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220牧野信一「地球儀」(朗読)
2026-04-07 17:00

220牧野信一「地球儀」(朗読)

【作品】地球儀

【作者】牧野真一(1896-1936)

【あらすじ】「祖父の十七年の法要があるから帰れ」という母の言葉で、主人公は実家へ戻ります。故郷の家は狭く、父は病気で寝込んでおり、生活は苦しいようです。主人公は、父の放蕩と家族の苦境に、複雑な思いを抱きます。そんな中で、母が押入れにしまってある地球儀の存在に触れ、昔の思い出がよみがえります。かつて祖父は、家族で地球儀を囲み、遠い外国にいる息子(主人公の父)のことを語り、地球が丸いことを教えてくれたのです。主人公は、地球儀を眺めながら、家族の過去と現在の姿を対比し、複雑な感情にさいなまれます。

【こんな方に】寝る前に聴きたい / 名作文学 / 睡眠用BGM / 朗読 / 青空文庫 / 聴き流し


「スピン、スピン」

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サマリー

このポッドキャストでは、牧野信一の短編小説「地球儀」が朗読されます。物語は、主人公が母からの手紙で実家に戻るところから始まります。父の病状が悪化し、家計も苦しい中、主人公は母との会話で、祖父が家族に地球儀を囲んで世界の広さや父のいる遠い国について語ってくれた昔の記憶を呼び起こします。祖父は地球が丸いことや、日本とアメリカが反対側にあることを子供たちに教えようとしました。主人公は、この地球儀を題材に短編を書きかけていたことを思い出し、過去の感傷的な記憶と現在の家族の苦境との間で複雑な感情を抱きます。法要のために親戚が集まる中、父の不在や放蕩ぶり、そして主人公自身の将来についての会話が交わされます。物語の終盤、主人公は地球儀を邪魔だと感じながらも、かつて書きかけた短編の続きを思い出し、子供の頃の記憶と現在の家族の状況を重ね合わせます。朗読後、パーソナリティは地球儀に対する自身の経験や、俳句を読むことへの興味について語り、番組を締めくくります。

番組紹介と作者紹介
寝落ちの本ポッドキャスト。こんばんは、Naotaroです。
このポッドキャストは、あなたの寝落ちのお手伝いをする番組です。
タイトルを聞いたことがあったり、実際に読んだこともあるような本、
それから興味深そうな本などを淡々と読んでいきます。
作品は全て青空文庫から選んでおります。
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さて、今日はですね。
牧野信一さんという方の地球儀です。
初めて読みますね。牧野信一さんね。
1936年、神奈川県小田原生まれ。
大学卒業後、同人誌13人を創刊し、詰めを発表。
これが島崎東村に認められ、
その東村の紹介で新小説に突免許を発表。
代表作に七を売る子。
あー、これ何て読むんだ。
キルイ村?鬼の涙村って何て読む?
キルイ村?
神経衰弱から1936年。
40歳で小田原の実家で自殺ということですね。
はい、ちょっと。
キルイ村であっているのかな?
わかりません。
wikipedia見てみるか。
うーん。
わかんない。
あ、鬼の涙村。
はい、失礼しました。鬼の涙村です。
今回読み上げます地球儀については、
4200文字ということなので、
そうですね、15分くらいになろうかと思います。
そんなに長くないですね。
それではやっていきますか。
どうかお付き合いください。
それで参ります。
実家への帰省と母との会話
地球儀。
祖父の17年の法要があるから帰れ、
という母からの手紙で、
私は2月ぶりぐらいで小田原の家に帰った。
この頃はどうなの?
私は父のことを尋ねた。
だんだん悪くなるばかり。
母は押入れを片付けながら言った。
続けてそんな気分を振り捨てるように。
こっちの家は本当に狭くて、
こんなときには全く困ってしまう。
第一、どこに何がしまってあるんだか
少しもわからない。
などと呟いていた。
僕のこと怒っていますか?
カンカン。
母はめんどくさそうに言った。
ふふん。
これからもお金なんて一万もやるんじゃないって。
私まで大変怒られた。
チェッと私はせせら笑った。
きっとそうくるだろうと思ってはいたものの、
明らかに言われてみるとドキッとした。
せせら笑ってみたところで、
私自身も母も、
私自身の無能と空元気とを
かえって醜く感じるばかりだ。
もうお父さんのことは宛にならないよ。
あの年になってのことなもの。
これは父の宝塔を意味するのだった。
勝手にするがいいさ。
私は怒ったような口調でつぶやくと、
いかにも腹には確然とした
ある自信があるような顔をした。
こんなものの言い方やこんな態度は、
私がこの頃になって初めて発見した
母に対する一種のコケ取りだった。
だが私が使うのはいつもこの手段のほかはなく、
そしてその場限りで何の効き目もないので、
今ではもう母のほうで
もう聞き飽きたよという顔をするのだった。
もう家もおしまいだ。
私は覚悟している。
と母は言った。
私は母が言うこの種の言葉はすべて
母が感情に走って言うのだというふうにばかり
事さらに解釈しようと努めた。
だけど、まあどうにかなるでしょうね。
私は何の意味もなく、
ただ自分を慰めるようにいいと見せかけた。
こんな私の楽天的な態度にも
すっかり母は愛想をつかしていた。
母はちょっと笑いを浮かべたまま黙って
タバコボンを箱から出しては
一つ一つ拭いていた。
私も話だけでも父のことに触れるのは嫌になった。
明日はおじさんたちもみんな来るでしょう。
みんな来ると言って起こした。
また父のことが口に出そうになった。
ツズジがよく咲いている。
と私は言った。
お前でも花などに気がつくことがあるの?
ほう、それはありますとも。
と私は笑った。
母も笑った。
ただでさえ狭いのにこれ邪魔でしょうがない。
地球儀と過去の記憶
まさか捨てるわけにもゆかず。
母はお尻の隅にかさばっている
三尺ほどもある高さのある地球儀の箱を指差した。
私はちょっと胸を疲れた思いがして
かろうじて苦笑いをこらえた。
そして邪魔らしいですねと慌てていった。
なぜなら私はこの間その地球儀を思い出して
一つの短編を書きかけたからだった。
それはこんな風に極めて感傷的に書き出した。
祖父は潜水の隅の灯籠に火を入れてくると
再び自分の一人の黒く塗った禅の前に
あぐらをかいて読釈を続けた。
同じ部屋の丸い窓の下で
虫の穴がところどころ空いている机に向かって
彼は母からナショナル読本を習っていた。
シーゼーボーイ、エンゼーガール
と母は静かに朗読した。
竹筒の大きいランプが母の横顔を赤く照らした。
スピンアトップ、スピンアトップ
スピン、スピン、スピン
回れよ駒よ、回れよ回れ
と彼の母は続けた。
勉強が済んだらこっちへ来ないか、だいぶ暗くなった
と祖父が言った。
母はランプを祖父の禅のそばに運んだ。
彼は縁側へ出て汽車を走らせていた。
じゅんいちや、お部屋空いて地球玉を持ってきてくれないか
と祖父が言った。
彼は両手で掲げて持ってきた。
祖父は禅を片付けさせて地球儀を膝の前に据えた。
祖母も母も呼ばれてそれを囲んだ。
彼は母の背に寄りかかって肩腰に玉を覗いた。
どうしても俺にはこの世が丸いなどとは思われないが、不思議だなあ。
祖父はいつもの通りにそんなことを言いながら
二三遍ぐるぐると撫でました。
えっと、どこだったかね。もうわからなくなってしまった。
おい、ちょっと探してくれ。
こう言われると、母は得意げな手つきで軽く玉を回してすぐに指で押さえた。
フェイヤー?
フェイヤー…
ちょ、いくと聞いてもダメだ。すぐに忘れる。
フェイヤーヘブンと母は立ち所に行った。
それは彼の父、祖父の長男が言っているところの名前だった。
彼は写真以外の父の顔を知らなかった。
日本は赤いからすぐわかる。
祖父は両方の人差し指で北米の一点と日本の一点と押さえて、
どうしても俺には本当だと思われない、と言った。
祖父が地球儀を買ってきてから毎晩のようにこんな断乱が醸された。
地球が丸いということ、米国が日本の反対の側にあること、
長男が海を越えた地球上の一点に呼吸していること、
それらの意識を幾分でも具体的にするためにそれを祖父は買ってきたのだった。
どこまでも穴を掘っていったら、しまいにはアメリカへ突き抜けてしまうわけだね。
こんなことを言って祖父はみんなを笑わせたり、自分も寂しげに笑ったりした。
ジュイチは少しは英語を覚えたかね?
覚えたよ、と彼は自慢した。
大学校を出たら、お前もアメリカへ行くのかね?
行くさ。もしお父さんが帰ってきてしまったら?
どうでも行くよ。
そんな気はしなかったが、間が悪かったので彼はそう言った。
彼はこの年の春から尋常一年生になるはずだった。
いよいよ小田原にも電話が引けることになった。
ある晩祖父はこんなことを言って一度驚かせた。
そうすれば東京の吉郎とも話しかできるんだ。
アメリカとは?
彼は聞いた。
海があってはだめだろうね。
祖父は真面目な顔で彼の母を帰り見た。
彼は誰もいないところでよく地球儀を持て遊んだ。
ぐるぐるとできるだけ早く回転さすのが面白かった。
そして夢中になって、
早く回れ、早く回れ、スピン、スピン、スピン、などと口走ったりした。
するといつの間にか彼の心持ちは早く帰れ早く帰れという風になってくるのだった。
そこまで書いて私は退屈になってやめたのだった。
家族の現状と主人公の葛藤
いつか心持ちに余裕のできた時におとぎ話にでも書き直そうなどと思っているが、
それも今まで忘れていたのだった。
玉だけ取り外してよく江川の玉乗りの真似などして、
そんなことをすると罰が当たるぞなどと祖父から叱られたりしたことを思い出した。
古い地球儀ですね。
引っ越しの時から邪魔だった。
それからまた父のことがうっかり話題になってしまった。
私はもうお父さんのことはあきらめたよ。
家は私一人でやっていくよ。
と母は固く決心したらしくきっぱりと言った。
私はたあいもなく胸がいっぱいになった。
そして口押しさのあまり。
そのほうがいいとも。
帰らなくたっていいや。帰るな帰るなだ。
と状況を一視した妙な声で口走ったが、
ちょうどおとぎ話のことを思い出したところだったので、
突然照れくさくなってあわてて母のそばを離れた。
翌日の昼には遠い森林の人たちまでみな集まった。
せめて順一がもう少し家のことを。
そういうことなら、親父でも何でもやり込めるぐらいな気概がなければ。
本当に影弁系で。
そのくせこの頃はお酒を飲むと無茶なことをしゃべって帰って怒らせてしまうんですよ。
酒!
けしからん。やっぱり系統かしら。
おじと母とかがそんなことを言っているのを、
私はふすま腰でいとこたちと陽気な話をしていながら耳にした。
私のことを話しているので。
この間もひどく酔って、外国へ行ってしまうなんて言い出して。
順一が?
馬鹿な。
むろん、あの臆病にそんなことができるはずはありませんね。
と母は笑った。
気の小さいところだけは親父と違うんだね。
客が皆席に揃うと、私は父の代わりとして末席に座らせられた。
座っただけでもう顔が赤くなった気がした。
今日はわざわざご縁路のところをお運びくださいまして、
実はその誠に恐縮なことで、
その実は父が四、五日前からやむを得ない自分用で関西の方へ出かけまして、
今日は帰るはずなのでございますが、
まだ、それで私が、
ちょっと弱ったな。
どうぞごゆるり。
私はこれだけの挨拶をした。
カッコの中は胸でのつぶやきごとだった。
ちゃんと母から教わった挨拶でもっと長く喋らなければならなかったんだが、
これだけ言うのに三つも四つもペコペコとおじいばかりしてごまかしてしまった。
そしてこの挨拶のしどろもどろを取り直すつもりで、
胸を張ってできるだけ最もらしい顔つきをして端座した。
だが脇の下には本当に汗がにじんでいた。
これが本家の長男の十一です。
父方のおじがまだ私の知らない新しい新類の人に私を紹介した。
そして私のしゃべり足りないところをおじが代わって述べたてた。
だいぶ酒が回ってきて、
祖父の話がみんなの口に盛んに昇っていたとき、
私は隣に座っているおじに、
僕の親父はなぜあんなに長く外国など行っていたんでしょうね?
と聞いた。今さら尋ねるほどのこともなかったのに。
ああ、やっぱりその、つまりこのおじいさんとだね。
いろいろな衝突もあったし。
やっぱりといったおじの言葉に私はこだわった。
なんぼ衝突したといったって。
今これでお前が外国に行けばちょうど親父の二代目になるわけさ。
はっはっは、まさか、と私もおじにあわせて笑ったが、
笑いがきえないうちに、いんうつ泣きに閉ざされた。
翌日、道具を片付けるときになると、
母はまた押入れの前で地球儀の箱を邪魔にし始めた。
見るたびにじれたくなる。
そんなことをいったってしようがないじゃありませんか?
と私は言った。
どうすることもできない。
たいして邪魔というほどでもない。
だってこんなものはこうしておいたって何にもなりはしない。
いっそ、母は顔をしかめて小言を言っていた。
今にHがおもちゃにするかもしれない。
私はもう少しでそういうところだったが、
突然またあのおとき話を思い出すと、
自分で自分をくすぐるような思いがして、
そのまま言葉を飲み込んでしまった。
Hというのは去年の春生まれた私の長男である。
1968年発行。
朗読後の感想と雑談
周永写。
日本文学全集37。
牧野真一、梶本二郎集。
より独領読み終わりです。
あんまりわかんなかったな。
地球儀がどうした?
地球儀がない家で育ちましたね、僕は。
みなさんいかがですか?
地球儀ね。
ちょっと異様だよね。
あの立体の置物。
まああったらあったで、子供の頃だったら
すごい触ってた気もする。
友達の家にあったやつを。
ずっとああでもない、こうでもないって
眺めていた気がしますね。
メルカトル図法で上と下ほど伸ばされた地図と違って、
地球儀はたぶん形がありのままに近い形で
描かれていると思うから、
くるくるくるくるさせていったような
記憶もちょっとあるけど。
あのですね、このポッドキャスト用のアカウントと
別にいくつかXのアカウントがあるんですけど、
猫のことだけを発信するアカウントと
ラーメンのことだけを発信するアカウントと
あとこのポッドキャストのことだけを発信するアカウントと
あと映画のアカウントもあったな。
最近映画見てないから全然動いてませんが。
あともう一つ僕、単価を読むアカウントがあるんですけど
この前なんか、今日のお題で地球儀が出たときに
地球儀で思い浮かぶこと一個もないなと思って
今日のお題の地球儀はスルーしましたけどね。
なんか自分に馴染みのないもので
無理やり読もうとしてもしょうがないなと思って
読まなかったんですけど。
この前卒業っていうお題で1句読んだら
割と人気でした。
ちょっと単価読むの楽しいかもね。
どんどん老人に近づいている気がする。
まあいいよね。いずれ老人になるしね。
さっきどおりってこう
なんて言ったっけ。三浦純さんが提唱したやつ。
老け作り。若作りじゃなくて老け作り。
老けていくのを先に作っておくっていうね。
それでいいやなという心持ちです。
今日ちょっと短いですね。
これで終わりにしていきましょうか。
無事寝をしてきた方も最後までお付き合いいただけた方も
大変にお疲れ様でした。
といったところで今日のところはこの辺で。
また次回お会いしましょう。おやすみなさい。
17:00

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