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さて、助動詞をグループで見ていくこのシリーズも、ついに最終回ですね。 はい、いよいよ完結編ですね。
今回はですね、意味がすごく似ていて、こう迷いやすい3つのペア。 断定・願望・比況に挑戦しようと思います。
ええ、なりたりとか、まほしたしとかですね。 そうなんです。あと、ごとしやおなり。これを一発で見分けられるコツを、今日は見つけ出したいなと。
いいですね。その違いがわかると、古典を読むのがぐっと面白くなりますからね。 はい、じゃあ早速最初のペアから行きましょうか。
断定のなりとたり、どっちも何々であるっていう意味ですけど、これはどこを見ればいいんでしょうか。
これはですね、一番のヒントは、その直前にどんな言葉が来ているかなんです。 ああ、くっつく相手、つまり接続ってことですね。
その通りです。なりは基本的に体言、まあ名詞ですね。 名詞にくっつきます。学生なりみたいに。
なるほど、学生という言葉に直接くっついて学生であると。 一方でたりは主に動詞の連用形にくっつくんです。
動詞ですか。 はい、なので単に何々であると断定するだけじゃなくて、ある動作が完了して、その結果今こういう状態であるっていうニュアンスが強いんですね。
へえ、面白い。じゃあ、なりが性的な写真だとしたら、たりは何々し終えたっていうちょっと動きのある動画みたいな感じですかね。
ああ、その例えはすごくわかりやすいです。まさにそんなイメージですね。 よし、一つ目のコツは直前の言葉ですね。
じゃあ次のペアはどうでしょう。 願望のまほしとたし、これも何々したいって意味は同じですよね。
ええ、そうなんです。しかも今度はさっきと違って接続のルールもほぼ同じでして、どちらも動詞の連用形につくんですよ。
え、じゃあなんで2つもあるんですか。なんか昔の人の気分で使い分けてたとかそういう。
たはは、いいところに気づきますね。 実はその後の言葉の変化の仕方、つまり活用が違うんです。
活用ですか。 はい。
まほしはしく活用、たしはく活用っていう形容詞としとの変化の仕方が違うんですね。
まあおっしゃる通りニュアンスとして、まほしは心の中からこうじわっと湧き上がる願望で、たしはもっと直接的な願望という使い分けもあったと言われています。
なるほど。じゃあ、なりたりは直前の言葉をチェックする。
まほしたしは接続が同じだから、その後の変化とかもっと細かいニュアンスに注目すると。
そういうことになります。だんだん整理できてきましたね。
はい。さあいよいよ最後のペアです。ひきょうのごとしとやうなり、どっちものようだって、これが僕にとっては一番の強敵でして。
ああ、これは少しややこしいかもしれませんね。
はい。どう考えたらすっきりしますかね。
これはですね、ひきょうのやり方に注目するといいんですよ。
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やり方?
ええ。ごとしはもっと直接的で具体的なんです。
AはBのごとしってはっきり指し示す感じですね。有名な夢のごとしみたいに。
ああ、夢という名詞に直接くっついて、まるで夢そのものだと、すごいストレートな比喩ですね。
そうなんです。それに対してやうなりは、もう少しふんわりとシュウのようだ、シュウのいった感じだ、みたいに全体の雰囲気を説明するときに使われるんです。
雰囲気ですか?
ええ。ライオンのごとしがライオンのように強いという直接的な比較だとすると、ライオンのやうなりはライオンであるかのような威厳のある様子だという状況全体を描写するような。
へー、面白い。ごとしがスポットライトなら、やうなりはステージ全体の照明みたいな感じか。
まさにその理解で完璧です。
いやー、すっきりしました。これでミッションコンプリートですね。
情動詞のそっくりさんを見分けるには、意味だけじゃなくて、接続、活用、そしてその言葉が持つニュアンスに注目する。これが鍵ですね。
ええ、その通りです。では最後にリスナーの皆さんに一つ考えてみてほしいことがあるんです。
お、何でしょう?
次に古典を読むとき、ただ訳すだけじゃなくて、作者の選択を想像してみてほしいんです。
なぜ作者はここで性的ななりを選んだんだろうか。なぜ直接的なごとしじゃなくて、雰囲気のあるやうなりを使ったんだろうって。
ああ、作者の意図を考えるわけですね。
そうです。その選択の裏側を考えると、文法ってただのルールじゃなくて、作者が世界を描くための、いわば絵の具だったんだってことがきっと実感できるはずですよ。