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それでは、本日の本題に入りたいと思います。 今日は、
参照枠と告示項というタイトルでお話をしてみたいと思います。 この参照枠っていうのは、
セフアールのことではなくて、文化庁の日本語教育参照枠のことなんですけどね。 じゃあ、皆さんにお伺いしてみたいんですけど、文化庁の日本語教育参照枠を
もう一度でもいいから、見たことがある人はハートマークをお願いします。 まだ見たことがないという人は涙のマークでリアクションいただけますでしょうか。
確か去年の秋ぐらいでしたかね。 文化庁が日本語教育参照枠というのを出しまして、
ハートマークいただいております。 その中でも特にですね、
日本の国内でも
ありがとうございます。ハートマークの方がお二人と、 でもやっぱりまだ見てないという方が多くいらっしゃいますね。海外在住の方はあんまり
直接には関心ない、関係ないので、もちろん
関心なくても全然構わないと思います。 文化庁は日本語教育の、特に日本国内の日本語教育を管轄しているところですね。
逆にですね、国際交流基金は日本の国内の日本語教育の支援はできないことになっているんですね。
法律でもそれ決まっているんです。 国際交流基金法という法律があってですね。
なので国内は文化庁がそういう日本語学校の支援をするということで、その一環としてその日本語教育参照枠というのを
昨年作りました。
この日本語教育参照枠には、 行動中心アプローチでやりますというふうに明記してあるわけですね。
なのでもうヨーロッパでもセフアールが行動中心アプローチですし、
基金のJF日本語スタンダードも行動中心アプローチで、国内でもこれで
行動中心アプローチになって、国内もようやく、ようやくというとちょっと申し訳ないんですけど、でも本当に世界的な
レベルに近づく一歩が道筋が見えてきたという感じですね。 ただですね、ちょっと非常に残念なことに
みんなの日本語というね、オーディオリンガルの時代に構成ができた文系シェラバスの教科書ですね。
それに手引きにですね、行動目標というのがもう書いてあるんですけど、その行動目標を達成できたかどうかの評価を今作っている
日本語学校があるというのがいくつか話を聞いていて、なんでなのかなと思ったら、それがですね
この文化庁の参照枠、日本語教育参照枠に沿う授業をするためにそれをしているんだというふうに言って、本当にちょっと驚いたことがあります。
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これはですね、文系シェラバスの教科書に行動目標が書いてあって、かつその評価基準の一つに行動目標が達成できたかを入れたとしても、それはですね、行動中心アプローチではないです。
それはもう全く違うものですから、文化庁の参照枠に沿っていることにはなりません。
これがですね、もうタスクベースのところだったら非常に
よくわかりやすく書いているのが、僕がですね、いつもご紹介している小柳香織先生の本なんですけどね、
この第二言語習得について日本語教師が知っておくべきことという本にですね、
タスクベースっていうのとそのタスクサポーティブ、サポーティブはその支援されたって意味ですね、タスクを
ベースにしているのと、タスクに支援されているコースは全く違うということが書いてあります。
タスクベースというのは、そのもうシラバスがタスクでできているわけですよね。
評価もタスクでやるわけですけど、文系シラバスの教科書でタスク練習、タスク練習を入れているというのは、これはタスクベースではなくてタスクサポーティブである。
タスクベースではないですよということも小柳先生は明記しています、この本でね。
これは行動中心アプローチに関しても同じなんですけど、
本当にですね、シラバスが文系シラバスのままだったら、それに後付けで行動目標を入れたり、あとその評価の時にその行動ができているかの評価を入れたとしても、これは行動中心アプローチにはなりません。
なのでここは本当に注意しておいたほうがいいと思います。
それではですね、何が行動中心アプローチなのかというと、まずそのやるべき行動のリストがあるということですよね。
そのためにはどんな日本語を教えればいいかというのを考える。これが行動中心アプローチです。
で、文系シラバスというのは逆ですよね。
まずどんな日本語をどの順番で教えるかを考えるわけです。
つまり優しい日本語から積み分けていって、難しい日本語の文系の方に到達するというわけですよね。
その順番がすごく大事なわけですね。
で、その後からこのみんなの日本語の行動目標とかですね、
あるいはそれをテストに入れたりしても、発想は180度違うということを理解しておく必要があります。
例えばね、日本語の授業としては、教室もあって先生もいて学習者もいて、教科書もあって、
チョークとかあるいは黒板とかあるいはプロジェクターとかね、スクリーンとかがあって、
で、ペアワークがあって、で、懲戒もあってということで、
まあ共通する部分はいくつもあるんですけど、
それはですね、本当に表面的な共通点に過ぎなくて、
そこに至るまでのプロセスというのは全く違うということなんですね。
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で、そこまでのプロセスが全く違うことをちょっと理解しておかないと、
表面的に文系シラバスの行動目標を評価に使ったりして、
それで行動中心アプローチですと言ってしまうような誤解が、
すごく大きな、たくさんのところで生まれているように見えます。
これは本当にちょっと留意しておかなければいけないことだなと思いますね。
じゃあその日本の国内の国事項がどういうふうにすればいいかというとですね、
そんなに難しいことではないです。
基本的な考えとしてはさっきも言いましたように、
行動リストをまず作って、そこからキャンドゥリストを作るというのが必要があるんですね。
行動リストというのはただ単に電車に乗り換えするとか、
そういう行動なんですけど、
それをキャンドゥにするにはそれをレベル分けしてね、
例えば指差しながら質問して、相手がゆっくりはっきりと発音してくれたら、
その列車が自分の行きたい目的地に行くことができるかを理解することができるとかね、
そういうふうにするとA1ぐらいとかレベル図形できますよね。
そういうのがキャンドゥリストなわけです。
こういうキャンドゥができるようになるためには、
どんな日本語が必要か、それを考えてその日本語を教えるというのが行動中心アプローチですね。
この文化庁の参照枠で言っている行動中心アプローチというのはそういうものです。
ちょっと余談ですけど、
でも実際の授業ではやっぱり行動中心アプローチをやっている学校とか、
あるいはそれに基づいた教科書というのは、
もう第二言語習得の知見もかなり取り入れられているので、
リスニングとかが多くてですね、文系練習をやらないとか、
そういう違いもありますけど、
でもこれは第二言語習得の知見を取り入れているかどうかの違いなので、
別に行動中心アプローチで文系練習をやるようなこともあるかもしれませんね。
つまり行動中心アプローチと文系シロバスの違いではありません。
ただ単純に機能的に行動中心アプローチを取り入れている学校は、
第二言語習得の知見も取り入れていることが多いということですね。
こういうことを今言ったように、行動リストからキャンドルリストを作って、
そこから授業をするというと、
そんなのやってられないとか思う学校もあるかもしれません。
だけど、それはやっている人がいるのであまり心配しないでいいです。
そのうちの一つは、参考にできることのうちの一つは、
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JFのJapan Foundationが作った生活日本語キャンドルというものですね。
これは海外から日本に行った人が日本でどんな行動をするのかということを
そういう行動リストを作って、それをさらにレベル分けしてキャンドルにしたリストです。
それがJF日本語キャンドルというものですね。
例えば電車に乗ったりとか乗り換えしたり買い物したりする
そういうキャンドルがすでに揃っています。
このキャンドルをもとに皆さんの学校が独自に教材を開発してもいいですし、
あるいはすでにこのキャンドルをもとに作った教材が開発されています。
色取りという名前なんですけど、
その教材をそのまま使ってしまっても、
行動中心アプローチに従っている、
行動中心アプローチに基づいた授業をしているということは言えると思いますね。
ただですね、ちょっとこれには足りないものがあるんですよ。
それは何かというと、
学校生活に関する行動なんですね。
これは国際交流基金の生活キャンドルには含まれていないんです。
だけど皆さんの国事校の、
日本の国内の法務省の、いわゆる国事校ですよね。
そこの人たちは基本的には留学生が多いので、
ただ乗り換えとか買い物ができるだけじゃだめなわけですよね。
そのためにはやっぱり、
学校生活も多くるので、
そういうキャンドルを授業に取り入れなければいけないわけです。
つまりですね、
学校生活に関する行動リストとか、
それに基づいたキャンドルのリストが必要になってくるわけですね。
ただですね、これも実はもう心配いらないんです。
皆さんがいちいちゼロから作る必要は全くありません。
何でかというとですね、
すでに東京外国語大学がですね、
アカデミック日本語キャンドルリストというものを開発していて、
これをですね、本当に大変ありがたいことに、
クリエイティブコモンズでも公開しているんですね。
ちなみにすみません、
このクリエイティブコモンズというのは、
著作権者を明示したら、
無断でコピーしたり配布してもいいというものです。
この東京外来のクリエイティブコモンズは、
その中の非営利というのがあるので、
それでお金儲けとかを、
つまり売ったりしちゃダメということですね。
非営利のクリエイティブコモンズになっていますけど、
でも少なくともお金儲けに使わずに、
著作権者、これが東京外語大の、
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確か日本語センターだと思いましたけど、
その著作権者名を明示すれば、
無断でコピーして配布してもいいというわけですね。
ただちょっと今、残念なことに、
なんかリンク切れになっちゃっているんですよ。
6月12日に僕がリンク切れになっているのに気がついて、
さっきもですね、
公開してますよというウェブページ自体は開いているんですけど、
そこから実際のキャンドゥリストを開こうとすると、
そこがちょっとリンク切れになってしまっているんですね。
なのでここの部分は、
東京外国語大学の日本語センターの皆さん、
ぜひリンク切れを早く、一刻も早く直してほしいと思っています。
ただですね、じゃあ中身が全然見れないのかというと、
そんなことは全くないんですよ。
これがですね、鈴木美香さんという人の論文に、
概要というかですね、一部抜粋が結構載っています。
タイトルがですね、JLPTUFS、
これは東京外語大日本語センターのことだと思いますけど、
JLPTUFS、アカデミック日本語キャンドゥリストの開発。
サブタイトルがですね、キャンドゥリスト開発概要と、
項目間の難度の分析。
こういう論文を鈴木美香さんが書かれて、
それがですね、今でも東京外語大のアーカイブの中に公開されています。
これね、読んでみましたけど、
いくつかね、CFRとかJFキャンドゥリストとは違っていることもあるんですけど、
かなりよくできていると僕は思います。
大きなキャンドゥ目標というのがあって、
その下にキャンドゥ目標材目というのがあったりするんですね。
こういう構造とかがあって、非常に授業とかも作りやすいと思います。
つまりですね、一つの大きなキャンドゥを達成するためには、
どういう小さなキャンドゥを授業でやればいいかということが、
もう構造的にはっきりなっているんですね。
それからですね、文系シラバスから移行する人、
つまりみんなの日本語を主に使ってきた人にも、
これは使いやすいんじゃないかなと思う部分があってですね、
それはまずJFスタンダードのキャンドゥとかは、
構造が主なんですけどね、
東京外語大の場合は言語的側面もキャンドゥで書かれているんですよ。
ちょっとこれ例をご紹介したいんですけど、
例えば、構成や展開がはっきり示されれば、
日本の文化や歴史など社会、文化的なトピックに関する、
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一般教養的な話が理解できるという、
こういう大きなキャンドゥの中に、
その材目の中に言語という欄があって、
その言語の中に結束性というのもあってですね、
そこに接続表現、その結果、
あ、すみません、
その結束性の中に接続表現というのがあるわけですね。
その例として、その例のキャンドゥとして、
その結果、そのため、そこで、などの接続表現を手がかりにして、
物事の因果関係が分かる、
こんなキャンドゥも書いてあるわけですね。
ここまでも本当に根節丁寧に書いてあったらですね、
ある程度経験のある日本語教師だったら、
授業はできるんじゃないかと思います、皆さんね。
ですので、国内の日本語学校がやるべきことというのは、
非常にもう明らかになっていますので、
それをですね、みんなの日本語の行動評価を作るとかですね、
そういうちょっと行動中心アプローチじゃない方向で
努力しているんじゃなくて、
もうこういうふうにですね、
鈴木美香さんの論文で一部抜粋されている、
そのキャンドゥリストから授業をする準備を
するべきなんじゃないかと思います。
それからもちろん東京外国語大学の日本語センターの皆さんには、
早くこのリンク切れを直してほしいと思っています。
またですね、これで国字校の中でね、
力のある学校とそうでない学校を見極める資金石にも
なるんじゃないかなと思います。
なんていうんですかね、
要するに文系シリアバスと行動中心アプローチの違いとか、
そういうものをちゃんと理解しているかどうかが、
ちゃんとした対応ができるかどうかで
明らかになってくると思いますので、
皆さんが就職するときも、
今ね、日本語教師のこれから目指す人もいるでしょうし、
もう既に働いている方もいらっしゃると思いますので、
そういう明らかに間違っている努力をしている学校の方は、
なるべく早くですね、
ちゃんとした力のある学校の方に移動されるのが
いいんじゃないかと思います。
そうですね。
はい、それからちょっと残念なのは、
そこで勉強する学習者の皆さんに
そういう違いを見極めることができないというのが
ちょっと残念なんですけど、
そういう情報も発信できる方は
どんどん発信していってほしいと思っています。
はい、それではですね、
すいません、もう時間だいぶ過ぎてしまいましたので、
本日のムラスペはここまでとさせていただきたいと思います。
皆さんご参加くださいまして、ありがとうございました。
今日の三昌枠と国字講というタイトルの音声配信につきまして、
18:00
ご質問とかコメントがありましたら、
ぜひこのムラスペのハッシュタグ付きで
ご共有いただきたいと思います。
はい、それでは本日も良い一日をお過ごしください。
そして冒険は続きます。