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ありがたいです。それでは、本日の
本題に入りたいと思います。今日、ご紹介したいのはネイティブ信仰と行動中心アプローチという、そういうことなんですね。
これを話そうと思ったのは、ツイッターで見かけた、かなりネイティブ信仰的な、そういうシンボル的な発言があったからなんですよ。
ちょっと皆さんにも聞いてみたいんですけど、昨日、ネイティブの英語力を100とすると、
TOEIC 900点は15ぐらいしかないっていうような、そういうツイートがあって、これかなりの方がRTとかリツイートとかしてるんで、
目に、見た人もいらっしゃるかなと思うんですけど、僕もコメントつけてRTしたりしたんですけど、
この元の書き込み、ご覧になった方いらっしゃいますか?もしいたらハートマーク、なければ涙のマークでリアクションいただければと思いますけど、どうでしょうか。
具体的にどういう投稿だったかっていうのをちょっとご紹介してみますと、これは、ハートマークの方いらっしゃいますね。ご覧になった方いらっしゃるみたいです。
川田光作さんという方ですね。
こういう投稿でした。日本では英語ペラペラと思われるTOEIC 900点は、英語ネイティブの英語能力を100とすると15くらいです。
これ決して大げさではないです。こういう投稿ですね。これに対してですね、もういくつだったかな。
とにかくすごい数の人がRTとかしてて、賛同するコメントとかもしていてですね。
とても特徴的だなと思ったのは、ゆり中山さんという人のツイートなんですけど、TOEICの点数だと思うんですけど、920点というふうに書いています。
920点ですが、5歳の娘以下の英語力です。ってことはこれあれかな、国際結婚の方なのかな、もしかしたら。あるいは向こうに住んでらっしゃる方なのかもしれませんけどね。
920点ですが、5歳の娘以下の英語力です。実際の現地の子供と話していると、自分は2から3歳児と同じくらいの英語力だなと思います。
というような投稿とかもありました。これ実際に
まず一つの大きな問題は、これがね、ネイティブを100とするとTOEIC 900点は15って言うけど、これが何を基準にしているかがちょっとここでは全く触れられていない。
まあツイートだからね、ツイッターだからそんなこと考えたら、いちいち基準とか出さなくてもいいと思うんですけど、
まあでも多分ね、語彙力だと思います。僕が考える分では語彙力、語彙とかあるいはね、
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文法はさすがに100分の15ってことはないと思うんで、多分語彙とかだと思うんですね。特にスラングとかも入れた。
これはね、日本語教育に関わる人間にとっても非常に重要なことなので、ちょっと日本語教育のところで日本語教育の文脈で置き換えて考えてみると、
語彙の数とかがね、やっぱりそのぐらいのところはあると思うんですよね。
例えばですね、2016年の田島さんという方が書いた論文で、日本人大学生の日本語語彙力測定の試みっていうので、
それでですね、26,000から35,000以上の人が77%いるって言うんですね。
それでちょっと待ってね、これで、さっきね、ちょっと開きかけてまだ読んでないんですけど、
今ね、JLPTの古い、2010年までの古いJLPTですね。
それで見てみるとですね、語彙が1万語ぐらいっていうふうに書いています。
TOEIC 900点とJLPTの919ね、これが同じかというと、そこはちょっといろいろ、
微妙に違うところも重なるところもあるかとは思いませんけど、日本語教育のそういう文脈でも、大学生ですよ。
大学生だからまだ語彙とかもそれほど、その後20代とか30代で学ぶこともすごくたくさんあるので、
平均的な人間よりはまだ語彙もそれほど多くない人だと思いますけどね、大学生ね。
大学生で2万6千から3万5以上の人が77%いるってことなんですね。
なのでそれに比べると、JLPTのN1じゃないすいません、旧JLPTなので1級ですよね、1級。
1級で言われていた語彙の1万語っていうのが、かなり半分にもいかない。
3分の1ぐらいであるっていうことがわかるんじゃないかと思います。
ビジネスマンとかと比べたらもっと3分の1以下ですよね。
たぶん4分の1とか5分の1とか、そのぐらいになってしまうんじゃないかと思うんですけど。
なので圧倒的に、つまり日本語の母語話者が知っている言葉に比べて、
日本語を母語としない人が、第二言語として学んだ人の語彙の数が圧倒的に少ないっていうのは、
英語ではなくても日本語教育の分野でも同じだと思います。
だけど、これは言語知識中心的な考え方なわけですね。
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言語知識中心っていうのは要するに行動中心ではないっていう意味ですね。
なので文法の数とか、知っている語彙とか知っている漢字の数ですよね。
そういう数で考えると、母語話者の方が圧倒的に多いわけなんですけど、
でも、それを行動の数で考えてみたら、決してそんなことはないわけなんですよ。
それを考えると、別に知っている言葉の数でネイティブと競ったって、別にあんまり意味はないんじゃないかなと思うんですよね。
例えばね、僕もトイックとかトップとか受けたことないんで、ちょっとわかんないんですけど、
でも、たぶん他の人の話を聞いていると900点とかいかないと思います。
でも、それで何点くらいなのかっていうのはちょっとわかんないんだけど、
それでもね、その英語力でも、英語でカナダの先生方、
普通は日本語の先生方には日本語で甘えさせていただいて、日本語でセミナーをやるんですけど、
でも、基金の派遣の仕事だと教育省っていうところに派遣されるんですね。
そういうところでセミナーとかやると、英語の先生だけじゃなくて、
フランス語はさすがにちょっと立ち位置が違うので、
フランス語よりもスペイン語とか、他のね、中国語とか、ウクライナ語とかね、
カナダはね、ウクライナ人すごく多いんで、ウクライナ語の教育もすごく盛んですよね。
日本語じゃない先生方もたくさん来るんで、英語でセミナーしなきゃいけないこととかも結構あるんですよね。
そういう時も正直言ってね、特に予想していなかった質問とかが来ると、
正直言って結構厳しいですよ。きついですよね。
だけどそれでもですね、さっきここでツイートでご紹介したような、
5歳の子供よりはちゃんとしたことができると思います。
端的に言うと5歳の子供には、教育省で仕事をすることで、いろんな会議とかも全部英語ですけど、
かつ先生方に英語で公開の場で、セミナーとかもしなきゃいけないんですけど、
そういうのは5歳のカナダ人の子供にも絶対無理だと思います。
なので、たぶんね、そういうことを考えると、5歳の子供がね、
もう真面目な話、じゃあマクドナルドでちゃんと注文とかできるのかって言ったら、
まあできるかな。5歳だったらできるかもしれないけど。
でもマクドナルドぐらいだったらできるかもしれないけど、
でももうそれより難しいことって言ったら、5歳の子供じゃできないことがすごくたくさんあるわけですよね。
いくら英語が上手だって。
だからその行動中心的なアプローチ的な考えでね、
英語で何ができるか、英語でできる行動っていうのを考えると、
当然、成人のね、僕ぐらいじゃなくてもいいですけど、大学生とか、
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要するに成人している日本人で、少なくともトイク900とか持っている人だったらね、
そしたらその行動の数で考えたら、5歳のカナダ人、5歳の英語の母語話者よりは、
全然できる数の、できること、できる行動の数は何倍も多いんじゃないかと思うんですね。
そういうことを考えると、ネイティブと同じだけの数の言葉を覚える必要というのは全くないと僕は思います。
例えばね、じゃあ日本人の5歳の子供っていうのを考えてみると、
ほとんどの言葉がどんぶらこっていう言葉を知っていると思うんです。
どんぶらこっていう言葉ね。
5歳の子供を捕まえてどんぶらこって聞いたことある?って100人の子供に聞いたら、
たぶん少なくとも95人くらいは聞いたことあるって言うと思うんですよね。
それどういうところで聞いた?って言ったら、だいたい桃太郎っていうふうに答えると思うんですよ。
でも要するにこういう非常に限られたところでしか使われない言葉とかもネイティブは知っているわけですよね。
だって正直な話、桃太郎を読まない人にとってはどんぶらこっていう言葉は必要ないですよね。
例えばね、日本でIBMとかいろんなところで外国人のエリートのビジネスマンとか働いてますよ。
そういう人たちがどんぶらこっていう言葉を知っているかというと、たぶんほとんどの人たちは知らないと思います。
だけどそういう人たちがどんぶらこっていう言葉を知らないから困っているかというと全く困らないわけですよね。
なので、さっきね、ネイティブに比べて日本人のトイック900点の人は100分の15くらいっていう話がありましたけど、
日本人のトイック900点の人が知らないその100分の85ですよね。
つまり100分の15じゃない方の残りの85の言葉はほとんどがそういう言葉だと思います。
あれはね、子供が知っている言葉じゃないかもしれないけどもっと専門的な言葉ももちろんあると思いますよ。
例えば自分の仕事には関係ないけど専門的な用語っていうのを僕が知っていることも時々あったりしますよね。
例えば僕は言語学とかだけど理系の本とかも日本語で読んだりしますから、
例えば項目応答理論という言葉がありますよね。
項目応答理論というのはJLPTの問題を作るときの背景にある理論なんですけど、
まあそれを考えると日本語教育の専門に結構重なっているので全然専門と違うということはないんですけど、
でも例えば項目応答理論みたいなもっと違う話じゃないですかね。
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例えば今仏教の話とか、あるいは僕はインドの本とかも読んでいるから、
インド関係のね、例えば不可植民という言葉もありますよ。
不可植民。不可植民というのはアンタッチャブルとも言われますけど、
要するにカースト、カーストがアウトカーストとか言われることもありますね。
要するにカーストの中にすら入っていない、それよりも下の人たちという非常に差別されている人たちですね。
まあでも今は公式にはカーストはないということになっているので、
まあそれもねちょっと本当は公式にはないだけで実際にはいろいろあるんですけど、
まあだけどその例えば不可植民という言葉は僕は知っているけど、
それはインドっていうね、世界を知るために概念として知っている必要がある。
だから僕は不可植民という言葉を知っているわけですよ。
だけどそれをですね、例えば六本木とかあるいはそういうところで渋谷とかで働いている
カナダ人のね、あるいはアメリカ人とか台湾人のITエンジニアが知っている必要があるかというと、
それはもう全然必要ないんですよね。
もしね、それを世界を知る上で、それをね自分の母語の言葉でね、
例えば英語の英語話者だったら、インドにはアンタッチャブルズって言われている人たちがいるということを英語では知っているかもしれない。
だけどそれを日本語で不可植民という言葉があるとか、
あるいはそれがインドのアンタッチャブルズの人たちのことを示しているとかね、
そういうことを知っている必要は全くないんですよね。
だって世界を理解するための言葉っていうのは別に母語でも何でもいいわけですから、
その概念として知っていれば、それをその第二言語で知っている必要というのは全くないわけですね。
なので、こういうことはですね、日本人で、
こういうことはね、三種類の人たちにやっぱりこういうことは伝えなければいけないと思うんですね。
例えば日本人で、やっぱり日本人で英語を勉強している人たちですね。
なんでかというと、これは全員に関わることですけど、
必要のない言葉を覚えるために無駄な努力をするというのはね、
正直そういうこと、必要のない言葉を覚えるために無駄な努力をすることはしちゃいけないということですよ。
その前に、自分にとって必要な行動を増やすということです。
自分にとって必要な、自分ができる行動を増やすために、
必要ならその言葉を覚えればいいし、それに必要ないんだったら、
その言葉を、例えば不可植民という言葉とかね、
そういう言葉を知っている必要はない、
アンタッチャブルズというね、すみません、今英語の話、
日本人で英語を勉強している話なので、
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例えば不可植民というね、そういう概念を知っていれば、
別にアンタッチャブルズという、
インドにいればね、それを知っていた方がいいですけど、
日本人でシリコンバレーで開発している人たちで、
特にそういう人たちだったら、
別にアンタッチャブルズなんて言葉を知っていなくても、
僕はいいと思います。
だけど、その概念として知るには、もちろん不可植民という
日本語の母語を知っていてもいいと思いますけど、
あともう一つは日本語教師ですね。
日本語教師というのも、むやみに言語知識だけを増やす、
そういう考え方をしている先生方もいらっしゃるんですけど、
やっぱりですね、例えばこういうどんぶらっこみたいなね、
そういう言葉がその学習者の将来に必要だと思いますか?
ということですね。
そういう言葉が必要じゃないと思ったら、
そんな言葉は別にもう教えなくていいと思います。
ただ単に言葉を増やすことを目標にするべきではないと思いますね。
つまりネイティブのようにネイティブに近づけることを目標としてはいけない
ということです、日本語教師としてね。
あともう一つはやっぱり、
僕のポッドキャストはあんまり日本語を母語としない、
日本語の学習者の方はあんまり聞いていないと思いますけど、
でもやっぱり、もしね、僕の今話していることを
日本語を勉強中の人が聞いているとしたら、
それはですね、やっぱり、
どんぶらこみたいな言葉を覚える必要はない、
日本人のようになる必要はないですよということは、
やっぱり日本語を勉強している人にも、
ちゃんとはっきりお伝えしたいと思いますね。
もしこのどんぶらこというのは、さっきも言いましたけど、
桃太郎という物語の中にしか出てこない言葉なんですよね。
なので、
これが必要なのは、桃太郎という言葉を、
桃太郎という物語を読むとき、あるいは、
もっと大人になって、桃太郎という物語を
読み聞かせをするときとかですよね。
そういうとき、そういうキャンドゥ、
そういう行動が必要なときには、もちろん、
どんぶらこという言葉は必要ですけど、
それ以外には、そういう言葉が必要な行動というのは、
多分ないと思いますね。
そういう言葉がたくさんあるので、
それをただ単に知っている言葉を増やす、
ネイティブが知っている言葉を全部覚える、
そういうことは目的にしないで、
それよりもむしろ、
自分の知っている言葉でできる行動を増やす、
そういう方向で勉強してほしいなというふうに思いますね。
はい。
それでは、ちょっと今日も、
もうだいぶ時間が過ぎているので、
ここまでにしてみたいと思います。
本日もですね、
ムラスペにご参加くださいまして、
ありがとうございました。
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今日のね、
このネイティブ振興と行動中心アプローチっていう、
こういう音声配信につきまして、
ご感想とか質問とかコメントとかありましたら、
このムラスペのハッシュタグ付きで
ご共有いただければと思います。
それでは本日も、
良い一日をお過ごしください。
そして、冒険は続きます。