マンガとの再会
皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道、黒瀬直美です。この番組では、中学校・高等学校の国語教育、働く女性の問題、デジタル教育について、ゆるっと配信しています。
今日はタイトルにもあるように、久々に若者向けのマンガを読んだ大人女子の感想ということで、
春の呪いっていうマンガを、先日笠原先生がフェイスブックで勧めておられたので、私は普通マンガはね、ついていけないマンガに読んでしまったら、
時間が無駄だったなって、そういうタイムパフォーマンスを考えてしまうタイプなので、ある程度質が確保されているようなマンガを読みたいと思っていたところ、笠原先生が勧めておられたし、
なんかこのマンガすごい、このマンガがすごいっていう、そういう賞もいただいているということなので、早速読んでみました。
その前に、そもそも私はね、少女マンガで育ってきた世代で、私の頃には、大御所の池田梨央子先生とか、
三内すずえ先生、ガラスの仮面ですね、萩尾本先生とか山戸脇先生、一条ゆかり先生、山岸涼子先生、里中まち子先生っていう、あの年代の人たちが、めちゃくちゃたくさんの作品を書いて大活躍されていた時代だったんですよ。
その時代にも、ガッツリ少女マンガで育ってきた世代なんで、特に池田梨央子さんと里中まち子さんには、女性の自立を叩き込まれてきた世代なんで、マンガで社会や人間や恋愛について学んできた世代です。
そういって、本当に結構、マンガで恋愛マンガも結構たくさん読んだんですけど、大体少女マンガっていうのは、背が高くて、ちょっとサラサラヘアで、ちょっとテレアで、めちゃくちゃハンサムでハイスペックなんだけど、なぜか冴えない女の子が好きになるっていう、そういうパターンの男の子が、主人公と、主人公の相手役として出てきますよね。
だんだんね、長じてくるにつれ、現実にこういう男性はいないということは分かってきて、少女マンガに夢を求めることをやめていくわけですが、そしてついには私ぐらいの年代になると、白馬の王子様っていうのはこの世には存在しないということを人生で学んで、大人女子に進化していくわけなんですよね。
そんな風にぐらいに枯れてきたら、今度はもう若者の気持ちが分からなくなってしまって、恋愛って何だったのかなみたいな、そんな感じを思ってしまうようになってしまいました。
そんな私が、若い人たちがどのような漫画を今の人たち読んでるのかなと思ってトライしたのが、春の呪いっていう漫画ですね。ざっくりと概要を説明すると、お母さんが離婚して5歳が来てしまって、その中で育ってきた妹と主人公の女の子はですね、
2人で支え合って生きてきて、お父さんは新しいお母さんの方の味方ですからね。新しいお母さんには弟も生まれて、その離婚した理由っていうのが、お母さんのあまりにも明らかんとした自由奔放な様子にお父さんはついていけなくなっちゃった。
こんな内容で別れてしまって、そのお母さんに似ているのが主人公の女の子で、非常に家族的孤立感に苦しんで妹だけが彼女にとっては救いだったというような状況なんですけど、その妹が病気で亡くなるというところからストーリーはスタートします。
実は妹は、なぜかわからないけど、家のしきたりでお金持ちの家の後継ぎの男の子と婚約させられて、性格的にも妹の方が可愛らしくて従順だから妹の方がいいだろうっていうふうに周囲の人がみんな思っていて、主人公の女の子のアイデンティティはボロボロですね。
そんな状況で妹には婚約者が現れます。これがね、背が高くてイケメンでハイスペックで勉強ができてめちゃめちゃお金持ちの坊ちゃんっていう。性格はすごいクールな感じで物事に動じなくてチャラチャラしてない。そういうふうな男性が現れるわけですね。
この3人の三角関係で物語はどんどん進んでいくことになります。
これが概要なんですけど、メインはこういう複雑な人間の関係の中で自分らしい生き方とか、自分を見つけていく男の子と女の子の話、男性と女性の話なんだけど、これに恋愛が絡んで、お互いに特に男性は初めて見たときからこの主人公の女の人にちょっとただならないものを感じていて、実は惹かれていたわけですけれど、
この妹の方ともちゃんと誠実にお付き合いはするっていう展開の中で何か違和感があった。お互いに惹かれ合うことを感じながらも好きになってはならない相手ですよね。
だけどどんどんどんどん思いは募ってしまって、なかなか本心を通い合わせることができないけれど、行動にはついついそれが出てしまうっていうような中で、やきもき感が半端なかったですね。
もう素直になればいいのにとかどうしてそこでとかって、いろいろやきもきしながらストーリーを読みました。
この漫画のポイントは、傷つきやすい若者の揺れ動く気持ち。これに読者が共感するというところが一つポイントだと思いますね。
それからやっぱり相手を理解するとか自分を理解するっていうことの大切さ。やっぱり人間同士心を通い合わせてお互い理解するっていうことの大切さっていうのを思わされました。
あとは人物描写が面白くて、主人公の女の子と妹の性格的な対比関係であるとか、男性のもの静かで内向的で、なかなかクールで思ってたことをバーンとやる一方、女性に対しては文字文字してしまうっていうようなアンバランスが面白かったですね。
それからあとストーリー展開も色々と面白い伏線が貼られていて、最後までワクワク、そしてやきもきしながら読むことができました。
読書の喜び
特に私のような世代になると、出てくる大人たち、親たちに始終イライラさせられて、若者にとって親っていうのはいつまででもイライラさせられる存在なんだろうなっていうのが分かりましたね。
そんな中でこういった漫画の世界で虚構の世界の中で現実を忘れて、自分自身がそこに投影できたり、自分自身がそこでストーリーの中の人物と一体になって、いろんな気持ちを感じたりっていう虚構の世界で遊ぶことができて、もう一つの人間として生きた時間を楽しむことができました。
特に若い人の傷つきやすさっていうのを封印していた私は、若かりし頃少し思い出してみずみずしい気持ちを取り戻したかなと思います。
かえっていえば、いかに年をとって傷つきにくくなったというか、傷つきにくくならされたというか、いろんなことを何かしらの鎧とかそういったもので弾き返す便利な術を覚えてしまっているということが実感されましたね。
ということで、いつも真面目な固い本ばっかりついつい授業の関係で読んでしまうんだけど、たまにはこういった漫画もね、読んで心をリフレッシュしていきたいと思います。
選ぶポイントはわかりましたよ。この漫画がすごいっていうね、時々いろんな会社がやってるみたいなんで、そこからピックアップすると、なんとなく私自身にぴったり合うような漫画が選べるっていう感じがしましたね。
そして、次は海辺のストーブっていうのと、神田極楽町職人話っていうのが面白そうだったので、どんどん読んでいきました。
こういう話をいろんな人たちと共有することによって、また面白さも増えていくんじゃないかと思います。
教室でそうやって、虚構の物語の世界っていうのを読むっていうことは、こういうふうに面白いものなんだなっていうことを、漫画を読んで再認識しました。
ということで、今日の配信はここまでです。聞いてくださりありがとうございました。またお会いいたしましょう。