幻想から解放されていくんです。
そして、問い続けること自体の豊かさ、そのプロセスから生まれる発見とか、人との繋がりの喜び、そういうものに気づいていく。
ブク美
なるほど。どうすればっていうHow、つまり方法とか答えにすぐ飛びつくんじゃなくて、まず始めること、そして問い続けること、そこにこそ価値があるんだと。
これは私たちが普段当たり前だと思ってる学び、成果っていう概念を結構根本から揺さぶる視点かもしれないですね。
あなたはこの答えよりも問いを重視する学びの在り方、どう感じますか?
ノト丸
そうですね。知識を効率的に吸収するっていうのももちろん大事なんですけど、でもそれだけが学びじゃないんだろうなと。この物語は何かそう語りかけてるような気がします。
はい。
受動的に知識を受け取るんじゃなくて、自ら問いを立てて、探求して、まあ時には失敗しながらも進んでいく。そういう能動的な学びの姿っていうのを示唆してるのかなと。
ブク美
まさに未来の学びの一つの可能性ですね。
ノト丸
そこでですね、あなた自身への問いかけ、プロトクエスチョンです。もし今日あなたの学びがあの物語のような白紙の本から始まるとしたら、その最初のページにあなたはどんな問いを書き込みますか?
ああ。
あるいは答えのない白紙の地図を前にして、まず何を始めてみますか?
ブク美
うーん、これは考えさせられますね。ぜひ少し考えてみていただけたら。この物語の考察を含めたロングバージョンも用意していますので、そちらもぜひ聞いてみてください。
そして、#毎日未来創造をつけて、あなたの気づきもシェアしていただけると嬉しいです。