▼今回の内容
・511回で扱った"60年ぶり改正"を受けて届いた海外移住相談
・シンガポールから見えた景色──実際に相談に応じてきた
・論点①──1億円超の株式保有で発動する"出国税"
・論点②──親子で海外10年ルール(相続増与非課税)の実像
・論点③──"シンガポールに事業を移した"と認められる実態要件
・論点④──"183日ルール"は目安であって免罪符ではない
・論点⑤──移転価格税制
・節税だけの海外移住はリスクが大きい──帰国者が続出する現実
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サマリー
前回扱った非上場企業の自社株評価改正を受け、シンガポールへの事業移転と移住を検討する相談を題材に、出国税、親子10年ルール、事業実態、居住実態を順に整理する。保有株式の評価額が1億円を超えると、売却していなくても国外転出時課税の対象となり、納税資金や納税猶予が問題になる。親子ともに長期間日本の非居住者であれば、非上場株式の贈与や相続で日本の税金がかからない場合があるが、子どもを含めて実際に海外で暮らし続ける必要があり、単に10年住めば済む制度ではない。シンガポールで会社を作り、オンラインで仕事をするだけでは事業移転と認められない可能性があり、移転価格税制にも注意が必要だ。183日以上の滞在は居住判定の目安にすぎず、家族や生活の本拠が日本にあればシンガポール居住を否認されることもある。シンガポールの生活費は高く、節税目的で移住したものの帰国する人もいるため、税負担だけでなく家族の教育、生活費、実際に移住する覚悟まで考えるべきだと語る。最後に、海外移住を勧める人や税理士の説明を鵜呑みにせず、制度と各国の税制を自分でも確認する重要性を強調し、「策士策に溺れる」リスクを指摘する。