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こんにちは。横浜で15年以上、犬の保育園の先生を行っている、なおちゃん先生と申します。
犬と人の掛け端でありたい私が、犬に関する様々なお話、大好きな旅の話、子供たちの話などをマイペースにお届けしています。
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さて、今回から動物のトレーニングを行う人のバイブル的書籍の一つ、うまくやるための教科の原理、その中から配信をしたいと思います。
こちらはパートナーシップにも使える、してほしくない行動をやめてもらうための7つの方法、という章から取り上げていきたいと思います。
以前にもこの書籍を取り上げた、理解のある旦那と吠えない犬の育て方の共通点という配信をしたことがありますので、そちらも概要欄に添付していきます。
この書籍は行動分析学を優しく解説したもので、これ自体の原理は動物のみならず人間にも当てはめていくことができる、特にパートナーシップや親子関係についてと著者は言います。
確かに原理だけを読めばうまくいきそうな感じがありますよ。
ですが実際は人間は複雑な感情がありますので、動物ほど簡単にはいかないこともかなり多くあるのは確かだと思います。
また、飼育家の動物と野生動物では大きな違いがあるというのも事実です。
それらを踏まえた上で、この書籍に書かれているやめてほしい行動をやめてもらうための7つの方法を私なりに紹介していきたいと思います。
今回はその中で挙げられている最初の2つ、抹殺法と検死法についてお話ししていきます。
このシリーズからこの7つの方法全てについて、私なりの活用法と知見を具体例を交えてお話ししていきたいと思っています。
パートナーシップにも通じる話になりますので、犬にお興味がないよという方ももしよかったら聞いてみてください。
抹殺法というのはその名前の通り、やめてほしい行動ができないように物理的に排除をするということになります。
犬で言えば、この本に書かれている例が過激なんですけど、うるさく吠えたてる犬を射殺する、生体を除去する、捨てる、など。
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顔を見ると口ばかり言う妻、夫に対しては離婚する、別居する、など。
無断欠勤の多い社員についてはクビにする、など。
バスの車内で騒ぐ子供についてはつまみ出す、などなどが挙げられています。
この抹殺という言葉は極端ですが、要は物理的に強制的にそのやめてほしい行動を取り続けることができないような状況、環境に相手を置いてしまうということなんですね。
そして犬死法、これは抹殺法よりは文字的には穏やかなイメージがあるかもしれませんが、著者は皮肉たっぷりにみんな大好きと書き添えています。
これはいわゆる犬死、これは嫌うに子供の子と書くんですけれども、罰を与えるという方法なんです。
やめてほしい行動を相手がしたときに罰を与えるという方法である。
テストで悪い点を取ったらゲームなし、とか、会社で大きなミスをしたら言及、とか、
犬のしつけであればトイレ以外の場所でソソをしたことがわかったら犬をその場に連れて行って鼻をこすりつけて大きな声で叱る、などなど、
人間社会においても実によく用いられているのがこの犬死法になります。
抹殺法と犬死法の違いは、抹殺法がやめてほしい行動をしている対象に対し、
その行動ができないように物理的要因、環境要因を整えるということに注釈しているのに対し、
犬死法ではその環境は変えないまま、やめてほしい対象をしている相手の行動だけを変えさせるべく、
ネガティブな圧力をかけるということです。
ここまで聞いて、あなたはどちらの方がやめてほしい行動をやめてもらいやすいと思いますか?
こういうふうにお話しするとちょっと難しく聞こえるかもしれませんが、内容はとても単純で、
犬のトレーニングに関わらず、どんな人間の行動の中にもこれら抹殺法と犬死法が用いられていることに気がつきます。
例えを挙げていきましょう。
例えば、子育てのシーン。
学校から帰宅するとランドセルを放り投げて、すぐにゲーム機に飛びつく子供の例を挙げましょう。
私の息子だとします。
私は子供にはまず、学校からの提出物を提出する、宿題をする、明日の用意をする、
そしたらゲームをしていいと思っているようにしましょう。
さて、抹殺法と犬死法を使ってこの例題を解いていきます。
まずは抹殺法から。
私がこの方法を使うとしたら、まずは所定の位置からゲーム機を隠します。
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抹殺と書いてあるので、ゲーム機を抹殺してもいいんですが、もったいないので、ここではできないように隠しておきます。
子供が焦り、ここに置いといたのに、母さん知らない?と聞いてきます。
私は、あなたがまずやるべきことを済ませたら、ゲームの行方を教えます。
別にやらなくてもいいけど、永遠にゲームは帰ってこないと思ってね、と伝えます。
子供がしぶしぶながら、明日の用意まで全部済ませます。
OK、じゃあゲームは返します。
明日から自分で同じようにやってね、と伝えます。
そして次の日、所定の位置に戻したゲーム機に帰宅するなり、息子が飛びつきます。
次は検死法を試してみましょう。
昨日はやることが終わってからゲームを渡したわよね。
今日は自主的にその順番でやるんじゃなかったの?
もういいわ。
今日はおやつも夕飯も抜き、気が済むまでゲームだけやってればいいじゃない。
はい、伸びたままがよく言うやつですね。
このおやつも夕飯も抜きという条件が×、つまり検死となります。
しかしながらこの場合、息子に対しての環境要因は全く変わっていないんですよね。
息子がこのセリフにこれはまずい、母さんがめっちゃ怒ってる、すぐに宿題やろうと思ってゲームをやめるか、
それともゲームがいいところに入ってしまって、母親の言葉を無視してゲームを続けるのか。
これは一種の賭けにも近い方法です。
そして今日、これはまずいと思ってすぐにゲームをやめて宿題をやっても、
明日は同じように宿題ができるのか、それは分かりません。
もしくは、なんだ今日は焼き魚か、あんまり好きじゃないから別に夕飯抜けてもいいや、
母さんがお風呂に入っている間にこっそりお菓子を食べちゃおう、なんて人間なら悪自衛が働いてくるものです。
抹殺法よりも検死法の方が行動を変えさせる方法として難しいことがこの例からも分かると思います。
その行動へのモチベーションの強さにより検死、つまり罰が効かないことがあると与える側はますますこの罰を強くする傾向があります。
つまりこの例で言えば2日目も全く同じ状況になった場合、
母親である私は口でも言っても全く分からないんだからと息子の頭を叩いたりするわけです。
これは犬のトレーニングでも全く同じことが起きます。
例えば人が食事の用意をすると食器が並べられているテーブルに向かって吠える犬がいるとしましょう。
抹殺法なら別の部屋に連れて行く、部屋を追い出す、クレートに入れるなどこのテーブルから物理的に犬を遠ざけることで犬の吠える行動をやめさせます。
検死法なら犬がテーブルに向かって吠えた途端に激しく叱ります。
大声で叱っても止まない場合には叩いたり首根っこをつかんだり、いわゆる大罰と言われるようなこの訓練法は長い間動物のトレーニングや訓練の場で実際に使われてきた方法です。
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ここまで聞くと抹殺法の方が検死法よりも安易で簡単に問題を解決できそうに聞こえると思います。
ですが実際の人間活動の場で同じようなシチュエーションについて人が取る選択肢は検死法の方が抹殺法より圧倒的に多い、これは驚くべき事実でしょう。
抹殺法、つまり物理的に問題となるような行動を相手に取らせない環境づくり、状況づくりをする方が明らかに簡単で優しいように感じるのに、
結果的には相手にネガティブなイメージを与える、もしくは物理的にネガティブな損傷を与えることで相手が嫌がって行動を変える、検死法の方が多く取られるのは一体なぜなのでしょう。
検死法を、罰を与える方法をより多くの人が取りやすいのは、著者曰く、罰を与えることで相手の行動を変えるというやり方は何よりもこの罰を与える側の人間の自尊心を高める、つまり罰した側の気分が上がるからと記載しています。
この行動を変えさせたいという相手に対し、自分の主義主張が通り、相手が行動を変えるという出来事に対し、人は大きな達成感、満足感、優越感、相手に対する優位性、権威性を得ることができるためであるというのです。
つまり、相手のためではなく自分のためなんですね。
実際、この世の中では、環境を少し変えることで相手の行動が変わるという双方にとって労力の少ない抹殺法で相手の行動を変えるよりも、それは本人のためにならないという理由で、環境を変えずに相手の行動だけを止めさせる、もしくは変えようとする検死法、つまり罰を使って相手の行動を変えさせようとする場面をよく見つけます。
ですが、冷静に考えたとき、検死、つまり罰がなければ、その相手の行動はどうなっているのでしょうか。
検死法と抹殺法に共通する問題がここにあります。
それは、環境が元に戻ったとき、罰がなくなったときにどうすればいいのかを相手が学ぶ機会、その経験がないのです。
つまり、正解を教えられていないということ。
先ほどの例に戻ると、テーブルに食器が並べられると吠える犬が何度も外に連れ出されて、連れ出されたら静かにはなるけれど、テーブルのある部屋に戻ると吠える。
これは抹殺法ですね。
同じ犬が吠えたときに、その家の奥さんにひどく叱られ、手で叩かれて奥さんの前ではやめるようになったとしても、同じ対応をしない旦那さんには吠える。
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これが検死法。
これはこの犬がテーブルの上の食器が並べられたときの正解の態度がわかっていないからです。
吠えを根本的に解決する、その方法を教わっていないわけですね。
私は環境を整えたり、罰を与えるということが問題解決にならないということではなくて、正解がわかっていないことが行動が変わらない一番の原因だと思っています。
ですから、相手が犬だろうが息子だろうが旦那だろうが、相手の行動を変えてほしいと思う場合には、環境を整えること、罰を与えることを行うのであれば、正解がわかるように示すということもまた同時に行わなければ意味がないと思います。
特に罰を与えることというのは危険で、与えた側だけが気持ちよくなって、相手の行動が変わったように見えたとしても、心が離れていってしまうことが多々あります。
朝、ゴミをまとめてゴミ出ししといてねと言ったにも関わらず、いつも玄関にゴミを置いていく旦那さんに対し、
今日も忘れたの?どこ見てんだよ。ほんと使えないわね。ゴミの一つも持っていけないわけ。と、会社から帰宅するなり怒鳴り散らす奥さんがいるとしましょう。
怖いですね。次の日から旦那さんは奥さんに怒られないように、そーっとゴミを出してくれるかもしれません。
それを見た奥さん。やっとゴミを出すようになったわね。まったくうちの旦那と来たらあんだけ強く言わないと何にも気づかないんだから。とプリプリしながらも留院を下げたと思います。
ですが、もしかしたら心は奥さんに対して恐怖や疎ましさを感じていて、毎日ゴミ捨て場で会う綺麗な奥さんと挨拶することの方に喜びを旦那さんが感じているようになっているかもしれません。
まあこれはちょっと妄想が過ぎますね。
生き物は自己防衛本能があります。検死法、つまり罰を与えるという方法が作用するのは、この自己防衛本能を刺激するから。
罰を与えられないように身を守ろうという本能が行動を刺激します。この方法はですから驚くほど強く、正確に、そして早く成果を生み出します。
ただし反面、気を付けなければ信頼関係や愛着関係は結ばれない、それどころか壊れてしまう可能性があります。
特に検死法、罰を使う際は、くれぐれもその点をご注意くださいね。
ということで、今回はパートナーや犬にやめてほしい行動をやめさせるための7つの方法、その1をお届けしました。
いかがでしたか?このシリーズ7つご紹介していきたいと思います。
それでは最後まで聞いていただきありがとうございました。