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今日、申し上げたいのは、悪意のない詐欺すみということなんですね。
これを話そうと思ったのは、一昨日だったかな。
非常に保守的な日本の国内の人とお話をする機会があってですね、
その集まりで、僕のことを本当に悪意なく、本当に善意で褒めてくれるんですけど、
村上さんすごいですね、と褒めてくれることの中にですね、
海外在住なのに、日本国内の私たちよりも日本語教育のことをよく知っているんですね、みたいなね、
そういうことをおっしゃる方が複数いらっしゃったんですね。
これは本当に悪意なく、全く善意でおっしゃっていただいているというのは、その時の雰囲気とかでも本当に分かります。
文脈とかでもね。
なんですが、これね、時々言われるんですよ。こういうことすごく言われるんですよ。
海外なのに、日本国内の私たちよりも日本語教育のことをよく知ってますね、というふうに。
それで驚かれるということが、
それはね、本当に全く悪意がないということはもう重ね重ねそれは申し上げなければいけないんですけど、悪意は全く感じてないんですけど、
だけどそこにですね、やっぱり日本国内の方が優れているというか、
日本国内の方が先進的であるだろうというね、そういう前提があって、
前提がないとこういうふうにね、海外なのに日本国内の私たちよりも、
日本語教育のことをよく知ってますね、みたいなことを、そういう言葉は多分出てこないと思うんですよ。
今ちょっとこの中にも海外在住の方の方がいらっしゃいますから、海外在住の方がいらっしゃいますので、ちょっとその辺分かると思うんですけどね。
で、ちょっとね、ぶっちゃけね、海外にもいろいろあります。
それはもう経済的にもすごく大変な国もあって、そういうところでは日本語のね、
とにかく日本語の先生は日本語を話すだけで精一杯で、
なんていうんですかね、日本語教育そのものの勉強が全然できないようなね、そういう環境もあったりします。
だけどその一方で、正直言うと日本の国内よりずっと先進的なことをやっていて、
しかもそれが普及している、普通に学校教育の現場でもそれが普通に行われているような地域もたくさんあるんですね。
例えばね、僕今インドにいますが、その前はカナダに住んでいました。
カナダでは元気っていう教科書がほぼ中心で使われているんですね。
今ね、日本の国内では主流で一番中心的に使われているのがオーディオリンガルの時代に作られた構造もそのままの教科書なんですけど、
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でもこういう教科書がカナダで使われているのを見た記憶があんまりないんですよね。
カナダももちろんとても広い国なので、日本で中心的に使われている教科書がそれを使っているところもあるだろうとは思いますし、
僕も実際見たけど記憶をただ忘れているだけという可能性もありますけど、
でも基本的には元気が中心なんですね。
元気っていうのはもちろん行動中心アプローチではなくて文系シラバスなんですけど、
ロールプレイとかのそういうコミュニカティブな練習もふんだんに取り入れられていて、
要するにオーディオリンガルの後に来たコミュニカティブアプローチの要素がたくさん入っている。
そういう少なくともオーディオリンガルに比べたらずっと先進的な教科書が使われていて、
しかもそれが普及しているんですね。
普通の学校教育の日本語の授業とかでもそういうのが使われています。
そういうことを言うと日本は日本の特殊な事情があって、
オーディオリンガルの時代の教科書を使っているんだという風に言う方もいらっしゃるとは思いますが、
でも例えば今文科長が一生懸命日本語教育の質の向上ということを言ってますよね。
つまり質の向上が課題だという風に文科長は強く危機感を持って認識しているんだと思います。
文科長が作った日本語教育参照枠でも行動中心アプローチという風に明記してありますし、
今の話が進んでいる登録日本語教師も行動中心アプローチが明記されている
日本語教育参照枠に従うということになっているわけですよ。
なのでそういうことを考えると日本には日本の特殊な事情があって、
オーディオリンガルの教科書が特殊な事情があって最適だからオーディオリンガルの教科書を使っているという、
そういうわけではないということがこの辺からもよくわかるんじゃないかと思います。
質の面では少なくともそういう面があります。
日本の国内の日本語教育は大きな課題があるわけですね。
文科長とかもそれが認識されているわけです。
それが質の面ですね。
数の面ではどうかというと、これも同じく文科長が調査しています。
日本の国内に関しては。
文科長の公式サイトに載っている文章をそのまま引用しますね。
令和3年11月1日現在国内における日本語教育実施機関施設などの数は2541人。
日本語教師などの数は39241人。
日本語学習者数は12348人となっています。
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国際交流基金の海外日本語教育機関調査。
海外の日本語教育機関ですね。
日本語学校とかそれを調べた調査があって、それに比べてみると、
こちらでは学校の数、機関の数が18272人。
教師の数が74592人。
学習者の数が3794714人となっています。
学校の数を比べてみると、日本の国内は2541人。
海外は18272人ですね。
これだけでも何倍ですかね。
7倍以上ありますよね。8倍近い。
日本語教師の数は日本の国内は39241人。
海外は74592人だからこれも2倍近い数が海外にいます。
学習者の数は日本の国内は12万ですけど、
海外は379万ですから何十倍も多いというわけですね。
数の面でも日本の国内の日本語教育はマジョリティではないですね。
マイノリティなんです。
そういうことを考えると、
やっぱり日本の国内の人が海外の日本語教師に対して、
海外なのにすごいですね、みたいなことを言うのは
僕から見るとすごく違和感があります。
悪意がないということはよくわかるんですけど、
そういうことを言われるたびにね。
だけど日本の国内の日本語教育は
質の上でも数の上でもマイノリティだと考えた方がいいと思います。
僕はそういうふうに認識しているし、
例えばヨーロッパとか北米に住んでいる人も
そういうふうに認識している人が多いんじゃないかと思います。
日本の国内の日本語教育のことをある程度知っている人はね。
でもそれだけだとちょっと申し訳ないなとは思うんですけどね。
ここからは僕が思うことなんですけど、
僕自身ももしかしたらこういう悪意のない詐欺すみというのはしているかもしれないということは
自戒を込めて自らを反省してみる機会にはなったと思います。
相手が仮にマイノリティでも支援、サポートとか支援を必要としているかどうかというのは全く別なので、
それを前提に話すと侮辱的に聞こえてしまうことがあるかもしれない。
仮にこちらが悪意なく善意でサポートしようとしているとしても、
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相手がマイノリティの人が特にそんなサポートなんか必要としていなくてちゃんとやっているのに
かわいそうと思われてサポートしてあげますよとか言われたら侮辱みたいに感じてしまうことはあるだろうなということは本当に今回もよく思いました。
でもそれだけだとちょっと申し訳ないので、僕の方から提案として
日本の国内の日本語教育が先進性とか有意性を取り戻すにはどうすればいいかということなんですけど、
それは圧倒的に有意な面があるんですよ。
それはどういうことかというと、やっぱり学校の外に日本語環境があるということですね。
当たり前ですけど、日本の国内なんだから当たり前なんですけど。
でもこれがそんなに利用されていない、活用されていないように思います。
この有意点を最大限日本語教育に利用することが日本の国内の教育機関の有意性とか先進性というものを取り戻すために必要なのではないかと思います。
じゃあどういうことをやればいいかというと、もちろん観光客でもできるようなことをやってもいいとは思うんですけど、
でもそれだと日本語教育の質には直接的にはあまり関与しないですよね、関係ないですよね。
だから社会勉強とか観光とかのつもりで学校外に連れ出すのではなくて、それを日本語学習のカリキュラムに取り込むということですね。
それが大事なんだと思います。
これちょうど昨日僕がTwitterでアンケートをしてみました。
アンケートの文を読んでみるとこういう文ですね。
日本の国内で教えていらっしゃる先生方にお伺いします。
教室外で実際に交通機関に乗ったり買い物をしたりする体験をカリキュラムに取り込んでいらっしゃいますか?
こういう質問ですね。
この質問にはいって答えた人が41.9%、いいえって答えた人が58.1%なんですね。
43人の方が投票してくださいました。
この投票してくださった43人の方、本当にありがとうございます。
つまりここから見えることは、4割ぐらいの人はそういうのをカリキュラムに取り込んでいるけど、
6割ぐらいの方はせっかく日本の国内で教えている、学校外が日本語環境であるという素晴らしい優位性を
6割ぐらいの方は活用していらっしゃらないということがわかるんじゃないかと思います。
しかもTwitterというのは結構一般的な日本語の先生に比べたら先進的な人が多く使っていると思います。
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これまでのアンケートでもそういう結果が出ているんですね。
それでも6割ぐらいの方が学校外の日本語環境を活用していないということなので、
ここにまだすごく日本の国内の日本語教育が発展する余地があると思います。
ここから先は前にも言ったことがありますが、どういうふうに日本語教育のカリキュラムに取り込むかというと、
これは本当に簡単なことなんです。
これはとても簡単。
なぜかというと、日本で行動すべき、日本でやるべき行動のリストというのが、
もうその行動リストが公開されているんですね。
しかもキャンドゥの形になっている。
これが国際交流基金が作ったJF生活日本語キャンドゥというものです。
ここにこれが単なる行動リストではなくて、
条件とか場面とかも揃えて、各レベルに合わせてある。
A1、A2、B1、B2、C1まであったかな。
C1、C2はちょっとあったかどうか。
多分あったと思うんですけど、すみませんよく覚えていないです。
つまりこの行動を元にした行動中心アプローチで教えるということですね。
そうするとその他の達成目標が日本の国内でやるべき行動なので、
もう全部パフォーマンステスト、パフォーマンス評価とかね、
そういうものにすることができるわけです。
それをこの行動中心アプローチの行動リストですね。
この行動リスト、このキャンドゥを元に作った教科書が色取りという教科書なわけです。
なのでこの教科書を使って日本の国内でね、
しかもこのキャンドゥを実際に教室外で使ってみる。
こういうふうにすればこの日本の国内の日本語学校の外で、
外がすぐに日本語環境になっているというこの有意な点を活用することができます。
しかも本当にもう教科書ができているわけですから、
しかも無料ですよ、この教科書無料で手に入れることができるので、
大変なコストとかもかからないわけですね。
自分でそのカリキュラムを開発したりする必要がないわけです。
もうできているわけですから。
これ例えばですね、色取りの第一課というのを見てみると、
挨拶なんですよ。本当に当たり前ですけど挨拶なので、
これをせっかく日本に住んでいるわけですから、
アパートとかですね、あるいはよく行く顔なじみになっているコンビニの店員さんとかね、
そういう人におはようございますと言ったりとか、
そういうところを録音して、
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それをちゃんとできましたという達成の証拠として提出するような授業にすればいいわけですね。
もちろん最初に授業をしてですよ。授業をした後で、
その後で実際に挨拶したところを録音すると。
それを先生に提出するなり、クラスの中で共有するとか、
そういう風にするといいわけですね。
法律的なことをちょっと心配する人がいるかもしれませんけど、
これは法律的には違法ではないです。
自分がいないところの会話を録音したりしたら、
それは盗聴という犯罪ですけど、
自分が会話に加わっていて、
相手が自分がそこにいるということを知っている状況で、
だけど別に相手には言わないで挨拶しているところを録音するというのは、
これは秘密録音と言われていますけど、
これは合法です。違法ではないので、
これはやっても大丈夫なんですね。
盗聴しちゃいけませんよ、もちろんね。
盗聴するようなキャンドゥはないからそれは大丈夫ですけど、
でも相手の許可なく録音することは合法なので、
それは心配しないでいいです。
こういうことを授業の何時間かかるかにも、
それはクラスによって違いますけど、
例えば午前中とかこの授業をやって、
それで午後の余った時間にどこかに、
例えば自分のアパートとかコンビニとかに行って、
知り合いがいたら挨拶するところを録音してくるとか、
そういうアクティビティに使うとか、
そういう感じにすると日本の国内の、
つまり学校の外が日本語環境だっていう、
そういうインドとかカナダじゃ全然考えられないような、
そういうすごい優位点、それを使ったカリキュラムが簡単にできる、
そういう状況が整っているわけですね、日本の国内の場合は。
なのでそういうことをすると、
正直今文科長の皆さんに、
もっと質を向上しなければいけませんとか、
そういうふうに思われている今の状況を改善することができるんじゃないかと思います。
今私の言いたいことはこのぐらいなんですけど、
リスナーの皆さんにも、こういう行動中心アプローチで、
日本語学校の外の日本語環境を、
このカリキュラムに取り込んでみたいというふうに思う方は、
ハートのマークでリアクションいただければと思います。
それでは本日もムラスペにご参加くださいまして、ありがとうございました。
今日の悪意のない下げ墨という、
こういう音声配信につきまして、
ご感想とかコメントがありましたら、
ぜひムラスペのハッシュタグ付きで、
18:00
ご共有いただければと思います。
それでは本日も良い一日をお過ごしください。
今夜のZoomでハナキンで、
皆さんにお会いできることを楽しみにしております。
ハートマークありがとうございます。
そして冒険は続きます。