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2025-06-20 15:06

34|【前編】救済されず「泣き寝入りになります」…福岡の事業主ミスで消えた失業手当

あなたの声が社会を変える。読者と記者がSNSでつながり、暮らしの疑問から地域の困り事、不正の告発まで徹底調査し、あなたの「知りたい」にこたえるオンデマンド調査報道「あなたの特命取材班」(あな特)。

 「十数年前の一時期、知らないうちに雇用保険が未加入になっていたせいで、失業手当が減りました」。「あなたの特命取材班」に憤りの声が寄せられ、記者が取材しました。加入期間の長さに応じ、支給される失業手当の金額が決まる雇用保険。投稿者は事業主のミスで失業手当が減額されてしまったといいます。加入漏れの救済措置の対象は判明から過去2年以内に限られており、雇用者側のミスで労働者が不利益を被る現行制度の不均衡が問題視されています。制度の課題と今後について、労働問題に詳しい河野賢治編集委員に前編・後編と2回にわたって話を聞きます。

◆出演:河野賢治(報道センター編集委員)、宮﨑真理子(あなたの特命取材班事務局長)、梁京燮(MC/販売部)/ 音声編集:中富一史(販売部)/ 映像編集:三笘真理子(me戦略担当)

◆収録日 :2025年5月16日

◆河野賢治記者の記事一覧
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サマリー

福岡県に住む57歳の女性は、雇用主の誤りにより失業手当が減額される問題に直面しています。彼女は過去に雇用保険に加入していなかった期間があり、そのため制度の救済措置を利用できず、困難な状況に置かれています。福岡の事業主による失業手当の誤りが問題視されており、彼女の雇用保険の加入状況に影響を与える事例が取り上げられています。特に、雇用契約書や給与明細をしっかり保管することの重要性が指摘されており、労働基準法に対する理解を深める必要性も強調されています。

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西日本新聞Podcast
西日本新聞あな特Podcast
このPodcastは、暮らしの疑問や地域の困り事から不正の告発まで、読者の調査依頼に応える西日本新聞の課題解決型調査報道
あなたの匿名取材犯の果敢な挑戦を紹介し、リスナーの皆さんからの取材リクエストにも応えちゃおうという番組です。
こんにちは、西日本新聞社のりょうです。
こんにちは、あなたの匿名取材犯事務局の宮崎真理子です。
こんにちは、西日本新聞報道センターの記者をしてます河野です。
河野さん、初めましてです。
よろしくお願いいたします。
緊張してます。
緊張してますか。緊張してるふうには見えない。
河野さん、簡単に自己紹介していただけたらなと思うんですけども。
記者としてのですね。
私はですね、この5年ぐらい労働分野、解雇とかですね、雇い止めとか給料の引き下げとかですね。
そういうのを主に取材する記者をやっております。
なるほど、なかなかなんていうんですかね。
硬いですよね。
硬いところがセンシティブというか、そういうところですよね。
結構重たい課題を抱えた人が多くてですね。
そういう人の声を聞いて記事にするような、そういう感じが多いですね。
私も困ったら相談しに行きます。
はい、ぜひぜひ。
宮崎さん、今日はどんな内容でしょうか。
穴徳に寄せられた情報提供なんですけれども。
雇用主のミスと失業手当
福岡県にお住まいの57歳の女性から、十数年前の一時期、知らないうちに雇用保険が未加入になってたせいで、失業保険が減りましたという投稿が寄せられました。
事業主のミスで失業手当が減額されてしまったという内容です。
なるほど、なかなかつらい内容ですね、これ。
どんな感じのミスであったんですか。
そうですね、この女性この20年ちょっとですね、20年何ヶ月が学校法人の方に勤めててですね。
ここを辞めて別の仕事を探すときに、失業手当の申請をハローワークでするんですけど。
ハローワークに行ったら、あなた学校法人に勤めてる間に1年ちょっと雇用保険入ってない期間がありますよっていうふうに言われたんですよ。
で、雇用保険に入る条件というのがいくつかあるんですけど。
一つ代表的なのが、1週間に20時間以上働いていることという条件なんですね。
この女性はその条件を満たしてて、自分はずっと雇用保険に入っているもんだと思って、ハローワークに失業手当の申請に行ったんですけど。
あれ、1年ちょっと空白がありますよって言われて、え?ってなったという。
すいません、そもそもあんまり働き寄ったら意識してなかったんですけど、雇用保険ってなんなんですか?
職を転々としている方はよくご存知かと思いますけど、一つの会社にずっと勤めていると、あまりなじみがないかなという感じがします。
会社を辞めてですね、次の仕事が決まるまで収入ないですよね。
ないです。
その時に雇用保険に入っていると、失業手当というのが出るんですよ。
前に勤めていた会社のだいたい50%から80%くらいが出るんですけど、そのお金をもらっている間に再就職の準備をする。生活も支えてもらえるというセーフティーネット法になります。
なるほどなるほど、そういう制度なんですね。
本来に戻ると、雇用保険に未加入の時期があったっていうことは、失業手当が減ったってことですかね。
そうなんですね。失業手当の金額をもらえる日数のルールがありまして、だいたい20年以上雇用保険に入っていると150日分。
20年で150日。
20年以上勤めていると150日分が出るんですね。10年以上20年未満ですと120日分。
この女性は20年数ヶ月勤めてたんですけど、1年何ヶ月、いわゆる空白、会社のミスで入ってない期間があったので、10年以上20年未満の区分になっちゃうんですよ。
本当は150日分もらえるんだけど、120日分しかもらえなかったんです。
これはちょっとおかしいぞっていうふうに女性も思った。実害が生じてしまったということになりますね。
そんなことが起こるんですね。
私も初めてでしたね。
ハローワークでそういうふうに言われたもんだから、この女性は元の学校法人の務め先にどうしてですかというふうにお尋ねするわけですよ。
そしたらその学校法人は担当者がきちんと調査したんだけど、もう分かりませんということで対応しなかったんですね。
救済措置の限界
困り果ててこの女性は社会保険労務士さんに相談をされて、何とかなりませんかというふうに言ったんですけど、もうちょっと泣き寝入りになりますねということになっちゃったんです。
その雇用主さんがミスってるのに泣き寝入りみたいな。
こういう時ですね、雇用保険制度って救済措置がありまして、加入漏れが分かった日から遡って2年間は遡って追加で入ることができるんですけど、
この女性のその空白期間って10年以上前だったので、それも利用できない。だから社労主さんは泣き寝入りですねとなっちゃったんですね。
2年しか遡れないですね。
そうなんですよ。今の制度はそうなってますね。
じゃあそのミスったっていうのはもう分かってるんですよね、その時点でですね。
その時点では女性は多分ミスだろう間違いないだろうというふうに思ってるんですけど、会社はなかなか認めないですね。
そんなわけないって言いますよね。
そうですね。そこで取材依頼が来たという感じになります。
なんかその学校法人のミスで責任を取る形でその30日分に相当する金額を払ったってあるんですけど、そもそもそれは国が支払うべきものなのかって思ったんですけど。
そうですね。失業手当のルールとしてですね、社員さん毎月多分雇用保険料って給与明細から引かれてると思うんですけど、見られてますか。
いや見てない。
全然見てない。
そういうふうに引かれてるんですけど、それと会社が雇用保険料っていうのをやっぱり払うんですね。
それとあと国が負担するお金、そこから失業手当っていうのを払われるんですけど、社員さんがどのぐらい雇用保険に入ってたかっていう期間によって失業手当の額が決まってくるし、そもそも失業手当をもらえるのかどうかっていうのも入ってた期間によって変わってくるんですね。
なるほど。
女性のようにこういうふうに勤め先のミスで失業手当が入ってたとしても、国がそれを補填するカバーするというルールは今のところちょっと難しいですね。
ちょっと話戻りますけど、この女性は最終的にはお支払いしてもらったんですね、学校本人の方がですね。
そうですね。
取材依頼をされて。
女性がですね、取材依頼を私がこの女性から受けまして、私がいきなり会社に取材依頼をしたとしても、多分個人情報とか、もう辞めた職員ですからというふうに言われて断られると思ったので、女性に取材依頼の文書を書きましょう、それに印鑑をついて会社に依頼しましょうというのをちょっと入れじれをしました。
なるほど。
その文面を私が書きました。会社にそれを届けたところ、会社がそこから本当に調べて、ミスだったというふうになった。
で、ごめんなさいになった。
ごめんなさいになったという。
なるほど。
なんかこういう加入漏れってやっぱり全国でも起きてる、ミスっていうんですかね、起きてるっていう感じなんですか。
そうですね、この失業手当に詳しい弁護士の先生にちょっと聞いてみたんですけど、やっぱり同じような相談は来ているみたいでですね。
で、遡って2年しか入れないのでどうしようもないっていうのはやっぱりあるみたいで。
制度の改正と対応
それともう一つちょっとこれも大きな制度の改正で、2028年の10月から制度が変わりましてですね。
今1週間に20時間以上働いてると雇用保険に入るっていうのがわかりやすい仕組みなんですけど、それを1週間に10時間以上にしようと。
なるほど。
より加入できる人を増やしてですね、セーフティーネットを充実させていきましょうっていうのが始まるんですね。
このルールがきちんと周知されないとですね、自分の会社に勤めてるこの人は10時間以上働いてても、このルール知らないと金漏れになっちゃう可能性が出てくると思うんですよね。
なるほど。
なのでここはきちんと周知しないとやっぱりダメだと。
なるほどですね。これ法改正されたら、10時間働き寄る従業員さんがおったら、社長は絶対雇用保険入れないといけないっていう。
そうですね。
これはルールになってるのできちんと入らないと、確か罰則もあるんじゃなかったかな。
これでも一方で経営者側には負担が増える話になるんですかね。
そうですね。雇用保険料を支払うのは企業負担でもあるので、経営者にとっては少し負担が増えるかもしれませんね。
でもやっぱり2年間しか救済措置が取れないっていうのは、仕組みとしてなかなか泣き寝入りしてしまう人とか。
そうですね。
法改正があるときに知らなかったりとか、会社側が知ってたら加入漏れっていうのが出てきたりとかしますよね。
そうですね。だから期限を切らずに遡って入れるようにするルールが必要なんじゃないですかっていうのは弁護士の先生もおっしゃってましたね。
優しくその通りかなという感じがします。その代わり社員も遡って雇用保険料を払わないといけないんですけど、今回記事で登場した女性も別に全然それは構わない。
遡って入れるんであればその分セーフティネットも充実するわけだから、別にそれは構わないので長く遡って入れるようにした方がいいっていうのはおっしゃってましたね。
そうですよね。
これってやっぱり全国的にも起こっている可能性があるので、川野さんの記事が全国のローカルメディアでつながっているJODでも3社、神戸新聞さんと参院中央新報さん、東京新聞さんでも掲載されたんですよね。
今後どうなっていくもんですか。
今2025年ですよね。新しいルールが始まるのが2028年なので、あと3年ちょっと。この期間にもう本当に死に物狂いで周知するしかないかなという感じが。まずは会社経営者にとって向けにはそれが大事かなというふうに思います。
労働基準法の理解
それともう一つ、この女性がおっしゃってたのが、もう辞めた会社のことなので雇用契約書とか給与明細とか勤務記録全部捨てちゃった。
なるほど。
捨てますよね、普通に。ただそういうのがもし残ってたら、給与明細に雇用保険料が差し引かれてなかったら差し引かれてないでしょっていうふうに会社に言うこともできるし、勤務記録が残ってれば週に20時間以上働いてたっていう証明もできるわけですよね。
だからそういうのは働く側もきちんと残しておくというのを強く訴えてほしいというのを言われて本日参りました。
なるほど。どうしても管理もちょっと1日遅れとか2日遅れとかになっちゃうしね、勤務の時間とかも。
自分はこの自信用新聞社に入ってですね、雇用契約書多分もらったと思うんですけど、どこにあるかわかりませんもんね。こういうふうなのじゃなくて、やっぱり遡ってきちんと保管しておくこと、給与明細をプリントしておくこと、写真に撮っておくこと、証拠を残しておくことがやっぱり大事かなと思います。
なるほど。撮ってますか。
いや私も結構転職組なんですけど、たまたまこの前掃除をしたときにもう10年前とかだったらもういいやと思って、全部シュレッダーにかけてしまいました。その後にこの記事だったから。
そうですね。
ちょっとやっぱ昔のでもきちんととっておくのって大事だな。全部勤務表も書いてたのにシュレッダーしてしまう。
そうですね。すごく大事なことですよね。
働く上で本当に大事なことかもしれないですね。自分のことなんで。
そうそう。
勉強せんといかんすよね。
そうですね。思うのはですね、労働基準法とかですね、これ難しいじゃないですか。でもこれ知ってるのと知ってないのとじゃ全然違うんですよね。
なので簡単なネットでもいいですけど、労働基準法ちょっと勉強してみて、例えば残業代が支払われてなかったら労働基準法ではこういう風になってますけど、うちの会社どうして出ないんですかっていう主張ができるかもしれないじゃないですか。
なので働く側もきちんとルールを学んでおくことも大事かなと思いますね。
ということで今日は貴重なお話ありがとうございました。
河野さんと宮崎さんの記事は西日本新聞とニュースアプリ西日本新聞MEでお読みいただけます。記事のリンクは概要欄に貼っています。
これからもアナ読は読者の皆さんと一緒に成長していきます。情報提供はあなたの読名取材班の投稿フォームやLINE公式アカウントで受け付けています。
分末にハッシュタグ西ポキャの記入をお願いいたします。引き続きよろしくお願いいたします。
今日はありがとうございました。
河野 ありがとうございました。
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