『赤目四十八瀧心中未遂』の紹介
こんにちは、のらじおのmuroです。
こんにちは、かえです。
はい、今日は何の話ですかね?
今日は、あの、本です。
本は、えっと、村田聖子さんの、ミラクリーナブリですかね。
ミラクリーナブリですね。ミラクリーナブリって言うほど離れてない。
そうですね、最近。
最近やったばっかり。
ということで、今日の本は、車谷聖子さんの、赤目四十八瀧心中未遂です。
はい、しびいね。車谷聖子を知っている人、ほとんどいない可能性すらあるよね。
うん。
あの。
私、知らなかったもん。全然知らない、全く知らなかった。
著者の経歴と影響
僕は、人生の一時期、年間映画を400本見るぐらい、ずっと映画見てた時期があって。
学生の時ですか?
高校生ぐらいから、大学生ぐらいの時かな。
ずっと映画を見てた時に、見た映画の一つが、
あ、そうなん。かなり若い時に見たんですね。
そう、赤目の映画で、たぶん十九、十八九で見てると思うんだよね。
うんうん。
あの、福岡の箱崎の芸を、箱松の芸を。
うん。
で、借りて、見て、いや、違うな、高校生の時に見たかも。
もしかしたら、これ、映画何年だっけ?
えっと、ちょっと待ってくださいね。本が2001年。
2001年?
本が2001年。で、
それ、文庫本がってこと?
いや、文庫本じゃなくて、あ、あ、違うな。
えっと、単行本が平成10年。
はいはいはい。
車谷長吉って、そんなに最近の人なんだ。
あ、赤目結構最近ですよ。結構、それは思った気がする。
あ、これ意外と、この人の経歴の中でも、わりと最近なんだって思った気がする。
赤目は、ウィキペディアによると、1998年に一番初めに出てますね。
で、これが、映画が公開されたのが2003年だから、やっぱ高校生の時に見てるわ、たぶん。
で、この映画を見て、僕の映画だって思った。
わって言っちゃった。
高校生が、大学4年のむろこしさんが、これ見て、僕の映画だって思ったら、あーって思うんですけど、
高校生、なかなかこれ見て、僕の映画だっていうのは、CVですね。
高校2年生とか、3年生とかって。
じゃあ、映画がすごいよくて、原作もってなったんですね。
読んだ、読んだ。
でも、車谷長吉は、これしか読んでないんですよ。
一冊しか読んでない。
でも、いっぱい出てるんですよね。
で、おりおり見返してた映画ではある。
何回か見た。
私は、最近まで、いつだったかな。
最近まで、姫路文学館で、車谷長吉さんの展覧会というか、
没後何年だったかな、みたいな、やってたんですよ。
で、全然知らなくて、でも、結構、ポスターは見かけてて、
姫路出身の直木賞作家みたいな、
えー、姫路出身の直木賞作家がいるんだ、ぐらいしか思ってなかったんですけど、
同時期に、姫路の美術館で、高田建造展やってて、
車谷長吉さんに、暇なら行ったらって言ってた高田建造展をやってて、それを見に行って、
じゃあ、案外早く見終わっちゃったから、時間は待って、
あー、このまま帰るのもなーと思って、
あ、そうだ、文学館で何かやってるって見たなーと思って行ったら、ちょうど最終日で、
っていうので、何も読んでない状態で行ったんですよね。
作品のテーマと展示
それがあまりに衝撃的で、素晴らしくて、その会が。
それで、うなこしさんにLINEしたら、あ、知ってるって、いうことで。
そうなんよね。僕、姫路出身って知らんかったんよね、車谷長吉が。関東の人だと思ってたんよ。
えー、そうなんだ。
っていうのは、この赤目が、確かによく読んだら、出身地が張馬だって書いてあるんだけど、
東京のインテリが、天ヶ崎に落ち延びていくっていう話だから、
車谷長吉自体が、関東のエリートだと思ってたんだよね、ずっと。
だから、姫路出身って知らなかった。
だし、多分ね、大分の高校生が張馬って聞いても、ピンとこないですよね、多分ね。
馴染みないくないですか、地名。
まあ、僕はほら、信長の野望とかをやってたから、場所はわかるんだけど、
この人が張馬出身だって、たぶん一行しか出てないんだよね。
主人公が、主人公の戌島さんっていう人なんだけど、主人公の戌島さんが張馬出身だって、あんまり覚えてなかった、僕の中では。
あんまり大事じゃないですよね、赤目の中では。
東京のインから、天ヶ崎に落ちてきたっていうのが大事な要素で、
どこ出身かっていうのは、あんまり知らない。
でもなんか、姫路出身だったら、姫路から天ヶ崎って、目と鼻の先やないかいっていう話だから、
なんか、あんまり意外感ないんだけど。
だから、東京から落ちてきたっていうイメージだったから、車谷聴吉が姫路の人だって気づかずに、
僕が姫路行ったとき、やってたんだよね、文獄館でね。
それを逃しちゃってね、残念だったんで。
もっと早く行って気づいてたらね、おすすめできたのに、知らないかったから、残念でしたね。
残念でした、すいません。
残念。あらすじ紹介しますか?
あらすじ。
車谷さんの紹介もしますか?
車谷さんの紹介したほうがいいかもね。
うんうん、車谷さん、これなんかいいのあるか。
紹介?
うん。
車谷さんは、
あ、あるある。
えっと、この扉のとこにある著者紹介を読みますね。
はい。
車谷聴吉、これ聴吉なんですよね。
吉じゃなくて聴吉。
昭和20年、兵庫県鹿間市、現姫路市。
今は姫路市鹿間区になっているところですね。
慶応技術大学文学部卒業。
広告代理店、料理屋などで働きながら小説家を目指す。
平成5年、潮坪の幸で三島幸男賞と、
芸術潜水文部大臣新人賞。
平成9年、漂流物で、
これ平林かな?平林大工文学賞。
平成10年、赤飯重夜滝真珠美水で直樹賞を受賞。
平成13年には、武蔵丸で川端康成文学賞を受賞した。
そのほかの著者に、
まあ、いろいろということなんですけど、
平成27年に亡くなりました。69歳ですね。
今、ここでちょっとざっくり説明されたところが、
ちょっと重要なんで、
少し詳しく説明すると、
慶応技術大学文学部卒業した後に広告代理店に勤めるんですけど、
で、そのときに、会社員やりながら書説を書き始める。
で、広告代理店から、次朝日新聞社に転職するんですけど、
その転職のない手が、なんかオイルショックかなんかで取り消されて、
その挫折感で、1回地元に帰る。
姫路に帰って、で、職案で、旅館の下足番。
だから、この間まで広告代理店で働く超エリートだったのに、
姫路の下働きみたいなことを始めて、
で、そのときに姫路の料理専門学校で料理を学んで、
で、関西のいろんなところを点々とする。
で、そのときの状況が結構この赤目の、多分描写されてる状況なんですけど、
タコ部屋みたいなところに転がり込んで、住所不定みたいな暮らしを、
その日前に稼ぎみたいな暮らしをしてた。
で、そのときもずっと、小説を書いていたという人です。
はい。
じゃあ、あらすじは、おまかせしますので。
あらすじか。この映画のあらすじ、むずかしいね。
あらすじは、そんなに複雑じゃないけど、
大事なのはあらすじよりも、情景描写っていうか、
そうですね。
って感じの話だと思いますね。
じゃあ、簡単にあらすじを言うと、
あらすじは、今の車谷長吉の、なんていうかな、
霊落みたいなものを、おそらく題材にとった詩小説的なもので、
東京でエリートをやっていた人物っていうのが、
東京で雑説して、で、関西に逃げてきて、
で、天ヶ崎にたどり着き、ひょんな人のつてで、
なんていうかな、スラムみたいなアパートで下宿をしながら、
そこで一日中焼き鳥の串を刺すっていう仕事につく。
で、その仕事についているときに、
そのアパートの中に堀市の人とか、
その堀市にすごく芸術的な絵を背中に彫ってもらった女性とか、
あとは地元の少年とか、
自分を世話してくれる焼き鳥屋のおかみさんとかが出てきて、
その人間関係の中で、天ヶ崎の人間関係の中で、
なんとなくその焼き鳥を焼きながら、
だんだんと、その綾ちゃんと呼ばれる背中に入れ墨をした女性と惹かれ合っていき、
で、ただ綾ちゃんのお兄ちゃんっていうのが天ヶ崎のチンピラで、
ヤクザと揉めて、借金を負ってしまって、
で、綾ちゃんをその借金の方に売ってしまうんだよね。
で、売られた綾ちゃんが、その主人公の幾島さんと東京のエリートで、
今は焼き鳥を刺している幾島さんと、逃避行をするっていう話で、
その逃避行の先っていうのが、赤目の四十八滝。
で、そこに行って心中をしようと言って、逃避行をするという、そういう話ですね。
で、車内聴吉さん小説が中心で、
私いくつか他にも読んだんですけど、
かなり事実に基づいてるなっていうのがあるんですけど、
赤目は、要素はいろいろ自分のことだけど、ストーリーはほとんど、
創作。
フィクションみたい。
まあ、そうでしょうね。
こんな目にあったら、ちょっと二度と立ち直れない級のことが起きますからね。
っていう感じでしたね。
で、私はまずその文学館の展示を見て、圧倒されて、っていうのは、
まずその物量に圧倒されたんですよ。
その展示物の、ありとあらゆる書かれたもの。
日記からメモみたいなのから、書き存じの葉書から、
小学生の時の日記みたいなのまで、すごい数の何か書き残したもの。
衣装もいっぱいバージョン違いでいっぱいあったし、みたいな。
で、なんだこれはと思ったんですけど、
そのすべてが、赤目四重屋滝真珠ミスの中に凝縮されてるって、
いうのにすごく驚きました。
あ、そう、なんか、かえちゃんが文学館の展示を見た後に、
こんな展示がありました、こんな展示がありましたって言ってきたのが、
あ、赤目のあそこにそういう描写あったな、
赤目のあそこにこういう描写あったなっていうことばっかりで、
なんかアベンジャーズみたいな感じで、
車ったり直喫が飲みに起きたいろいろなことが、赤目に結集してるみたいな感じになってるんだよね。
本当に、そうそう。
すごい大量のその展示物の中のいくつかしか、
でもすごく印象に残ったいくつかだけを黒子さんにLINEして、
そのいくつかが結構ほとんど入ってるのがびっくりした。
かきそんじのハガキまで入っていたし、この中に。
あとあの、ドス、コットン屋で買ったドス、腹切りするみたいなドスっていうのもこの中に出てきたし、びっくりしました。
だから逆にすればよかったのって、これを読んでから行ったほうが。
展示を見に行けばね。
そうそうそうそう。
そうね。
もっと言うならば、展示を見に行き、これを読んで、もう一回行きたかった。
もう一回見に行けばね。
それが最高だったけど、最終日だったから、私が見たの。残念でした。
もう一回やってほしいね。
もう一回やってほしい。
その展示だけ見に行き、姫路に行ってもいいもんな。
そういう人もいましたよ。なんか有名な作家さんとかも見に来てた。
でもなかなかやってないから、この人がこれだけフューチャーした展示って、ほとんどの資料を奥さんが貸し出されてた、姫路文学館に。
その量にも求めたけど、これだけのものを取っているっていうことにすごくびっくりした。
えらいね。
だって、私も何か書いたりするの好きだったから、小さい頃からいろんなものに日記のようなものをつけたり、いろんなこと書いてきたけど、何年か経つとすごく恥ずかしくなって捨てちゃうじゃないですか。
抹消してきたいろんなものを。
それを捨てないのがマジですごいと思った。
もう、むろこし龍之介店やっても展示するものほとんど何にもないもんな。
ハードディスクに入ってる限りのデータですか。
それはもう破壊してから知る。
1個にまとまってたら簡単ですね。1個のハードディスクだけ。
破壊して、缶の桶に入れてくださいって言って。
いや、だからこの人がどれだけ、小説というものに命を賭していたかみたいなのが圧倒的だったんですよね。
なるほどね。
僕はさ、でも、映画を先に見ちゃったからさ、映画のイメージがすごく強いんだよね。
映画で幾島さんの役をした人が、大西滝次郎さんって読むのかな、これ。
映画と小説の違い
こう、もうめっちゃハマリ役で、こうなりたいって思ったもん。
ちょっとあれですよね、ワイルドな感じの、でもなんかちょっと垢抜けないっていうかボサッとしてる男前って感じですね。
インテリが落ちぶれてるっていうのすごい。
確かにね。
インテリが落ちぶれている感じがすごかった。
だから僕、映画から入っちゃったから、そのビジュアライゼーションが全部映画なんだよね。
私的には、私は逆だから、映画もDVD買って、DVDしかなくて、アンブラとかそういうのに全然ないから、
DVD買ってみたけど、私は先に小説読んだから、ちょっとワイルドすぎるって思いました。
あー、幾島さんがね。
確かに。
いやなんか、これぐらいだったらいけそう、天ヶ崎で生きれそうってちょっと思って。
生命感あるもんね、あの人ね。ちょっと強そうだもんね。
強そう、強そう。
なんか演技で、天ヶ崎で生きていかれる感じ出てたけど、やると思えばいけそうと思って。
そうそうそうそう。キリッとした顔してるから、なんかなんとかやれそう、みたいな感じしてたよ。
確かに。それは思わなかった。
思わなかった。そうだね。あとさ、キーパーソンになってくる堀氏?堀真由?
堀真由さん。
が、内田優弥がやってんじゃん。僕あれで内田優弥を知ったんだよね。
あー、はいはい。
だから、もうすごい存在感だよね。
いやー、内田優弥はすごい良かったし、もうあれ一回見たら、他の人ではちょっと想像できないっていう。
できないできない。
映画だと、もう一番初めのカットっていうか、プロローグ的なカットがあった後に、
その天ヶ崎の駅に降りた、正確には多分あれは天ヶ崎じゃないのかな、神屋敷とかいうのかな。
駅に降りたゆくしまさんが、駅の伝言版を見てるっていう人がいて、
で、その伝言版を見ながら煙草を吸っていると、内田優弥が近寄ってきて、
火貸してくれやって言うから、その火がついた煙草を渡してあげるんだよね。
ただ、内田優弥が、えっとね、自分の煙草に火をつけた後、
これ小説を読むと、それが故意なのか事故なのかわかんないんだけど、
映画版だと、僕の見方だと、結構故意にゆくしまさんの煙草を落としてるんだよね、床に。
で、その懐から一万円札出して、ゆくしまさんに渡して、
すまなんだな、これで煙草でも買ってくれや、って言って、駅を出ていくシーンがある。
だけど、すげえ、って思って。
いや、なんかまあ、一言で言うと恐ろしいんですよね。
恐ろしい。
なんか、内田優弥が出た瞬間の緊張感がやばいんですよ。
この人、やばいって言うのが、一瞬でわかるのが、確かにこれはおらんなっていう。
あの、なんだろう、人鏡門でも、なんか、なんて言うんだろう、
まあ、こないだ私、国宝を見て、国宝の主人公の、長崎の人鏡の出身で、お父さんは、長瀬、長瀬なんだっけ、俳優さんやってたんですけど、
あの、すごいかっこよかった。でもなんか、それはかっこいい人鏡だった。
はいはいはい。
その、こう、なんか、どしっと構えて、こう、男まっさりで、こう、品があって、かっこいい役だったんですよ。
はいはい。
でも内田優弥の感じは、こいつまじで何するかわからんみたいな、恐ろしさですよね。
はいはいはい。ありますね。
でも、目がさっき立ってるっていうか、それが余裕なのか、余裕がないのかが、よくわかんないみたいな、緊張感があると思いました。
そうね。くしゃくしゃの1万円札を渡して、これでたばこでも凍ってくれやっていうのは、
めっちゃ怖いですよね。
怖いね。で、生島さんが4ヶ月、まがりなりでも雨でやれたのは、受け取ったからだなって思うんですよね。
あーそうそうそうですね。
あれをね、なんていうのかな。
わかる。
受け取っちゃいけないんだよね、絶対。受けないものを受け取って、その技量があるみたいな、なんていうのかな。
だからなんかほら、たとえばおっとき話で物を食べるとか、そういうやつですよね。貝からもらった物を食べたらいけないとか、なんかそういうタイプの。
あーそうそう、そういう意味合いもあるし、なんかね、僕の感覚から言うと、あれを、なんていうのかな。
いまいちその1万円の意味を、なんていうのかな。理解せぬまま受け取る、受け取るみたいな鈍感さと図太さみたいなのがないと、たぶんダメだったの。
そう、あーそういうことか。
なんかね、普通の人なら、あの1万円を受け取れないと思うんだ、まず。
あーなるほどね。関係になりますからね。人間関係が始まってしまうから。
そうそうそうそう。
この人から物をもらうということは、あの関係が、もう終われない関係が始まってしまうからですね。
そうそうそうそう。
それはそこで断らないといけないんだけど、福島は東京のエリートカブレだったばっかりに、意味がわからない、ああああみたいにもらっちゃう。
そうそうそうそう。
でも、赤目のこの小説でもそうだけど、ずっとそんな感じですよね。
そうそう、ずっとそんな感じ。
訳わからずに、でも、訳わからなさがなんかピュアで、なんとかなるみたいな。
そうなんですよ。これ中途半端に訳わかってない人は、またそれでもダメなんですよね。
そうですね。
完全に理解してるか。
完全に理解してるか。
全然わからないか。じゃないとダメ。
確かにそうですね。
ああ、そうか。それが、あの、タバコと1万円の交換から始まったんですね。
そうそうそうそう。
確かにそうですね。
で、ちょっと小説版を、僕、あの、今日の収録のために、今日読んでたんだけど、
ちょっとタバシ読みしてたから、小説版でそれがあったかわかんないんだけど、
映画版では、途中で、あの時に駅で、お前に1万円渡したよね、みたいに言われる。
言われる。
そういうことじゃん。1万円を受け取るってそういうことじゃん。
仮を作っちゃったんですよね。
そうそうそうそう。
返せない、もう印象を返せない仮を、たった1万円で作っちゃったんですよ。
その。
ずっとこれの繰り返しなんだよ、この小説。この大小のこれの。
いい感じの鈍感さみたいなのがないと、この人は4ヶ月天ヶ崎で生きていけなかっただろうなっていう感じがね。
あの冒頭の、ほんとごく、ごく数秒のシーンでやるみたいなのがね。
すごいですね。
すごいね。
映画はね、結構ね、その空気感を壊してなかったのがやっぱりすごい。
下手に説明もせずっていうか、この1万円をもらわなかったとか言わないけど、なんかこれやばいかったな今のみたいな感じ出てるみたいな。
そうそう。その時の、役者の大西さんの表情がすごくいい。
このね、役者の大西さん、これデビュー作なんですよ、たぶんね、映画。
で、たぶんね、この大西さんがこれにはまってるのは、風立ちぬで庵野秀明がはまってるのと同じなんですよ、と思います。
この、俳優のことがよくわからずにいきなり映画に出させられた人っていうのが、このボンクラーみたいなキャラに合致してるんだと思うんですよね。
なんか一人だけちょっと浮いてるじゃないですか、やっぱり。周りの俳優たちは、他の俳優さんたちはベテランだったりとか、かなり、なんかもう役者として。
特に焼き鳥屋の、せいこ姉さんの役をやってる大串さんとかの存在感がバーあるから。で、内田優弥でしょ。で、寺嶋忍でしょ。で、大串さんでしょ。バーなってる中で。
緊張感と人間関係
なんかフワフワしてるんですよね。
そう、キョトンとした顔の。
なんか一体何が起こってるかわかんないけど、はいと言っておこうかなみたいな感じが、風立ちぬの庵野秀明の浮世離れ感とすごい被りました。
それが良かったんだろうなって思いました、あれは。一人だけ何もわかってないみたいな感じだったから。
そう、なんかちょっとしたいろんなこと、その1万円が渡されるとか、せいこ姉さんに公衆電話かのタウンページに5万円挟んであるのを持ってきてほしいって言われる。
言われることって大したことじゃないじゃないですか。電話ボックス入って、そこに挟んである。
あのね、詳しく説明したほうがいいよ。
あの、生島さんが焼き鳥の串を作っているところに、あんたにちょっと頼みたいことがあるんやって言われて。
降りてくる。
どこそこの駅の前の電話ボックスのタウンページ、電話帳の間に5万円挟んであるから、それを取ってこいって言われるんですよね。
で、その電話ボックスの前は交番なんですけどって言ったら、分かっとるって言われて。
分かっとるからあんたに頼むんや、みたいなこと言われて。生島さんは何にも説明してもらえないんですよね。
ただ持ってこいとだけ言われるけど、なんかやばい金だなっていうことだけ分かってる、なんとなくみたいな。
でさ、もらった情報からさ、類推することができないんだよね。
誰の何のお金かでしょ。
全然何も分からないですよね。
だってさ、お金を受け取らないとやばいってどういうことやねんって話じゃん。
で、その5万円を受け取りに行かなきゃいけないみたいな目に合うみたいなのはさ、っていう話だよね。
で、でもその、なんかやばいお金でっていうのでやっぱドキドキしてガグガグ震えながら行くんだけど、
まあそのこと自体だけ見たら、誰かを殺してこいって言われたわけでもない。
ただ電話ボックスの中の5万円持ってこいって言われた、みたいな。
あとはこの箱預かっといてって言われるとか。
うちだよやにね。
とか、そんなこと自体は、なんか、まあみんなが隠してるからだけど、たいそうなことじゃないんですよね。
っていうことが、でもその一つ一つに命がかかってるっていう感じが、誰も説明しないけど、分かるみたいなのが、すごいなって思いました。
すごい。
これが映画だったら、表情とか音楽とか雰囲気とかで、それもすごくわかりやすいんだけど、これが小説でもすごいわかる。
こんだけ文字で書いてあるのに、何のお金かさっぱりわかんないんだけど、このお金は絶対やばいやつだ、みたいなのが、すごいわかる。
主人公の生き方
映画ではすごいわかりやすく、みんながそれを窓からじーっと見張ってんだけど、小説ではそういう見張ってるっていうシーンはなくて、
一人称視点だからね、小説だとね。
そうそう。歩いてたら、みんなが知ってるみたいな感じなんですよ。
あの時、自分が電話ボックスに行ったことを、この街のみんなが知ってるみたいな、みんなに見られてるみたいなのがずっと繰り返されて、
ここで生きていくということはどういうことかみたいなのが、はっきり説明されなくても雰囲気で味合わされるみたいなのがすごいって思いました。
そうね。でもそうだもんな。
うん、実際ね。
実際ね。
だから本当にこれ体験しないと書けないよねっていうような書き方されてる。
で、たぶんあれだけの物量の書き物があったんだから、ずっと日記とかつけてたと思うんですけど、そういう感じでにじみ出てくるのがやっぱすごいなって思いました。
そうね。で、それをしないとあそこにいられないみたいなのもすごいじゃん。
うん、すごい。
5万円を電話ボックスに取りに行かないといけない。で、そのときにガタガタ言ってはいけないとかさ、そういうのがさ、なんていうのかな。
確かに高校生の僕はわからなかったよ、世界がそうなっているということは。
それはそうですよ。
でも、ラテアメリカを経てきたので。
いや、そうですよね。
世界はそうなっている。
うん、そうですよね。それは絶対そうですよね。同じですよね、きっとね。
同じだね、同じだね。だから、あの、ずっとお前はここにいる人間じゃないって言われるじゃん、天の人に。
うんうん、いくしまさんがね、この町の天鷺崎の人たちにね。
あれとかも、本当にそうだなと思って、僕が、えっとね、たぶん3回目か4回目にキューバに行ったとき、2014年ぐらいだったと思うけど、
一人で、僕がいつも泊まってた、下宿の近くの、新しくできたハンバーガー屋さんみたいなのに行ったんですよ。
で、その、日本のマクドナルドみたいな感じじゃないんですよ。
うん。
なんていうかな、ほんと立ち食いで、あの、パンに、何の肉かわかんない、合成肉みたいなのを挟んだのを、プレスして焼いたみたいなのが出てくる。
出会いと葛藤
1個40円ぐらいのが出てくるっていうところで、パン食べようと思って入って、パンとジュースを頼んで、料理の提供を待ってたら、その隣にいた老いちゃんが話しかけてきて、彼が僕に言ったのが、第三世界へようこそ、第一世界の人間が何しに来たって言ったの。
うわー、おんなじことを言われてる。すげー、ほんとに言われるんだ。
そういうことがさ、とっさに起きるじゃん。
うん。で、ずっと繰り返し起こる。
うん。それを切り抜け続けないと、
うん、たしかにそうですね、いられない。
この、アマにいられないわけだよね。僕も、その、ハバナにいられないわけだよね。
で、いろんなこと、何かいろんなことが起こったときに、尋ねたらたぶんダメなんですよね。このゴマ屋って一体何ですか?とか聞いたらダメ。
聞いたら絶対にダメだよね。
絶対ダメ。で、聞かないんですよ。生島さん絶対聞かない、ほとんど。
うん。
箱の中身、何か一回聞くけど、追求はしない。
うん。
隣の連れ込み宿みたいなとこで、男が家に入ってバタバタしても、その後どうなったとか聞かないみたいなのが、たぶん大事、すごい大事。
そう、生子姉さんに、昨日は大変やったなって言われて、はいって言うだけ。
説明されるまでね、黙っとかなきゃいけないんだよね。
うん。これなんていうか、自発的に行動したらたぶんダメなんですよね。
うん。
たやちゃんの後をつけるとか、したら絶対ダメなんですよね。
でもやって、そのことをみんなが知ってるみたいな。
うんうんうん。
みんなが知ってんのは、タブーだから、やっちゃいけないことやってるからみんなが知ってんだけど、
うんうんうん。
何か自発的なことしたらダメなんですよね、たぶんね。
で、めちゃくちゃランダムに暴力にさらされるじゃん。
うんうん。
男の子がガマを捕まえてて、それを見てはいけない。
堀前の息子の小学生がいるんですよ、そのアパートに。
で、ガマガエル捕まえて、土管の中に、縦向きに立ってる土管の中に入れてる。
うん。で、それを見ちゃいけないって言われてるんだよね。
うんうん。
で、それをお前が見たら死ぬからって言われてるんだけど、
いくしまくんは見ちゃうんだよね。
うん。
だからガマが死んじゃうんだよね。
うん。
だから、息子が入ってきて、握り拳くらいの石を思いっきりいくしまくんに投げつける。
うん。
そういう感じなんだよなって思ったんだよね。
突然、わけわかんない暴力に見まわれる。
うん、なんかわかんない。
僕もほら、田舎の新学校だったからさ、暴力と言ってもたかが知れてるわけだよね。
うんうん。
こんな握り拳台の石を近く距離から力いっぱい投げつけるやつはいないわけだよね。
うん。
とか、あの、焼き鳥のさ、材料の臓物を持ってくる男の子にさ、
お前なんでその態度だって突然さ、めんじきられた。お前次やったら殺すからなとか言われるとかさ。
うんうんうん。
はないわけじゃん。
うん。
だから、その焼き鳥の串に刺す臓物を朝ドサッと持ってこられて、
刺したやつを夕方取りに来るサイちゃんっていう人がいて。
うん。
で、なんか、ゆくしまさん的には大したことじゃないけど、
たぶんちょっと目線の配り方とかがいつもと違ったらブチ切れられる。
なんか言ったわけでもないのに。
なんか言った。
ちょっと慣れてきて、ちょっと目のやり方が違うとか言うんで、
ぶっ殺すぞーみたいになって。
そう。そうなんだよなーって。
そういうのに晒されて、ゆくしまさんも、あ、で、たぶんちょっとずつ、あ、こういうのでやばいんだーみたいに。
ダメなんだーみたい。
うん。で、あと僕がすごい思ったのが、
あの、せいこ姉さん?
うんうん。
せいこ姉さんに、なんかめちゃくちゃ可愛がられてるじゃん。
うんうん。
そうなるんだよなーって感じ。
あー、あの、会って間もないのに、せいこ姉さんが、戦後すぐに勝負をしてたってことを打ち明けるんですよね。
で、それを誰にも打ち明けてないんだよね、せいこ姉さんはね。
今まで誰にも言ったことないけどって言って、ゆくしまさんにそのことを打ち明ける。
で、ゆくしまさんはそれを聞いて、これは相当なことを話されたぞっていうのはすごいわかるんですよね。
うんうん。
で、この人がこれを打ち明けたということに報いていかないといけないみたいな気持ちになる。
はいはいはい。
そう、そう、そういう可愛がられ方するんですよ。
あー、そこでちょっと、あ、ちょっと待って。
なんかわかるけど、この読んだら、あーってわかるけど、実体験としては何も思い浮かばないですね。
なんかね、この、わかんない、僕もなんか正確になんでかわからないんだけど、
あの、ごめん、ゆくしまさんと字も同一してるから、なんか僕らみたいな人が好きなんだよね。
うーん。
すごい、可愛がられる。
あやちゃんとの関係
うーん。
ああいう局面で。で、結局、せいこ姉さんに可愛がられてるから、あんまでもやっていけるわけじゃん。
うん、それは絶対そう。
そういう人が出てくるんだよね。
うん。
なんでかわからない。
うーん。
多分、うまくやれそうにないからだろうと思うんだ。
あー。
まあ、ここその、アマで、いるような人間じゃないから、目をかけちゃうってことですか?
心配になっちゃうってこと?
いや、人間の世界でってこと。
人間の世界で?
うん。
あー。
エリートが、挫折してアマに逃げてきてるじゃん。
うん。
だから、この人は本当はエリートなのに、この人はアマの世界で生きていく人じゃないってことは、もう明々白々なのだが、
でも、東京のエリートの世界でもダメだったということじゃん。
あー、うんうん。
行くところがないんだよ。
うんうんうん。
だから、ここが、この人の居場所ではないとは分かっていても、送り出す先がないから、とりあえず手元に置くみたいなことになる。
うーん、なるほどね。
うん。
なんか、はっきり言葉では説明できないけど、でもその漢字はすごい分かる。
こう、読んだら。
うん。
この人が、放っておけないというのがすごい伝わる。
うん。
あやちゃんも、そういうところを買っていたんですかね、行く島の。
どうだろうね。あやちゃんが、行く島の何が好きかは、ちょっとよく分からないんだよな。
そこが、すごいフィクショナルだなって、僕は思った。当時も今も。
あー、まあまあね。
うん。
でも、これ読んで、小説読んで、後半、そのあやちゃん、借金の方にされたあやちゃんが、突然、何駅だったかな、駅に何時みたいな紙をよこして。
天王寺駅。
天王寺駅か。
何時って紙をよこして、自分と駆け落ちさせる。
はいはいはい。
以降のシーンは、あやちゃんこれ、全部読んで、最初から侵入する気はなかったんだなって、すごい思いました。
あー。
あの、なんだろう、もう行ったら終わりなのは分かってるから、泣かすに行ったらもう終わり。
はいはいはい。
多分ね、あやちゃんの人生というか、そこから何か肯定することは多分もうないんですよ、あやちゃんのこれからが。
はいはいはい。
で、抗いって、本当にそう言って侵入したりとか、駆け落ちして逃げたりしたいという気持ちはあるけど、できないことも分かってるし、自分はそれを選択しないってもう決めてる。
うん。
けど、最後にじゃないけど、殺したのは、そういう気持ちを殺したっていうか、そのバージョンの自分の選択肢を殺しに行ったんだと思うんですよね。
はいはいはい、あやちゃんをね。
うん。
で、いくしまは何が何だか分かんないから、追い回されて置いてかれたんですよ。
で、途中で気もしないのに、10万しか入ってない郵便通知をあやちゃんにこれって渡したりして、あやちゃんはそう言って笑うんですよね。
うん。
こんだけですか、これって。
解消がないな。
あ、でもちょうだいって、一丁もらうんだよ。
じゃあこれはちょうだい、これもらうねって一丁もらうんだけど、あれはもらってあげたんだと思うんですよ、あやちゃんが。
何にもならないけど、いくしまの男儀を買ったっていうか、この出されたものを受け取ってあげたんだと思うんですけど。
でも、いくしま自分が何のために呼ばれたかも、何ができるのかも分かんないけど、とりあえず振り回されて、考えてるうちに、あやちゃんが自分で蹴りをつけて行ってしまったっていう話かなって思いました。
それはそうだろうね。
うん。
それはそうだな。いくしまもな。
だって、いくしまって、あやちゃんと電車に乗ってて、どっかの駅に着いて、閉まる直前ぐらいで、パッてあやちゃんが降りて、こんま京都に行って、福岡に行くかなって言っちゃうんですよね。
その時に、下駄が片方抜けたから、タイミング逃して降りれなかったみたいにしてたけど、下駄なんか置いて出ればいいじゃないですか。それがいくしまのダメなとこなんだ。
やめて。痛い。
あそこにすごい詰まってるって思いました。この人の憎めなさも、どん草さも、全部あやちゃんに置いてかれたっていうところにすごい詰まってて、すごい話だなって思いました。
そうだね。で、そのまんまサラリーマンに戻るからな、いくしまは。
うんうんうん。
そうだね。
で、実際、車谷さんも関西放浪した後に、また東京に戻る。戻るんですよね。戻った後、書いてる、たぶんこれはね。
で、何年か経った後、行ったら何もないんですよね。
何もないだろうな。そういうスピード感じゃないだろうからな。
最後のクライマックスはすごい素晴らしかったですね。バタバタと電車に取り残されて、あやちゃんが行ってしまうっていう。あそこはちょっと、あやちゃんがやっぱりかっこいいですね。あやちゃんがかっこいい。
そうね。だから、本当にいくしまさんがね、何者にもなれてないというか。
で、まあ、たぶんそこで何か強引に運命を変えようとする人だったら、あやちゃんは、
選ばないんだ。
そうそうそうそう。この旅っていうか、最後のちょっと置き晴らしっていうか、なんか自分のけじめみたいなものには付き合わせない。いくしまがこういう感じだから、かなり彼が選ばれたんですよ。
そうだろうね。手はいくらでも打てるもんな。あの状況から。
結末と教訓
まあ100パー、お兄さんがヤクザに人質に取られちゃってるんですよね。で、お兄ちゃん、博多に行かなかったら、お兄ちゃん死んじゃうっていう話なんだけど、別にお兄ちゃんなんか見捨てて二人で東京に出てきたっていいわけだし、海外行ったっていいわけだし。
いくらでも手はあるのに、いくしまさんは自分のインテリのエリートだっていう部分を生かして、そういうことをすることもできなければ、その天の人間として本当に心中してしまうとか、打ち入りをしてお兄ちゃん取り返してくるとかもできない。何にもできない。本当に何にもできない人っていう。
ドン臭い人っていう。
ずっとだから、もう始めから終わりまでずっと翻弄されて、なんか祭りみたいなことが最後にあって、全部なくなったみたいな感じ。
ああ、本当に高校生に読ませちゃいけないよ、こんなの。
ちょっと高校生にはちょっと早いですね。
自分もいつかはこうなるんだって思ったけど。
私、これ高校生のとき読まないと思う。意味わかんないと思う。途中でやめると思う。今だからわかるって感じ。
映画から入れば違うんじゃない?
いや、映画も面白いと思わないと思う、たぶん。
あ、そう?
うん。
僕はなんかめちゃくちゃ面白いと思った。
あのなんか面白さは、大学卒業してぐらいだったら、まだわかったかと思うけど、今よりわかる、今ベストだったかもしれないなとは思いますね。
大学行く前とかだったら、まじ意味わからんと思う。
僕が当時わかってなかったのは、たぶん、今僕らって行く島と同年配なんですよ。
この歳でかい?みたいなのはすごい思った。
なんか高校生のときが、で、漠然とその行く島が何歳かみたいなことを全然想定してなかったから、
自分よりのちょっと大人だと思ってると、なんかこういうこともあるかって思ったけど、
行く島の内面的葛藤
僕は行く島と比べて全然ダメ人間だから、別に彼を避難できる社会的立場にないってことはじゅじゅうじゅう承知してるけど、
でもさすがに、お前37,8で、24,5の女が高原なった音に、お前、お前ほんとっていう感じはやっぱすごいするよね。
38になってこれを見ると、なんかあるやん、いろいろもっと、もっとあるやんっていう。
やり方が、そうですよね。
でも、なんか多分、もっとあるやんみたいな感じのことができる人だったら、4ヶ月も天にいられないっていう話があるらしい。
そうですね。まず行かないしね、たぶんね。
そうそうそうそう。これ絶妙な話なんだよなって思って、
ちょっと僕がノラチオでは言えないようなことだけど、全然シチュエーションは違うんだけど、
なんて言うのかな、全然シチュエーションも違うんだけど、材料も違うんだけど、なんて言うんだろう、舌触り。
こういう局面ありましたよね。
ある。
いや、私、たぶん、私わかる、同じやつだと思うけど、あったよねって思ってたし。
かえちゃんが思い描いてるのは、もうちょっと相対の話なんだけど、
僕が今思い浮かべてるのは、すごくスペシャリックにこの15分のことみたいなのがあり、
この15分の僕の感情と、なんて言うのかな、その行く島が鼻を突っかけて、
で、閉じてしまった扉からあやちゃんを見て、あやちゃんが四五歩こっち側に駆け出してくるのを見たときの気持ちみたいなのが、
なんて言うのかな、すごくこう、あるんだよな、そういうこと。
で、なんて言うのかな、なんかその後、行く島の内政的なこととか内面的なこととか全然出ないじゃん。
これなんかすごくハートボイルドっていうか、その行く島の感情みたいなのがあんま出てない。
映画と小説の違い
そうですね。状況だけ追われてる。
こういうことがあった、こういうことがあったっていう話だけで、行く島がどうなったとか、泣いたとか怒ったとか。
僕ね、映画でね、そのシーンがね、ちょっとあれだなって思ったんだよな。
あの、電車のドアが閉まった後、行く島がすごく感情が出た顔をするんだよね。
私もあれ、なんかもっとキョトンというか、ぼうぜんみたいなイメージでした。
イメージだった、僕も。行く島の人間からすると、
えーみたいな。
ボサーっとしてる顔だろうなと思って。
なんか、あの表情だと何もかもわかっている人の表情だから、何もかもわかっていて、それはひどいぞっていう話だし、
なんかその、なんていうかな、これが非常に、なんて言ったらいいかわかんないんだけど、
そこにある種の永遠みたいなのがあるし、もっと言うと、めちゃくちゃ後悔もあるんだけど、
あーもできたかもしれない、こもできたかもしれないと思うんだけど、
でも本当にできたかというと、できなかったと言わざるを得ないみたいな。
すべての運命がそこに収束していくみたいな感覚もあり、
その、定念みたいなものと後悔みたいなものが永遠のものとして、そこに脳にこびりついてるみたいな。
で、それが、なんて言うのかな、あやちゃんのイメージじゃなくて、映画だと、赤目の滝のイメージなんだよね。
あー。
あれもすごいなって思ってる。
だから、あれ、凡庸な話だったら、あやちゃんの顔とか、あやちゃんの背中に彫られている入れ墨とかを、
永遠との、その凝集みたいな感じで映すと思うんだけど、違うんだよね。滝なんだよね。
でもそういう描写の仕方されてますよね、小説の方。
その場面だけじゃなくて、いろんなところで、海がキラキラしているのが見えた、海じゃないところで言ったりとか、海の音が聞こえていたとか、
ちょっと同じ感じの状態だと思うんですけど、なんか帰りっていうか、
なんかもう、こう、なんだろう、現実からちょっと離れてる、離れても思考がなくなってるみたいな、無になってるみたいな。
無になってる。
永遠になっている。
で、それが、そのスラムみたいなアパートの中で、匂いのする雑物を一日中駆使にさすということとの対比みたいなのが、すごく。
そうですね。なんかすごく閉じたところと、なんていうかもう、無限みたいな感じと。
で、しかもその構図全体が、結局はインテリの川ごとであるみたいなのとかも、徹底してると。
そうですね。東京から編集者が来て、夜、セイコ姉さんが聞かせて、なんかビールとかつまみとか持ってきて、3人で飲むシーンみたいなのあるじゃないですか。
あるある。
あそこは結構好きなんですよ、小説のほうの。
はいはい。
あれ小説のほうがちょっと違う、漢字が違うから、私は小説のほうが断然好きなんですけど、
だからちょっと、なんていうか、なんだろう、ふざけた感じ、酔っ払ってふざけた感じなんだけど、
なんかちょっと良くて、で、セイコ姉さんがビール、3人でビール飲みながら、
いくしまさんに物を書かせたいんですよ、編集者の人は、東京に戻ってきて、
小説というか、物書きをもう一回やれと言いに来てるんだけど、
その連れ戻しに来たセイコ姉さんと3人で飲んでるときに、ちょっと理屈っぽい人なんですよ、その人が。
そしたらセイコ姉さんが、あんたらインテリやわな、みたいに言うんですよね。
そんなんはインテリの他事や、とか、自分の頭で考えたことは言わん、誰かが言ったようなことしか言わない、みたいなことを、
このシーンすごく好きなんですけど、なんかまあ、そうだなっていう感じ。
いくしまさんがわざわざ天ヶ崎に来て、やっていること自体が、
天ヶ崎のそこにしかいられない人たちから見たら、インテリの他事みたいなことなんだろうな、みたいな場面だなと思いました。
なんか隣でさ、隣が連れ込み宿みたいになっていて、
しょうふが客の相手をしているときに、たぶん小説版じゃ念仏を唱えている?
あとね、山の水仙の駅を数え、なんか順番に言っている。
映画はそれだったんだ。
あ、そうそう、映画はそれで、小説は何を言ってるかわからない呪文みたいなのを唱えている。
きり何を、なんて言ってるかわからない。
それが、その、言葉になってないだろうと。
そうそうそうそう。
お前らは言葉になってるじゃねえかっていう、聖子姉さんに言われるっていうシーンがあって。
で、この小説全体がそうじゃん。
言葉になってるじゃん。
だから、その向こうがあるっていう話だなと思って。
そうだね。
すごいですね。
体験した人にしかわからないようなことを、
追体験させているの、すごいなっていう感じ。
だから、その部分が、これは本当のことが書いてあるんだろうなって思うっていうか。
そうね。
おばあちゃんがどうとかいうことは、
まあ、なんていうか、ストーリーとしてあるかもしれないなと思うけど、
雨ヶ崎の生活とか、その匂いとか、
湿った空気、なんかよどんだ空気感とかっていうのは、
本当にそこにいた人にしか文章として、文字として表せないだろうし、
まあ、いても表せないだろうけど、
よくこんなことができてるっていう感じでしたね。
あと、僕、生島さんが、これ小説版にしか出てないんだけど、
物語の深い感触
生島さんが聖子姉さんに初めて会ったときに、
この女となら寝れるかもしれないって思うシーンがあるんだけど、
それとかもすごいリアルだなって思った。
なんていうか、流れていく人って感じ。
ぜひみんなに読んでほしい。
そう、これ読んで、5冊ぐらい、車谷直樹さんの本買ったんですけど、
で、2冊ぐらい、文庫の2冊ぐらい読んだんですけど、
おもしろかった?
おもしろい。おもしろいけど、やっぱりこの赤見枝がちょっと、
違うんだなっていうのは思いました。
もっとかなり、本当に起こったっぽいことが書いてある。
その、ほかのやつがもっと。
あー、もっと詩小説なんだ。
もっと詩小説。
なんだろう、こんなにドラマチックに何かが展開しないっていうか、
ちょっと起こったことについて、
語り口とかはすごく同じというか、雰囲気はあるんですけど、
一応詩小説だから、登場人物の名前はいろいろなんですけど、
これはなんか本当に自分に起こったことなんだろうなっていう感じが、
もっと強くて短くて、
起こることも1日のこととか、2、3日のこととかが多くて、
でもすごいおもしろいです。
なんかちょっと取り留めなくなっちゃったけど、
でもなんかこうするしかないって感じかな。
なんか。
取り留めとかじゃないでしょ。
取り留めたよ、結構。
取り留めた?
結構取り留めたよ。
あ、そう?
うん。
取り留めたかな。
結構取り留めたと思う。
なら良かった。
私なんかもう思うまま喋ったって感じだから、なんか。
でもこれがさ、なんていうのかな。
でも、もう2025年には天ヶ崎もこうじゃないんだろうって感じ。
あ、そうですよね。
なんていうのかな。
ちょっと表現が難しいな。
人間が人間として剥き出して生きている原発っていうのは、
どこにでもあるんだろうが、
それを、そこが凝集している場所とか、
凝集している場所で何かそのように物を見るみたいなことが、
なんかあるのかなみたいなことを思った。
ちょっと何言ってるかわかんないかもしれないけど。
僕は南米の話をしたからあれだけど、
先進国で南米が大切な世界だから、それがあるというわけではなくて。
この通りじゃないかもしれないけど、全然あると思いますよ、いろんな。
だよね。
でもなんか、あれだな。
ちょっとこの本を前にして何を言っても、やはりこう、インテリのざれ事になるような気がして。
特に。
でもこれを読んでやっぱりそう思うのは、
だからそのクルマタニさん自身がそれにずっと苛まれてきたんだろうなって思いますよね。
何を言っても、結局インテリのざれ事ではあり、
かといってそのインテリたちの中に入っていくこともできずみたいな、
劣等感みたいなこととずっと向き合ってきてる。
それは展示を見てもすごく思ったし、それはかなり幼少期からあるっていう感じがしたから、展示を見て。
小学生ぐらいの時は、都会から来た転校生とかに対するその劣等感みたいなのをザーって書いてあったし。
で、高校受験でこのあたりの一番の新学校に落ちたっていうのがすごい多分、
彼の最初の挫折感であり、
っていうのがずっとある。
どこにもおられないみたいな感じがあるんだろうな、みたいなのは。
確かにな。
やっぱ今、この歳でこれを見ると、
やっぱり生島さんやクルマタニさんに比べると僕は、
ハッピーハッピーだなって。
うん、ハッピーハッピーだと思いますね。
脳がハッピーハッピーだなって思う。
いや、カンナ、なんていうかな。
このクルマタニさんの作品読んでも、この赤目読んでも、展示見ても、なんか苦行相みたいって思いますね、クルマタニさんが。
その小説っていうか、物書きとして、自分のことを相当追い詰めてるっていうか、
すごい許さないっていう感じがある、自分のことを。
ちょっとしょうがねえな、もうハッピーハッピーに生まれ続けちゃうんだから。
ハッピーハッピーのほうがいいと思いますよ。絶対。
ちょっと今から生島さんになれるかって言ったら、もうなれないじゃん。
ならないほうがいい、ならないほうがいいですよ。
ハッピーハッピーでいられるんだからいいじゃん。
確かに。
アヤちゃんみたいな人来たらもう言うもんな、弁護士ですよ、初手弁護士です。
絶対、今から行きましょうよ、一緒に行きますよ、ビジネス、初手弁護士ですからって。
正しいですよ。
言っちゃうもんな。
これでなんとかって10万円しか入ってない通帳渡したって、どうにもならないんですよ。
ほんとに行くしよう、この野郎。
でも、そういう人になりたかったけどな、なれなかったな。
で、アヤちゃんとその、放浪して、ホテル泊まったり、赤身行ったりしているときに、
その、入る飲食店の代金をどっちが払ったかっていうのを全部書いてあるのがめっちゃ面白いと思いました。
ほんまに、ほんまに、ほんまに車谷さんはね、
まあ、ちょっと落ちぶれ方が足りないかな。
でも、車谷さんね、展示でも思ったし、いろいろ読んで、書かれた時期と照らしたときに、
高橋純子との結婚生活
高橋純子さんっていう人と結構、晩婚なんですけど、50前後ぐらいで結婚してされてるんですけど、
この人に会ってから全然なんか、やっぱり救われてる感じがある。
それでもまあ、神経症になったりとか、苦しまれたと、変わらず自分を追い詰め苦しまれたと思うけど、
それでも、やっぱり結婚後は、すごい幸せだったんだろうなっていう感じが、展示でもすごく出ていたし、
高橋さんが多分提出してるか、もらった手紙とかも出してて、高橋さんにあてた手紙とかも、
日記に彼女のことについて書いてるとかも、魅力菩薩のようだとか、相当もう、なんか大きな存在で、
すごい光り輝く女性みたいな、で、その人と結婚できた、みたいなことが、あふれだしてたから、
車谷さんもハッピーハッピーの時もあったと思いますよ。
あ、そうか。服従の時に小説書かんでかんねんな。
はい。
武蔵丸っていう高橋さんと、自分の子供のようにカブトムシを飼う話とかすごい良かったし、すごく幸せな感じだった。
穏やかでした。その話はちょっとやっぱり、トーンが違った。
OK、そうなんだ、そういう感じですかね。
たぶんこれだけ聞いてもわけわかんないと思うんで、ぜひ読んでほしい。読んだら、ちょっとわかると思います。
映画もおすすめ。なんか映画、その当事人物の一人が、たぶん、事件起こしたのが原因で、たぶん、
どこででも見れない。
ストリームで見られない。
サブスクにない。
サブスクにないけど、DVD買えばいいので、DVD買ってぜひ見てください。
TSUTAYA DISCUSSにもありますから、TSUTAYA DISCUSSで借りてもいいし。
という感じですかね。
はい。
それではまたお会いしましょう。ごきげんよう。
ごきげんよう。