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こんにちは。横浜で15年以上、犬の保育園の先生を行っている、なおちゃん先生と申します。
今回も世界一周の船旅にお付き合いいただき、ありがとうございます。
前回は、バンクーバー出港後、ロシア到着までの7日間、洋上で行われた船場イベントの様子をお伝えいたしました。
今回は、8月8日、出港より99日目、最後の帰港地、ペトロパブロフスクカムチャツキ前編の様子をお話しいたします。
とうとう今日は最後の帰港地だ。朝6時。大曲家の時間から、しとしと雨が降ってきた。せっかくの帰港地なのに。
9時15分に、Mサロンに集まり、出発。とにかく寒いので、ありったけ着込む。
上半身は5枚の重ね着。下半身はスパッツとジーンズに、靴下も2枚重ね。
周囲を見回すと、同じように毛膨れた綿綿が、中には9枚重ね着しているという、もさもいた。
バスではなく、四輪駆動のごついジープのような車に乗り込み、上下左右にこれでもかと思うくらい揺さぶられながら、ウィートラヤ川を目指す。
工業地帯の茶色くさびれた、もの寂しい通りを過ぎると草原が広がった。
明るい紫の柳欄と黄色い小さな花畑のコントラストが美しく、緑の草原を彩っている。
どんよりとした曇り空の下、花々がとりわけ輝いて見えて美しい。
茎も幹の白い白川のような木が多い。
今が8月、カムチャック半島の短い夏の真っ盛りだということを思い出した。
途中、トイレ休憩のドライブインでは、おばあちゃんたちが荷車にピロシキを積んで売っていた。
ガイドの友人さんの口コミもあり、みんなで買い込んだ。
ここで買わなければ、パン好き布がすたるでしょう。もちろん私も買ってみた。
ピロシキというと、みなさんはどんなイメージでしょう。
私のイメージの中では、アンドーナツのようなものだったんですが、実際にはロシア語で包んだものという意味らしい。
だいたい揚げパンのようで、中身はひき肉のミンチ、ソーセージやポテト、卵、野菜、チーズ、コンポート、ジャムなど様々だ。
数種類のピロシキを友達とそれぞれ、みんなで分けて食べた。
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私のは卵の入ったピロシキで、これが一番口に合った。
周りのパンはふわふわで、給食で出てくる揚げパンのようだが、懐かしい食感だった。
物欲しげに一匹の犬が寄ってきた。売っているおばさんの飼い犬のようだ。
ふわっとした毛並みの中型犬で、ちょっと薄汚れた感じの白い犬だった。
ピロシキの欠片を投げてやると、合わせて食べに寄ってきた。
もちろん、おばさんたちも了承済みだ。
そこからさらに40分ぐらいガタガタ道を走り、ベースキャンプへ。
河原にテントを張っただけの、いかにもキャンプといった感じの場所で、周りには草花が生い茂っている。
雨が強くなってきたので、気温は下がり寒い。
一番大きなテントの下では火が焚かれていて、大きな鍋が3つ火にかかっていた。
昼食用のスープらしい。中はマスと玉ねぎ、ジャガイモのぶつ切りとたくさんのハーブというシンプルなものだったけれど、
熱々で何とも言えない旨味がある。
雨で冷えた体をお腹の中からじんわり温めてくれた。
この旅で数々のランチを食べてきたけれど、こんな感じのキャンプ飯は初めてだ。
マスをスープで食べるのは初めて。とても身が柔らかく臭みがなくて美味しい。
ハーブとの相性もぴったり。なんていうハーブだろう。
そしていよいよゴムボートに乗って川下り&ルアフィッシングのスタート。
足場の悪さにいきなり足は濡れてしまって、竿も一本足りないという不愉快な状態のスタートだった。
でも少しずつ雨は弱まり、一人が釣れそうになると断然ボートの上は活気づいた。
靴も頭もびしょ濡れてももういい。絶対釣ってやるぞ。
ガイドの友人さんに教わった通り、しばらくそっと引っ張って巻いて送り返してると何度か当たりが。
あ、なんだ石かとか隣のおじさんがマスを釣り上げていいなと思っていたら来た。
急いでガイドさんを呼んで慎重にリードを巻き上げる。
あんなに小さい魚なのに重い。相手も真剣なんだ。
私も真剣に向き合うことどのぐらい経っただろうか。やっと釣り上げることができた。
思ったより大きい。30センチ近くあるだろうか。さっきお昼に食べたのと同じマスのようだ。
体も鮮やかな朱色の反転がある。持ってみるとぬるぬるしてピチピチ動く。
落としてしまいそうでなんだか怖い。
静かな感動と嬉しさが込み上げてきた。
私の一匹で友達も駆けつきみんなますます真剣。
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一匹釣れた私は竿を持ってない人に竿を譲って改めてボートの周りの景色をゆっくり眺めることにした。
川幅は広すぎることなく対岸はしっかりと見えている。
流れはわりと急でボートの周りの景色もゆっくり眺めることにした。
水はものすごく澄んでいて川底の石が水面から見えるほどだ。
川岸はずっと草原や堤防区の美味しげる風景で人が手を入れている様子はない。
天然自然100%の光景だ。
空気も澄んでいて美味しい。
歯科薬も美味しい。
天然自然100%の光景だ。
空気も澄んでいて美味しい。
鹿やクマが今にもひょっこり出てきそうだ。
と見ていたら友人さんがシーッと静かにするようにという仕草を見せみんなが彼に注目すると彼はゆっくりと対岸を指さした。
彼の指の先に見えるものは何もないけどと思ったら見えてきた。
クマだ。
最初はわが目を疑った。
案外小さいなと思っていたクマの姿がみるみるうちに近づいてきてこっちを見た。
みんな慌てて動きが止まった。
川岸で魚を捕っているんだろう。
こちらに来ることはないだろうとのことだったが思わずさーっと血抜けが引いた。
ボートは川の流れに乗りその姿はまたすぐに小さくなっていったがなんてドラマティックな瞬間だったんだろう。
気がつくと雨は止んでおり空を見上げると遠くにカムチャッカの山なぎみが雲の合間に見えてきた。
広く澄んだ川夏の花々に彩られた草原と雄大で鋭い峰のつながるカムチャッカの山々。
まるで一枚の絵のような素晴らしい風景。
空が晴れて青かったらもっと幻想的な光景だったと思う。
その後も友達が魚を釣り上げ私たちのボートは合計4匹を釣り上げた。
全体では12匹という漁獲となりツアー時間を考えたらまあまあの大量ではなかろうか。
下船ポイントではすでに車が待っていて天然のおトイレを済ませて再び車に揺られて船へ戻る。
天然トイレのおかげでお尻を含め6カ所も他に食われてしまったけど魚釣りは大満足だった。
クマを見られたしね。
帰りのドライブインでみんなチェブラキ、これはハルマキのような揚げた皮の中に肉のミンチが入ったもの。
それを食べていた。
私はカッテージチーズのピロシキを買った。
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美味しいけれど大きすぎ。油っぽくとても一つは食べきれなかったので船に戻ったのは20時。
あっという間の1日だった。
明日は自由市場に行こうと部屋の友達と約束をしてMサロンに来ているというカムチャッカの民族舞踊ショーを見に行った。
カムチャッカ先住民の少数民族によるリウムラスのショーで温かそうなあざらしとトナカイの毛皮をつけていた。
リーダーらしい年配の女性のお顔は驚くほど日本人に似ている。
まるでどこかの田舎のおばあさんのようで親近感を覚える。
彼らはロシア人といえど遠くモスクワに住むスラブ系の民族より日本や韓国に近い土地に住んでいるんだ。
顔が似ていても不思議なことは何もない。
何人というのは何をもってそういうのか。
我々日本人はアイデンティティを考える機会はあまりないけれどそんなことを意識したことのない私でさえ
この船旅では民族について何度も考えさせられた。
さて次回はとうとうロシア後編。
最後の寄港地の最後のお話になります。
残り2回。
そして11月7日来週月曜日は3冊目のキンドル本
104日間世界一周の船旅ヨーロッパ後編の発売日となります。
もしかするとシリーズ最長となるかもしれないこの3冊目。
前作以上に力を入れた作品になっています。
ぜひお手に取っていただけましたら嬉しいです。
今回も最後まで聞いていただきありがとうございました。